あつあつを召し上がれ (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101383415

作品紹介・あらすじ

この味を忘れることは、決してないだろう――。10年以上つきあった恋人との、能登へのお別れ旅行で味わった最高の朝食。幼い頃に、今は亡き母から伝授された、おいしいおみそ汁のつくり方。何年か前に家族みんなで並んでやっとありついた、天然氷でつくった富士山みたいなかき氷……。ときにはほろ苦く、ときには甘く優しく、身も心も温めてくれる、食卓をめぐる7つの感動の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 食事にまつわる短編集。
    薄いこともあり、あっという間に読み切ります

    ■バーバのかき氷
    認知症の祖母にかき氷を食べさせる孫娘の物語。

    ■親父のぶたばら飯
    中華街の一番汚い店でプロポーズするカップル。
    出てくる中華料理がとても美味しそう!

    ■さよなら松茸
    能登でお別れ旅行をするカップル。
    晩御飯と朝食とこれまた美味しそう

    ■こーちゃんのおみそ汁
    結婚当日の朝、娘が作る亡き母親のみそ汁。
    ジーンときます。

    ■いとしのハートコロリット
    記念日に思い出のパーラーで食事する老夫婦
    しかし、その真相はちょっと哀しい。

    ■ポルクの晩餐
    これ、よくわからない(笑)
    豚の愛人?を持つ男がパリで豚と心中しようとする話?
    豚なの?男なの?
    なんだかさっぱり理解できませんでした。

    ■季節はずれのきりたんぽ
    父親の四十九日に自宅で父親の好きだったきりたんぽ鍋を作る話。しかしできたきりたんぽの味は?
    これは、なんともほっこりする物語。

    こーちゃんのみそ汁がやはり一番好きですね。

  • R1.8.16 読了。

     大切な誰かとの食事を通した短編集。「バーバのかき氷」「親父のぶたばら飯」「こうちゃんのおみそ汁」が良かった。また、どの作品でも食べ物の描写が、とても美味しそうで香りまで漂ってきそうで、そのものを食べたくなった。

    ・「美味しい物を食べている時が、1番幸せなのだ。嫌なこととか、苦しいこととか、その時だけは全部忘れることができる。」
    ・「どうしてかしらね。失くしてしまってからじゃないと、大切なものの存在に気付けないの。」

  • 「おいしいたべもの」短編集。その中の一編「ポルクの晩餐」では、ブタ(名前はポルク(意味はブタ。英語のポーク))と同棲する男が心中するためにブタとともにパリへ。おいしいたべものの表現と官能的な表現ってなんて似てるんだろう!ポルクの体のなめらかさや皮膚のピンクの色の表現や、男が言った官能的な言葉を聞いて、ポルクが顔を赤らめるところがかわいくて好き。

  • 食卓をめぐる7編の短編集。

    小川さんの料理に対する描写がすばらしい。
    あるときはほっこり、あるときはほろ苦く、あるときはドッキリ。

    いとしのハートコロリット」の最初に「か」がつく気持ち がまだわからない・・・
    もしよければ教えてほしい。。

    個人的には「さよなら松茸」が好きです。

    いろいろな思いがこもった、これぞ短編集という一冊だと思いました。

    • いるかさん
      ひなこさん コメント ありがとうございます。

      悲しい も ありますね。。
      ひなこさん コメント ありがとうございます。

      悲しい も ありますね。。
      2022/02/06
    • いるかさん
      ありがとうございます。。

      ちょっと 忘れてしまいましたが、、、
      あるときはほっこり、あるときはほろ苦く、あるときはドッキリ。
      とい...
      ありがとうございます。。

      ちょっと 忘れてしまいましたが、、、
      あるときはほっこり、あるときはほろ苦く、あるときはドッキリ。
      という感じでしょうか??
      2022/02/20
  • 食べ物の描写がとても良く書かれている短編集。どの料理も「食べてみたいな〜」と感じた。一番好きな作品は“こーちゃんのおみそ汁”で、お嫁に行く日の朝、お父さんとのやり取りに涙が溢れました。
    この話しを読んだ後は、丁寧におみそ汁を作って食べたくなります。

  • ぐぅ〜〜…
    読んでいたらお腹が空いてきた…
    それくらい食べ物の描写が美味しそう。

    泣いた日も、笑った日も、なんてことない平凡な日も、お腹は空くものだから
    人生と食は切り離せないものだよな〜

  • これまた会社の方に頂いた本。
    最近は小川糸先生の本をよくお借りしたり、頂いたり。

    小川先生の本は、何を読んでも温かい。
    ホッコリ、まったり、のんびり、そんなイメージ。

    こちらの本は私の苦手な短編小説。
    短編はどうしても苦手で、読むのに時間がかかってしまう。

    最近は私生活が忙しくて読書から遠のいてしまっており、ちょうど読んでいた本が短編だったものだから、余計に本に向き合えなかった。

    今日は病院での待ち時間にこの本を読んでいた。
    サラリとあっという間に読み終えてしまった。

    相変わらず、美味しそうなお料理がたくさん。
    美味しい表現がたくさん。

    読んでいてお腹が空いてきてしまう。

    今日はどんな晩御飯を作ろうかなぁ~?

  • 再読。

    美味しい食べ物にまつわる短編集。どの話も優しくてほっこりする話。別れの話もある。でも、そこに美味しい食べ物があると別れは悲しいけど、心が温かくなる。美味しい食べ物の力は絶大だ。

    再読しても分からなかったのが、やっぱり『ポルクの晩餐』。今日読んでも分からなかった。ポルクは豚なのか?人間の男なのか?前に読んだときからだいぶ時間がたったから、今日読めば分かるかも、と思ったんだけどな…。

    あともう一つ気になった事がある。所々に、いわゆる"ひどい扱い"があった気がする。前は何も思わなかったと思うんだけど。色々なニュースを聞いたりするから、変に勘繰ってしまうのかな?

  • 全体的に、お話が切ない...。

    食事って美味しいのはもちろん嬉しいけど、一緒に食べた人も大事で、その時の思い出を味が呼び起こしてくれる時ありますよね。
    悲しいことがあったとしても、心許せる人と美味しいものを食べた後には少し幸せになっているという、そんな記憶の方が多いような気もするな。
    なんか嫌なことあると、友とか家族に、美味しいもの食べに行こう!って言ってますもんね。

    食事って大事。
    でもね、これからの連休続き、私は思い出に残るごはんが作れるのかーー!いやきっとホカホカごはんのみでもみんなで食べればきっと美味しく楽しい思い出が....(もうすでに疲れてる...)。

  • いやぁ~、お腹鳴る鳴る( >_<)
    僕にとって小説でも映画でも
    食べるシーンがちゃんと書けてるか書けてないかが
    その作品に入り込めるかどうかのひとつの基準です。

    食べることは生きることの基本だから
    そこをすっ飛ばしていると
    なんか一気に嘘臭く思えるし。


    寝たきりになり食事を採らなくなったバーバが
    初めて食べたいと言ったのものは富士山の形をしたかき氷だった…
    『バーバのかき氷』、

    中華街一汚い店は
    実は中華街一美味い店だった(笑)
    『親父のぶたばら飯』、

    10年付き合った彼とのお別れ旅行が切なくて妙に泣けた
    (コレは20代では泣けんかったやろな~)
    『さよなら松茸』、

    亡き母の意思を受け継ぎ、
    父親のために毎日味噌汁を作ってきた娘が嫁ぐ日
    『こーちゃんのおみそ汁』、

    母と娘で作る、亡き父が好きだったきりたんぽ鍋
    『季節はずれのきりたんぽ』、

    など、 本書はタイトルから連想するように
    食にまつわる出会いと別れが描かれた7つの短編集です。

    中でも『親父のぶたばら飯』の
    見た目は薄汚れた店構えだけど、
    料理は絶品って話にニヤリ(笑)

    僕が長年暮らしていた大阪にも
    そんな店がありました。
    昭和の香り漂う古びた暖簾に少し傾いた店構え。
    (いや比喩じゃなくてホンマに傾いてます!)

    店の中には
    「コレ、いつの時代から置いとるねんっっ(笑)!!」
    っと思わずツッコんでしまいたくなる、
    手垢と醤油のシミの付いた「どろろ」「気まぐれオレンジロード」「ドカベン」「マカロニほうれん草」「パタリロ」「ナイン」「陽当たり良好」「ツルモク独身寮」など、
    なんとも懐かしき漫画がズラ~リ。

    そして壁にはバブル期へタイムスリップしたかのような
    鈴木保奈美が水着でビールジョッキを持った色褪せたポスター(苦笑)
    ↑現石橋貴明夫人。知らない良い子は
    おうちの人に聞いてみよーっ♪

    その上、店の中を店主の子供が
    タッタカタ~っと勢いよく走り回り、
    挙げ句の果てには僕の大好物、
    鶏の唐揚げの載ったお皿に
    店主の子供の投げた赤いゴムボールが
    見事にカップインする始末(汗)( ̄○ ̄;)

    オシャレでもなんでもない
    そんな『三丁目の夕日食堂』が僕はなぜか好きでした。
    (漫画「三丁目の夕日」に出てきそうな昭和な中華店だから勝手に命名)


    まずここの焼飯が
    奇跡的にウンマイっっ!!!
    (黄金焼飯とまた勝手に命名!)

    ホッペが落っこちる
    美味さとはまさにこのことです!

    メニューがこの焼飯だけなら、
    もっと繁盛したんやろうなぁ~って
    いつも思ってました(苦笑)(^_^;)
    (何故ならそれ以外のラーメンや焼きそばや酢豚や八宝菜はおそろしくマズいのです…)

    でも客に媚びてない店主の姿勢と、
    (写真撮らせてもらえんかったし)
    この焼き飯の美味さのギャップに何故かハマってしまって、
    ことあるごとに通いつめてました。
    (とんねるずでお馴染みの
    いわゆる『きたなシュラン』ですね笑)

    子供たちが店ん中を走り回るのを
    昭和の漫画片手に
    ボーッと眺めてるのも心地いいし(笑)、
    高い位置に備え付けられた
    あくまでも店主が見たい番組を流しているだけのテレビも
    父親が威厳があった時代の昭和な風景の一つを思い出させてくれるし、
    (まぁ、殆どが阪神タイガースの野球中継で、常連客たちはみな、それぞれが監督となり、テレビの中の選手たちを采配し、檄を飛ばします笑)

    『痛っ!コラ、
    どこボール当てとんねんっ!!(`ε´)』

    ってワンパク過ぎる子供たちに苦笑しながらも
    うどんの中にそばが1本混じってるだけで
    その日1日幸せ気分が持続する安上がりな僕だから、
    なんやかんや文句言いながらも
    何でもない日常に幸せを感じてたような気がします(笑)


    僕たちの身体は、僕たちが食べたもので作られていて
    何を食べるかで、細胞の質や性格が決められる。
    人間を形成しているのは食であり、
    食べ方で人生が変わるし、
    食事とはその人の生き方そのものなんだと
    僕は思うのです。

    記憶のかけらみたいなものを共有するのが、共に生きたってことだとしたら、
    自分が選びとった大好きな人と食事をした思い出は
    ほかのどんな記憶より愛しく懐かしく、
    自分を形づくる核となって
    いつまでも輝き続けるのだと思います。

    しかし、食べることを共有できる人がいるということは
    なんという幸せなことだろう。

    濃厚な肉汁が口の中で炸裂する熱々のしゅうまい。
    細切りにしたハムや野菜が入ったトロトロのふかひれスープ、
    煮込んだ豚バラに艶々と光る葛あんと小松菜を散りばめた豚バラ飯。
    サクッという音と共に、
    ふくよかな香りが囗の中いっぱいに広がる松茸のフライ。
    舌の上でトロける能登牛のすき焼き。
    人参、玉ねぎ、大根、ジャガイモがほろほろになるまで煮込まれたポトフ。

    本書に登場する沢山の料理と共に
    僕自身の食の記憶を共にした人たちの笑顔を思い出しながらの
    楽しい読書でした。

    どちらかといえば、悲しい話が多いけれど
    だからこそ人は食べるのです。

    悲しみよさようならって。



     

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著者プロフィール

作家。デビュー作『食堂かたつむり』が、大ベストセラーとなる。その他に、『喋々喃々』『にじいろガーデン』『サーカスの夜に』『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』『ミ・ト・ン』『ライオンのおやつ』『とわの庭』など著書多数。

「2023年 『昨日のパスタ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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