ツナグ (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101388816

感想・レビュー・書評

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  • 辻村氏の作品は初。聞いたことのあるタイトルと思い購入。ジャンルはファンタジーなのだろうか。
    都市伝説ともなっている「ツナグ」は死者に会えることを仲立してくれる使者。死者にとっても、会いたいという人にとってもただ一度だけの面会。もし本当だとしたら誰に使うか悩むだろう。
    最初の章はアイドルに会いたい一ファン。無理矢理の設定かとも思ったのだが、ちゃんとお互いに理由があった。長男と母親の章も、最後の日記で長男の長年の疑問が解決する。親友同士の結果は残酷だった。会いたい理由に黒い理由があり、それに対してのお返しも黒かった。
    同棲相手との面会は切なかった。7年間の消息不明だった真相は、本当は前向きだったことに救われる。最後は使者の交代の章だったが、全ての章が経緯も含めて繋がった。どうやって死者を呼び出すかや何故無料なのかも分かるし、何より使者を引き継ぐ少年の葛藤に引き込まれる。少年の両親の死の真相も解明できてスッキリした。

  • 突飛な話ではあるが、死んだ人に会いたいと思う人は大勢いるだろう。それが叶うのなら…
    唯一、希望が見えなかった嵐にも最後の章で顔を上げる兆しを用意していた。
    私には待ち人の心得が一番心に刺さった。

  • 会社の方から、ツナグの続編を頂いた。

    あれ?そういえば「ツナグ」を読んでいなかった。
    何年か前、一度購入して読み始めたが、自分の好みではなかった為
    数ページ読んで諦め、売ってしまっていた(-_-;)

    仕方ないので、古本屋さんで購入し、再びチャレンジ。

    ツナグは、生きている人間を、既に他界した人間に合わせることのできる使者。
    生きている間に会えるのは1度だけ。
    死んでいる人間も会えるのはたった1度だけ。

    この世の者から、あの世の者へは交渉が出来るが、死者からこの世の者に対して
    交渉することはできない。

    最初の依頼者は突然亡くなったアイドルに会いたいという女性。
    次の依頼は、癌で母親を亡くした長男。

    この2作は、どうもなかなか本の中に入り込めず、
    (自分の好みはミステリの為)もがいていたのだが、

    3作目は喧嘩したまま亡くなった親友に会いたいという高校生。
    この作品はゾクゾクするほど良かった。

    4作目は、突然婚約者が姿を消す。まさかとは思うが、
    ツナグに依頼する男性の話。
    この作品もとても悲しいのに、どこかほっこりさせられる良い作品。

    最後はツナグ本人の物語。

    物語が進んでいけばいくほど、物語の世界に入り込むことが出来る。
    中高生でも読み易い良書ではないかと思う。

  • 「一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれる」
    そんな使者「ツナグ」を基に構成された4編と。
    使者の使命と4編のサイドストーリーを綴った物語。
    ファンタジーとミステリーが融合された話は、苦く、切なく、痛く、そして温かく。
    心に響くものがありました。
    自分的には「待ち人の心得」が特に心に残ったかな。
    続編もあるようなのでこちらも読んでみたいと思います。

  • 一生に一度だけの死者との再会の橋渡しを担う「使者」。「使者」と書いてツナグと読む。

    読み始めたとき、亡くなった人と会えるっていいなぁと思いながら、私なら誰と会いたいだろうと、そんな軽い気持ちで読んでいた。
    物語が進むにつれ、本当に亡くなった人たちと会っていいのか?会いたいと思うのか?納得できる再会になるのか?など、この自然の原理に反する行為に、何かもっと他の意味を感じ取るべきではないかと、想いを巡らせた。

    本作は、突然死したアイドルとそのファンとの再会、年老いて病死した母と家業を引き継いだ息子との再会、事故死した親友とその親友の女子高生との再会、失踪した婚約者と会社員との再会、ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれが抱える思いを持ち共に過ごす一夜の邂逅は、それぞれにどのような未来の軌跡を提示するのであろか。

    私がもし再開するなら誰と会いたいか、そしてあってどうするのか、もし私が亡くなった時に誰に会いたいと思うのか、なぜ会いたいと思うのか、会ったあと私はどうするのかとら考える時、なかなか手放しに喜び、会いたいと言えない自分を感じた。

    アイドルの心得
    亡くなったアイドル・水城サヲリに会おうとする冴えないOLの平瀬愛美の再会の物語。

    「心が風邪をひく」って、心が病んでいるとおなじ表現だと思うのだが、もっと具体的で心に響いてきた言葉である。生前、サヲリも心が風邪をひいていたからこそ、愛美の切迫した想いを感じ取ったのだと分かる。
    結果的には、サヲリとの再会は愛美の今後の自分の道を示すことになる。

    長男の心得
    癌で亡くなった母・畠田ツルからの教えで、ツナグを知り、母と会う息子・畠田靖彦の物語。

    母に癌告知をすべきであったのかを確かめたく、母と再開する。孫や親戚への告知も靖彦の判断でしなったことを責められ、自分が下した判断を良し、悪しではなく、自分が母に告知しなかったことを受け入れて欲しくて会ったのだと考えると、靖彦の傲慢さと弱さのような気がしてならなかった。
    後に記載されている、いわゆる告白により自分の心の中の悩みを吐き出しているとしか思えなかった。

    親友の心得
    亡くなった親友・御園奈津に会って、自分の行為を恨んでいるかを知りたかった嵐美砂の物語。

    がんじがらめの状態を表す「黒く、タイヤやゴムを燃やした時に出る濃い煙のように、もやもやと、ぐるぐると私の身体を巡る。自分がその煙に呑まれたのか、それとも煙は私の内側から吹き出ているのか、境界が曖昧になる。」が、なんとも身動きが取れない心理を表しているようで想像して恐ろしく感じた。そして、この物語こそ、死者と再開することを考えさせられる物語であった。

    「懺悔する、告白するという行為は、随分やった側に虫のいい考え方だ。」自分の中の悩みを吐き出して、懺悔し、告白することでそれを正当化してしまう。嵐もまた、御園がわざと事故が起きるようにしたことを知っているのか、知っていれば謝って許してもらおう、そうすれば、今のこの苦しい状態から解き放たれると言う気持ちで再会をした。でも、御園の気持ちを確かめる勇気もなく、結局、再開が終了した後に歩美から「道は凍ってなかったよ」という伝言を伝えられた瞬間、一方通行な残酷さを感じる。つまり、「道は凍っていなかったけど、あなたの殺意は知ってたよ。」ということだ。

    待ち人の心得
    行方不明の婚約者・日向キラリの安否を確かめるためにツナグに再会を依頼する会社員・土谷功一の物語。

    「夫が妻を殺せる年数」つまりは、「結婚相手が失踪した場合、殺された方は七年経てば死亡手続きが取れる。法的に正式に殺して、新しい生活を始めることができるようになってるんだ。」と大橋は土谷を思ってこの言葉を伝えている。それでも心変わらず待ち続けるなんて不可能だとこの言葉が発せられた時に感じた。なぜならこの言葉は、土谷の気持ちに今後、居座ることになる。だから、土谷はツナグの存在を頼ることになるのだ。そして、そのことが気持ちの整理という点ではこれも生者の側に立った再会とはなるが、意味のある再会であったと思える。

    また、再会当日の雨が、土谷の気持ちを表現していることに、寂しさと虚しさを感じた。「あいにくの雨だった。満月の夜と指定されたにもかかわらず、分厚い煙のような雲が何層にも重なった空には、月どころか星の姿も見えなかった。」「黒く塗られたアスファルトの道が鏡のように光って、道行く人の姿と色とりどりの傘の色を反射している。」


    使者の心得
    死者として、歩美が祖母から力を引き継ぐ。その過程で、歩美の両親の死の理由が明らかになる。

    青銅の鏡の展開が本当はこの物語のテーマではないかと思えるくらいうまく繋がって、この作品がなぜ面白いかというのが、解った気がした。歩美な両親が二人してなくなり、これが青銅のの持つ力であり、これを歩美が解き明かしていくことに、歩美の使者としての運命のような感覚を読者に植え付けている。また、展開もさることながら、そこに使者して生きていくことの辛さも感じられ、本作の読者に与える想像の大きさと深さが、読んでいて心地よかった。

  • 新年の初本がこの作品で良かったと思えました。

    最初は死者と生者をつなぐ不思議な物語…くらいにしか思ってなかったけれど…

    いやいや、もっともっと深〜い作品です。

    自分だったら誰に会うのだろう、一度限りしか使えない事柄に、どうやって答えを出すのだろう。読み終えた方は絶対に考えるはず。

    と、ただし死への考え方、死生観という物か?も考えずにいられない。

    さりとて生きることへのメッセージ性も多分に含まれていて、色々と考えさせられる作品です。

    この作品に込められた全ての事を含め、人生を前向きに生きて行こうと考えさせられる作品でした。

  • 死者との再会を叶えてくれる「使者」
    私は誰に会いたいだろう?迷うことなく私は保育園からの幼なじみ良征くんに会いたい。高校の時は毎日ように一緒に帰ったなぁ…なつかしい…でもどうした?なんで?最後に会ってから25年。もう会えないけど私の一番の友人は今でも良征くんだから、いつか会う日そっちに行く日がきたら変わらず仲良くしてくれ!

    そんな思いにさせてくれた一冊でした。

  • 私にとって、この世を去ったけれども
    会いたい人といったら、父親しか
    いない。
    「ねぇ、昔のアルバム、どこにしまったの?引っ越しの時、洋間か和室の押し入れに入れちゃったの?」
    ・・・聞きたい。おかげで、私の幼少時代
    学生の頃のぽっちゃり笑顔を、息子と
    ダンナは見たことがない。

    でも、たった1回の再会を、私が使ってしまっていいのだろうか?
    弟はどうだろう?
    母親は健在だが 、今私が父親に
    会ってしまったら、母親は会えない。
    私は、この世を去ったら息子に会いたく
    なるかもしれない。
    でも、それは未来のお嫁さん に申し訳ない。


    これは、お話だが考えずにはいられなかった。
    生きている間、もしくは死んでしまってから1度だけの再会。

    辻村深月さん、この次があるのなら、
    設定を少しだけ
    変えて頂けませんか?

  • 随分前に映画は観たことあるんだけど。。映画も本も良い!!内容が映画とほぼ同じだったので読んでいて新鮮味はなかったんだけど。。楽しかった。優しい気持ちになる。本当に使者がいるなら私は父に会いに行きたいかな。。それとも使わずにとっておくかな。。一回しかダメって悩むよね。それぞれのストーリーが感情移入しやすく素敵な本だと思う。逢いたいけど逢うのが怖いそんな人間らしい感情がよく描かれてた。

  • 有名どころから読んでハードルが上がってる?
    ノンノン…辻村深月は辻村深月だった
    登場人物の細やかな目線仕草で伝わってくる状況、珍しくこの感じの終わり方かと思ってもまだ続きがあったり、ラストそう持ってくかーすごいだった
    重たい任務を任された歩美も透明でいてしっかり答えをだす姿が頼もしかった

    好きなフレーズ引用
    光には光の通り道があるのだと
    生者のためのものでしかなくとも残された者には他人の死を背負う義務もまたある

  • 2度目です。
    今回はDVDを鑑賞してから、読んでみました。

    よくできてる。
    辻村深月先生、さすがです。
    依頼者と仲介者、両方の心の動きを
    書いてくれてるところがおもしろいんだなぁ。

    DVDの役者さん達も よく演じてたなぁ。
    オリジナルを誠実に映画にしていて、
    まさに win-win の出来でした。

  • 亡くなってからしまった人と一度だけ会えるなら自分は誰と会うだろう。そして、何を話すだろう。何を聞くだろう。とても興味深かった。
    松坂桃李、樹木希林主演の映画も観ましたが、とても良かった。

  • 死者と生者との邂逅を仲介する使者「ツナグ」。

    「親友の心得」「使者の心得」で描かれた確執や葛藤がただの綺麗事だけの感動小説にとどまらない深みを出していて考えさせられた。

  • 最近、本屋でたくさん著書を見掛けるのだが、初めて読む作家だ。連作短編かと思ったのだが、一つの長編として完成された作品だった。死者との再会という難しいテーマなのだが、生者と死者の両者の人生が交錯する瞬間が非常に良い。

  • 死者と生者を結ぶツナグ。
    さまざな想いと縁で、死者と会うことが、よかったことなのか、ツナグの視点からも最後に描かれていてよかった。
    待ち人の心得が、涙でした。

  • 続編を読み、読んだ記憶が残ってなかったのでここに戻ってきた。

    どの話もじんわりする、秋にぴったりの話だった。

    嵐と御園の話はすごくわかるような気がした。
    親友なんだけど、どこかで相手を下に見てしまう思春期の頃。でも相手の方が友達や先輩、年配者のウケが良さそうに見える。
    そして自分が自信を持っている分野に足を踏み入れてくる。嫉妬、焦り、怒り、でもそれを外に見せられない。
    御園の死が自分に起因するのではないかという恐怖、再会した時の安堵、別れた後の衝撃、展開が激しくて自分なら病んでしまいそう!
    これを読んだうえで、続編に出てくる嵐を読んだ方がよかったな。

    そしてばあちゃん役はやはり樹木希林さんがぴったりだなと思った。

  • 現実ではありえないが、いろんな意味で考えさせられる素敵な本です。

    依頼者、死者、使者...同じ景色でも見る立場で景色はこんなにも変わるのですね。


    説明
    内容紹介
    死者は、残された生者のためにいるのだ。

    一度だけ、逝った人との再会を叶えてくれるとしたら、何を伝えますか――。死者と生者の邂逅がもたらす奇跡。心に染み入る感動の連作長編小説。

    内容(「BOOK」データベースより)
    一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。突然死したアイドルが心の支えだったOL、年老いた母に癌告知出来なかった頑固な息子、親友に抱いた嫉妬心に苛まれる女子高生、失踪した婚約者を待ち続ける会社員…ツナグの仲介のもと再会した生者と死者。それぞれの想いをかかえた一夜の邂逅は、何をもたらすのだろうか。心の隅々に染み入る感動の連作長編小説。

  • ボロ泣きした。
    会いたい死者に会って、全部の話しがいい結末だったわけじゃない。
    この手の話って全部が感動ストーリーなんだろうと思ってただけに、考えさせられる一話だった。
    でもその話もちゃんと【ツナグ】1冊に必要な話であって、素晴らしい構成だったと思う。

    最後のツナグ目線での話しが1番よかった。
    この本は、単に泣ける感動的な1冊の本じゃなくて、【死者と会うことができる】そんな現実には有り得ない設定なのにすごく考えさせられた本だった。
    それは私にももう会えないけど会いたい人がいるからなのかはわからないけど…

    少しでも気になった方にはぜひ読んでみてほしい1冊

  • 何のために「ツナグ」のか。
    傍観者のままでは、出せない“こたえ”。

    一生に一度だけ、死者との再会の機会をくれる「ツナグ(使者)」の物語。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    映画「ツナグ」を見たことがありましたが、当時はあまり本を読まない時期だったので、原作が辻村深月さんだと知りませんでした。
    ですが、主人公・歩美役の松坂桃李さんと、祖母役の樹木希林さん、そして桐谷美玲さんが演じていた役は、いまでも覚えています。

    映画は映画で良かったですが、小説はより深く、じっくりと、その世界を味わうことができました。
    「ツナグ」は、祖母からツナグの能力を受けつぐ歩美の話でもあり、死者と生者の一晩の再会の話でもあります。
    「アイドルの心得」「長男の心得」のあたりは、今ひとつ物語がしっくりこなかったものの、「親友の心得」「待ち人の心得」で、一気に「ツナグ」の世界にとりこまれてしまいました。

    死者と向き合えたことで、次の一歩を踏み出せた人もいる。
    一方で、自分の保身のためだけにその機会をつかい、一生なくならない後悔を抱えてしまった人もいる。
    すべての再会が、よいものになるとは限らない。

    結局「ツナグ」という能力は、すべての人の後悔を無くしたり、苦しみから救う能力ではないのだ、と思いました。
    「ツナグ」という能力がある世界でも、ない世界でも、人々の中から後悔が消えきることはありません。

    「ツナグ」のいない世界でしか、わたしたちは生きられませんが、もし「ツナグ」がいる世界だったとしても、わたしはきっと、誰とも会わないだろうな…と思いました。

  • 死者と生者をつなぐ使者「ツナグ」
    生きている人間が望み、死者が受け入れれば、一晩だけ会って普通に話すことができるという。
    死んだ人と一生に一度、一人だけと会うことができるとしたら‥?

    「アイドルの心得」
    38歳で急死したタレント・サヲリに会いたいと願う女性・平瀬。
    酔って過呼吸に陥っていたところを助けられ、以来ファンになっていた。
    「世の中はみんなに平等に不公平なんだよ」と去って行ったアイドル。
    一ファンに過ぎない自分に会ってもらえるとは思わなかったのだが‥
    死んだときには大騒動になったが、4ヶ月たっても会いたいといってくる人は他にいなかったと話す彼女。
    生きる望みを失っていた平瀬に、サヲリは一言告げたかったのだ‥

    地味すぎて華やかな家族からも疎まれ、気力を失っていた平瀬。
    会社でも浮いていて、同僚に「いつも暗くて怖い本を読んでいる、そんなの読んでると呪われるんじゃない」と言われるのが可笑しい。どんなんや~?
    ミステリかホラー??

    「長男の心得」
    店を継いだ長男・畠田靖彦は口が悪く、周りとちょっとした衝突を起こしてばかりいる中年男。
    ツナグの存在を教えてくれた亡き母に聞きたいことがあるとやってきたのだが‥
    不器用な困ったおじさんの内心抱えていた後悔は‥?

    「親友の心得」
    事故死した親友・御園を死なせたのは自分だと苦しむ嵐美砂。
    高校の演技部で、いつも自分を立ててくれていた優しい御園に裏切られたと感じ、嫉妬を抑えきれなくなって‥
    女子高校生の微妙な張り合いが緊迫して、痛いほど。
    すれ違いが起きた原因、結局ちゃんと話せなかったいきさつとは。

    「待ち人の心得」
    突然失踪した恋人を待って7年になる土屋。
    知り合ったのも偶然で、何も知らないことに後から気づいた。
    日向キラリと名乗った彼女だが、偽名だったのだろうと思う。
    騙されたんだよと言われるが‥
    (土屋の抱えるものすごい肩凝りに思わず共感~パソコンが普及してから増えた症状だそう。結局、それなのかなあ‥いやこの時期に強くなったのはストレスってことですか)

    「使者の心得」
    ツナグという存在が高校生の男の子の姿をしている‥
    という最初は印象でしたが、家系に伝わる仕事で、それを託されたばかりだったとは。
    思いがけない役割と、意外に個人的な関わりに戸惑う歩美。
    そして‥

    よくまとまっている印象でした。
    暗いものを突きつけてくる部分もありますが、人の関わり方や優しいまなざしに励まされる部分もあり、最後はあたたかなものが胸に残ります。
    所々にさりげなくあるいい言葉を、多くの人に読んでもらいたいなという気持ちになりました。

    単行本化は2010年10月。
    映画化のキャスティングも合っていたらしいですね。

著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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