恋 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2002年12月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784101440163

みんなの感想まとめ

官能と虚無感が交錯する独特の恋愛模様が描かれた作品は、主人公の死から始まる回想録の形を取り、深い感情の揺らぎを見せます。女子大生の布美子は、助教授の片瀬とその妻・雛子との特異な三角関係に魅了され、自由...

感想・レビュー・書評

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  •  某読書エンタメ番組で、一穂ミチさんがおすすめの恋愛小説として紹介した作品です。一穂ミチさんが放心し絶賛? これは読まねば!となりました。1995年発行の直木賞受賞作です。

     小池真理子さん作品は『冬の伽藍』(1999年)のみ既読でした。実はそれも柚月裕子さんが繰り返し読んでいるとの記事情報からで、我ながらミーハー気質笑。でも新たな作品との出合いには、きっかけが必要ですよね?(苦しい弁解…)

     そもそも本作は、ハヤカワ・ミステリワールドとしての書き下ろし長編で、主人公の死から始まり、死の間際に事件の内容をノンフィクション作家に伝えた回想録の形を取っています。動機解明重視のミステリジャンルのはずなのですが…。

     内容はと言えば、形容し難い官能世界が、これでもかというほど濃密かつ繊細に描かれます。女子大生の主人公・布美子が、助教授の片瀬とその妻・雛子と出会い、特異な三人の関係が物語の主軸となります。

     一般的で常識的なモラルの枠組みを逸脱し、束縛を超え性に対して自由奔放で異質な夫婦。この2人に布美子は魅了され、倒錯した世界に溺れていきます。これが退廃的で甘美を越した耽美な描写、そして布美子の陶酔する空気が伝わる筆致で綴られ、まさに激しく悲しく美しい物語です。

     軽井沢の別荘で過ごした夏の描写も美しく、雨や霧の湿気と不穏さ、そして並行して進む浅間山荘事件、さらにその後の3人の関係の揺らぎと崩壊との対比が鮮やかです。
     ただの恋愛関係でも三角関係でもない、私の知らない虚無感漂う世界に圧倒されつつ引き込まれ、切なく強烈な余韻を残す結末に酔いしれました。

    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      おびのりさん、こんばんは♪
      小池さんあまり読み込めてませんが、
      読了した2作はドンピシャでした笑

      本作の時代背景が思いっきり昭和で、
      その...
      おびのりさん、こんばんは♪
      小池さんあまり読み込めてませんが、
      読了した2作はドンピシャでした笑

      本作の時代背景が思いっきり昭和で、
      そのノスタルジックさも余計によかったです(^^)
      2026/04/19
    • おびのりさん
      そのあたりの小説が読みやすいですよね
      あーお年がしれますわー
      そのあたりの小説が読みやすいですよね
      あーお年がしれますわー
      2026/04/19
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      そーざますわよねぇ、おほほほ…(キモ!)
      知らない世界(知ってたら大変)、
      美味しゅうございました笑
      そーざますわよねぇ、おほほほ…(キモ!)
      知らない世界(知ってたら大変)、
      美味しゅうございました笑
      2026/04/19
  • 久しぶりに小説らしい小説を堪能しました。
    殺人罪で10年の服役を終えた後、世の中から隠れて静かに生きてきた女性の葬儀から始まり、死の前、彼女からその犯罪に至った真相を聞いたノンフィクション作家の回想となります。
    事件は、彼女が女子大生の時、学生運動の終焉浅間山荘事件のその日に起こりました。
    エネルギーはあるけれど、退廃的な学生運動と、彼女がのめり込んでいく、ブルジョアな奔放的享楽の生活が、反しながらも、その時代に共鳴していくような。
    彼女は、大学教授夫妻とアルバイトを通じて知り合い、夫婦それぞれの魅力と、二人の倒錯的な関係性に魅了されていく。“恋”は、この三人のバランスの上に成り立つ、特異な純愛感情でした。永遠に続くと思われたこの関係が、異分子が入り崩れていきます。
    最後まで、官能的で虚無感漂う魅惑的な作品でした。

    • ゆーき本さん
      「神よ憐れみたまえ」が面白かったから
      読んでみようかなぁ。
      「神よ憐れみたまえ」が面白かったから
      読んでみようかなぁ。
      2023/05/22
    • みんみんさん
      やっぱ昭和感満載が好きよ(〃ω〃)
      おばちゃんは今どきについていけない笑
      やっぱ昭和感満載が好きよ(〃ω〃)
      おばちゃんは今どきについていけない笑
      2023/05/22
    • おびのりさん
      最近は、読み手も贅沢言うから、時系列変えたり、語り部変えたり、飽きさせないように大変よね。
      まっすぐ直進して読めるってのも、良いわ。
      最近は、読み手も贅沢言うから、時系列変えたり、語り部変えたり、飽きさせないように大変よね。
      まっすぐ直進して読めるってのも、良いわ。
      2023/05/22
  • 鈴木保奈美さんのBS番組で作家の一穂ミチさんが紹介されていて気になったので読んだら,,,
    打ちのめされました。
    こんな切ないけど幸福感のある読書体験初めてかもしれない,,,
    私の中にも、あの3人の姿が今でも本当に生き続けているし、
    携帯電話のない時代だから美しいなって思ったり、とにかく読みやすいし文書が綺麗でした。

  • 直木賞受賞作。
    素晴らしかった。

    殺人を犯して服役を終えたのち、ガンで亡くなった矢野布美子の葬儀から始まる。
    布美子のノンフィクションを書こうとした鳥飼。布美子の語りで、事件の真相が明かされる。

    大学助教授の信太郎、その妻で子爵の娘の雛子。奔放な二人に惹かれていく、ふーちゃんこと布美子。
    ただの恋愛とはまた違う、どうしようもなく惹かれていく気持ちの表現が素晴らしすぎる。
    一挙手一投足の描写がリアルで美しい。

    小池さんのあとがきからは、作家の葛藤と飛躍がひしひしと伝わってきた。
    阿刀田高さんの解説も、愛があってとても良かった。

  • 第114回直木賞受賞作。

    読み進めるのに苦労したというか…
    辛い気持ちにさせられるというか…

    女子大生が奔放な結びつきの大学教授夫妻に惹かれて、その関係に陥っていく物語。

    『恋』とは…
    どう表現したらいいのだろうか。

  • 寝かせて寝かせ熟成させている積読本の一冊。

    さぁ、読むよ〜と手にとった瞬間から一瞬で物語の世界へ…

    3人の愛?結びつき?…3人だからこそ分かち合える世界を一緒に体験することができる。

    ラストの頁になぜだか嬉しくもありお別れでもあり愛情を感じる。

    小池真理子さんの作品には酔わされるから大好き!
    まだ熟成させている本がたくさんあるから読むのが楽しみ!


    ぜひ〜

  • アブノーマルな恋愛に引き込まれ、そこで起きた不幸な事件。一生を棒に振ってしまった(?)元女子大生が語る彼女目線のお話。
    お話自体は面白くない訳でもないのにとても読み終わるのに時間がかかってしまった。
    共感出来る登場人物が見当たらなかった。

  • タイトルの壮大さから、どんな物語か想像つかず読み始めたら色々な設定がとんでる部分があり、「またまた…無理あるでしょう」と序盤は冷静に眺めていました。

    読み進めていくと、布美子、信太郎、雛子たち登場人物がとても立体的に思えてきて、一緒にラストまで落ちていくようにさえ感じました。
    恋って言うとなんだか響きがよく、キラキラした印象を受けますがこの本でかなりイメージを覆されました。恋という曖昧な言葉の、醜いところや虚無感をかなり凝縮したようなお話。

  • 小池真理子(1952~)
    軽井沢で執筆した本作で直木賞を受賞(1995)
    夫は同じく直木賞作家の、藤田宜永(よしなが)(1950~2020)


    女子大生の矢野布美子が、大学助教授の片瀬信太郎と妻の雛子というインモラルな夫婦に心酔するお話。
    1970年という時代背景もキーの1つだが、勉強不足のせいであまりリアルに想像できず。

    猟銃で射殺とか、異母兄妹が結婚とか、殺人犯が10年で出所とか、いろいろ引っかかるところはあったけれど、大切なのは「恋」であるのでサラッと受け流す。
    布美子が夫妻に恋する様子(愛ではない)がとても丁寧に描かれていて、大事なのはそこなのだ。

    布美子が信太郎だけでなく、雛子にも恋をするのがごく自然なことに感じられたのは、小池さんの筆力。
    とにかく雛子というキャラが突出してよかった。
    匂い立つ妖艶さ。生々しさ。

    布美子をドラマ版の石原さとみに変換して、再読したい気もしなくもない。
    私的には長澤まさみのほうがイメージに近かったけれど、小池さんが太鼓判をおしたドラマらしいので、石原さとみでいいのだろう。

  • 完璧。
    その一言に尽きる直木賞受賞作。
    タイトルの【恋】で手に取るのを敬遠しがちだが、ただの恋ではないそんな印象を受けた何対もの異常な恋。
    片瀬夫婦とふうちゃんの普通じゃない三角関係、そこに現れてしまった一人の男による、肉体と精神を取り巻く快楽と苦痛の話。とにかくあり得ない設定だけど、惹かれ合うそれぞれには共感してしまう。そして期待を裏切らないラストから見る全体の構成に拍手。

    小池真理子さんが政治、経済といった社会現象には全く興味がなく、愛とエロスと死のような人間の本質的なことばかりを考え書いているとはまさにこの事だと思う。
    この人の描く短編も好きだけど、時間を忘れてどっぷりと浸れる長編はもっと好き。
    冬の伽藍で冬の軽井沢に連れて行ってもらい、恋で夏の軽井沢に連れて行ってもらえた気がした。
    私の中でもこの3人は実際にいたように生き続ける気がする...マルメロの木と共に。

  • 1970年代の浅間山荘事件があった頃が物語の舞台。大学闘争、携帯がなく固定電話、タバコ吸い放題の昭和の時代がリアル描かれて少し懐かしさがありました。主人公がなぜ罪を犯すことになったのか、読み進めて終わりが近づいてくると、切なさがこみ上げてきます。今まで読んだことのない異質ともいうべき恋の物語。恋愛小説でもありサスペンス的な要素がありとても印象に残った作品でした。

  • 奇妙で退廃的な内容なんだけど、淡々と読める。
    戻れない過去についての話だと序章で理解した上で物語が展開する流れと、情景描写が緻密なお陰でさっぱりとした読後感を味わえたような気がする。

    信太郎も雛子も奔放だけど、2人は人間、一般人として過ごしている。
    2人のうち特に信太郎は、助教授という社会的存在の自覚を忘れていない一般人であるにも関わらず、布美子にとっては彼らは世間から逸脱した神のような存在に見えていたのが理想の押しつけに思えるし、紛れもなく恋だった。

    事件が起きてからの信太郎と雛子の胸中が気になる。
    共感がしにくいからこそ面白くて、感想を抱くのが難しい。

  • 文学小説みたいで素晴らしかったです。ラストも良かった、、
    タブーが満載なのに、美しく感じてしまう世界観がすごいです。

  • 小池真理子さんの小説は、読んでいてとても心地よく、癒される。上品で、自然に流れる文章に引き込まれ、気付くと物語の世界に自分が居る感覚・・何度も味わっている。大好きな作家さん。

  • なかなか読むのに苦労してしまった。ホラー小池真理子しか読んでなかったんで、思ってた小池真理子と印象が随分違うのと、大部分を占める独白部分がなかなか読み進められず。それを挟む序章と終章は穏やかでとても情緒深い。変に感動を取りに行かないのも良かったが、その分一層悲しい。

  • 「恋」。完璧。圧倒されて直ぐにはまとめられませんでした。息苦しい。
    片瀬夫妻はどんな関係でも2人で一組で、布美子はそれをいつまでも失いたくなかったんだろう。布美子は片瀬先生の事は好きだけど、片瀬先生は妻の雛子にぞっこんで、それなら2人の側にペットみたいにいるだけでも…な打算もきっと。
    布美子を足して3人一組だと片瀬夫妻は思ってたけど、雛子が大久保に本気の恋をしたところで崩壊する。
    大久保は布美子に、「お前はお子ちゃまだ」みたいな態度を貫くし、雛子がそんな大久保にぞっこんでそれまでの(布美子にとっては)素敵な姿から変わってしまったのも耐えられず…で発砲、というのも自然な流れでした。
    布美子の心情が過不足なく描かれていて物凄いです。なんたって全共闘世代の大学生だし元恋人は活動家なので知らず知らずその空気に染まってて、意識しなくても「銃」が選択肢にある。
    発砲当日、あさま山荘事件でざわつく世間が背景として描写されるのも緊迫感がありました。この日は母も一日中テレビに齧り付いてたって言ってた。
    ラストの救いも好き。布美子に届いてたら救いレベルは上がったのでしょうけど、そこは殺人は殺人という線引きがされているように思いました。良かったです。

  • 読み終わった後も余韻が続いている。信太郎と雛子は今どんなものを見て、どんなことに感動しているのかななんて、実在の人物ではないのに思いを馳せてしまう。ふうちゃんはひとの心にともしびを灯せる人。炎の烈しさは人それぞれ違うけれど、ただその実感が欲しかったんだなと思う。

  • この本は本当にすごい、凄まじく素晴らしい。不可解で退廃的な魅力と不思議な清らかさ。三度目の読破ですが、いつも変わらぬ衝撃を受けます。圧倒的です。 

  • なんか…恋っていうレベルが違いすぎて正直布美子の気持ちは理解できなかったわ。大人って…恋って複雑だ…難しいね。

  • 文句なし!全くの無駄、誤謬なし!
    精緻すぎるほど美しい物語と情景描写
    直木賞や芥川賞の作品はいくつか読んだけど、現時点では「恋」に勝るものはないと感じた
    ただただ美しい、そして、物悲しい…
    小池真理子の真髄を見た気がした

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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