君の波が聞こえる (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101392318

作品紹介・あらすじ

一学期の終わりの日、ひとりぼっちで海を見ていた健太郎は、沖に浮かぶ謎の城に迷い込む。そこには同じように囚われた人々がいた。元の世界に戻るには「出城料」が必要だという。それはお金ではない何からしい。健太郎はもう一人の少年と次第に心を通わせ、誓いを立てる。二人でここを出るんだ、初めて見つけた友達だから――。思春期の友情が胸に響く幻想小説。『四龍海城』改題。

感想・レビュー・書評

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  • 1学期の終わり、夏休みの最中に転校してきた主人公の健太郎は、ひょんなことから、その土地に昔から「神隠し」や「人さらい」が行われる場所として伝えられている謎の城「四龍海城」に迷い込んでしまう。

    海の上にあるその城の周りには境界が張られており、満潮になると陸への道も塞がって、勝手には出られないようになっている。唯一城から脱出する手段は城の門番に「出城料」を支払い、境界を越えること。



    健太郎は城の中で自分と同じ年齢の少年、貴希と出会う。吃音のコンプレックスのせいで、今まで人との会話を避けていた健太郎にとって、貴希は自分の喋り方を笑わない初めての存在であり、訳もわからず城に迷い込んでしまった自分と同じような境遇にも親近感が湧いて、彼にとって初めて「友達になりたい」「もっと話をしたい」と感じる相手になった。

    次第に友情を深めていく2人。
    何としてでも2人で元の世界に帰ると誓った彼らの行方は…。



    終盤、“友達”という存在に心を躍らせて、城から出た後、「これから」の未来に瞳を輝かせていく健太郎の心情とは裏腹に、「出城料」の正体に気付いてしまった貴希の、「城から出たいけど出たくない。」という相反する感情。読み手にはそのどちらともがダイレクトに伝わってきて、とてつもなく切ない、切なすぎてこの気持ちをどこにぶつければいいのか…なんとも言えないラストでした。

    改めてタイトルを読むと、またどこからともなくラッパの音色が聞こえてくるような…夕陽に照らされる海の情景とも相まって、全体的にノスタルジックな雰囲気が、涙が出そうなほど印象的な作品でした。

  • 四龍海城の文庫版。


    男の子の友情が大好きなので
    とても好きな作品。

    お互いがお互いの心を
    いつの間にか助けてる感じが
    素敵で涙が出た。

    終わり方に賛否両論あると思う。
    私はもし続くなら…を想像して
    勝手にハッピーエンドにしてる。

  • ふしぎな城にとらわれてそこからでるためにあれこれする様子とその過程で培われた関係に目が離せませんでした。
    それゆえ、その後の二人がどうなったのか、とても気になります。

  • 閉じ込められた城の中で、大切な友達を見つけた主人公の出会いと成長、そして別れの物語。
    王道な青春小説。関を含めた三人の関係も良い感じ。
    ただ、城の謎が全然解かれていないため、物語に深みが無くて、せっかく作り上げた世界観がもったいない印象。

  • 謎めいた雰囲気漂う四龍海城を舞台に、様々な思いを抱えた少年たちの友情を描いた本作。自分のすぎてしまった思春期の多感な時代を思い起こし、切なくなる一冊であった。本書最大の謎である「出城料」については、読み進めるうち半ば頃で気づくが、気づいたことで、少年たちの選択がなおのこと心に響く。「出城料」を支払い、大切なものを忘れたことさえ忘れて生きていくか、大切なものを胸に抱いて城に残るか、どちらが正しいかはわからない。読了後、自分にとっての「出城料」がなんなのか、思いを巡らせた。

  • とあるサイトの感想を読んで惹かれました。
    よかった。悲しくも切なくもあり。
    いい本に出会えました。

  • 一気読了。心の震えが止まりません。
    北海道の日本領海外に聳え立つ塔、四龍海城。干潮時に迷い込んだ者、拉致された者が城を出るには「出城料」が必要。
    手を伸ばせば届きそうな日常と限りなく隔たっている…個人的に理想的な異界モノ。
    原題『四龍海城』も魅力的ですが、改題『君の波が聞こえる』は秀逸、読了後グッときます。
    磯の匂い、自然の豊かな色彩、肌の温もり。吃音の悩み、調子外れの歌やラジオ、そしてトランペット…波=音色として、聴覚メインに五感を揺さぶられます。
    夏休みに再読必至。
    BGMは「フライデー・ナイト・ファンタジー」。

  • タイトルの意味が読み終わってわかりました!

    関さんの267ページの言葉にはグッときました(u_u)
    確かに、そうなのかもなって納得しちゃいましたね!
    残念だったのは、後半が予想できてしまったこと。
    誰でも予想できそうな結末で、ちょっとだけ拍子抜けです。
    でも、ミステリーじゃないので問題ないんですけどね。
    個人の好みです!

    それ以外は、結構好きな一冊です!

  • 乾ルカさん とゆう 人を知った
    初めの本です。たまたま 立ち寄った 本屋さん
    で たまたま手に取った 本です。
    我を忘れて 時間を忘れて 読み終えました。
    悲しくて 切なくて でも どこか
    希望のある お話でした。

    心にささる 何か 鋭いものが
    3日ぐらい 抜けませんでしたょょ。

  • 金曜ロードショーの曲、どんなだったかすっかり忘れちゃってたから、検索して聴き直して、とても懐かしい気持ちになりました。あの曲を言葉で表現すると、こうなるんだなぁってしみじみと感じました。

    全体的に先に読者に気付かせようとして書いてあるようなので、大きな驚きはありませんでしたが…ラストの貴希の選択が悲しかった。

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著者プロフィール

乾ルカ

1970年北海道生まれ。2006年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。10年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『わたしの忘れ物』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆した。近著に『明日の僕に風が吹く』『龍神の子どもたち』がある。

「2021年 『おまえなんかに会いたくない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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