よるのふくらみ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3613
感想 : 295
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101391441

感想・レビュー・書評

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  • 三人の視点で、物語を構成してるので、
    感情移入しやすかった。

    なんだか、恋愛って難しいなー。もどかしいなー。
    ひとりひとりの人間の奥深さが愛しく感じた。
    最後の解説、尾崎世界観も良かった!

  • ふがいない僕は空を見たで窪美澄さんデビューして、またこれを見かけた時に、あの本が忘れられなくて買ってしまった
    タイトルが全く率直だなあと思って手に取ったけど、ぜんぜん違ってちょっと恥ずかしい

    登場人物たち誰でも、ふたりの、感情が静かにだけどぶつかりあう部分で、読んでて死んじゃいそうになるな、
    やっぱりだれもが人間くさすぎて、今まで自分の中にあって表現出来てなかった人間っぽい感情が、この本で言葉を見つけてかたちになってでてきそう

    読後はとりあえず、物語の余韻を解説の尾崎世界観にもっていかれて呆然とする笑
    この解説は今後も人生のうちで何度も思い出すんだろうなーと思った

  • じんわり。あたたかさとつめたさが両方心に残る。登場人物三人それぞれはあたたかく、混じり合うとつめたくもなる。最後はじんわり、前向きなかんじでした。

  • そのむかし,当時の彼氏とセックスレスで,そういうメディアばっかり漁るように読んでいた.これもその一つ.
    みひろの,ただ抱きしめてくれたら満足で,いれなくてもいいなんて嘘,とか,
    わたしの性欲さえなければ幸せでいられたのだろうか,とか,
    家族みたいだからしたいと思わない,って断られるところとか,
    本当にいたいほどよくわかる.いつも泣きながら読んでいた.

    この物語は結局,レスの兄と別れて,弟を選ぶ.その結末に当時絶望した.

    けれど実際,いまになって振り返ると,やっぱりみひろの気持ちはよくわかる.
    だってたとえ,もしレスじゃなくても,みひろは圭ちゃんとうまくいかなかっただろう,
    うまくいかないことに目をつむって一緒に生きていくことが想像できるから.
    ちりちりと,小さなやけどみたいな,一瞬煙がたつだけで絶対に火はつかないような傷を,一生かけてつけられてしまうような気がする.
    その傷は,きっとレスじゃなければ自覚もできないくらい小さな傷で,
    つけている本人も,つけられている被害者も,気づくことはできない.
    それに気づかないことも,それはそれで幸せなんだろうけど,
    一度自覚してしまったら,もうなかったことにはできない.

    こころとからだは別物にはできないし,
    家族みたいに大切に思ってる,って言われても別に血で繋がっているわけでもない.
    結婚したって所詮他人なんだし.

    みひろのどこまでも女性的なところ,すごく好きです.
    レビューを見ると,けっこうつまらないと言ってる人も少なくなくて興味深かった.
    女はみんな,ほとんど,こんな感じだと思う.

  • 長男としてみひろは許せん!(笑)
    最後は圭祐も少し報われ(つつあっ)てよかったな。 窪氏の物語を読むといつも思ってしまうが、恋愛とはすれ違いと思い込みの交差点にあるんだな。本作でも強く強く、そう思わずにはいられかった。

  • なんとも、生々しく、人間臭い。全てがきれいごとでは片づかない、人間の感情、そして生が描かれている。

  • 今年一番の本。大人の恋愛小説。主人公みひろの圭祐、裕太兄弟への揺れる心を描く。文章も3人を取り巻く登場人物の描き方も素晴らしい。章ごとに語る人が変わり、それぞれの心の内側が良く分かるため、人物が生々しく描かれているのは流石!「ふがいない僕〜」と同じ構成です。

  • 人間が生きていく上で、切っても切り離せない「性」。
    「性」に翻弄される、3人の男女の物語。
    兄弟で一人の女性を取り合い、想いは複雑に交差していく。
    セックスとは?愛とは?生きるとは?
    絡まる想いの糸がほどけるとき、三人はそれぞれの結論をだす。

  • 痛い。心のどこかが。そして、やさしい。
    恋愛の、タイミングの重要さ、一瞬で終わる脆さ。

    汚い と 尊い が交錯する。
    いつも感情は一言では伝えられないのに、過ぎていく言葉は一瞬で、それの答え合わせもできないまま口から弾き出されていく。その重さと、思考と表情(みていないのにね)が生々しくて、夏の匂いが肌にまとわりつくんだよな。

    そして尾崎世界観の解説が好きだった。

  • 男女の話だけど、一つ一つの文章や言動からもどかしさや苦しみがひしひしと伝わって、苦しくなった。胸が締め付けられた。
    セックスレスの結末は、やっぱり別れしかないのかなあ。裕太の魅力もあるけど、個人的には圭ちゃんとハッピーエンドになってほしかったなあ。

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著者プロフィール

1965年東京生まれ。2009年『ミクマリ』で、「女による女のためのR-18文学賞大賞」を受賞。11年、受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、「本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10」第1位、「本屋大賞」第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で「山田風太郎賞」を受賞。19年『トリニティ』で「織田作之助賞」、22年『夜に星を放つ』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『アニバーサリー』『よるのふくらみ』『水やりはいつも深夜だけど』『やめるときも、すこやかなるときも』『じっと手を見る』『夜空に浮かぶ欠けた月たち』『私は女になりたい』『ははのれんあい』『朔が満ちる』等がある。

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