マボロシの鳥 (新潮文庫 お 75-2)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101383521

作品紹介・あらすじ

舞台芸人チカブーによる今世紀最大の演(だ)し物「マボロシの鳥」。誰もが夢中になる、そして見る者によって全く印象が違うという、美しく輝く不思議な鳥を、ふとしたことからチカブーは失ってしまうが……(表題作)。世界一美しいといわれる島で、数十年の時を経て、不発弾がある家族にもたらした皮肉な運命(「タイムカプセル」)。人類の愚かさと愛しさを描き、世界の真理に迫る希望の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 出版年が前後してしまいましたが、「文明の子」に続き2冊目の太田光さんの本、読了しました。

    紡がれる言葉が、きれいだと思いました。
    9つのお話。争うことの空虚な無意味さのようなものを、全編から感じました。
    「荊の姫」、「タイムカプセル」。静かな物語。痛みを伴いますが、優しさを感じます。
    「人類諸君!」では、転調して一気に落語の語り口調のような文体になり、はっちゃけていますね。笑
    一転、「ネズミ」は暗く、重い雰囲気です。
    そして「魔女」、表題の「マボロシの鳥」、「冬の人形」、「奇跡の雪」と心に沁みる寂しさを感じ、涙が出てきました。
    最後に「地球発……」で静かに、色鮮やかに締めくくられています。

    読了後、現実に戻り、「今晩は何を作ろうかな?」と変わらない日常を穏やかに感じました。

  • 爆笑問題の太田光さんの著書があるということで拝読した。
    マボロシの鳥の他、9編の短編集だった。
    タイトルにあるマボロシの鳥よりは、自分としては荊の姫、タイムカプセルが心に残った。

  • お笑いコンビ、爆笑問題の太田光、初の小説集。収録されている作品それぞれに垣間見られる、人間の愚かしさと愛しさを描き、世界の心理に迫っている。太田光が小説を書くと、こうなるのか、と改めて実感した。

  • あの太田光から、どんな小説が生まれるんだろう…と思って購入。

    なかなかずどんとパンチの効いた話ばかりが揃っています。
    個人的には難解で、実験的な部分にのっていけなかったなあ。。。

  • 太田光の小説初めて読んだ。短編集だったので1話1話、読みやすい。
    「The 太田光」という言い回しや表現が垣間に見られ、小説でこの太田節は彼にしか出せないものだなぁと感じた。

    戦争を題材にしたのが多かった印象。

  • ちょっと主題を伝えようとするのがあざとい感じがするけどなぁー筒井的に振り切ってくれればそれはそれでいいのだけど。太田光の顔がちらつくのはたしか。

  • 文庫再読

  • 平易なのに角張った感じの文体。物語は純粋ですごい直球。太田光そのものだと思った。
    「冬の人形」 人形を自分に見立てて、自分で自分を可愛がる春子の寂しさ。それぞれの人物の気付かれない、報われない思いが切なかった。

  • 問題提起をしたい気持ちが盛りだくさんで、なんだかぎこちないと思ってしまった
    絵を描いたり、文章を書くって難しいのだなと思う
    鳥のことばかり考えて一生くよくよ暮らすのだけは嫌だなあと思う
    でも芸人は鳥を持った瞬間のことを一生思い出して生きる方がましだ、と思うのかも

  •  口承文学か パロディーか 古典的になりうる定番を多く取り込んでいて、その取り込み方が太田光らしい。話言葉のようなリズム感が面白かった。
     自然保護を主張する人は山に近づくのは否、とか幸福の証拠=笑声とか、ダイレクトにメッセージが入っていて、小説としてはどうも未熟な感じがする。タイムカプセル、奇跡の雪といった戦争を取り込んだ作品を、まだまだ続けて欲しいと思った。
     

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著者プロフィール

一九六五年埼玉県生まれ。八八年に田中裕二と「爆笑問題」を結成。二〇一〇年初めての小説『マボロシの鳥』を上梓。そのほかの著書に『違和感』『芸人人語』『笑って人類!』などがある。

「2023年 『文明の子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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