- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101388212
作品紹介・あらすじ
この腹の中に、何かがいるのである。大便以外の何かがいる…!テスターによるショーゲキの妊娠発覚、どん底でバカバカしいギャグを考えてた悪阻期、悪魔の封印石のような強情な便との壮絶な戦い、と、期待にたがわぬスッタモンダの十月十日。そして、とうとう生まれたよ。あたしゃ、おかあさんになっちゃったよ。そう、まる子も人間、人間も宇宙の生命体、そういうふうにできている、のです。
感想・レビュー・書評
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さくらももこさんの妊娠から出産までのバタバタと気づきのエッセイ。
妊娠前、基礎体温をつけているか夫に聞かれて「ものすごい速さで自室に走り、机の上に放り出してあるグラフに急いで適当な数値を記入」する序盤のエピソードが、すごくさくらさんらしくて面白かったし、出産に向けて気負い過ぎなくていいんだ、と肩の力が抜けた。
些細なことで「どうせ私なんてこの世にいても秋元康の面白い話より意味がないんだよぅ」と「具体的な事をわめきながら食べかけのサンマの皿を流しに持って行って捨てた」エピソードも、ホルモンによって情緒不安定になるのはみんなあることなんだ、と思わせてくれた。
妊娠したら読み直したいし、夫にも読んでほしい。
一点、さくらさんの夫が、まだ産む気がないさくらさんに急に妊娠情報誌を買ってきて「毎月これらの本を真面目に読むんだよ、わかった?」と言い、自分は「一向に読む気配はなかった」エピソードは、もう少し夫婦の問題として話し合ったり、一緒に考えたりすればいいのに、だから離婚したんじゃないのかと思った(露悪的に書いてるのかもだけど)。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どうやら妊娠したようなので、積読から引っ張り出してきた。
「そういうふうにできている」。
さくらももこの、こーいう達観した姿勢が好き。
作中いろいろ大騒ぎしているけれど、物事を俯瞰して見れているからこそ、面白おかしく文章にできるんだと思う。
自分の身体のことを細かく理解しているのも、凄すぎて笑った。
「吐く」なんて正常の自分ならあり得ないから、妊娠したにちがいないとか。
自分の腸内の便を、かなり細かくコントロールして上げ下げしているところとか。
お腹の子は男の子にちがいない、いついつに産まれるにちがいない、とか。
観察力が鋭くて、分析力が突飛で、ちびまる子ちゃんってそうだったなと思い出した。
息子は「我が子」であることは間違いなくても、私のものではない。
我が子の魂(意識とか考え方)は自分より上等かもしれないが、肉体としては赤ちゃんのうちは新参者だから世話してあげる。
親だから、という理由で特権的な圧力をかけたり、傷つけたりしたくない。
などなど。
実際に大切なのはどんな行動をするか、ではあるけれど、この意識をわたしも持ち続けていたいと思う。 -
「さくらえび」に続き、さくらももこさんのエッセイを…と思い購入、読了。
いやー、笑い倒したなーーー(´∀`)
入りからすでに「診察室から出てきたセックスを控えるべき女性」…くくく…
なんかもう一瞬で面白いんですよね、さくらももこさんの本って( ̄∇ ̄)
妊娠・出産に伴う身体、気持ちの変化って異性としては知り得ることができないものなので、そういった意味でも読んで良かったなと。
逆に経験されている女性であれば、スゴく共感しながら読めるかもです。
さっそくまた次作を読みたくなってる自分がいる…
そこらへんがまた、さくらももこさんの魅力なのかなと。
きっと、そういうふうにできている…(´∀`)?
<印象に残った言葉>
・診察室からは男の医者の声が聞こえていた。早く厳しい口調で「セックスは控えるようにしなさい」というような事を言っている。まもなく診察室からセックスを控えるべき女性の患者がうつむき加減に出てきた。(P15)
・支配者は私のはずなのに、なぜ便が私を束縛するのか。私の心の中では″引っ込みがつかない”″後にも先にも引けない″″ふんぎりが悪い″″出たとこ勝負″など、今の状態にふさわしい慣用句が次々と浮かんでは消えていった。(P62)
・私は無語で腹の力加減を調整し、出口ギリギリで寸止めをし、「今また出ます」と宣言してからやってみた。夫と看護婦が見守る中、時の流れが止まったように静まり返った病室に低俗な音が響いた。(P137)
・面倒くさくても疲れていても子供の面倒をみてしまうのだ。全くうまくできているものである。だから子供が大きくなり、親に憎まれ口をたたいた時に、よく親は「あんなに可愛がって育てたのに」などと言うが、それは負け犬の遠吠えにすぎない。親は自分が可愛がりたいから可愛がったのだ。(P190)
・だからこれを読み終えられた今、何の得るところも無かったと思うが、私のエッセイとはそういうふうにできているのである。(P196)
<内容(「BOOK」データベースより)>
え? まるちゃんが妊娠!? お腹の中には宇宙生命体(コジコジ)が!???
ビートたけしさんとの対談ものってます!! ももこ
この腹の中に、何かがいるのである。大便以外の何かがいる……!
テスターによるショーゲキの妊娠発覚、どん底でバカバカしいギャグを考えてた悪阻期、悪魔の封印石のような強情な便との壮絶な戦い、と、期待にたがわぬスッタモンダの十月十日。そして、とうとう生まれたよ。あたしゃ、おかあさんになっちゃったよ。そう、まる子も人間、人間も宇宙の生命体、そういうふうにできている、のです。
目次
妊娠判明
悪阻(つわり)
便秘
情緒不安定
不安
手術
マタニティーブルー
粉瘤(ふんりゅう)
命名
出発
あとがき
付記・妊娠中の食事について
対談 やっぱり子供が原点! ×ビートたけし
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さくらももこ展でこの本の存在を知りました。妻が出産を控えているため、どのような体験かを知るためにも本を購入することに。参考になることはあまりなかったが、単純に文章がとても面白いしうまい。下品ですがクスッと笑ってしまう表現にやられてどんどん読み進めてしまいました。流石です。
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妊娠、出産を綴ったさくらももこさんのエッセイ。
久々に彼女のエッセイを読みましたが、おもしろい。
ユーモアたっぷりで、文章も絶妙なんですよね。
もともと妊娠中に読みたいと思っていた本書ですが、偶然最近読んだ雑誌で小白石萌歌さんが好きな本として紹介しているのを目にしました。
本当に、妊娠、出産している、していないに限らず、誰が読んでも楽しめる1冊だと思います。
心と脳と魂の関係は・・・?など、少しスピリチュアルなところに想いを馳せて言語化されているのも見どころです。ぜひ読んでほしい。
そして、妊娠中あるあるな便秘ネタから名付けの苦悩、ホルモンの与える影響などは、同じ道を辿るものとして勇気づけられるものがありました。
「いい」でも「わるい」でもなく、「そういうものなんだ」と淡々と物事を見る眼差しがかえって優しく、そうだよなあ、とこちらまでどこか柔らかい気持ちになる。
単行本の発行が1995年だから、もう、20年以上前に書かれたものなんですね。
時代を超えて愛される本だと思いました。 -
著者の妊娠・出産の体験をもとにしたエッセイ。
帝王切開の部分麻酔の時に体験として分かった「脳と魂と心の関係」の話がとても面白かった。魂は意識、脳は魂の乗り物のコンピュータシステム、意識が脳を使用している状態が心、とのこと。
「体験してみるということは実に大切な事」
「妊娠出産だけでなくそもそも日常のあらゆる出来事は、振り返ってみると笑い飛ばせる事が多い。渦中にいるときにやたら深刻になっているだけにすぎない。そう思うと、あらゆる出来事の渦中にいるときにその流れを俯瞰で見ることの出来る冷静さを持つことは非常に大切である」 -
出産前に、読んでよかった。
このエッセイのおかげで出産の実感が少しイメージできたとともに、どれだけ肩の力が抜くことができたか。
読み終わってからほどなくして出産になったけど、「そういうふうにできている」と思えたおかげで、出産と産後直後のしんどい時期を平常心で乗り切ることができた。
子供は家族という教室に転入してきた転校生だから、なかよくしようとしたり、色々と教えてあげようとするけど、決して自分の考えや人生を強制しようとは思わない、という考えに深く共感。
愛する我が子にしてあげたいことや与えたい物は山ほどあるけど、この言葉をいつも思い出すようにしようと思った。 -
妊娠、出産のエピソードが面白く書かれてる!さくらももこさん、流石です!
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妊娠から出産までを綴ったエッセイてす。
笑える所は笑えて、深い所はとても深い。
著者のさくらさんはすごく自分と向きっているんだなとおもました。
自分と向きっている事の偉大さを感じました。
面白くて一気読みしました。おススメです。
著者プロフィール
さくらももこの作品





