ヴァンサンカンまでに (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425351

作品紹介・あらすじ

アパレルメーカーに勤める仲江翠は入社一年目。そつなく仕事をこなしていたが、彼女には秘密があった。仕入れ部の課長と不倫恋愛していたのだ。さらに同期の男性とも恋人として付き合い、ゲームのような恋愛を続けた。ところが、同僚女性が上司と無理心中する事件が発生。二人の一途さを理解できない翠だったが、やがて彼女にもつらい出来事が舞い込む。本当の愛に気付くまでの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 愛人もしつつ彼氏もいるってなんか得した気分なのかもしれないが、そうそううまくいくものではないんだろうな。
    どっちにも同じように気を配れるとも思わないし。どっちつかずな感じ。結局、損をするのでは?

  • 令和に読むものじゃない、時代錯誤も甚だしい、昭和的価値観のミソジニー特盛りお腹いっぱい小説。
    だけど嫌悪感を抱きながらも読み進めてしまう。展開も平凡なのに。なぜだろうか。

  • ヴァンサンカン(25歳)までに。
    心情描写がリアルなところが面白くて、ドロドロしていたけど読み進めてしまった。
    翠は性格悪いな〜と思いつつも、読み進めていくとその背景には育った家庭環境での苦い経験があることが分かって同情した。恋愛の渦中にいる間はボロボロになっていても気付かないものだと痛感させられた。刑務所に入ってしまった恋愛でも幸せだと言っている人もいるので、良い顔ができる恋愛が良い恋愛とは一概に言えないけど、一体何が自分に馴染む幸せかは自分で身をもって確かめていかないと分からないなと思った。
    この小説は何を語りたかったんだろう

  • バブル時代の女性社員の恋愛模様が、小説の素材。不倫、ブランド品、そして安パイな保険彼氏。
    巻末にある解説、エッセイストと斉藤由香さんの文章は、その視点や分析が鋭い。

  • 2017_02_16-014

  •  上司の愛人でありながら、同僚の恋人でもある翠。人一倍ドライで全てを割りきり、物事を何でも斜めから見ている印象を受け、なんだか生きにくそうな女の子だなぁ…と寂しくなった。という彼女の性格には彼女の暗い過去も関係しており、ますます翠には幸せになって欲しいと思うのだけど、彼女は他の女にそう思われてきっと癪だろうなぁ。また、作品中に何度も「嫉妬などしていない」と出てくるのだけど、きっとそんなことないんだろうな…翠は器用に見えて、本当は誰よりも不器用なのでは?と思えて、やっぱり彼女を嫌いにはなれなかった。

  • おもしろい!
    自分自身、不倫したり二股かけてる訳じゃないけど、妙に共感できる部分が多々あった。
    女性らしく描写も細かいからリアル。こういうことあるある、こういう人いるいる!みたいな。
    20代後半になって、いろんな出会いがあったりして、また考え方も変わっていくんだろうな。って、自分自身と重ねながら読み終わった。 

    ますます乃南さんのファンになった。
    ただ、さらっと終わったので、もっと読みたかったなー。

  • めっちゃ面白い。最高。主人公の女が計算高くて自尊心高くて泥臭くて最高。聖人君子が出てくるとすぐに「こんな人現実には~」ってへそを曲げちゃう永遠の反抗期な自分にとって、良い子の表面化にヘドロが渦巻くような主人公、大好きです。「自分に似てるからじゃん」と言われましたが、滅相もない。私はあそこまで計算して行動できませんし、イケメンのためにお酒タバコを我慢できませんわ。

    そういえば、一人称で語るのは主人公の翠と不倫相手の荻原だけだから、メインは二人だったのか。翠の印象が強烈すぎて荻原は霞んでしまった感じがする。と言うか、若い弾けるエネルギーと老いて萎みゆく人間だから、必然的に翠のほうが印象に残るわな。

    最後も結局荻原は左遷、イケメンは新彼女をゲットするも翠にチクリと釘を差されるっていう、あんなにビッチな翠が何も不幸を被ってないエンディングだけど、なんも不満なし。自分に自信を持って人生突っ走っていくタイプの人間は、不幸も寄りつけないのよっ!ソウダソウダ!!
    10/13/2012

  • どこか強がって生きてしまう女性。
    恋愛小説はあまり好きじゃないけど、これは嫌いじゃない。
    少なからず理解できる部分があったからだと思う。

  • 2011.12.04
    自分より冴えない女子が幸せになり、前進していくことに対する焦り、その焦りに対し、自分には恋人、愛人どちらもいる、という自尊心で打ち勝とうとしてしまう気持ち、でも結局はどちらも本当に欲しいものではなく最後には何もなくなってしまったこと...考えさせられました。25歳、遊んでられない年齢ですね。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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