朗読のススメ (新潮文庫)

著者 : 永井一郎
  • 新潮社 (2009年5月28日発売)
4.13
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  • 24レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101384511

作品紹介

今、朗読が人気です。子供への読み聞かせから始まり、朗読愛好会が様々な所で開かれています。しかし声だけで作品を表現するのは難しい。本書では、従来とは全く異なる方法で、その秘訣を教えます。シンプルな表現だからこそ、人間の本質を捉える想像力が大切。朗読愛好家必携の一冊としても、感性豊かなお子さんを育てたいご両親にもお薦めです。

朗読のススメ (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 先頃亡くなられた永井一郎さんの声が聞こえるかのような本です。
    黙読は頭で読むこと。朗読は体で読むことと書かれています。
    絵を思い浮かべて読むのではなく、環境の中にいる自分をイメージして読むこと。
    イメージを膨らませるには知識が必要だから、いろんなことに
    興味を持ち、吸収すること。
    言葉というものに対する思い入れの伝わってくる、素晴らしい本ですよ。

  • 2014年に他界された永井一郎さんのエッセイ集。サザエさん、機動戦士ガンダム、YAWARA!、らんま1/2…誰もがどこかで声を聞いたことがあると思います。タイトル通り朗読をテーマにしたエッセイですが、どうやったら上手な朗読が出来るかを解説する、いわゆるハウツー本ではなく、表現するとは何かまで掘り下げて、永井さん自身の俳優・声優経験や表現に対する考え方をわかりやすくまとめられています。朗読以外にも応用できそうな考え方がたくさんありました。読んでいると永井さんの声で脳内再生されてしまう、そんな1冊です。

  • 【本の内容】
    今、朗読が人気です。

    子供への読み聞かせから始まり、朗読愛好会が様々な所で開かれています。

    しかし声だけで作品を表現するのは難しい。

    本書では、従来とは全く異なる方法で、その秘訣を教えます。

    シンプルな表現だからこそ、人間の本質を捉える想像力が大切。

    朗読愛好家必携の一冊としても、感性豊かなお子さんを育てたいご両親にもお薦めです。

    [ 目次 ]
    第1章 声について
    第2章 自分の朗読とは
    第3章 朗読の基礎的技術について
    第4章 技術とイメージのはざま
    第5章 解いておきたい誤解
    第6章 技術を超えて
    自在に飛ぶ―あとがきにかえて

    [ POP ]
    なるほど!

    何度もひざを打ちながら読んだ。

    赤ちゃんの声が大きいのは、人によく思われたいなどのプレッシャーがないから。

    人の目や評価を気にせず、自分を捨てることが、朗読では大切だ、というくだりになるほど。

    野球選手は〈打率三割で天才ということは、十回に七回失敗してもなお天才ということです。

    気が楽になりますね〉という一節にもなるほど。

    「あ」だけでは意味はないが、「あ、お母さんだ」という時の「あ」は、イメージの持ち方次第で、実に豊かな表現になるという説明にも納得した。

    1969年の放送開始以来、「サザエさん」の波平役を務める著者による本書は、何もないところに声だけでイメージの世界をつくる朗読では、人間の本質をとらえる想像力が大切だ、と説く。

    紋切り型の思い入れたっぷりの朗読を否定する言辞は痛烈で、〈イメージが貧困だから思い入れてしまうのです〉。

    波平の「バカモン!」という声が響いてきそうだ。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ひどい世の中になりました。
    からはじまり、日本や世界が心を失いかけた嘆く。
    もっと散文的な、エッセイのようなものかと思っていたが
    思った以上に実質的で、声優だけでなく何かを創る人にとって
    非常に参考になる内容だと感じた。

    才能も無いのに人にケチをつけたり
    目に見えないものをあまり敬わない現代日本人であったり
    そうしたことをずばずばっと軽快な文体で書き記していて
    嫌味も感じず、すっと入ってくる。

    真っ直ぐたち胸をはり肩を落とす。
    肩甲骨を引き寄せ脇腹で上体を支えて肛門を締め、尻の筋肉を引き締める。
    腰の下部を前に突き出しほんの少し前傾。手のひらを前に向け顎を引き目を上げる。
    なるほど、確かにしんどい姿勢だ。
    そしてこうした努力を歳を重ねられてからも
    新しいことに挑戦し続けてこられたところが恰好良い。

    業界の定説も遠慮なく否定するところも小気味良く
    独壇場、独擅場などの漢字や言葉の変遷
    方言についてなどどれも興味深い。

    特に印象に残ったのは、言葉を体で感じるということ。
    役になりきる為、場面を想像することなら誰でもやれるかもしれない。
    が、何を履いているかなど詳細に思い描き、感じるということが
    当たり前なようでいてとても難しい。

    そして、人は幸せを追求するものだから、その役の幸せはなにかを考える。
    私は永井さんと言えばナウシカのミトのイメージなのだが、そのこともページを割いて書かれてあった。
    ミトの幸せは、ナウシカ。だから、姫様という台詞が印象に残る。
    確かにミトの「姫様」の一言は、柔らかく大切な、厳しくもまろやかな声音だった。

    体を動かさず体操選手に課題をイメージさせると、筋電図では
    実際に運動しているときと同じ電流が流れるのだそうだ。
    とすれば、やはり声だけの演技の中でも
    その人物の洋服から考え方までイメージすることは、役を演じる上で
    非常に重要であると言える。

    寒いところで薪を拾ってきて燃やすというエピソードも非常に面白かった。

    わかりやすく素晴らしい本。

  • この本はすごい本だと個人的に思う。とてもむずかしい内容を読者に還元するつもりでとても平明に書かれている。朗読の本であるが、表現することをする人にとってはとても勉強になるテキストだと思う。朗読に興味があって読んだが表現だけに留まらない深さを携えた作品だと思う。多くの表現者に読んでもらいたい。そういう本だった。

  • 読み聞かせの研修中に参考になるかと思い、購入。

  • 「登場人物の幸せが何か理解できたら、その小説は理解できたことになる。」私の読書は、ただ文字を追ってきただけということになろう。

  • 文字からのイメージの中に立ち、その人になり話す。単語を切り取らずに、現実のように感じられるまで想像の世界を作り、入り込む。著者の朗読とはそういうことだ。
    演技という言葉を聞くと、芝居じみて大袈裟な動きをイメージして近づきがたい感じがする。自分が朗読してみようとしたときにも、そういうイメージが反射的に出てくる。
    どこまでがそう呼べるのか境目は曖昧だが、技術を身につけた上で自由になって、イメージの中に立つ。その境地には簡単に辿り着けないけれど、命がけで登ってきた大きな柱からジャンプし、もっと高みへ向かうイメージはできる。
    自分の感覚やイメージを他者に伝えるのは難しい。伝わっているか確かめるのも難しい。声がそうであるように、自分に聞こえる自分の声と他者に聞こえる自分の声は違う。基本的にミスコミュニケーションだ。作家は文章にして、声優は声にして伝えようとする。何度もフィルターを通って受けとる人のフィルターで感知される。それがさらに先へ伝わっていく。体を楽器として感覚を必殺技にして、表現する仕事をしているのが羨ましい。20161107

  • 鼻呼吸と腹筋。

  • 『永井一郎の「朗読のヒント」』1999に、加筆修正して題名を変えたもの。2014年に亡くなったんだって。知らなかった。そういえば、波平さんの中の人の訃報を聞いた覚えがあるような…?

    はじめに
     心を求めて
     何もないところに世界をつくる
     語りを文化としてきた国
     心にも体にも朗読はおすすめ

    第一章 声について
     大きな声を出したい
      体の緊張を解く
      プレッシャーを克服する
      生活習慣上のプレッシャー
      伝えたいという意欲

     いい声を出したい
      いい声とは何か
      声の健康

    休憩室① 顔と声と役「YAWARA!」

    第二章 自分の朗読とは
     自由にならなければ朗読はできない
     自分の世界を獲得する

    休憩室② 運も才能のうち「ローハイド」

    第三章 朗読の基礎的技術について
     文化の基礎は「形」にある。

     発声
      声を出す技術① 姿勢
      声を出す技術② 腹式呼吸と肺活量
      声を出す技術③ 声圧

     発音
      共通語の「形」
      「あ」が「あ」に聞こえればいい(母音)
      滑舌の練習はそのときに(子音)
      無声音
      鼻濁音
      アクセント
      技術か技術でないか
      誰かに聞いてもらう

    休憩室③ 宇宙の神の声「機動戦士ガンダム」

    第四章 技術とイメージのはざま
     言葉とは何か
      言葉は身を守る道具
      「ワタシ」と「ワタクシ」
      読みの決定は内容の捉え方による

     漢字の読みは難しい
      辞書も当てにならない
      「イエ」と「ウチ」
      オ?オン?ミ?ゴ?ギョ?
      誤読の一般化
      業界用語
      我が国の名は?

     スピードとリズム

    休憩室④ 向き合うということ「母をたずねて三千里」

    第五章 解いておきたい誤解
     女性の声は朗読に向かない?
      日常の気持ちを切り替える
      声が変わるのは「気分」
      いつも元気な「ひろし」と「カツオ」

     方言を大切に
      「母親の言葉」がアイデンティティー
      地方からの亡命
      大阪弁で陳情してみなはれ
      忘れられない授業
      思想は方言でつくられる
      言葉と体の距離

    休憩室⑤ ミトの幸せ「風の国のナウシカ」

    第六章 技術を超えて
     Ⅰ 細胞とイメージ
        イメージ
         技術を超えるもの
         その「あ」は何ですか
         表現に必要なのはイメージ
         イメージは知識の積み重ね
         イメージが細胞のベクトルを揃える
         感性も知識の積み重ね

        俳優の方法に学ぶ
         東京新聞のアテレコ論争
         演技の基礎は「行動」
         動かない身体で行動する

        あなた、そこにいますか
         イメージの中にいる
         情緒の記憶と五感を総動員

        集中と解放
         スポーツに学ぶ
         集中・解放・イメージの関係
         イメージの実感

        リアリティーを逃がさない
         技術を忘れる
         固定観念を捨てる
         イメージのリアリティー

     Ⅱ 人間一人をつくる
        人間は行動する
         表現ではない、行動だ
         〈間〉は行動の一部
         行動は連続している
         正しく行動できれば〈間〉も正しい
         285個の〈間〉
         心の欲する所に従えども
         句読点は黙読のためのもの
         読点で意味が変わる
         書込みも動詞で

        人間はなぜ行動するのか
         俳優の仕事とは何か
         役の人物の「幸福願望」を読み取る
         人それぞれの幸福
         つくるには知らねばならない
         すべての登場人物を読み分ける
         だれが、だれに、なぜ、どこで、なにを、読むか
     Ⅲ そして朗読
        客観性と主観
         表現はそもそも主観
         「客観的」とは支配体制の主観
         言葉を置くだけでは朗読にはならない
         イメージが弱いから言葉に頼る
         まるごとすっぽり捉える
         個性とは何か
         声は人なり

       朗読の心構え

    休憩室⑥ 日々若返る波平「サザエさん」

    自在に飛ぶ あとがきにかえて

    文庫版あとがき

     朗読を重ねると、音と字が体の中で一体となる。

     朗読は、体全体を使う表現。訴えたいことがあって、心と体が自由になった時に、朗読は成立する。主観、自分なりのもの、自分の世界などの、確固としたイメージを持った時、自分の訴えたいことがわかる。そして朗読に集中して、自分を忘れ去った時、心身はどこまでも自由になる。

     表現には表現の技術がある。表現の技術の基礎は「形」だ。「形」を繰り返し体にしみこませる。その上で、その技術を超えていったところに表現がある。基礎があってこそ、自由があり、表現があるのだ。

     表現とは、自分の持つイメージを人に伝えるためにとる手段のこと。まずは、伝えたいイメージをしっかり作り込む。そのためには、人間に関するあらゆる知識が必要だ。知識を積み重ねることによって、頭の中のイメージは鮮明に、リアルに感じ取れるようになり、感性も磨かれる。五感を総動員してイメージを作り上げ、好きに表現して、その表現で正しいかを体に聞いてみる。体が納得する時、その表現は、リアリティーを持った一人の人間の行動となる。

     人は誰でも、その人なりの幸福のために行動する。人を行動に駆り立てる欲の根源にあるのは幸福願望だ。人を理解する、その人自身に成り代われるほど理解するには、その人の幸福願望を知ることだ。知識を増やして、その人の行動を何度も繰り返しなぞることで、人を一人作れるほど、人を理解できるようになる。

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