ある日、カルカッタ (新潮文庫 た 76-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101413211

感想・レビュー・書評

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  • クムクムの結婚が面白かった
    その土地のしきたりの違いとかそんなところ

    カジノやビールは出会った人々を打ち解けさせてしまう
    自分にはない世界で理解が及ばないけど
    そういうことなんだろう

    移動中に読む本として手に取った
    まだ90年代の頃
    勢いがあってみずみずしい万智さん30代
    歌を詠むのはところどころだったけど面白かった

  • 俵万智さんの海外紀行(むしろ滞在記というべきか)。カルカッタでは結婚式に招かれ、マニラのスモーキーマウンテンで子どもたちのお芝居を見、ラスベガスではカジノで賭博三昧の日々。これですっかり味を覚えてソウルのウオーカーヒルへ。ここでは、ルーレットで1勝負32000円の大勝負(結果は大負け)。歌人ではない俵万智さんの姿がうかがえて楽しいが、随所で詠まれた歌は残念ながらやや低調。ただし、才能や歌への情熱が枯渇した訳ではないことは、この後の『プーさんの鼻』などで明らか。

  • 読んでから時間が経っちゃったので、記憶が薄れつつありますが・・・物凄く感動した短歌があったので、ちょっと紹介。

    『「学校」という語を甘きキャンディーのように発音する子どもたち』

    「世界には勉強したくてもできない子供がたくさんいる」・・・これはずっと前から知っていた事実だけれど、この短歌は心に迫ってきました。電車の中で泣いちゃうくらい。
    「どうして?」と聞かれると困っちゃうんですが・・・どうしてだろう、辛くなったんです。

    そんな子達に、私ができることは何もない。
    募金とか、手段はあると思うかもしれないけど、その一時だけの援助って、私には偽善に思えてしまうので、自分はしたくない。(良かれと思ってしている人を止める気は全くありません。ただ、自分のポリシーと言うか何と言うか・・・)
    野良猫にお菓子をやるのと一緒だと思うから。
    その日の命は繋げるかもしれない。でも、その後のことまで面倒見切れない。命ってそんなに軽くない。

    自分はちゃんと勉強しよう、とかそんな優等生ぶったことを言う気はないけれど、その子たちに恥ずかしくない生き方をしたいと思いましたよ。


    なんて、ちょっと真面目っぽいこと書きましたが、この本自体は歌人の目から見た旅行エッセイです。
    世界を旅した気になれるおススメの1冊。
    テーマも、先に書いたような子供たちの話、階級の話から、ビールや、果てはギャンブルの話までさまざまです。

  • 海外紀行文集。海外だと三十一文字にもいまいちきれがない気がする。

  • カルカッタ、ブリュッセル、ラスベガス、パリなど10箇所を巡り文章と短歌で綴った紀行文。

    インドの結婚事情については小学校4年のときの社会の資料集に不思議なことが描かれていてとても気になっていたが、これを読んで詳細を知ることができた。
    長年の疑問が解けてすっきり。
    昔の本なので今は大分事情が変わってきてるが、伝統的な結婚式があるなら一度見てみたい。

  • 著者は年数回は海外旅行に出ているようで、中でも印象に残った旅についての紀行文。表題はインド・カルカッタの活力に満ちた人たちとの出会いを描く。生と死、貧富の差、マザーテレサの孤児院など。著者が30代だった頃の旅とのことだが、気力と体力が必要なカルカッタへの旅を「行けるときに、行っといて、よかったなあ。」と振り返る。旅は旅先よりも旅の仕方によるところが大きく、加えて旅をする年齢にも大きくされるという。
    旅先での文章に短歌を添える。旅先での一瞬を切り取った31文字の描写は長文を書き連ねるよりも濃縮されて印象深い。

  • チョコレート語訳ですきになった作者ですがエッセイもクスリと笑えておもしろい。
    わたしもいつかカジノで姉御と言われるようになってみたいものです。

    最初独特の視点で世の中見れるかも、と思いながら読み進めていたらちょうどカジノあたりから普通のおもしろばなしに変わったようで。
    収穫は減ったけどそれはそれでいいのかもしれない。

  • 歌人 俵万智の紀行エッセイ。美しい街並みのプラハや桂離宮への訪問。ラスベガスや韓国でのカジノ体験などもありますが、印象的なのは貧富(身分)の差が激しいカルカッタへの訪問や、ゴミの山でゴミを拾って生活する子どもたちが演劇を披露する様子が書かれた章ですね。
    海外という異なる土地に行っても日本という土台に立ったままものを見ることが多い中、筆者はその土地に立ち、その土地の価値観を通した目をもって事実を見ています。日本では想像もできない環境を「そういうもの」として捉え、それに対して自分の意見を述べ、歌を詠んでいます。これはすごいなと、ただ感嘆。またその詠まれた歌も、スッと入ってきました。いいものですな。

  • (2005.01.03読了)(2004.09.10購入)
    この本には、10篇の紀行エッセイが収められています。訪れた国は、インド、インドネシア、フィリピン、アメリカ、韓国、ベルギー、ノルウェー、チェコ、日本といったところです。目的は、撮影、観劇、ギャンブル、ビール、彫刻、小説の追体験と様々あります。

    ●カルカッタ
    カルカッタを舞台にしたドキュメンタリー映画を作りたいという鈴木健介さんに誘われてインドのカルカッタへ行った際の紀行文。(僕は、1980年の暮にインドへのパック旅行に参加しようとして、上司に休暇願いを出したけれど許可されず行けなかった思い出がある。)
    ・交通信号について(信号は昔あったけど今はないという)
    「信号はかえって危険ね。守る人と守らない人います。信号だけ見て走っていると、必ず事故起こる。それよりも、みんなが周りを見ながら運転するのほうがいいよ」
    インドには、カーストといわれる身分制度があるので、とんでもない金持ちから路上生活者までとてつもない差がある。いろんな身分の人たちをたずねその驚きがつづられている。
    ・折り紙について
    「インドにも折り紙というものがあることを知り、驚いた。インドの子供たちに、得意になって鶴を折って見せると「わー、僕にも紙を貸して」と折り紙を取られてしまう。そしてみんな器用に鶴や舟や花を折って見せるのだ。それが日本の鶴や舟と微妙に形が違うのも、面白い。」
    ・結婚式
    伝統的な結婚式についてインドで知り合ったコーディネータの娘さんの結婚式に招待されて、その模様を記述している。
    ●ラスベガス
    カジノでルーレットやブラックジャックで真剣勝負?スリルを味わうための旅の紀行文。
    親分と姐御と一緒に行ったので、賭け方をいろいろアドバイスされながら勝負する。
    ブラックジャックについては、「必勝法」の本を3冊も読んで乗り込んだとか。
    この後、韓国のカジノめぐりのたびの話も載っている。
    (俵万智さんの意外な側面を見せられてしまってちょっと面食らってしまった。)

    ☆関連図書(既読)
    「ふるさとの風の中には」俵万智著・内山英明写真、河出書房新社、1992.11.30
    「三十一文字のパレット」俵万智著、中公文庫、1998.04.18
    「トリアングル」俵万智著、中央公論新社、2004.05.25
    「みだれ髪 チョコレート語訳」与謝野晶子著・俵万智訳、河出書房新社、1998.07.06
    「みだれ髪Ⅱ チョコレート語訳」与謝野晶子著・俵万智訳、河出書房新社、1998.10.09

    (「BOOK」データベースより)amazon
    いくつもの旅の中から、歌人のまなざしで選び抜いた十の場所。カルカッタ、バリ、ブリュッセル、ラスベガス、プラハ、オスロ、京都・桂離宮…。それぞれに印象的な光景、歴史の足跡、現地の人々との交歓、抱き上げた子どもの温もりなど、心に残る旅の場面を、三十一文字がしなやかに掬い取る。文章と短歌が寄り添い、響き合い、きらめく言葉の余韻が旅情を醸す、珠玉の紀行エッセイ。

  • カルカッタに滞在していたので気になって読みました。
    カルカッタ以外の紀行文もありました。

    第三者が介入してもカーストはなくならないっていうような文が印象に残ってます。

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著者プロフィール

1987年の第1歌集《サラダ記念日》はベストセラー。歌集に《かぜのてのひら》《チョコレート革命》《プーさんの鼻》《オレがマリオ》《未来のサイズ》《アボカドの種》、評伝《牧水の恋》、エッセイ《青の国、うたの国》など。2022年、短歌の裾野を広げた功績から朝日賞を受賞。読売歌壇選者のほか、宮崎で毎年開催される高校生の「牧水・短歌甲子園」審査員もつとめる。

「2023年 『旅の人、島の人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

俵万智の作品

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