恋 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (517ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101440163

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに小説らしい小説を堪能しました。
    殺人罪で10年の服役を終えた後、世の中から隠れて静かに生きてきた女性の葬儀から始まり、死の前、彼女からその犯罪に至った真相を聞いたノンフィクション作家の回想となります。
    事件は、彼女が女子大生の時、学生運動の終焉浅間山荘事件のその日に起こりました。
    エネルギーはあるけれど、退廃的な学生運動と、彼女がのめり込んでいく、ブルジョアな奔放的享楽の生活が、反しながらも、その時代に共鳴していくような。
    彼女は、大学教授夫妻とアルバイトを通じて知り合い、夫婦それぞれの魅力と、二人の倒錯的な関係性に魅了されていく。“恋”は、この三人のバランスの上に成り立つ、特異な純愛感情でした。永遠に続くと思われたこの関係が、異分子が入り崩れていきます。
    最後まで、官能的で虚無感漂う魅惑的な作品でした。

    • ゆーき本さん
      「神よ憐れみたまえ」が面白かったから
      読んでみようかなぁ。
      「神よ憐れみたまえ」が面白かったから
      読んでみようかなぁ。
      2023/05/22
    • みんみんさん
      やっぱ昭和感満載が好きよ(〃ω〃)
      おばちゃんは今どきについていけない笑
      やっぱ昭和感満載が好きよ(〃ω〃)
      おばちゃんは今どきについていけない笑
      2023/05/22
    • おびのりさん
      最近は、読み手も贅沢言うから、時系列変えたり、語り部変えたり、飽きさせないように大変よね。
      まっすぐ直進して読めるってのも、良いわ。
      最近は、読み手も贅沢言うから、時系列変えたり、語り部変えたり、飽きさせないように大変よね。
      まっすぐ直進して読めるってのも、良いわ。
      2023/05/22
  • 第114回直木賞受賞作。

    読み進めるのに苦労したというか…
    辛い気持ちにさせられるというか…

    女子大生が奔放な結びつきの大学教授夫妻に惹かれて、その関係に陥っていく物語。

    『恋』とは…
    どう表現したらいいのだろうか。

  • タイトルの壮大さから、どんな物語か想像つかず読み始めたら色々な設定がとんでる部分があり、「またまた…無理あるでしょう」と序盤は冷静に眺めていました。

    読み進めていくと、布美子、信太郎、雛子たち登場人物がとても立体的に思えてきて、一緒にラストまで落ちていくようにさえ感じました。
    恋って言うとなんだか響きがよく、キラキラした印象を受けますがこの本でかなりイメージを覆されました。恋という曖昧な言葉の、醜いところや虚無感をかなり凝縮したようなお話。

  • 完璧。
    その一言に尽きる直木賞受賞作。
    タイトルの【恋】で手に取るのを敬遠しがちだが、ただの恋ではないそんな印象を受けた何対もの異常な恋。
    片瀬夫婦とふうちゃんの普通じゃない三角関係、そこに現れてしまった一人の男による、肉体と精神を取り巻く快楽と苦痛の話。とにかくあり得ない設定だけど、惹かれ合うそれぞれには共感してしまう。そして期待を裏切らないラストから見る全体の構成に拍手。

    小池真理子さんが政治、経済といった社会現象には全く興味がなく、愛とエロスと死のような人間の本質的なことばかりを考え書いているとはまさにこの事だと思う。
    この人の描く短編も好きだけど、時間を忘れてどっぷりと浸れる長編はもっと好き。
    冬の伽藍で冬の軽井沢に連れて行ってもらい、恋で夏の軽井沢に連れて行ってもらえた気がした。
    私の中でもこの3人は実際にいたように生き続ける気がする...マルメロの木と共に。

  • なんか…恋っていうレベルが違いすぎて正直布美子の気持ちは理解できなかったわ。大人って…恋って複雑だ…難しいね。

  • 「恋」。完璧。圧倒されて直ぐにはまとめられませんでした。息苦しい。
    片瀬夫妻はどんな関係でも2人で一組で、布美子はそれをいつまでも失いたくなかったんだろう。布美子は片瀬先生の事は好きだけど、片瀬先生は妻の雛子にぞっこんで、それなら2人の側にペットみたいにいるだけでも…な打算もきっと。
    布美子を足して3人一組だと片瀬夫妻は思ってたけど、雛子が大久保に本気の恋をしたところで崩壊する。
    大久保は布美子に、「お前はお子ちゃまだ」みたいな態度を貫くし、雛子がそんな大久保にぞっこんでそれまでの(布美子にとっては)素敵な姿から変わってしまったのも耐えられず…で発砲、というのも自然な流れでした。
    布美子の心情が過不足なく描かれていて物凄いです。なんたって全共闘世代の大学生だし元恋人は活動家なので知らず知らずその空気に染まってて、意識しなくても「銃」が選択肢にある。
    発砲当日、あさま山荘事件でざわつく世間が背景として描写されるのも緊迫感がありました。この日は母も一日中テレビに齧り付いてたって言ってた。
    ラストの救いも好き。布美子に届いてたら救いレベルは上がったのでしょうけど、そこは殺人は殺人という線引きがされているように思いました。良かったです。

  • 著者の作品は過去に何作か読んだことがある。短編集が読みやすい印象があった。
    久しぶりに著者の作品を手に取った。
    浅間山荘事件の時代、昭和の真っ只中が描かれ、官能のシーンが情景が浮かび上がるように丁寧に表現されている。主人公に共感は出来ないが、彼女の揺れ動く心、胸の内は理解出来る不思議な体験ができた。やはり3人が強く繋がっていたことがわかるエンディングで救われる。

  • なかなか読むのに苦労してしまった。ホラー小池真理子しか読んでなかったんで、思ってた小池真理子と印象が随分違うのと、大部分を占める独白部分がなかなか読み進められず。それを挟む序章と終章は穏やかでとても情緒深い。変に感動を取りに行かないのも良かったが、その分一層悲しい。

  • 前半と後半で印象ががらっと変わるような本だった。前半の、片瀬夫妻との甘やかな日々のままこの物語が終わってほしいとも思ってしまった反面、例の人物が現れてからの堕落した感じというか研ぎ澄まされていくような雰囲気もよくて、一冊でこんなに振り幅のある本はなかなかないのでは、と思った。いいなあ、片瀬先生みたいなひとが近くにいたら。

  • 恋 
    小池真理子
    23-3-5

    主人公である矢野の葬式から回想するようにしてこの物語は進んでいく。導入めちゃかっこよかった。

    矢野が慎太郎と雛子に出会い、歪とも言える関係を築く前半、物語は全体的に官能的でどこか神秘的な雰囲気を持ちながら進んでいく。

    「ひょっとすると自分たちこそが世界であり、自分たちを取り巻いているこの満天の星空のほうが世界の外側にあるのではないか。」これはローズサロンに出てくる一文なのだが、3人の関係は書かれている通りローズサロンそのものであり、進むにつれその関係はより閉鎖的に、より密度を大きくしていったように思う。矢野は夫婦に恋をして、依存して、また夫婦もそれを受け入れた。

    そして後半、封鎖的に作られた3人の空間は雛子の新たな“恋”によって崩れ始める。狭い空間を築いていただけに雛子が抜けてできた穴からは大量の水が流れ込み残された二人を飲み込んだ。破滅的なラストを迎えるとわかっているのに、ページが進むにつれ息苦しさは増し、指が震える。

    淡々と破滅に向かって進んでいくこの物語には、ところどころ矢野の後悔が生々しく散りばめられている。矢野が起こした事件によって得られた成果と言える現実を矢野は知ることなく死んでいった。

    終盤、息が苦しかった。もう少し救いがあってもいいはずだった。

    こんなに読みながら震えてハラハラした小説は初めてだった。人、風景、心情どれをとってもとても美しい描写だった。

    挑戦的なタイトルと導入。そしてそれを上回る化け物みたいな中身だった。最高。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小池真理子の作品

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