おしまいの日 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 70
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101426037

感想・レビュー・書評

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  • 夫のことを愛し続ける妻。しかし夫は忙しすぎたのです。
    幻猫、白い虫、おしまいの日。
    サイコホラー。
    妻が精神的におかしくなっていく、と見せかけて実はそうじゃない。本質は違うところにあるようだ。

  • 後半の日記の破壊力。人間の心情の描写(もはや文字ではない)でゾワゾワッとしたのは初めて。というかこういう手法って見たことが無い。

    日記と、その日記に書かれていることの日常の注釈のような文章が交互に構成されていて読みやすく、そして先が気になり、一気に読んだ。

    果たして、おかしかったのか。誰がおかしかったのか。誰が悪かったのか、悪くなかったのか。最後の最後泣けてしまった。切ない。

    新井さんの本はこれが初めてだったんだけど、他にも読んでみたくなった。

  •   そもそもここには悪気なんてものは欠片もないのです。
    それでも人はこうも追い詰められてしまう。悪意よりもまじりっ気なしの好意の方が怖いです。悪意ではないのだから攻めるのは間違ってる、そう思う事で結果的に自分で自分を追い詰める事になってしまう。結果、狂っていく。それもゆっくり、ゆっくり狂っていくんです。それが何より怖かったです。

      三津子の"あたしはここにいるの、あたしはここよ、あたしを愛して、お願いさみしいの"そういう悲痛な叫びが聞こえるようでとても苦しかったです。三津子は確かにズレています。それでも共感してしまう。本当の"おしまいの日"は来るべくして来たものですよね。何事も度が過ぎると怖いです・・・。

      寂しさって、理屈じゃないですよね。あの人だって忙しいんだから、とか、これこれこうだから寂しいって思っちゃいけないんだ、っていうのは理性のある大人なら思う事かもしれないけど、そう思う必要なんてなかったのに。寂しかったら少しでいいから、寂しいって言うべきだったのに。少なくともその思い自体を潰すべきじゃなかったのに。

  • 読んでる途中から自分がおかしくなりそうで、頭がクラクラし主人公の手紙等は飛ばし飛ばし読みました。主人公は心に問題を抱えているが認めず、そんな主人公を心配して夫が主人公の友人に相談。その友人が簡単なバイト(投稿ハガキの整理)を紹介。ここから悪夢が始まる。段々現実と妄想の世界がわからなくなり徐々には妄想が現実、現実が妄想と認識していく。彼女にとってはそれが現実。しかしお腹に赤ちゃんが…彼女は妄想(いや現実か)の化け物の子を身籠っていると思っている。読んでいて狂っていく様がありありと伝わってくる作品に圧巻!

  • 私は彼女のようには考えることが出来ないけれど、
    そういうこともあるのかも・・・と痛々しくもあり
    怖くもあり、せつない気持ちになった

  • 読了日2010/11
    この主人公、私とあまり変わらない境遇だけに怖い
    長崎にいた時の孤独な生活と重なってブルブル。。。
    私も、こうなってたかも・・とか

    でも、今の時代、こんな夫の状況は多いと思うな。これは、かなり前に書かれた本だから。
    私も、結婚以来ずぅ~っと、ひろと顔を合わせるのは、ほとんど週末のみ。
    平日は、朝の10分程度のみ。しかも寝ぼけてるから、ほぼ会話はありません。
    私が、無事に狂わなかったのは、夫への愛情が足りなかったおかげ?(笑)いやいや、福岡に帰ってこれたおかげなはず!!!
    冷静に考えると行きすぎてる感じがあるような気もするけど。

  • 途中ぞっとした。春さんの最後でえー?と思わせてからの最後そうなるのか。でも大なり小なりこういう夫婦は昭和時代にはいたんだろうな…。

  •  結婚7年目の三津子は専業主婦。大好きな忠春と一緒に暮らせて幸せだが、彼は仕事がいつも忙しく、なかなか帰ってこない。いつか身体を壊すのではないかとそればかりが心配で、毎日やってくるようになった猫のことや、高校卒業以来に会った同級生の久美についても言い出せずにいる。

     自分の人生において夫だけがすべてで、それ以外には何もない三津子。それはある意味幸せなことであり、ある意味怖いことであり。「重すぎる」という久美の夫の感覚が普通なのだろう。尋常でない夫への執着、そしてどんどん狂っていく思考。にゃおんの行方やお腹の中のものにたいする認識など、空恐ろしい。文体も独特で、ものすごく引き込まれた。

  • 手放し本。

    '96.8読了。
    人の心に潜む潜在的狂気の話。忠春も見方によっては「おかしい」部類に入る。結末が救いが無さすぎる。

  • この小説が言いたい事は何なのか、という点が分類時のジャンルとされるのだろうが、帯に書かれていたサイコホラーとは少し異なる気がしている。何度も繰り返される、現代日本社会における会社人の異常性。そして、その異常社会でサラリーマンを務める夫を支える妻。誰も悪くない。ただ、社会が必然的に、過労を強い、夫婦を圧していく。精神的に追い詰められたる妻…。

    読んでいてドキドキさせられるのは、読者である自分もその異常性に内含される一員だからだ。心理の捉え方、心理的変遷の論理性が見事であり、リアリティー度が高い。そのため、まさに、どちら側がサイコでホラーな世界なのか、見紛い、ドキドキするのである。

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著者プロフィール

新井素子

一九六〇年東京生まれ。立教大学独文科卒業。高校時代に書いた『あたしの中の……』が第一回奇想天外SF新人賞佳作を受賞し、デビュー。八一年『グリーン・レクイエム』、八二年『ネプチューン』で連続して星雲賞を受賞、九九年『チグリスとユーフラテス』で日本SF大賞を受賞した。他の作品に、『……絶句』『もいちどあなたにあいたいな』『イン・ザ・ヘブン』『銀婚式物語』『未来へ……』など多数。

「2019年 『ダイエット物語……ただし猫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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