ツナグ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.92
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本棚登録 : 12224
レビュー : 1470
  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101388816

作品紹介・あらすじ

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員…ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 死者と生者をつなぐ使者: ツナグ 。死を取り扱う話なため、なかなかシビアな話が続く。

    有名タレントに会う話。ふむふむ、出だしの話としては悪くない。なるほど、こう言う風に死者と会うのね、、出会えてよかった、よかった、、

    次、不器用で無愛想な親父の話。読んでいて腹が立つぐらいだか、母親と会ってからが、ごろっと印象が変わり、意外にも終わり方が清々しい。男として変な意地はる所、よくないが分からなくもない。改心したなら、悪くない、悪くないぞ、、

    一個飛ばして、結婚直前に彼女が失踪した話、、うーむ、かなり切ない、かなり切ない、、長く長く待ってたどり着いた悲しい真実、、結構きたぁ〜、、でも、これでようやくようやく彼の人生の時計が進められる、、悪くない、悪くないぞ、、

    一個前に戻る。とーっても嫌な予感、、女子高生同士の話、親友同士だったのに、、あぁ、、な、なんと、、マジで読んでて胃が痛い、、グググッ、、相当に厳しい終わり方だ、、

    あぁ、こんか感じでこの小説は終わってしまうのか、あと1章しかない、、

    (ここでリアル事件発生。ノートルダム大聖堂炎上に激しく動揺。フランスの同僚達に連絡をとる。本中断。あぁ、同僚達が悲しんでる。俺も悲しい。こないだ見たばかりだ。あぁ、パリ市民が炎上するノートルダム大聖堂のまえで賛美歌を歌っている。頰を涙か伝う。もはや小説で落ち込んでるのか、ノートルダムで落ち込んでるのか分からなくなる。でも、フランスの同僚達が必ず再建するんだ!と強いメッセージ!どっちが勇気付けられてんだ!よし小説に戻ろう)

    残すは最後の1章。読み始める。
    おおおお、こ、これは、、まさかの使者目線のリプレイ&裏舞台暴露、そして使者自身の物語ではないか!目からウロコ。この話の展開は全く予想してなかった!使者の思い、苦悩、背景が丁寧に描かれていく、、まるで呪縛を解かれていく見たいだ。主人公のツナグ を引き継ぐまでの話でこの小説は一気に花が咲く。静かな感動にこころが満たされる。読んでよかった、、

    初辻村深月さんでした。テーマがテーマなだけに重い話をどうやって仕立てるのか楽しみにしていました。最後の章での話の展開が実に見事だと思います。あのまま、別の人の死者との面会の話で終わっていたら、ここまでの読後感は得られなかったでしょう。最後に粋な展開を見せたストーリー。いやはや、参りました^ ^

  • 死者と生者をつなぐ使者「ツナグ」
    生きている人間が望み、死者が受け入れれば、一晩だけ会って普通に話すことができるという。
    死んだ人と一生に一度、一人だけと会うことができるとしたら‥?

    「アイドルの心得」
    38歳で急死したタレント・サヲリに会いたいと願う女性・平瀬。
    酔って過呼吸に陥っていたところを助けられ、以来ファンになっていた。
    「世の中はみんなに平等に不公平なんだよ」と去って行ったアイドル。
    一ファンに過ぎない自分に会ってもらえるとは思わなかったのだが‥
    死んだときには大騒動になったが、4ヶ月たっても会いたいといってくる人は他にいなかったと話す彼女。
    生きる望みを失っていた平瀬に、サヲリは一言告げたかったのだ‥

    地味すぎて華やかな家族からも疎まれ、気力を失っていた平瀬。
    会社でも浮いていて、同僚に「いつも暗くて怖い本を読んでいる、そんなの読んでると呪われるんじゃない」と言われるのが可笑しい。どんなんや~?
    ミステリかホラー??

    「長男の心得」
    店を継いだ長男・畠田靖彦は口が悪く、周りとちょっとした衝突を起こしてばかりいる中年男。
    ツナグの存在を教えてくれた亡き母に聞きたいことがあるとやってきたのだが‥
    不器用な困ったおじさんの内心抱えていた後悔は‥?

    「親友の心得」
    事故死した親友・御園を死なせたのは自分だと苦しむ嵐美砂。
    高校の演技部で、いつも自分を立ててくれていた優しい御園に裏切られたと感じ、嫉妬を抑えきれなくなって‥
    女子高校生の微妙な張り合いが緊迫して、痛いほど。
    すれ違いが起きた原因、結局ちゃんと話せなかったいきさつとは。

    「待ち人の心得」
    突然失踪した恋人を待って7年になる土屋。
    知り合ったのも偶然で、何も知らないことに後から気づいた。
    日向キラリと名乗った彼女だが、偽名だったのだろうと思う。
    騙されたんだよと言われるが‥
    (土屋の抱えるものすごい肩凝りに思わず共感~パソコンが普及してから増えた症状だそう。結局、それなのかなあ‥いやこの時期に強くなったのはストレスってことですか)

    「使者の心得」
    ツナグという存在が高校生の男の子の姿をしている‥
    という最初は印象でしたが、家系に伝わる仕事で、それを託されたばかりだったとは。
    思いがけない役割と、意外に個人的な関わりに戸惑う歩美。
    そして‥

    よくまとまっている印象でした。
    暗いものを突きつけてくる部分もありますが、人の関わり方や優しいまなざしに励まされる部分もあり、最後はあたたかなものが胸に残ります。
    所々にさりげなくあるいい言葉を、多くの人に読んでもらいたいなという気持ちになりました。

    単行本化は2010年10月。
    映画化のキャスティングも合っていたらしいですね。

  • 使者(つなぐ)とは―
    それはたった一度だけ―、死んだ人と会わせてくれる案内人。
    生きている人が会いたいと望む、
    すでに死んでしまった人との再会を仲介する”使者”を表す言葉。
    映画「ツナグ」公式サイト より

    自分にとって大切な人、誰かにとって大切な人
    たった一度だけ、死んでしまった人に会えるとしたら誰に会いたいだろう.

    言いたいことを生きている間に言える割合てどのくらいなのだろう.
    死んでしまつていなくなってから気がつくことがどのくらい多いのだろう.
    生きている間に悔いのないように、そうは言っても本のように相手が思っていることが分かるわけではない.たとえ必要なことをすべて話したとしても伝わりきれない部分は残るわけで.でも、伝わるように努力をするべきなんだろうな.人間、すべてのことを見通すことができるわけではない.だからことばを使うのだけど、ことばがあるがゆえに捻じ曲がって伝わることもある.
    ツナグ、からは死者と生者のやり取りを通して、その間の溝を埋めているような印象を受けた.

    失ってからの時間、生きている人間は自分の頭の中にある死者とやりとりをする.こんなことを思っていたのでは?本当はこうだったのでは?ツナグ、はそれを確かめる機会があるものという設定.そんな機会があったなら、自分なら誰とどんな話をするだろう.

  • 新刊(続編)が出ると聞いて慌てて読んでみる。

    対象喪失と対象関係の再配置の物語だった。

    「生まれついての死刑囚」である人間にとって死は誰にでも平等に訪れる。

    大切な人である対象にも例外なく、平等に。

    しかし、死は時として前触れなく、行くものも残る者も、どちらにも十分な準備ができていないうちにやってくる事もある。

    その時に感じる対象喪失体験は残された者にとって深い体験となる事は多いし、当然でもある。

    死の受容、或いはモーニングワーク。

    否認、怒り、取引、抑うつ、そして受容。

    対象喪失では概ねこの4段階を経る。いずれの段階に費やす時間とエネルギーは均一ではなく、場合によってはある段階に何年も何十年も留まり、或いは受容へ至る事ができない事も多い。

    そして、喪失した対象が自己にとって重要であればあるほどに、時間とエネルギーが必要になる。

    構成が素晴らしいのは喪失した対象が徐々に身近で、かつ激しくなっていく点。

    「アイドルの心得」では他者。通りすがりでかつ、面識もほとんど無い、一方通行の好意を抱いた相手に対して。

    「長男の心得」では、初老を迎えた父親、家督を継いだ男性にとっての母。

    「親友の心得」は疾風怒濤の時期にある思春期女性にとっての親友。

    「待ち人の心得」ではプロポーズを経た後これから生活を共にしようと待ち望んだ夫にとっての妻。

    そして、「待ち人の心得」では。

    徐々に愛着対象が身近に、記憶も鮮やかに、喪失体験も激しいものへと移ってゆく。

    それでも死者にもう一度会うという体験を通じて、残された者は死を受け入れ、その体験を自己に取り込んでゆく。

    取り入れられることは驚嘆や尊敬、安心感や自己肯定感など暖かいものだけでなく、罪悪感と言った激しいものも含まれる。

    陰性の感情も陽性の感情も、混然一体となった感情ひとつひとつが激しい感情の集合体としてのコンプレックスは、ツナグによる体験によってそれぞれの関係性が星座のように繋がり、やがて残った自己が航海を続ける上で人生にとってのコンステレーションとなる。

    使者と書いてツナグと読む。ツナグのは今生きている人の過去と現在と未来という、自己の同一性だったのかもしれない。

    ここまですごい物語だったのに続編が出てしまう。

    しかし、すぐに読み始める前に少しだけ時間を置きたくなるのはいまこの物語を読んだ体験を次にツナグための時間がほしいからかもしれない。

  • 死んでしまった人に、生きているうちにたった1人だけ会えるとしたら。。。

    その仲介をしてくれる使者(ツナグ)連絡することが出来たなら。。。

    私は誰かに会うんだろうか。


    会いたい人はそれぞれだけど、物語の中で死者に会った4人のエピソード、共感できるものでした。

    止まったままの時間がまた動きだすような安心感。
    本当に死を受け入れなくてはならない喪失感。

    どちらだとしても、今を生きている人は、そっと背中を押されることになるのだと思いました。


    もし、この世に本当にツナグが存在し、電話番号を探し当てたとしたら、私は誰かと繋がる事が出来ると思うそれだけで、頑張っていける気がしました。。。

  • とてもいい話。映画化にもなって映画もみましたけど、やはり生きているものにとって死者とは何か、死者にとって生きてるものとは何かを考えさせられる作品。
    死者から生きてるものに会いたいと願えないのが悲しいところ。

  • 辻村深月さんの小説はこの本が初めてでした。たしか松坂桃李の主演で映画化したから買った気がする。平川雄一朗監督の作品でしたね。

    死者に会いに行くモノはほかにもありますが、会いに行くまでの流れや、主人公が他の人をたつないでいくうちに、段々と自分自身の過去に向き合っていくのは、胸を打つ。

    じぶんだったら、誰に会いたいだろう?

    読んだ人一人ひとりの胸に、その問が残るのであれば、この本はきっと名作なんだと思う。

    辻村深月作品は結局このあと読んでいない。昔学生からおすすめされた『凍りのクジラ』、読んでみようかな。

    • きのPさん
      感想失礼します。
      個人的には、「冷たい校舎の時は止まる」もオススメです。
      感想失礼します。
      個人的には、「冷たい校舎の時は止まる」もオススメです。
      2018/11/16
    • Koki Matsunoさん
      きのPさん
      返信遅れました(^_^;)デビュー作でしたっけ?恥ずかしながら未読でした…つぎ、読んでみますね!ありがとうございます
      きのPさん
      返信遅れました(^_^;)デビュー作でしたっけ?恥ずかしながら未読でした…つぎ、読んでみますね!ありがとうございます
      2018/11/20
  • いろんな立場の人の感情を考えさせられる本だった。
    死者との再会を望む者、再会を望まれる者、そしてそれをつなぐ者。

    再会を望む理由もそれぞれで、人生でただ一度だけ死者との再会が叶うという条件が、再会を望む心を際立たせる。

    最も尾を引いたエピソードは「親友の心得」。
    近しい人に対する嫉妬、自分の感情をうまく処理できない苦しさ、ちょっとしたすれ違いから溝が深まること、相手から目を背けてしまうこと、相手が気付いてないなら自分の間違いはうやむやにしてほしいと思うこと…、自分にも覚えがある。
    そしてこの主人公、嵐の場合はその嫉妬がある行動に繋がり、後の後悔に繋がっていく。
    死者である御園との再会は、嵐にとって最後の、本当に最後の、御園と向き合うチャンスだった。
    でも、向きあわなかったために、一生続くだろう後悔を背負うことになった。
    この話を通して刻々と変わる嵐の心情描写はとても生々しくリアル。
    もう彼女は私を親友とは思ってないだろう、という言葉が印象的だった。
    二度と会わないからといって、二人の間にある大切なことから逃げてはいけない。「大切なこと」が大切であるという判断を、相手に委ねてはいけない。そこに、その人の人間性がでる。

    でも、御園側に立てば。
    直接は嵐に何も告げず、最終的に後悔を背負わせた。
    自分が死んだ原因は嵐にはないと思われる言葉を残しながらも、嵐の行為を完全に許すことはなかった。
    だから、挽回がきかない段階になってから本当の自分の感情の片鱗を見せた。
    黒い、そして怖い…。
    直接、自分の感情をあらわにしないところに、御園の闇を感じた。
    でも死を味わったらそういった感情が湧いても不思議じゃないのかもしれない。


    そして、死者は何のために存在するのか、という問いもまた、考えさせられた。
    自分が生者の場合と死者の場合で答は違ってくるし、自分が死者の場合は死んだ理由によっても違ってくるだろう。

    うーん。
    時間をおいて再読したい。

  • 直木賞受賞の短編集は今ひとつだったけど、本作は傑作

    死者は生者のためにある
    伝えたいものがしっかりとあって、それを物語にしたときの小説としての外形もものすごく上手くて面白い
    傑作としか言いようがない

    連作短編として読めば4作目が頂点でぐっときて、最後は締め、これでも十分面白い小説に仕上がったと思う
    しかし締めの最終章がとんでもない
    ミステリーじゃないのにミステリの種明かし的なドンデン返しが巧妙に仕掛けられていてページをめくる手が止められない
    しかし、ある意味きれいに収束していてミステリならすっきり終われるのに、本作はすっきりできない
    重たいテーマが読後もずっしりと読み手にのしかかるから

    映画化されてるようだけど見たいような見たくないような
    繰り返し書くけど傑作です

  • 一生に一度しかチャンスのない、死者との一晩限りの対面。それを仲介する使者-ツナグ-。
    物語は、死んだ人と会うまでの想いや葛藤を中心に展開されていきます。

    読んだ後は、悲しみの中にも清々しさの残る話ばかりでした。

    自分だったら、一生に一度を決断した人たちのようにできるかという反省と共に、こんな人になりたいと思いました。

  • 泣けると話題だったので読んだ。
    泣きはしなかったが、喉の奥が熱い。。

    構成も良く、使者の心得を読んでる時は、前章を読み返したくなった。
    そうだったんだ、なるほどと。

    歩美の両親の死は、鏡の掟を聞いた時に分かってしまったが、とても良い終わり方だったと思う。

    それでも両親には会って欲しかったな。。。
    そしたら泣いてたと思う。
    それをうまくまとめるのはむずかしそうだけど。

    また数年経ったら読みたい。

  • 一夜限り、死んだ人間と生きた人間を会わせる、その仲介役が使者(ツナグ)。仲介ルールは、死んだ者、生きた者のどちらにとっても会うことができる機会は一度きりということ(一人の死者に対して会うことができる人間は一人だけ/一人の生者が死者に会えるのも一度だけ)。そして、死者も依頼人に会いたがっていること(死者に拒否権があること)、死者からは依頼できないこと(死者は常に待つ側)、という設定。

    本書は、歩美が依頼人を死者に会わせる四つのエピソード(「アイドルの心得」、「長男の心得」、「親友の心得」、「待ち人の心得」)と、歩美が使者を引き受ける経緯を綴った「使者の心得」の5篇収録。

    「待ち人の心得」が良かったな。

  • ずううっと気になっていたけれど手に取っていなかった本。続編出版を機に読む。
    辻村さんの作品は、読むのに力がいるんだ。
    日常が十分に大変な事があるから、物語はズバッとハッピーエンドが好き。
    でも、辻村さんの作品には現実的な引っかかりや痛みがあって、そこまでストレートに読者を甘やかしてくれない。
    そういうこともあって、なかなか手に取らなかった作家さんだが、やっぱりリーダビリティは圧倒的だと思う。連作短編の中でも、前の話のアッという部分が後の話で明かされることもあり、ぐいぐい読めた。
    死者と生者を繋ぐというと、葛藤を抱えた生者の気持ちが軽くなって…と口当たりよく終わらせられそうだけど、辻村さんはそれを許さない。
    軽くなった人もいる。気持ちよく空に還った人もいる。でも、それだけじゃない。
    嵐と御園の話は胸が痛すぎて、もちろん嵐に色々と問題があるのも事実なんだけど、それでも生きていかねばならない彼女に背負わされた悔いがずっと苦しくて読後も一番心に残っている。
    アユミが使者になるまでの物語。続編ではどうなっているのだろう。
    映画のCMの印象がつよくて、今より少し若い松坂桃李さんのイメージでアユミを思い浮かべながら読んだ。続編も読みたい。パワーいるけど。

  • 人生で一度きり
    死者側も一度きり
    交渉が成立すれば満月の日に一夜だけ死者にあわせてくれるツナグ。

    私なら、どのタイミングで、どの人に逢いたいだろう?

    今なら
    10年後なら
    死者側なら

    ツナグはきっと、必要な人に必要なタイミングで現れてくれるんだろうけど。

    などと考えながら、色んな人のツナグとの物語を読みつつ、その意味を考えつつ。
    会うことがいいことなのか、そーでもないのか。

    とりあえず、今できることは後悔しないようにしておきたいと思う、という記録。

  • 今私がハマりにハマっている辻村深月さんの小説ということで読んでみた。

    一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者(ツナグ)」。

    私にはまだ身近な存在を亡くした経験はないのだが、いずれもしその時が来ても、私は使者を使いたくない。

    使者に頼らずとも後悔しないような別れを、これから「死者」となりゆくであろう祖父母や両親としたい。

    しかし、そうは言っても私自身が祖父母や両親より先に死者となることも無いとは言い切れないだろう。

    「人はいつ死ぬかわからない」というこの世界の根本原理とも言えることを、日々意識しながら生きている人は果たしてどれだけいるだろうか。

    この文章を読んでいるあなたの息子さんや娘さんの方が先に、ということもあるのだ。

    だからこそ、常日頃から周りの人間への感謝や謝罪を言葉にして、後悔のないような別れをしたい。

    間違っても、満月の夜の一晩にすがる、というようなマネは絶対にあってはならないのだ。


    【追記】
    それにしても、本当は死者との別れを書くとなると、どうしても読んでるこっちが恥ずかしくなるような青臭い文章になることがある。

    だが、辻村さんはその一歩手前のギリギリまで攻めて、見事に悲哀を表現している。

    あっぱれー

  • 死者を生者と合わせる役割を持つ使者。誰もが一度は考える、亡くなった人に会いたい、というテーマを丁寧に描いてるな、と思った。ミステリ要素もあるかな。短編の編成だが、全編読むことで繋がりが見つかった。これもツナグ、みたいな感じかしら。あと、主人公が映画では松坂桃李が演じているのでイメージもしやすかった。配役が今思うと当たり役だったのでは。とにかく面白かった。主人公が使者として今後どう動くのかも気になる終わり方だった。いつか映画版も見たい。

  • 辻村さんの作品は長編ってイメージだったけど今回の短編集的なものも読みやすくて良かった。
    いつも思うけど辻村さんて人の心の中にあるモヤモヤを表現するのがとても上手いと思う。特に思春期のなんとも言葉に出来ないモヤモヤ感。
    「あーそうなんだよ。俺が抱えてたあの気持ちってこういうことなんだよ。」て感じであの頃の気持ちを代弁してくれてる感じ。
    だから色々共感出来て物語に引き込まれるのかなぁと思った。
    今回の物語を読んで人が亡くなるって本当に辛いけどだからこそ後悔しないように毎日過ごさなきゃいけないんだなって思った。

  • 「一生に一度だけ、死んだ人と会える」そんな機会が与えられたら私だったらどうするかな。同年代の演劇部の親友の話は衝撃的で重たくて切なくて、しばらく引きずりました。死んでしまってからでは取り返しがつかないから、後悔のないように生きていこうと、高校生ながら思った記憶があります。もっと年を重ねてからまた読んでみよう。会いたい人は、まだ決められません。

  • 死者と生者を会わせる「使者」という謎の職業の少年と、もう一度故人に会いたい人間、呼ばれる側の死者達。
    ファンタジー要素の強い大衆文学ですが考えさせられる部分は多かったです。
    自分自身、身内に自殺者がいるので尚更
    「もう一度会えたら何故死んでしまったのか問いたいか?」
    「伝え損ねた言葉はあるのか?」
    と思わず考えてしまいました。
    こればかりは賛否両論と思いますが私は死者には会いたいとは思えなかったので、この評価にしました。
    会って伝えたい言葉、聞きたい話、消化したい気持ち、
    死者に対して思うことは沢山ありますが、それでも私は「もしも」を信じずに今いる生者と向き合いたいと思いました。
    内容的には、人を想う気持ちが「死者」という職業を繋いでいくことが主人公の両親の話に顕著に現れていて、
    生きている側のエゴだけではない愛を感じました。

  • 普通ならば、絶対的に会えないであろう死者、しかもたった一人、自分が最も会いたい「死者との再会」を生前の姿で可能にすることで、良心の呵責に耐えないを魂を救済するという一面を訴えかけた物語かと思いました。「○○の心得」という5つのエピソードから成り立っていますが、最後のエピソード、「使者(=ツナグ)の心得」があったことで生者と死者をつなぐ人も生身の人間であり、こちらサイドの人であったことがわかり、そこが良かったと思います。
    自分だったら、一度きりのチャンス、あの世の誰に会いたいだろうか、はたまた誰が会う依頼をしてくれるだろうか??と考えてしまう時点でこのお話は空言話ではないのでしょうね。誰にでも共感し得て、作者の意図も伝わる、読みやすい作品だと思いました。

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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