ドラマチック・チルドレン (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (364ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425191

感想・レビュー・書評

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  • 感想
    子供達は本当は何を求めているのか。生徒と教師ではない。仲の良い上級生。目線を合わせて、立場に立って。でも時には厳しさも求められる。

  • 富山市の郊外で、非行、不登校、引きこもりなどの問題を抱えた子どもたちを育てる「ピースフルハウス・はぐれ雲」を経営する川又直(かわまた・なおし)、佳子夫妻と、「はぐれ雲」にやってくる子どもたちの心の交流を描いたノン・フィクション作品です。

    この作品の中心に位置しているのは、中井恵という少女です。彼女は一度は非行から立ちなおり、だれもが無理だと思っていた高校に合格を果たしながらも、周囲に流されやすい自分を変えなければならないと思い詰めて四か月に渡ってはぐれ雲から姿をくらましてしまいます。そんな彼女を川又たちは温かく迎え入れ、やがて恵は川又と同じように誰かのために寄り添う仕事をしたいと考えるまでに成長します。

    「はぐれ雲」で恵の一番の友達になった一つ年上の少女・藤原友美も、恵がやってきたことをきっかけに成長を遂げていきます。恵が高校に合格したことに激しいライヴァル心を燃えあがらせた友美は、熱心の勉強に取り組み、やがて「はぐれ雲」から巣立っていくことになります。

    とはいえ、川又は神様ではありません。「はぐれ雲」には、なかなか社会復帰を果たせない鈴木るりのような少女もいます。彼女はそんな自分自身を受け入れることができず、彼女の母親も娘を受け止めることができないでいます。

    一人ひとりがそれぞれ異なる困難を抱えている子どもたちに誠心誠意向き合っている川又夫妻に敬意をおぼえます。

  • よかった。
    富山にある、引きこもりや非行少年・少女を更生させる施設のドキュメンタリーらしいけど、施設そのものの人々も、その人達を観察している目も、暖かくてよかった。

  • 小説だと思って読んでたけど、ドキュメンタリーだった。 だけど、ドキュメンタリーというよりは小説って感じで読みやすい。 引きこもりだったり、不良だったり、人生の最初に躓いた子供たちを更生させる「はぐれ雲」という施設でのお話。 この施設では子供たちが共同生活を送りながら、農作業をしたり、地域の大人たちと関わる事で、本来の姿を取り戻していく。 ここに出てくるのは中高生が多いけど、今同じ状態にある20代30代もいっぱいいるだろう。 本の中でも、問題を抱える人の年齢が上がってきているとの記載がある。 私だって、たまには引きこもりたくなる。 新型うつってやつですかね? 仕事は嫌だけど、休みの日はめっちゃ元気ってやつ。 10代だけでなく、多くの人が心の病を抱える今の社会ってやっぱりどこかおかしい。 その歪による圧力が、弱いところ、弱いところへかかっている。

  • 色々な問題をかかえてる子供たちが、共同生活を送る施設のお話。

    自分の知らない世界がそこにあった。。
    一人一人が自分で考え、たくさんの人の手を借りながら自立していく。
    思春期の繊細な傷つきやすい気持ちに接していく難しさを感じた。

  • 非行に走った少年少女、引き篭もって部屋から出ずに数年経った少年少女。
    そんな子供たちの集まる施設(はぐれ雲)での物語。
    彼らは、家庭や生い立ちに何かしらの問題を抱えていた。
    正しく表現することを許されず、知らずに育ってしまった子供たち。
    だけど、はぐれ雲での生活、人々との出会いを通して、心の絡まった糸がほどけていくような感じ。
    この本のキーワードは、年齢や性別を越えた、『出会い』というものかも知れない。
    出会いの不思議を感じずには居られなかった本でした。 

  • 中学ぐらいの時に読んで面白かった気がする。
    でも内容は思い出せないので★よっつ。

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    <blockquote><p><strong>富山市郊外にある『ピースフルハウス・はぐれ雲』。さまざまな問題を抱えた子どもを預かり、共同生活を通じて立ち直らせるための施設だ。ある日、主宰者の川又夫妻は中学3年の恵を迎え入れた。登校拒否、無断外泊、シンナーなどひと通り経験ずみの彼女は、古株の非行少女とすぐに激突。『はぐれ』には緊迫した空気が流れて…。悩み苦しむ少年少女の心理を作家の目で追う感動の記録。</strong></p></blockquote>
    著者初のノンフィクションだそうである。
    ノンフィクション風の小説なのだとばかり思って読んでいたのだが、あとがきを読んでまさにノンフィクションであることを知り、現実のなんとドラマチックなことか・・・との思いを新たにせずにはいられなかった。
    人生における出会いの妙が、人をこれほどにも変えるものかという驚きもあり、他人の子どもとここまで真正面から向き合おうとする川又夫妻には頭が下がる。親としても考えさせられることが多い一冊である。</font>

  • 読んでいて頑張らなくてはと思った

  • 背筋がぞくぞく。こわい。

著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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