おしまいの日 (新潮文庫 あ 19-3)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101426037

感想・レビュー・書評

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  • 精神異常者の主観で描かれている点が何よりもホラー。
    読者だけが気づいている異常、読者であるためにそれを止める事ができない、そして加速する事態に目を伏せたくなる。
    新しいホラー。

  • まだ読み始めたばかりだがとりあえず現時点で強く感じた事があったので。
    この人の小説内で時折言及される傾向にあるらしい女性像が母に少し(?)似ていて苦しい事がある。
    とりあえず後々読み切った後にまた新たに感じた事があったら書く。

  • 三津子恐るべし。
    サイコホラーって本の裏にあるけど、
    うんそう言われると間違いなくサイコホラー。
    しかしある意味よく耐えた三津子。

  • 読了日2010/11
    この主人公、私とあまり変わらない境遇だけに怖い
    長崎にいた時の孤独な生活と重なってブルブル。。。
    私も、こうなってたかも・・とか

    でも、今の時代、こんな夫の状況は多いと思うな。これは、かなり前に書かれた本だから。
    私も、結婚以来ずぅ~っと、ひろと顔を合わせるのは、ほとんど週末のみ。
    平日は、朝の10分程度のみ。しかも寝ぼけてるから、ほぼ会話はありません。
    私が、無事に狂わなかったのは、夫への愛情が足りなかったおかげ?(笑)いやいや、福岡に帰ってこれたおかげなはず!!!
    冷静に考えると行きすぎてる感じがあるような気もするけど。

  • 夫のことを愛し続ける妻。しかし夫は忙しすぎたのです。
    幻猫、白い虫、おしまいの日。
    サイコホラー。
    妻が精神的におかしくなっていく、と見せかけて実はそうじゃない。本質は違うところにあるようだ。

  • 後半の日記の破壊力。人間の心情の描写(もはや文字ではない)でゾワゾワッとしたのは初めて。というかこういう手法って見たことが無い。

    日記と、その日記に書かれていることの日常の注釈のような文章が交互に構成されていて読みやすく、そして先が気になり、一気に読んだ。

    果たして、おかしかったのか。誰がおかしかったのか。誰が悪かったのか、悪くなかったのか。最後の最後泣けてしまった。切ない。

    新井さんの本はこれが初めてだったんだけど、他にも読んでみたくなった。

  •   そもそもここには悪気なんてものは欠片もないのです。
    それでも人はこうも追い詰められてしまう。悪意よりもまじりっ気なしの好意の方が怖いです。悪意ではないのだから攻めるのは間違ってる、そう思う事で結果的に自分で自分を追い詰める事になってしまう。結果、狂っていく。それもゆっくり、ゆっくり狂っていくんです。それが何より怖かったです。

      三津子の"あたしはここにいるの、あたしはここよ、あたしを愛して、お願いさみしいの"そういう悲痛な叫びが聞こえるようでとても苦しかったです。三津子は確かにズレています。それでも共感してしまう。本当の"おしまいの日"は来るべくして来たものですよね。何事も度が過ぎると怖いです・・・。

      寂しさって、理屈じゃないですよね。あの人だって忙しいんだから、とか、これこれこうだから寂しいって思っちゃいけないんだ、っていうのは理性のある大人なら思う事かもしれないけど、そう思う必要なんてなかったのに。寂しかったら少しでいいから、寂しいって言うべきだったのに。少なくともその思い自体を潰すべきじゃなかったのに。

  • 文体が受け付けず、読むのがしんどかったが、設定は引き込まれました。
    私もこの主人公と同じだった。
    日付が変わる頃に帰ってきて、7時前には家を出る夫。土曜、祝日なし。実家は遠く、転勤族。この本に出てくる夫は、奥さんに待たれるのが嫌だと言っていたが、妻としては少しでも会話がしたいから待っている。あまりにも遅いと何かあったのではと心配になって余計眠れない。
    子育てもほぼ一人でやった。十年後、私も病んだ。
     主人公の苦しみが分かりすぎて辛かった。

  • 段々と狂っていく様を見るのは辛かったです。ただ、最後まで読んで、誰が狂っていたのかといろいろ考えさせられました。

  • 結婚こそしていないが、パートナーの境遇があまりにも似ていて、しんどかった。だからこそ読もうと思った本なのだが。一緒に暮らせたらもう少しわたしのメンタルが落ち着くのではと思うけれど、逆にもっとおかしくなる事もあるのだろうか。ただ、今のように心配だけどなにもできないのはしんどい。恋人に読ませたい。わたしより先に死なないでほしい。
    孤独というのは不幸な事なんだな、と、少しだけ救われた。間違いなく不幸だと言うのはなぜか気が引けるけれど、間違いなく孤独だもの。
    いかんせんわたしの今までの恋人たちはワーカーホリックというか、仕事の忙しい人が多かったように思う。ただ今の恋人ほど見ていて心配になる人ははじめて。もっと働いている人だっていたのに、なぜなんだろう。一緒に暮らしていないから、というのが大きいとは思うのだけれど。

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著者プロフィール

1977年「わたしの中の・・・・・・」が奇想天外新人賞佳作に入賞し、デビュー。以後『いつか猫になる日まで』『結婚物語』『ひとめあなたに・・・』『おしまいの日』などを発表。1999年に発表した『チグリスとユーフラテス』が第20回日本SF大賞を受賞。

「2022年 『絶対猫から動かない 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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