風の墓碑銘(エピタフ)〈下〉―女刑事 音道貴子 (新潮文庫)

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感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101425481

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらず音道シリーズは面白い。

    滝沢とのコンビ復活で、過去、滝沢に助けてもらった音道が、さぞかし滝沢に友好的なのでは?と思ったけど、やっぱり音道は音道だった。
    奈苗との女同士特有の?ドロッとした感じとか、昴一とのギクシャクとか…今回も音道が二重三重に大変な状態だったのだけど、犯人の呆れる様な動機や開き直った物言いの前には、大した事ではなかったかの様に思えた。
    今回の滝沢は音道をそれなりに認めて大人の対応を頑張ってたけど、音道が大人気なかったかな。(色々あったから仕方ないけど).それも含めて、これからも音道を応援したいな。

  • 刑事事件も面白いのですが、主人公やそれぞれの人間模様がしっかりと描かれていて、とても面白く読めました。
    刑事物ですが、人生の教訓も含まれていました。

    最後の100ページは、この事件があと100ページで治まるのかドキドキしながら 一気に読みました。
    シリーズ物とは知らず 今回 初めて最新本を読みましたが、さかのぼってシリーズ全てを読みたいと思います。

  • シリーズ物だったから買った一冊。

    白骨死体発見から始まる殺人事件の真相を探る話だった。

    地道な調査の結果意外な人が犯人だった。
    この犯人の人が登場した時なぜ今の段階で登場したのかと思ったが、犯人だとは思わなかった。

    女刑事とベテラン刑事のコンビは良かった。
    仲は良くないのに信頼し合ってる。

    このコンビの心情が細かく書かれている所も良かった。
    この小説を読んでる自分と同じような考えだなとか共感できる所もあり、このコンビは好感がもてる。

    音道貴子シリーズがこれが最後みたいなのが残念
    だと思った小説でした。

  • 内容が盛りだくさんで面白かったっす。
    結末が急転するので、少し拍子抜け感があります。
    でも、それも良しです^_^

  • 解説を読んで知ったのだが、音道貴子刑事ものは数あれど、音道刑事が、名相棒の滝沢とコンビを組む長篇は、本作が『凍える牙』以来だった。『凍える牙』では、目まぐるしく変わる捜査状況とそれによる音道の葛藤を、うっとうしがられつつ支えた滝沢は名脇役だったが、それは本作でも健在である。だから、この作品を勧めてくれた人に感謝しなければならない。いずれ音道シリーズを読もうと『凍えた牙』を読了したときに思いつつ、ここまで読まずに過ごしてしまったからである。
    起きる事件は、過去の因縁に端を発する、ミステリー小説によくある展開だ。正直に言って、殺人事件の動機としてはやや甘さもあるように感じた。とはいえ、それによって物語のリアリティが希薄になった、と言いたいのではない。本作のリアリティはむしろ音道や滝沢をはじめとする登場人物の描写にこそある。登場人物は、決して主人公あるいはそれに準じた人物のみならず、ほぼすべての登場人物が丹念に描写されている。あたかも実在する人物を描いたような現実味と親近感を覚えるのである。
    とりわけ音道と滝沢が交わす会話や心のなかでの呟きは、本当に読んでいて痛快である。滝沢については、解説にあるように著者本人としては典型的な中年男(つまり、ハゲ、デブ、そして不潔感)をイメージしたらしい。それを包みなく書けるのは、著者が女性だからだろう。そうでなければ、相当な自虐さを持たねば書くことはできない。一方で時折見せる冷徹な視線や不器用な労りが、この物語の大きな読みどころの一つとなっている。乃南氏の描く滝沢――特に音道の目を通して見た彼――は本当に痛快である。
    本作は単にミステリーという枠組みにとどまらず、ヒューマンドラマとして読むこともできる。噛むほどに味の沁み出す物語と言えるかもしれない。
    割とありきたりな結論であるにも関わらず、読後感はとても良かった。ミステリーだと構えずに、良質のヒューマンドラマとして、肩の力を抜いて読むくらいが、この物語に対する適切な熱量なのかもしれない。いずれにせよ、繰り返しになるが、この物語を勧めて、出会わせてくれた人に、だから私は感謝している。

  • 地道に捜査を続けてきた点が次第につながり始めてゆく。時の流れと共に、人間関係にも変化が表れてゆくのも自然なことと思えて来る。最後には落ち着くところに落ち着いたという感。
    そろそろ、滝沢・音道コンビの新しい作品が読みたいなあ。それにしても、犯人の犯行に至った動機の何と自己中心的なことか・・・

  • Rさまオススメ本、下巻。
    うーん、面白かった!
    出てきたときから気に入らなかった人物が、もしかしてと思ったら、という感じでしたが。
    それをどのような事件として作り上げるのだろう?と続きが気になって仕方なかった。
    二人のコンビもようやくしっくりきて、ほっとしたり、嬉しくなったり。
    しかし、とんでもなくバカな男にしがみついてる奈苗にイライラしてしまった。
    まあ、夢中になっている状態の女子はこうなってしまうものでしょうか。

    最後はほんとにすべてにほっとして、読後感も良かったです。

  • 音道シリーズ長編の第3弾。
    解体中の民家の敷地から、25年ぐらいは経っていると思われる白骨死体が見つかる。白骨死体の身元を調べているうちに、家主の老人が撲殺され…
    今回は何故か入り込めない作品だった。過去の事件を調べてるせいか、テンポもいまいちで、今までは読んだ中では一番つまらないかも。

  • 他の方も同じ感想を持たれていましたが、事件は終盤になって慌ただしく解決に向かう。話の中心は主人公と関わる同僚とのエピソードでしょうか。特に音道さんの因縁がある相棒さんが頻繁に"便所"へ急ぐ場面がありヤキモキさせられた。良き仲間との決別必至の付帯的な事件もあり、恋人とのモヤモヤありと、常に緊張感を持ち続けたのではと思う。

  • 一気に読んでしまいました。途中から滝沢さんの身体が心配で気になって仕方がなかった。犯人のアイツの言い分にイライラ。音道さん良くぞ言ってくれました。これからも活躍を期待しています。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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