冬の霧 へんろ宿 巻二 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2022年11月28日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784101391670

作品紹介・あらすじ

市兵衛が料理屋の店先で拾ってきたのは、酒問屋天野屋の若旦那だった。彼は実家のツケで放蕩にしていたものの、実家がツケを支払わなくなり、店から追い出されたのだった(「あほぼん」)。上方からの珍客女義太夫の母娘に続いて、浪人者が投宿した。何でも江戸に住む恩人に死ぬ前に一度礼をいいたくてやってきたという(表題作)。訳ありの旅人達を癒す佐和の一弦琴の調べ。人情時代小説傑作四編。

感想・レビュー・書評

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  • 笹岡市兵衛が、へんろ宿を開き、泊り客の相談にのる人情物語です。

    剣の遣い手でもある元旗本三百五十石の笹岡市兵衛は、奸計に嵌まって家が改易になったあと四国八十八箇所を巡り、江戸へ帰って武士を捨て、京の料亭で一弦琴(いちげんきん)を弾いていた佐和を市兵衛が口説いて女房にして一緒に回向院前でへんろ宿を営んでいます。お節介にも泊まる客たちの事情を酌んでひと働きします。一弦琴とは、細長い木製の胴に一本の弦を張った琴で、弦楽器の一種で。須磨琴、独弦琴、板琴などともいいます。

    【あほぼん】
    酒問屋「天野屋」の息子・与太郎は、天野屋を継ぐのを嫌って遊び暮らしている。市兵衛が見かねてへんろ宿に連れてくると与太郎は、天野屋を親身に育ててくれた後妻おたねの実子の弟に譲るために遊んでいると。市兵衛が、天野屋の船が海難事故に遭ったと知らせると…。

    【こほろぎ】
    江戸所払いになった二人の男がへんろ宿に泊まり合わせた。
    徳兵衛は、江戸所払いになり、生まれたばかりの娘を呉服問屋「相模屋」に渡して江戸を出て行きました。娘が、祝言を挙げると知って、佐和に頼んで自分で作った見事な草履を娘に渡してほしいと。それを知った娘が佐和を追っかけて来て「今、おとっつぁんからこれを…」と、胸に草履を抱いて。「おかみさん、これをくださった方にお伝えくださいませ。おさよは、相模屋で大事に育てていただきました。跡取りの兄とも血を分けた兄妹のように暮らしてきました。どうぞご安心を…そして、そして…」そこまで言って、おさよは、目に涙を一杯溜めて、「どうかお元気で暮らしてください。おさよは祈っていますと…」。読んでいて涙が…(涙)
    大工の伊佐吉は、北信濃から江戸へ出て来て十三年真面目にコツコツと働き、店を出せるまでの金、三十両を溜めました。それを知った浪人・芝木又三郎が、自分の好きな岡場所のおたつを身請けするために…。おたつは、岡場所に通ってきた伊佐吉を手玉に取り身請けさせたうえに、仲間に喧嘩を仕掛けさせて江戸所払いにしました。市兵衛は、あまりのことに…(怒)

    【ほととぎす】
    女郎おまきは、伊兵衛が苦しいくて死のうとしたときに「旦那さん、今日は苦しくとも辛くても明日は笑って暮らしているかもしれないよ、私だってそう信じて頑張っているのです」と、励ましてくれた。そのおまきの娘が、母を探しに江戸へ出てきたのを知った。その時おまきは、瀕死の重傷を負って…。

    【冬の霧】
    江戸に深い霧がかかっているなか市兵衛の立会いのもと、松井伝八郎と矢部十郎が激しく斬り結んでいる。十郎は、伝八郎を父・矢部作之助の仇として。そこに高岡藩の目付・佐倉多聞が、矢部作之助の不正が明らかになり、矢部作之助が伝八郎を殺そうとして逆に斬られたため仇討ちは認められないと…。

    【読後】
    笹岡市兵衛は、威厳が有って人品卑しからず、剣の腕も立ち、女将の佐和は、美しく、弾く一弦琴が郷愁をそそります。二話目の「こおろぎ」は、江戸所払いになった二人の男がへんろ宿に泊まり合わせましたが。対照的な二人です。一人は江戸を出ていく時に預けた娘を想い喜び、もう一人は怒り、落胆して江戸を出て行きます。著者、藤原緋沙子の「隅田川御用帳」シリーズをはじめ人情物語を読むと涙が出てきます。
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    冬の霧 へんろ宿シリーズ2作目《文庫本》
    2022.12発行。字の大きさは…中。2023.03.07読了。★★★★☆
    あほぼん、こほろぎ、ほととぎす、冬の霧、の短編4話。
    図書館から借りて来る2023.02.24
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    《へんろ宿シリーズ一覧》
    02.冬の霧  2023.03.07読了
    01.へんろ宿 2020.12.24読了
    「参考」
    ※参考は、私のメモ書きです。本の感想ではありません。
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    「平家物語」
    佐和が一弦琴で弾く平家物語は、物悲しい…。
    祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり
    沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす
    おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし
    たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ
    ←第一話感想より抜粋。

  • 小説新潮2020年7月号あほぼん、10月号こほろぎ、2021年4月号ほととぎす、書き下ろし冬の霧、の4つの連作短編を2022年11月新潮文庫刊。シリーズ2作目。江戸にあるへんろ宿に泊まる訳ありの人々を描くのは前巻と同じ。いずれも突っ込みが浅いというか、あっさりとした通り一遍な展開で、あまり心に響かない。

  • 2年前から始まった新シリーズ「へんろ宿」の巻二。安定の人情噺が4編。どの話も泣かせます

  • 202211/シリーズ二作目。設定や舞台はいいのに、やっぱり薄かったり、なんだかなぁ…うーん…みたいなのが多くて、好みではないかなぁ

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著者プロフィール

藤原緋沙子(ふじわらひさこ)
高知県生まれ。立命館大学文学部史学科卒。シナリオライターとして活躍する傍ら、小松左京主催の「創翔塾」で小説を志す。2013年に「隅田川御用帳」シリーズで第2回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を受賞。本書は土佐の絵師として人々の幸せを願い描き続けた金蔵の生涯を温かい眼差しで活写した渾身の時代小説。著者の作家生活20周年記念作品である。著書に「橋廻り同心・平七郎控」シリーズ(祥伝社文庫)他多数。

「2023年 『絵師金蔵 赤色浄土』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤原緋沙子の作品

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