盲目的な恋と友情 (新潮文庫)

著者 : 辻村深月
  • 新潮社 (2017年1月28日発売)
3.54
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  • 本棚登録 :996
  • レビュー :109
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101388823

作品紹介・あらすじ

タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花(いちのせらんか)は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近(しげみほしちか)が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵(るりえ)の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が――。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • ほぼ同時系列のお話しを、盲目的な「恋」と「友情」の2つのパートで描いた今作。

    大好きな作家さんでも文庫化してからじゃないと買わないんで、出版順に読めてはいないんだけど、辻村さんがあまりに表現うまくて恐くなるくらいの女の世界、女の友情が書かれてる作品で、あーまたコレ系かぁ…。なんて思いながら読みました。

    が、読んでみたらやっぱうまいんだよなぁ。
    最近一冊を一気読みすることなかったのに、これは一気読みしてしまった。野球のCSやってるというのに、読みたい衝動の方が勝つなんて!(笑)

    「ふちなしのかがみ」や「太陽の坐る場所」はうまいけどなんか好きになれず、心に残らない作品で、今作「盲目的な恋と友情」のあらすじ読んだときにこの2作品と同じ傾向かな…と思ってなかなか手がでなかったんですが、いや、おみごと、今作は読み終わってからも余韻にひたり、所々何回も読み返してしまいましたよ❗

    辻村さんはほんとラストの持って行き方が秀逸で、毎回これ以上はないだろう…と思わされるし、同じようなテーマでもさらに予想を裏切ってきて、ただただ感心する。

    ある程度先は読めるんだけど、それでもきちんと裏切ってくれる、というか…。
    いや、これは面白かったです。

    最後まで同時系列で「恋」と「友情」を描いてましたが、恋が終わってからも友情は続いていたのに、ラストで友情も終わる予感?余韻?を残してend…だったのでめちゃめちゃ続きが気になります。


    あと、関係ないけど最後の解説が非常にうまくて共感しまくりで、読み終わってから誰が書いたんだ?と見返してみたら、山本文緒さんでした。
    有名だから名前も代表作品名もすぐ出てくるけど、実際作品読んだことないんで、これきっかけに、山本作品読んでみよう、と思わせる文章でした。

  • タカラジェンヌの母をもつ一瀬蘭花は自身の美貌に無自覚で、恋もまだ知らなかった。だが、大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近が、彼女の人生を一変させる。茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。五年間の激しい恋の衝撃的な終焉。蘭花の友人・留利絵の目からその歳月を見つめたとき、また別の真実が…。男女の、そして女友達の妄執を描き切る長編。

  • 帯は唯川恵、島本理生、解説は山本文緒。
    豪華すぎです。苦笑
    最近「名前探しの放課後 上・下」を読み、
    通勤バッグには「僕のメジャースプーン」が入ってます。
    たまたま休日になに読もうかと手に取った本作。

    数時間で読みきれました。
    だけど…読んだあとの感じが…。

    美しい蘭花の視点から描く「恋」、
    コンプレックスが多く自意識の高い留利絵の視点から描く「友情」

    嫉妬や執着やコンプレックスや自意識や、
    ほんと日常の言葉にできないことをさらっと表現されています。
    淡々と粛々と物語は進みます。

    最近、私も友だちと疎遠になってしまったりしたけど。
    なんだろう。
    どこまでも近づけない感覚や、
    だけど近づきすぎてほしくない感覚、
    うすい喪失感、渇望。
    ドロドロしてそうに思えるけど、
    本当はそうした白々とした欲望みたいなのが。
    どこまでいっても、どこにいっても満足できない。
    そんなことを読み終わったあとに考えました。

    解説の山本さんが美波に注目してました。
    私は美波の視点での物語も読んでみたいと思っています。
    蘭花や留利絵をどう見ていたんだろう。
    彼女には苦悩や苦しみはあったのかな。

    すごくあっさりした文章なのに、
    こうしてレビューを書き始めると止まらない。

    辻村さんの作品はやっぱり好きだ。

  • 『君は誰からも執着されたことがないんだろう。』たしか茂実さんの言葉だ。なぜか1番刺さった言葉。最初の人は特別な人。好きかどうかじゃない、特別な人なのだ。やめられない、別れられない。同じように、友情と書かれた女同士も、るりえにしてみれば恋であり憧れ。執着だった。見返りを求めてしまうことが悲しみのはじまり。。自分の存在価値を図ろうとする、人に期待してしまう、、全部重かった。

  • 蘭花、留利絵、美波。いまのわたしにはわからなかったけど、もしかしたら菜々子にも。
    登場する女性3人ともにすごく共感する部分があって、同じくらい「ここまで盲目的になりたくない」って部分がある。

    蘭花は恋に盲目的で、名前で出てくるのは普段呼んでる部分だけ。茂実星近以外は。
    それは家柄とかを気にしない大らかさでもあるし、興味をもってないとも言える。
    対照に留利絵は、良くも悪くも相手を強烈に意識するから、苗字に含まれる”家柄”も読み取ろうとしてる。
    二人とも、「自分は特別な存在」でありたくて、その度合いが「現実でここまで意識してたらやばいでしょ笑」ってとこを超えてるところが、共感できるとこであり、共感したくないとこ。

    美波は軽やかに見えるし、こうあったらいいなあ、わたしはこのタイプだなあと思ったけれど、こーゆう生き方は留利絵のような人をものすごく傷つけてるんだなって気がついた。
    留利絵が気にしすぎで、ちょっと病的、って言うのは簡単だけど、美波の軽やかさは、軽薄さ、無神経さでもあるなって気づいた。

    読後感は決して良くないし、おもしろいよ!って薦めたい内容ではないけど、久しぶりにのめり込んで読んだ、いい小説でした。

  • 彼女は春の嵐だった。突然咲いて乱れて散って枯れた、一輪の花。盲目的な恋に狂っていたのは彼女ではなくて私の方だったのかもしれません。女同士の友情も、どこか恋に似ている。綺麗な自分が可愛いだけのあの女も、声が大きいだけの下品なあの女も、影でネチネチ言ってるあの女も、結局自分のことしか見えていない。自分が一番幸せで自分が誰よりも悲劇のヒロイン。友情が何ですって?それどころじゃないのよ、こっちは恋愛で一杯一杯。親友だなんて都合の良い被せ文句。ねぇ、そんな友情に意味なんてあるの?私を壊して落窪ませていくだけの恋。ねぇ、そんな恋愛に全てをかける意味があるの?だって...美しいんだもの。

  • 辻村深月さんの作品は少し久しぶりだったのですが、今回も一気に読んでしまいました。
    読んでいるときは、怖くて読むのをやめたいと思うくらい追い詰められるようなスピード感と世界観が広がっていたのですが、真実が知りたくて読む手が止まりませんでした。
    蘭花の恋、瑠璃絵の友情、
    どちらも愛というよりも依存とか執着で、
    この人が自分を必要としてくれているから、
    まだ愛していてくれるから、
    という自分自身を安心させる1つの物でしかないんだなと感じて、それを知れば知るほど女の世界も恋というものも自分自身を変えてしまうものなんだなと思いました。
    そして、最後の衝撃的な真実。
    辻村深月さんの作品では珍しくバッドエンドで、
    救いようのない終わり方に驚きでした…
    「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」のような
    女の世界があったけれど、
    これはただただ救いようのない世界で。
    蘭花も瑠璃絵も茂実も
    どうしようもない人たちで、
    考えていることが理解できないところもあったけれど、なぜかわかるところもあって。
    面白かったです。

  • 辻村さんの作品の中では珍しい救いのないエンディング。衝撃的な内容。でもほんとうまい。同じ内容を同じ時間軸で対照的な2人が一人称で語るストーリーの二本立て。あっと言う間に読まされてしまいました。映像化されそう。

  • 「はぁぁさすが辻村深月さんだ!」という作品だった。辻村深月さんの本の感想を書くたびに書いている気がするけれど、本当に心情描写がうまくて、女の世界のリアル感がすごい。女の友情は怖い。
    そして、今回はそれと並行して恋の描写もバッチリ。まさに盲目的な恋だった。好きな人に対する愛が執着に変わる。でも、蘭花の恋する気持ちはちょっとわかる。
    恋も執着になっていたけど、瑠璃絵の友情というか憧れというか…それも1つの執着。見返りを求めてしまうのが人間の性。自分の中の良くない感情を思い起こすような作品だった。恋に友情にサスペンス。とても重かったけど、一瞬で読んでしまった。

  • 我を忘れて恋愛にのめり込んだ時の怖さ、女同士の友情のドロドロした部分。それにミステリ要素が加わった一作。
    読んでいて明るい気分にはけしてなれない作品。違和感と、複雑な感情と。そういう気分を楽しむためにある、と言ってもいいかもしれない。

    タカラジェンヌの母を持つ一瀬蘭花は自身の美貌に無自覚で、大学に入るまで恋も知らなかった。しかし大学のオーケストラに指揮者として迎えられた茂実星近が、蘭花の人生を一変させる。
    茂実との恋愛に溺れる蘭花だったが、やがて彼の裏切りを知る。
    茂実と蘭花の激しい恋と衝撃的な終焉。その歳月を蘭花の友人・留利絵が見つめた時、また別の真実が見え始める。

    様々なかたちの“嫉妬”が存在する物語だったように思う。
    友人の美貌や才能に対する嫉妬、好きな男を友人にとられたことに対する嫉妬、というそこそこ分かりやすい感情の中に、女同士の友人関係における嫉妬(親友だと思っている女友達が他の友人と仲良くしていることに対する嫉妬など)とりわけ学生時代にありがちな、複雑なかたちの嫉妬も紛れ込んでいる。
    試したり、妨害したり、図り合ったり。
    そういうドロドロした感情を持たないのがこの小説の中心人物の蘭花で、心が純粋すぎて浮世離れしている感さえあるのだけど、容姿の美しさがその性質を納得させる材料になっている。
    それと正反対の性質を持つのは留利絵で、容姿の悪さが彼女にコンプレックスをもたらし、それが少しひねくれた嫉妬心になり、自分の周りの人間関係を壊す原因になっている。

    純粋すぎる蘭花と、嫉妬心が強すぎる留利絵。その中間あたりに位置する美波が一番バランスの取れた人物像で、蘭花が美波を慕った気持ちも、留利絵が美波を憎んだ気持ちも、なんとなく分かる気がした。

    そして盲目な恋の突っ走ってしまうエネルギーの凄まじさは、そういう恋愛をしたことのある人にしか理解出来ないのだろうと思った。
    個人的にはそういう経験をしたことがある人の方が幸福だと思うけれど(結末はどうあれ)、この小説の場合は事件を産んでしまう要素になってしまった。

    ここまでドロドロ感を楽しめる小説を久しぶりに読んだ。女友達と密に付き合っていた頃に読んだら、もっと複雑に思ったかもしれない。

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