ツナグ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.92
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本棚登録 : 12018
レビュー : 1453
  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101388816

感想・レビュー・書評

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  • 辻村さんの本に触れたのは、本屋対象になった「かがみの孤城」が初めてで、これが2作目です。

    死んだ人と一夜限りの邂逅、と聞くととても幻想的な先見感があると同時に、ある一人の人物の邂逅までを追うような話なのだと早合点しておりましたが、違いました。

    まず、3人の体験が短編のように展開され、続いて使者本人の成り立ち、今後の展望までという話の展開になっています。これが結局は同じことなのかもしれないですが、私にはちょっと(ん?)と思ったポイントでした。
    短編(章分け)にするにあたり表題頁を挟むことによって区切りはつくのですが、そうすると逆に話のまとまりは希薄になってしまうような……?
    これで正解なんだろうか?

    (作る側からの視点を想像するならですが)はじめにツナグという使者の存在を思い描き、どんな物語があるだろう? というところから話が3つできあがり、では使者はどんなバックグラウンドか? と考えて……と言う風に、何とも私には後からひとつに形成しました、という風に捉えられなくもないのです。
    だからどうなんだ、という意見。お前はどの立場で言っているんだ、というご意見。ご尤もです。
    それ自体は話の内容にそれほど影響はないと思われます……。

    読後はじめに持った感想は、誰しもが思うであろう「自分なら誰を選び、誰から話が来るだろう」ということも勿論ありましたが、同時に「もっとファンタジックなものを想像していた」ということでした(読む前の想像を膨らませすぎたのでしょうね)。
    どういう風に現れ、どうして消えるのか。
    そこをもっと細密に、映像美を持って(小説なのに?)見られるとばかり期待してしまっていたことに後から気付きました(本編ではそのあたり、ごくあっさりと書かれています)。

    それにしても、これだけのお話が書けるなんて凄いなと思うと同時に、辻村さんの作品を他にも読んでみたい気持ちになりました。
    ありがとうございました。

  • 辻村深月を初めて読んだ作品。
    本屋大賞を受賞した「かがみの孤城」で知り、気になっていた作家の一人。
    女性作家の作品は優しくて読みやすいのだが、私には相性があまり合わないのかも知れない。
    かがみの孤城が文庫化されても読む機会が訪れないかも知れない。

    読後の感想
    章立てになっていて、使者の最終章ではそれまでの章で霞がかっていたものが一気に晴れ、また使者の使命についても奥深さを感じられた。
    それぞれの章が適度なページ数もあって、通勤時間に読むのに適していた。

  • さらさらと流れてしまったが、それでも自分の大切にしている人について考えてしまった。
    本著のなかでは『親友の心得』が一番好きだ。あとはきれいすぎて印象が軽い。消えない悔いを負った嵐はどう生きていくのだろう。スイートピーが告げる門出が余韻を生む。

    死者は生者のためにいる、は傲慢かもしれないけれど生者を生に留め前を向かせる存在であってほしいなと思う。

  • 一生のうちで一度だけ死者と再会することができるという。その再会を叶える役目をもつ使者 -ツナグ-。
    ツナグが仲介した生者と死者との再会をめぐる連作長編小説。
    最終章になって、ツナグである男子高校生・歩美がメインとなり彼の生い立ち、ツナグとなる経緯、謎が明らかになっていく。
    既出の人物たちの再会のエピソードがツナグ目線で語られることによってまた違った見方ができる。
    最後まで読むと面白かったけど、前半に出てくる人の中にはちょっと嫌なやつがいたりして、共感できない。歩美の章は良かった。
    死生観はまだ身近なところでは実感を伴わず、自分だったら誰に会いたいだろうと考えてしまったけど、今はまだとっておきたいかな。

  • 辻村深月の代表作ですが、今まで読んだことがありませんでした。『スロウハイツの神様』もそうでしたが、何人かの登場人物それぞれのエピソードを多角的に捉えて描く作品です。

    少しミステリの要素があったり、暗い読後感のエピソードがあったりと、いい意味で期待を裏切ってくれる部分もありましたが、「感動連作小説」といわれると、そこまででもないような気もしてしまいます。
    個別のエピソードとして「長男の心得」は好きでしたが、他の話については想定の範囲内だったり、違和感を覚えたりと、作品全体を通しての印象としては、ちょっと醒めてしまった部分もありました。

    ただ、作中で使者(ツナグ)が気付いた、
    「(死者に会いたいという生者の希望と、実際に死者と会って生者が感じた「人生の意義」のようなものとは)誰かの死を消費することと同義な、生者の自己欺瞞かもしれない。だけど、死者の目線に晒されることは、誰にだって本当は必要とされているのかもしれない。どこにいても何をしてもお天道様が見てると感じ、それが時として人の行動を決めるのと同じ。見たことのない神様を信じるよりも切実に、具体的な誰かの姿を身近に置く。あの人ならどうしただろうと、彼らから叱られることさえ望みながら、日々を続ける」
    ことができるように、つとめる「使者(ツナグ)」の存在意義、という部分については、残された人々にはとても大切なことだと感じました。

  • 映画を先にみて、印象に強く残っていたので本で読みました。ミステリーというか物語の構成がうまく、余すところなくすべて物語がつながっている力量がすばらしいと思いました。
    死んでいる人を生きている人が心のうちに生かし、あの人がもし生きていたらどう言っただろうと問う、というメッセージが良かったです。

  • 初めての辻村作品。
    暗さや悲しさは含むものの、とても暖かく優しかった。

    一般の人の物語から入っていって、少しの接点を持たせ話が次々進んでいく。
    ところどころ伏線がはられていてそれが最後に綺麗に回収される。

    読み終わって、読んでみてよかったと思えた。

  • 伊坂幸太郎の死神の精度に似たテイスト。そこからユーモアを引き算して、温もりを足し算した感じ。死者と生者の仲介人。発想は至って平凡。でも、そこに纏わる人間模様がすごく繊細で生き生きとしてる。感謝も未練も恨みも、全部ひっくるめて前に進むってこと。前を向くって必ずしも肯定的じゃないこと。それでも生きるってこと。辻村深月らしい作品だったな。

  • 辻村深月さん、初読みです。
    今回は妹からのリクエストで(笑)

    辻村さんも人気の作家さんで沢山作品があるので、一度は読んでみたいと思っていたのですが、どこから手をつけて良いのやらで、延び延びになっていたので、良い機会と思って読んでみました。

    すごく抽象的ですが「やさしいなぁ」というのが読了後の一言感想です。

    内容もそうですが、言葉の紬ぎ方もとっても優しかったです。とても読みやすかった。

    都市伝説として広がる、一人の死者と一度だけ再会させてくれるという「ツナグ」。
    その使者(ツナグ)にたどり着いた人々の心の葛藤や、死者への思いとその後の人生。
    そして、使者本人もまた・・・。

    読了後、自分なら、誰と会いたいかな?と誰もが考えると思います。

    心を穏やかにしてくれる一冊かもしれません。

  • 5つの話で構成されていて、前の4つは使者への依頼人の目線で書かれていて、5つ目は前の4つの話を依頼を受けた使者の目線から書かれていました。
    自分は最後の使者の目線で書かれた話が好きです。祖母から使者を引き継ぐ前に誰にも会わないと決断するところが好きです。

    映画では祖母を樹木希林さんが演じてみえました。
    映画は観てませんが、自分的には富司純子さん、あるいは八千草薫さんがいいのかなと思いました。

著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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