しゃぼん玉 (新潮文庫)

著者 : 乃南アサ
  • 新潮社 (2008年1月29日発売)
3.86
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425467

作品紹介

女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返し、自暴自棄な逃避行を続けていた伊豆見翔人は、宮崎県の山深い村で、老婆と出会った。翔人を彼女の孫と勘違いした村人たちは、あれこれと世話を焼き、山仕事や祭りの準備にもかり出すようになった。卑劣な狂犬、翔人の自堕落で猛り狂った心を村人たちは優しく包み込むのだが…。涙なくしては読めない心理サスペンス感動の傑作。

しゃぼん玉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 三浦しをんの「神去なあなあ日常」を読んだ後にすぐ読んだ小説だが、こんなにも似ている話があるのかと驚いた。考えれば、何故か連続して読んだ小説が似通ったストーリーや世界観てなことがよくある。
    どちらが真似したとかは思わない。どちらも面白かったから。「神去なあなあ日常」は明るい空気が全編に流れていたが、「しゃぼん玉」には、張り詰めた空気が漂っていた。ただし暗い話ではなく、最後は希望に満ちた、暖かいエンディングを迎える。「凍える牙」以来だから20年ぶりの乃南アサだったが、感動した。

  • 悪かった人間が真人間になる事は、本当に感動的なのだろうか。
    この本を読むと、主人公に感情移入しそうになる。
    最初から足を踏み外さず普通に頑張ってる人の方が素晴らしい。
    悪い奴の努力は美談ではない。
    でも、それを踏まえてもこの本は暖かく感じた。
    きっと舞台が山奥の田舎で、登場人物も老人が多く温かい人柄だから。
    田舎の人間の良い所だけを上手く書いていると思う。

  • 最初から一気に物語に引き込まれ、あっという間に読み終わりました。
    サスペンスだけれど、最後は「よかった、よかった」と心が温かくなる作品。

  • 身近な大人に不信感を抱きつつ、日々を生活していた少年が、突如非行に走り、自暴自棄になってしまい、行き着いた先が宮崎県のとある村である。都会と違い、村特有のお節介などにより、少年は村人と接していくうちに、鬱蒼としていた気持ちが一歩前に進みだした心情の変化を感じられ、非行に走り、罪を犯した少年、精神的にも歯車が狂っていたはずなのに、それらを邪険にせずに迎え入れてくれた村人の懐の大きさに感動。帰れる場所、包み込んでくれる人がいることが荒んだ心を修復させ、人の心に染み入るのを感じさせたものである。

  • 素直に素直に泣けました。あまり本を読めたことの無い私でも、しっかりストーリーに入り込めた本です。最後自分があんなに泣くとは全く思っておらず、止まらない涙に驚きました。

    主人公・翔人の身勝手な言動には常にハラハラ。ただ、育ってきた過程を知っていく中で、周りの環境がいかに影響を与えていくかを知り、その後の人との出会いも大きいと感じた。
    翔人が婆さん、村の人達と出会えたことに感謝。未来が明るくあって欲しいと願うばかり。

  • 帰る家も頼る家族も仕事も何に一つ持っていない
    ただ漂うようしゃぼん玉のように生きてきた翔人。

    そんな翔人にとって温かく何品もある食事、シーツのかけられた布団、汗水垂らして働いた後のご飯やお風呂、どれも当たり前の事の様だけど穏やかで幸せの象徴に感じられたと思う。

    スマ婆ちゃんやシゲ爺、村の人たちとの愛のある温かい生活の中で徐々に変わっていく翔人の心の変化が丁寧に描かれています。

    自分を想ってくれる人、自分が想う人、帰る場所が出来ると人はこんなにも変わる事が出来る。良かったね翔人。

    ☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆.。.:*・゚☆.。.:

    田舎って良いですね。描写が上手くて、自分も一緒に住んでいるように感じられました。

  • 人を改心させるのは、結局北風ではなく太陽。
    素の優しさに触れたとき、人は初めて償おうとする気持ちになるのだろう。
    物語もきれいにまとまっていて素敵な作品でした。

  • 行くあてもなく、将来の希望なんてものもさらさらもたず、
    金が無くなれば通り魔的な強盗を繰り返してきた主人公が、
    ひょんなことからひとりの老婆と出会い、共に暮らすようになる。

    まぁ、想像通りの展開ではありましたが、エピローグでは泣かされました。笑

    本当に、全ての犯罪者にこのような機会があれば、と、思わずにはおれません。
    性善説を唱えるわけではないですが、
    こういった自暴自棄から派生する犯罪は少なくないと。

    たいした動機や理由もなく、身勝手に、場当たり的に人を傷つけてしまうこと。
    人の痛みがわからないこと。
    隣にある命の暖かさ、重み、かけがえのなさ、すべてがよくわからないこと。
    自分に負けること。

    原因は無数にあるだろうけど、そこにはそこはかとなく『淋しさ』が漂う。
    自分を見ていてくれる人。
    認めてくれる人。
    叱ってくれる人。
    許してくれる人。
    待っていてくれる人。

    罪を犯す時、罪を償う時、頭の片隅にちらつく『誰か』がいること。
    悲しませたくない、失望させたくない、失いたくない『誰か』。

    その『誰か』が碇となり、未遂に留まる案件は少なくないのではないか。

    そんな『誰か』を知らずに、犯罪者になってしまう人は、あまりにも淋しい。

    そう思うと、改めて家族の在りようが問われるのも頷ける気がした。
    教育も然り。

    『心根』を養う機会を如何にして持つかが重要だ。

  • 自暴自棄で何をやっても長続きしない、主人公の伊豆見翔人。
    ひったくりや強盗を繰り返し、遂に人を殺めてしまう!?



    ヒッチハイクをし、逃げるようにしてたどり着いた九州の田舎の村で出逢ったおスマばあちゃんや村の人々は都会に住む翔人にとって、今まで会ったどんな人とも違っていた。




    自然に囲まれた、時代に取り残された様な小さな村での近所の人達との交流で翔人の心が少しずつだが変化していく、、、、


    シゲ爺の野良仕事を手伝う翔人は人のせいにしない、今あることから逃げないという事を学ぶ。
    しかし、自堕落な生活を長年送ってきた翔人はすぐには公正できない、、、


    味気ない容器に包まれているコンビニ弁当ばかり食べていた翔人、素朴で温かな手作りのご飯を食べ、汗水流して働く事の心地よさを知る。


    当たり前の事を忘れていたなってはっと気づかされる一冊。



    ボウはええこというおスマばあちゃんの優しさにじんわり心があたたかくなった。



    根っからの悪人なんて何処にもいないんじゃないか、、、
    愛情によって人はこんなにも変われる。


    一人の少年の再生を描いた、あったかくて、読んだあと清々しい気持ちにさせてくれるそんな物語☆

  • 親からも見捨てられ、通り魔や強盗障害を繰り返す無軌道な若者・伊豆見翔人は、逃亡途中で宮崎の山村にたどり着く。成り行きから助けた老婆スマの家に滞在することになった翔人は、近所の老人シゲ爺の野良仕事を手伝ううちに村の暮らしに馴染んでいくが…。現代の若者の“絶望感”をこまやかな心理描写で描き出す傑作長篇サスペンス。

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