団欒 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425177

感想・レビュー・書評

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  • ●ママは何でも知っている
    ホラーだったので、途中から先は読めた感じ
    ●出前家族
    結果が思っていた所に向かわず以外に面白かった

  • なんだかすごく怖かった…人間って怖いよねってかんじの恐怖があった。


    美術教師に「俺」は職場で出会った加奈と結婚することになった。加奈の家は学校経営者で逆玉だ。結婚後は婿養子になり加奈の実家で暮らすことになった。最初は暖かく迎えられた俺だったが初夜を迎えた翌朝、加奈の母親が夫婦の寝室に入ってきて…「ママはなんでも知っている」


    真澄の弟である純がある日突然全てが汚いと言い出した。部屋に敷いていたカーペットや便座カバーにはたくさんのダニや菌がいて汚いと。そこから真澄の家はルールを設けることになり、全てが「きちん、きちんと」していなければならばいことになり…「ルール」


    高級家具店の店長をしている谷野は、妻と2人で仲良く暮らしている。子供はおらずどちらかが遅く帰ったほうが「子供」をする。帰って来て服を脱がせてもらいお風呂に入り子供向けの映画を見る。外で大人をし、家では甘ったれな子供を夫婦で交代でやっているのだ。しかし、そんな生活を壊すやつが現れ…「僕のトんちゃん」


    妻に先経たれた實は、一人暮らしをしていた。実際には2世帯住宅なのだが上に住む息子家族は毎日大騒ぎをしながら暮らしている。ある日、寂しい高齢者などを青手にしたレンタル家族のニュースを見る。そして、現れたのは優しい息子と美人な嫁、可愛らしい孫娘という設定の3人だった。實は上で暮らしている息子夫婦が派遣したのだと思い、その家族ごっこに付き合うことにしたが…「出前家族」


    浩之は職場でいいなと思った子を間違いで死なせてしまった。どうしていいのか分からず、とりあえず家に持ち帰ると彼女の死体が家族全員にバレてしまった。これはもう自分だけの問題ではなく、家族全員の問題だと家族は死体の処分について話し合う…「団欒」



    1番怖かったのは「ママは何でも知っている」だった。本当にこんな家あるの?って思ったし、いくら家族とはいえどプライバシーは必要でしょ!って思ったわ。たぶん、現代だったらスマホの中身とかも全部共有してる。んで、あのママのことだから「だって家族じゃない」って言うわ!
    怖い!そして、1人の時間がないというのが本当に辛いなと読んでて思った。いくら家族が好きだって言っても1人になる時間って大事だよなぁ。あと加奈ちゃんはこれから先も失敗すると思う。



    實のじいさんは仕方ないと思ったし、なんという策士!とも思った。上に住んでた息子家族には悪いけど、どうぞ存分に潰しあってくれってかんじかな。


    2020.2.16 読了

  • 中高の先輩乃南アサさんにもう一回トライ。
    うーん……面白がらせたいのか怖がらせたいのか、どっちなんだろ、と思った。育ちの良い人が不思議な家族を想像したのかなという印象。面白がらせたいならもっとおもいっきり面白くしてほしいし、「家族」がもつ怖さをヒヤリと描きたいのならもっと深掘りしてほしかったかも。
    普通な家族なんてない。っていうのを団欒で表現するなら、人の死はそんなに入れなくても良いと思うんだ。ドラマに頼る必要はない。
    家族って、もっと面白いか、恐ろしいか、どっちかでしょ。

  • ゾッとするけど、コミカル的な話し。団欒というタイトルだけで、全然……団欒してない(笑)

  • 「ママは何でも知っている」「ルール」「僕のトんちゃん」「出前家族」「団欒」の5編の短編が所収。
    が、作者の他の短編集に収録されている作品もあり、今回、新たに読んだのは「ルール」「f団欒」の2作品のみ。
    他の作品は既読済み。

  • 普通なようでどこか普通じゃない「家族」を描いた短編集。ブラックで面白かった。

    ■ママは何でも知っている
    エリート一家の気持ち悪い習慣。何が普通かわからなくなる。伏線回収と後味の悪さが見事。

    ■ルール
    妻と娘、息子が決めたルールでがんじがらめの我が家で、落ち着くこともできずにいる男の話。切なくなる。

    ■僕のトんちゃん
    男の方がいつまでも子供だ、というテーマをはらんでいるのだと思うが、私は主人公の気持ちがよくわかる。

    ■出前家族
    現実にも起こり得る、というか似たような例がたくさんありそうな話。血のつながりか、物理的な距離か。

    ■団欒
    父がまさか最後にあのような行動に出るとは思わなかった。息子との会話は伏線だったのか。

  •  例えば「恐ろしく潔癖な家族の中に、一人だけそれを守れない父親がいたら……」など、変わった家族を題材にした物語の短編集。
    「適度に」という言葉が付けばどれもおかしくないのだが、極端すぎると相当変になるのは面白いが、結論を急ぎ過ぎて、無理がある作品が多いように思う。

  • 家族の持つ奇妙さ…というか、はたから見るとおかしいとこって実際問題結構ある気がする。その変さを際立たせるとこの作品のようになるのかなって思った。乃南アサはあんまり短編集好きじゃないことが多いんだけど、これは面白かった。

  • 家族をテーマに、ちょっとシニカルでダークな発想で料理された短編集。
    こんなにあったかくないファミリーもの、はじめて笑
    家族という社会性の不気味さがこれでもかというくらいデフォルメされて、見事なエンターテイメントになっています。
    皮肉がきいてて個人的には充分楽しめましたが、後味のよい作品はほぼないので、好き嫌いは別れそうかな。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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