- Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101393216
感想・レビュー・書評
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純粋なるもの トップ棋士、その戦いと素顔
島 朗
2018年8月6日読了。
平成11年12月1日発行の文庫本。西暦で言えば1999年。出てくる棋士は今や大ベテランのトップ棋士ばかり。
屋敷伸之九段がまだ七段だったり、佐藤康光九段や森内俊之九段がまだ三段、四段だったころの話が多く、当時の棋界の裏話的なものも掲載されていてとても面白い。
メインの登場人物は森下卓、佐藤康光、森内俊之、羽生善治、島朗辺り。
先崎学や大山康晴、米長邦雄なども出てくる。
行方尚史や郷田真隆が「若手」と表現されているのが時代を感じさせる一冊。
またプライベートな話が多く、棋士の人となりを感じることが出来る内容で面白い。
詰将棋
タイトル戦のため新幹線で移動中に羽生善治に四十七手詰の難問を見せたところなんとたった8分で解いてしまい同行していた観戦記者が「これは他の若手には言えないな」と思ったという。
竜王戦(オーストラリア)
解説として同行していた佐藤康光は観戦記者の西條と空いた時間で海水浴を楽しんだ。
佐藤康光が「ちょっと泳いできます」とメガネを掛けたまま泳ぎに行こうとすると、西條が「海に流されてしまうよ」と注意したところ、佐藤が「外すと何も見えないんですよ」と返した。
数十分経った頃、ふらふらと焦点の定まらない様子で歩いてくる佐藤に「…メガネは?」と西條が聞いたら「波に流されたようです」と答えたという。
いやはや、お茶目過ぎるぜ佐藤九段(笑)
将棋界のトッププロ棋士の魅力あふれるキャラクターをしたためた一冊。良書。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まだ10代であった奨励会時代の、羽生善治・佐藤康光・森内俊之を見いだし、所謂、「島研」を作った島朗九段のエッセイである。遥か後輩であるはずの羽生らに対する尊敬の念が衒い無くすがすがしく語られているところが、島朗九段の将棋に対する敬愛・人柄を感じさせる。ただ、このエッセイは、なぜか、「羽生は***見えた。羽生はこのとき***だったのであろう」ではなく、「羽生は、このとき、****思った」と島が対象に完全に憑依し(?)、羽生らのプライベートを含めた個人的感情を赤裸々に語っており、何だか奇妙ではある。
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羽生世代の才能をいち早く見抜き、先輩ながらともに成長した島さんの著作。
それぞれのエピソードが微笑ましくも厳しくもあり、
タイトル通り「純粋なるもの」達ばかりで、
胸が熱くなる。