恋 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1993
感想 : 256
  • Amazon.co.jp ・本 (517ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101440163

感想・レビュー・書評

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  • 完璧。
    その一言に尽きる直木賞受賞作。
    タイトルの【恋】で手に取るのを敬遠しがちだが、ただの恋ではないそんな印象を受けた何対もの異常な恋。
    片瀬夫婦とふうちゃんの普通じゃない三角関係、そこに現れてしまった一人の男による、肉体と精神を取り巻く快楽と苦痛の話。とにかくあり得ない設定だけど、惹かれ合うそれぞれには共感してしまう。そして期待を裏切らないラストから見る全体の構成に拍手。

    小池真理子さんが政治、経済といった社会現象には全く興味がなく、愛とエロスと死のような人間の本質的なことばかりを考え書いているとはまさにこの事だと思う。
    この人の描く短編も好きだけど、時間を忘れてどっぷりと浸れる長編はもっと好き。
    冬の伽藍で冬の軽井沢に連れ行ってもらい、恋で夏の軽井沢に連れて行ってもらえた気がした。
    私の中でもこの3人は実際にいたように生き続ける気がする...マルメロの木と共に。

  • 前半と後半で印象ががらっと変わるような本だった。前半の、片瀬夫妻との甘やかな日々のままこの物語が終わってほしいとも思ってしまった反面、例の人物が現れてからの堕落した感じというか研ぎ澄まされていくような雰囲気もよくて、一冊でこんなに振り幅のある本はなかなかないのでは、と思った。いいなあ、片瀬先生みたいなひとが近くにいたら。

  • 初、小池真理子さん。95年直木賞受賞。恋愛小説のようなミステリーのようなこの作品。
    とても魅力的な男女3人の不思議な関係。
    普通の大学生が人を殺害してしまうまでに至る流れは、学生運動の頃の時代を背景にドラマチックな世界なのだけれど、女性である主人公の心の動きは40年前が舞台であっても、私たちがかわらず共感できるもの。それは『恋』だから。
    400ページも読んでから、衝撃的な告白があり鳥肌が立ち、結末はやるせないけど感動的でした。

  • この物語のタイトルは、『恋』以外に考えられない。
    読了しての、それが最初の感想。

    今回、このお話がTBSでドラマ化されると聞き、およそ15年ぶりに読んでみた。
    主人公3人の関係はうらやましいほどに眩しく、これとははるか遠い世界に住む自分にすら、ある種の憧れを抱かせる。1人が本物の「恋」に貫かれてしまった瞬間からそれはガラガラと音を立てて崩れ始めるのだが、思い出だけは美しく、それぞれの胸の中で生き続ける……。

    人物の息遣いや風景の移り変わりがいきいきと描かれていて、読んでいる間、自分が同じ空間で彼女たちと過ごしているかのような錯覚に陥るほどだった。
    そして、自分が生まれた「昭和47年」の日本はこんな空気に包まれていたのだと、初めて“実感”させてくれた一冊になった。

  • 読めば読むほど、濃い小説だなーという感想。小池真理子は初めて読んだけど、とても濃厚で繊細な表現の作家であった。しかし、人間の中心に位置する人に恋する感情というのは本当に複雑で、衝動的で濃いものなんだなと感じた。それが、ある人は結婚、ある人は別離、ある人はもつれて殺人にまで至る。その元凶たる感情の実態を、こんなに緻密に描いた小説はなかなかないだろう。

    • christyさん
      一時期はまって読んでました、小池真理子。この本も昔読みました。この人が書く恋愛の狂気みたいなものは、迫力がありますよね。
      一時期はまって読んでました、小池真理子。この本も昔読みました。この人が書く恋愛の狂気みたいなものは、迫力がありますよね。
      2012/10/30
    • Rタさん
      christyさん
      女性の読者が多そうなイメージでしたが、男が読んでもこの何とも言えない迫力はすごい感じましたね。あまり、この類の小説は苦手...
      christyさん
      女性の読者が多そうなイメージでしたが、男が読んでもこの何とも言えない迫力はすごい感じましたね。あまり、この類の小説は苦手なはずでしたが、良かったです。ほかも読んでみます!
      2012/10/31
  • 冒頭。一人を射殺、一人に怪我をさせたことで10年の刑期を終え、出所した布美子が、病床についた後、作家鳥飼に話をはじめる。

    1970年代。
    大学教授・信太郎の下で、翻訳のバイトをすることになった布美子は、
    信太郎・雛子夫妻の奔放でいて強いつながりに憧れ、恋をし、二人との関係に嵌っていく。
    しかし、雛子が軽井沢で出会った青年に本気の恋をしたことから、歯車が狂い始める。。

    布美子に感情移入できるわけではなかったが、確かに妙に引き寄せられる信太郎・雛子夫妻。
    倒錯・・しているのかもしれないが。

    「秘密」の持つ重みが、私には十分伝わらず。
    発作的に射殺するに至る経緯が・・やっぱりちょっと、唐突だったかしら。
    それくらい憎んでいたことはわかるにしても。

    いずれにしても・・・
    ほろ酔いで、酒の肴に読むような本ではなかったなぁ・・・(反省)

  • 一般的に考えられない関係だが、読んでいるうちに3人で永遠にずっと仲睦まじくいてほしいとこちらも願ってしまうほどでした。終章は感動なのか悲しみなのか例えようのない感情に襲われ思わず胸が熱くなりました。

  • 初めて小池真理子さんの本を読みました。
    甘酸っぱい恋ではなく、人間味の溢れる恋だなと。
    自分にしかわからない、自分だけの恋。
    そんな主人公の内面がよくわかりました。
    長編小説でしたがすいすい読めました。

  • 以前から知っていたが題名「恋」がベタすぎる気がして読んでいなかった。ご主人を亡くされ新聞にエッセイを書かれていたのをきっかけに、感性が似ているのではと思って「存在の美しい哀しみ」から読み始め、これは2作目。恋と呼ぶには深すぎる他者との関係、相手への気持ちがやはり本作も心に刺さりました。
    美しいだけの恋ではないところが作者の特徴であり、美しいだけではない心の描写が上手いなあと感じました。

  • 引き込まれてしまいました。
    ラストは壮絶!
    彼女は何故そうしたのか?と今でも考えますがやはり嫉妬なのかなと…

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著者プロフィール

1952年、東京生まれ。成蹊大学文学部卒業後、出版社勤務を経て作家に。89年「妻の女友達」で日本推理作家協会賞(短編部門)、96年『恋』で直木賞、2006年『虹の彼方』で柴田錬三郎賞、13年『沈黙のひと』で吉川英治文学賞、21年に第25回日本ミステリー文学大賞など、数々の文学賞を受賞。著書に『間違われた女』『会いたかった人』(祥伝社文庫)ほか多数。

「2022年 『追いつめられて<新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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