女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 340
  • Amazon.co.jp ・本 (585ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101394329

作品紹介・あらすじ

2113年の世界。小型飛行機で見知らぬ土地に不時着したミチルと、同行していたロイディは、森の中で孤絶した城砦都市に辿り着く。それは女王デボウ・スホに統治された、楽園のような小世界だった。しかし、祝祭の夜に起きた殺人事件をきっかけに、完璧なはずの都市に隠された秘密とミチルの過去は呼応しあい、やがて-。神の意志と人間の尊厳の相克を描く、森ミステリィの新境地。

感想・レビュー・書評

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  • 森博嗣百年シリーズ第1作

    以前に読んだときは、これがシリーズものだとは知らなかったが、最近GシリーズやXシリーズを読んでいて、また過去の作品が読みたくなり再読して登録してみた。
    物語の舞台が現代ではないので、なんというかミステリーとSFファンタジーが混在した、独特の魅力的な作品になっている。
    最初はSF小説風で、あまりミステリーとは感じなかったが、それでもミステリーに良くある「密室殺人」みたいな形式は踏襲しているような...。この作品では、トリックではなくてそういうやり方になるのかと納得。

    最初に読んだ頃は、S&MシリーズやVシリーズとはまた別の作品だと思っていたが、森作品の世界がこんな壮大なものになってくるとは...。そういえば、主人公サエバミチルの名前にも、最初は気にもとめなかったな。

  • 西暦2113年、取材旅行中に道に迷ったミチルとロイディが、周囲を高い塀で隔離された未知の都市ルナティック・シティにたどり着き、そこでの体験が語られる話。
    女王デボウ・スホが支配し、争いや妬みがなく、平和で、犯罪も罰もなく、人が死なない楽園ルナティック・シティ。
    ミチルにとっての因縁の敵マノ・キョーヤがここに居ることがわかり、やがて、王子の密室殺人事件が起こる。人が殺されることがないはずの楽園で起きた殺人。誰が、なぜ、どうやって王子を殺したのか。ミチルは謎を解明しようとするが、女王をはじめとする楽園の人々はなぜか、関心を示さない。他にも、女王が年齢よりもはるかに若く見える謎、マノやミチルがやってくることが神によって予告されていたという女王の言葉の謎など、ミチルは不思議な体験をする。さらに、この楽園を誰が、どういう目的で作ったのかという大きな謎が立ちはだかる。西暦2113年ということで、現在ではまだ実現されていない技術がいくつか使われており、それが謎の解明にも活かされている。
    楽園の住民とミチルとの間での死生観や罪に関する意識の違いが印象的であり、とりわけ、復讐に関する女王とミチルの間の議論が興味深い。
    楽園の誕生に関する謎の真相は、よく考えられていると感じた。
    王子の殺人事件では、犯人がどこから侵入したのかという謎の真相はたいしたことはないが、なぜそんなことをしたのかという動機、その背景にある新技術がもたらした悲劇が実に痛烈である。
    また、最後に明らかとなる主人公に関する二重三重の秘密も面白い。

  • あぁ、なんて上手いんだ。騙された。綿密に織り上げられた世界に。物語の中心にい続け、その存在に何の疑問も持たされていない主人公が最後に化ける。そしてその設定に何の違和感も感じないほど完璧なリアリティが出来上がっている。

  • ミチルと相棒のロィディが道に迷いたどり着いたのは、女王が統治し百年間閉ざされた楽園のような街ルナティックシティ。この街で死んだ者はいないと住人達は言うが、祝祭の夜に何者かに王子が殺されてしまい…。
    森博嗣の著書は初めて読みました。2113年の近未来が舞台のSFミステリーですが、哲学的・宗教的要素が強く不思議な世界観を創り出しています。
    「目にすれば失い、口にすれば果てる」何も語らないこのひと言が、全てを語っている所がおもしろい。
    森博嗣の他の作品も気になりますが、シリーズの順番が分かりにくく、どれを読めばいいのかさっぱりです。

  • 森博嗣、2000年発表の小説。SFミステリー。ユートピア小説のようでディストピア小説のようでもあり、ジェンダーやアイデンティティの問題、死生観、宗教観、罪と罰、復讐と赦し・・・等々様々な要素を含んだ寓話のような物語り。

    100年後の世界、日本人青年とパートナーのロボットが中央アジア近辺で道に迷ったあげく不思議な隠れ里にたどり着きます。そこは100年前に作られて以来世界から孤絶したユートピア・・・?
    100年後の世界ですが舞台となるのはその時代から100年前に作られた孤絶した都市・・・つまりは現代社会とたいして変わらない所で、主人公とロボットのペアだけがSF的存在。
    そこで殺人事件が起こるのですが、警察も法律もなく神と女王が支配するその町の人々は事件として扱おうとしません。主人公だけが一見密室のその事件を調べようとするのですが・・・。
    殺人事件を核にして、町そのものの謎にせまるミステリー、とても面白いです。

    寓話的雰囲気が強く、それは冒頭や所々に現れる文学的、象徴的表現が醸し出すものなのかもしれません。悲しい物語りですが、エピローグで明かされる何だか過剰にSF的設定に多少救われるような感がし、読後感は良いです。

  • 偶然たどり着いた街で、復讐したりされたりするお話。
    もっと昔に読んだはずだけど、すっかり忘れてまた一から楽しめました。
    読むのは難しくないけど、理解するのは難しい。
    ロイディが好き。

  • 本格ミステリ的なS&Mシリーズからエッセイ的小説水柿助教授シリーズを経て、このSFというかファンタジィというかな小説に至った訳ですが、全く雰囲気の違う小説でありながら、完全に森博嗣ワールドを出しちゃうところが凄い。
    物語のバックボーンが太くしっかりしてるから、凄く奇をてらってる様だけど無理に感じないというか…。
    途中まではちょっと進みにくかったけど、最後は怒涛のようにパパパッと読み終わってしまった。

  • 近未来が舞台で、ハイテクなゴーグル型端末やアンドロイドが登場するSF作品ですが、特にそのようなデバイスが謎解きに用いられるわけではなく純粋にミステリーとして楽しめました。著者の作品はたくさんのシリーズが刊行されていますが、なんとなくスカイクロラシリーズに似た雰囲気だと感じました。
    次巻も早速購入したいと思います。

  • ロイディがいなかったら、きっとつまらない、と思ったはず。
    ドライなパートナ。あまり役にたっていなさそうなのにすごく良いパートナ。
    密室は森博嗣によく似合う、と思った。

  • いろんな意味で思わせぶりなお話。事件のトリックはミステリとしては反則気味だけど、その分特殊な世界設定を生かしきってておもしろかった。というかむしろこれ、世界そのものについての謎を楽しむのがメインです。一人称視点の文章から、主人公についてのネタ2つはなんとなく読めた。それだけに、父親の正体に思い至らなかったのは悔しい。たしかにどう考えてもあの人しかいないよなあ。そしてこの世界、未来のお話なわけで。つまり別のあのシリーズから繋がっている、というのは想像に難くない。それを匂わせる描写もあって、外伝的に楽しめた。

  • 面白く、先が気になってどんどん読めた。結末には驚いた!けど、性別に何かがあるのはわかりやすすぎてちょっと興ざめ、
    でもなんかこのひとの小説の文体は、いまいち好きになれないな。面白いんだけど、

    血。
    血。

    とか。Vシリーズとかおなじみの作品ではまだ我慢できたんですが。くせ強いよねぇ…

  • 不思議な近未来のお話。
    ある個人の理想世界で静かに、穏やかに過ごす人々。
    外の世界の事など何も知らずに、
    盲目的に自分達の小さな箱庭世界を信じて生きてゆく。
    永い眠りにつくことで、未来に希望を託し、死から目を背けて。
    実際にはその未来は訪れなくとも。知らずに眠り続けて、いつか朽ちる。

    それは幸せなのでしょうか?
    幸せかどうかはわからない…。
    きっと、本人以外には。

    主人公や、女王、神や、様々な人の葛藤もなどが相まって
    不思議で素敵な世界観を作り上げていて、
    その世界観こそが最大の魅力だと感じた小説でした。

  • 人間とロボットの明確な違いはなく、感情は電気的な現象にすぎないという思想を持ち、ヒト(ロボット含む)の心を愛してロイディとのやりとりを大切に思うミチルの考え方の清々しさが、物語全体の独特な雰囲気をつくっている。

  • SF?ファンタジー?な設定のミステリーです。
    閉鎖的な全てがその中で完結した街に行き着いたサエバミチル。その街はミチルの驚くばかりだった。その街で殺人が起きる。誰も犯人を追おうとしない中でミチルだけが犯人を追う。
    普通のミステリーとは全く違いました。私としては本の厚さに対して早く読み終わったと思います。飽きさせない内容です。
    マンガもでていてそっちは絵が素敵です。

  • 端々に覚えていた違和感は、男なのか女なのか人間なのか機械なのか分からない者の一人称小説だからだったのか、と最後の最後に腑に落ちた。
    かの場所はユートピアなのか、実験用の箱庭なのか。

  • 世界観が素敵。一人称で、主人公が未来視点なので、"内部の空気まで冷やす効率の悪い方式"の冷蔵庫だとか、"大昔は価値が紙や金属で作られていて"だとかの表現にドキドキさせられた!「死」を「永い眠り」とする価値観に疑問を感じていた主人公自身が、頭と躰が別々の、ある意味不安定な存在だったとは全く思わなかったし、そういったどんでん返しが最後の最後まで見逃せなくて、読んでいて本当に楽しかった。‬

  • 相変わらずの森文学
    話の大筋が全然見えない…と思って読み進めてたけど、そりゃそうよね。
    視点役のミチルに1番秘密を抱えてるんだもん、分かりにくいわけだ。

    そういう意味ではWシリーズの方が読みやすいかなと思うけど、いつも通りの「人間とロボット」、「意志とは」みたいな展開があってわたしは楽しかったです

  • まあ普通かなー。
    ちなみにロイディのイメージは(STAR TREKの)ディタ少佐。
    100年シリーズとやらの続きは読みたいと思う。

  • Wシリーズ完結記念?に、久々に再読。
    割と動きは覚えていたけれど動機などの機微はすっかり忘れてしまっていました。
    それにしても毎回読むたびに、ミチルという存在に透明感を感じます。
    また五年後くらいにふと読みたいなぁ。

  • 再読。SF的な、ファンタジー的な雰囲気が
    とても好きな作品。
    ミチルとロイディの会話が好き。
    二作目を読んでから改めて一作目を読むと、
    この頃はまだロイディがかたい感じ。
    その代わり具合もすごく好き。

    生と死、罪など、重いテーマを含んだ物語だけど、
    軽快なテンポで物語が進んでいくため非常に読みやすい。

    事件を追う中で、ミチルの葛藤と焦燥感が至る所で伝わって、読んでいて終始ハラハラ。再読だけどすごく楽しかった。

    お気に入りは、ミチルがリンバウに向けて生きることの大切さを話すシーン。言葉のチョイスとか、凄くいい。

    あと戦闘シーンも結構好き。

  • 途中に挟まれるイメージ映像のような文章や哲学的な会話は、ちょっと苦手。ストーリーの巧みさで最後まで読めた。

  • 不思議な不思議なSF&ミステリー&ファンタジー。
    森らしく哲学的な思考が随所に散りばめられた、独特の世界観を持つ傑作。雰囲気は「キノの旅」に酷似している。
    私は森博嗣の話が大好きなようだ。

  • 初めて拝読した森博嗣先生の著書。

  • 世界観が好き。

  • 一時間ちょっとの早めの帰宅にあわせ、がーっと読了。
    昔ハードカバーで読んだきり、漫画も買って読んだはずだつたけど記憶になく、ほぼ初見の気持ちで読んだ。

    非常に絵的で観念的な作品。

  • 設定はとても面白かった。空間把握が難しい…

  • 10年以上ぶりに再読。本作は森博嗣の作品で初めて手にとった著作であるが、キャラクターの魅力や世界観に再び引き込まれた。

    ファンタジーというフィクションではあるが、主人公ミチルの生と死の狭間で揺れる葛藤がリアルに描かれる。仕組まれた歯車がかみ合う時、ミチルは過去の恨みと復讐心にどう終止符を打つのか。

  • 以前読んだことあるせいか、今回割とすんなり読めた。
    (前回は、まず世界観を理解するのが難しく。。かと言って映像化が出来ないお話なわけで。。。)

    筒井氏の『旅のラゴス』を少し思い出したり。

    ミチルと、機械であるロイディの二人が記者として旅をする話。

    不思議な街で、女王の存在や子供たち、復讐など気になる点は沢山あったのに
    ミチルとロイディの関係に一番驚いた。

    その世界観、設定は想定外でした。。

    攻殻機動隊とはまた違う、人間の定義をどこに置くのか、
    というお堅い問題もあるけれど、ミチルの考え方や物事の捉え方など、未だ捉えきれていない部分が多いので
    また読み返したいな、と思う。

  • 不思議な街の不可思議なお話。 
    百年も未来の物語。 
    人工的に作られた密室の街。 
    そこに紛れ込んだ異邦人。 
    起こった事件。 
    冷凍保存。 
    神。 
    “目にすれば失い、口にすれば果てる”

  •  目にすれば失い、口にすれば果てる。

     再々読くらい。単行本で読んでたけど、また読み返したくなったので文庫を買いました。このあたり読んでからWシリーズに入るべきかなって思ったので。
     デボウ・スホが女王の名前でしたね。娘はクロウ・スホ。なんだろうなぁ、やっぱりこう、空気感がすげー好き。淡々としてるようで熱がある。生と死、生々しい話をしているはずなのに、すごく冷めてる雰囲気がある。
     このころはまだちゃんとミステリィではあったんだよね。文庫本の背表紙のとこのあらすじに「2113年の世界」って書いてあるけど、本文にそんな記述あったっけ? 未来感がおもしろいよなぁ、っていつも思う。
     デボウ・スホには会いたいし話をしてみたいとは思うけど、ルナティック・シティに住みたいとは思わない。つまらなさそうだよね。あと最初読んだときも思ったけど、「ルナティック・シティ」って名前がなんか森っぽくないなぁって。
     抜粋。女王の言葉。


    「ありがとう。言葉は、言葉だけなのに、でも、結局、言葉が嬉しいわ」


     なんとなく最初に読んだときからずっと心に残ってた部分。

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著者プロフィール

森 博嗣(もり ひろし)
1957年、愛知県生まれ。作家、元研究者。名古屋大学工学部建築学科、同大学大学院修士課程修了を経て、三重大学工学部助手、名古屋大学助教授。名古屋大学で工学博士を取得し、2005年退職。学会で数々の受賞歴がある。
作家として、1996年に『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞し、同作で作家デビュー。S&Mシリーズとして代表作の一つに。『スカイ・クロラ』シリーズは本人も認める代表作で、2008年アニメ映画化された。その他にも非常に多くの著作がある。

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