- Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101396231
感想・レビュー・書評
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時代小説の「お勝手のあん」シリーズからの流れで読む。
「あん」は薄幸の少女期を過ごし、料理の腕は上がるが気の弱い役柄だが、この本の主人公・墨田翔子は全く逆の性格。
37才で未婚の管理職。社長賞を何度も取る程の凄腕だが、部下含め皆んなが自分を嫌っていると自覚。煮詰まって、オーストラリアでも行こうかと思ってSNSで聞いてみたら、オーストラリア在住の旅行社の女性・嵯峨野愛美に出逢う。職場トラブルからの逃避と思って自分が優位に立ったと考えた愛美は、翔子が一流企業の管理職と知って打ちのめされる。二人の心の声が現実的で鋭い。
オフィスではマニュキアでの汚染や生理用品の紛失などのイジメのような事件、セクハラなどのトラブルが発生するが、無関心を装う翔子が、なぜか奮闘する。
ミステリー要素も盛り込みつつ、意外な犯人が現れる。翔子、愛美の自虐的な内容が多いが、男性作家でありながら、良くここまで書けるな、と感心する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「こんなふうだからあたしは嫌われる。しかし、好かれたとしていったい何の得がある?ちょっとばかり居心地がよくなったからって、それで給料が上がるわけでもあるまいし。」
墨田翔子、37歳。独身。
大手音楽企業の企画部係長。
陰口も独りランチにも慣れた。
高学歴高プライド高自意識過剰の若手にうんざりしつつ、女子休憩室のマニキュア事件、トイレの生理用品の盗難、人気作家のイラストの裁断事件と悪意渦巻くオフィスで逞しく生きていく。
高学歴だけど常識がない神林。
オーストラリアのツアコン愛美。
ケアンズの浜辺で殴り合った嶺奈。
不遜な態度で口の減らない部下、八幡。
いろんな出会いがだんだんと翔子の気持ちをまあるくしていく。
女のイヤラシサがこれでもか!っていうくらい、いろんな形で出てきた。
それが暗くどんよりと濁らないのは翔子の底にある人の良さなのかも。
どんなに凹んでも立ち上がって顔を上げて笑い飛ばすような強さと。
「女らしいってことは、男の都合のいいように動く、男に逆らわないってことじゃないのよ。本物の女らしさってのは、女としてのプライドを簡単には譲らないことなのよ。
あたしにはあたしのプライドがあるの。そしてあたしは、それを守るためだったら、他のなんだって犠牲にするのよ」 -
勝ち組負け犬と、負け組負け犬予備軍の女性が織りなす、現代社会を生きる女性の物語。読み終わったあとの爽快感が最高♡ 働くことは誰かだって楽しいことばかりじゃないけど、明日も頑張ろうって思える。
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初めは嫌いだった主人公墨田翔子。
周りに攻撃的で、周りを信用しない。
そんなふうに見えていたが、さまざまなできごとを通して、すごく人間味がある素敵な人に思えてきた。 -
とても面白かったです。
一言言われた時の心の声とか、自分の本当の感情等とても共感出来ました。
思わず笑ってしまう場面や、ちょっとニヤついてしまう場面も多かったです。 -
面白かった♪♪
リアリティありサクサク♪♪
ペリカンの所は思わず笑っちゃった(笑) -
連作短編。
大手企業で働くお局様、オーストラリアで働くアラサー、彼に裏切られた女、それぞれがどん底で出会い、這い上がっていく物語。
オーストラリア行きたくなった(笑)
作者らしいプチミステリーもあり、
最後まで一気に読めた。 -
翔子がオーストラリア旅行をきっかけに、良い上司へと変わっていくのが良かった。最後近く、セクハラ上司をやっつける(?)ところはスカッとしました。
この本を読んで会社員だった頃を思い出した。すごく有能で、でも周囲に対してめちゃくちゃ厳しい女性上司の下で働いていたから。でもこの本にあるような人間ドラマは無かったな。今振り返っても良い職場だった。 -
勝ち負けなんて、今決まるものじゃない、戦い続けろ!
オーストラリア旅行が転機ではあったのだろう。要は気持ちの持ちよう。お互い隣の芝生は青いから、自分の持ち物で勝負するしかない。無条件の幸せなんて、与えられるわけじゃない。やはり、勝ち取らなくては。
翔子には、翔子の武器があって、だから、翔子と同じようには出来ないけど、自分の武器を使って今の場所で戦っていくことはできるはず。がんばれる話だった。しかし、色々とジョシ社会がリアルである。 -
元気にがんばろ〜って思える一冊