ヨギ ガンジーの妖術 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101445021

感想・レビュー・書評

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  • 初・泡坂妻夫。

    面白かった!
    全然古くない。斬新なくらい。
    奇術をミステリに取り入れた人、って聞いてたけど、ご本人が奇術師なのね。
    奇術とミステリの親和性をすごく感じる作品だった。

    ガンジーの人格が良い。
    魔術に見える現象をタネまで披露して、不思議な現象には必ず仕掛けがあるのだという立場を通す誠実な態度とか、物事を荒立てないようにする配慮とか。
    傑作だと評価の高い『しあわせの書』を読みたくてまずはこの作品を読んだんだけど、ファンになった。

    7つの短編のなかで、「帰りた銀杏」が一番好き。
    街の整備が別の目的のためになされていた、とかスケールが大きかったので。

  • 入手困難だったこの名作がやっと再販されたので再読。装丁は変わっていないが、新保博久氏の解説が追加されている。
    改めて凄い短編集だと思った。奇術に相通じるトリックが惜しげも無く使われている。こういう騙し方があるのか、こんな伏線の張り方があるのか、と、前にも読んでいるのに唸ってしまった。
    あまりにも斬新なトリックなので、他のミステリ作家がアレンジして使っている例が数多く存在する。泡坂さんは絶対にもっと評価されて良い作家さんだよなあ。

  • 『しあわせの書』を読みたかったので、「ならばその前に1作目を」ということで読みました。

    えもいわれぬ独特な面白さがあります(°д°)

    特徴的な登場人物。
    ヘンテコな喋りかた。
    思わず吹き出してしまうセリフ。
    雰囲気が醸し出す妙なおかしみ。
    笑える下ネタ。
    ユーモラスなカバーイラスト(ガンジー先生自身もすごくユニーク!)。

    まるで30分アニメを観ているような感覚で楽しめました*^^*

    短編なので、それまで読んでいた本に飽きが来たらリフレッシュのつもりで本書を読んでみるのもオススメかもしれません。
    シリアスなミステリばかりでなく、たまには明るいミステリ(?)も良いものですね^^

    7編収録されており、1日1話ずつ読みましたが、読み終えてしまうのが少し寂しい気もしました(; ;)

  • ヨギ ガンジー物の次作『しあわせの書』をして傑作たらしめたのはストーリーテリングではなく、その本の持つ特異性であった。次々作『生者と死者』もまた然り。
    つまりそんな遊び心を持たせていない本書は純粋に物語で勝負したわけだが、それがために決して逸品とは云い難い。
    何しろ主人公のヨギ ガンジーと参王 不動丸、そして最後の2編で合流する本多 美保子のキャラクターに寄っ掛かり過ぎなのだ。
    これは泡坂が、種々の妖術がトリックである事を披露する事を目的とした、手慰みの作品集だと断言したい。

  • 〇 総合評価
     ヨギガンジーシリーズは,「驚愕の仕掛けの文庫本」である「しあわせの書」という作品を読んで好きになったので,なんとか「ヨギガンジーの妖術」も読みたいと思っていた。そして,まさに待望の復刊となったので手に入れた作品。思い入れは深い。内容は,長らく絶版になっていただけのこともあり,傑作とまでは言い難い。しかし,「王たちの恵み」はチェスタトン風の逆説的なオチが楽しめた。ほかにも手品で使えそうなアイデアでかかれた小品ともいうべき佳作の作品ぞろい。中にはやや物足りない作品もあったけど,それなりに楽しむことができた。しばらくは手に入るだろうけど,このデキだとそこまで売れないと思われ,更にもう一度復刊されるのは難しそう。大事にしたいところ。★3で。

    〇 メモ
    〇 王たちの恵み(心霊術) ★★★☆☆
     沢野市のホテルレックスで,沢野市の文化人の集まりソヴリンズクラブが開かれている。ソヴリンズクラブでは毎回,会員から麦の箱という箱に寄付を入れられている。ヨギ・ガンジーの心霊術の実演を含む講演が終わると,麦の箱には寄付金が入ってなかった。誰かが盗んだのか。ヨギガンジーは,そもそも普段から麦の箱に寄付はなかった。世話役の斗米が,ソヴリンズクラブの名誉のために,一人で多額の寄付をしていた。斗米の秘書の寒立は,お金を盗むためではなく,麦の箱にお金を入れるためにやってきていた。寒立という斗米の秘書がどうやって麦の箱にお金を入れたのかという謎と見せかけ,そもそも寄付などされておらず,寒立は麦の箱にお金を入れに来ていたというオチ。なんとも泡坂妻夫らしい,チェスタトン風の逆説的なオチの作品。ヨギガンジーのなんとも言えないキャラクターの相まって,よくまとまった作品に仕上がっている。★3で。

    〇 隼の贄(遠隔殺人術)★★★☆☆
     ヨギガンジーの相棒である不動丸との出会いの作品。ヨギガンジーと不動丸との関係は,ブラウン神父とフランボウの関係にちょっと似ている。不動丸は黄金の隼の会という宗教団体を作る。そして,黄金の隼の儀式で予言を行う。ある人物を神の生贄えとして呪い,殺害するという。儀式では「東岡由紀」という女性の名前が発表される。東岡由紀は不思議な事故死をしていた。トリックは封印をした予言書の外側から文字を書いて中に染み込ませるという物理トリック。ポイントは,直前に予言書を預けている信用金庫から予言書を預かりに行くという行為をミスディレクションにして,公衆電話から電話をして,たまたま死亡した人を確認したという行為を隠したというトリック。これもある行為を利用して本命の行為を隠すという手品っぽいトリック。泡坂妻夫らしい,しっかりまとまった作品。★3で。

    心魂平の怪光(念力術) ★★★☆☆
     大倉山という地方で,松子という女性から,八木徳三郎という男に騙されたという話を聞く。「猫の学校」の教材にするために,鼠を増やすという触れ込みで鼠のつがいを売りつけると言う詐欺だった。また,八木徳三郎が鼠を飼っていたプレハブでは道に迷った笹川夏子という女性が迷い込んで心臓マヒで死んだが,松子はこれも八木徳三郎の仕業だと思っていた。鼠が増えてしまったので,「七歩丸」という毒団子で鼠を減らしているという。ヨギガンジーと山王丸はただ道に迷ってこの村に来ていただけだった。松子に道を聞いて目的地である聖宝院に行く。ヨギガンジー達は心魂平で大倉山で見かけた鼠と同じ鼠を見る。ここには,矢削徳性という宮司がいるという。また,心魂平はちょいちょいUFOが現れるということで有名になっていた。UFOは人為的な火だった。ガソリンを含ませた脱脂綿を鼠のしっぽに結び,それに火を付けて放していた。八木徳三郎=矢削徳性は,詐欺師ではなく,キャンディ化粧品という大手化粧品会社の下請け会社の社長。女性用の紅筆を鼠の毛で作っているということを知られないようにしていたというオチ。マルチ商法まがいの犯罪や宗教犯罪といった大きな犯罪があるかと見せかけて,単なる化粧品会社の下請け会社が鼠の毛で紅筆を作っていることを知られたくなかっただけであるというオチ。泡坂妻夫らしい構成の話である。★3で。

    〇 ヨギガンジーの予言(予言術)★★★☆☆
     ヨギガンジーがハワイで知り合った勝島という男の家で予言をした薬小路車契の予言がウソであることを暴く話。「空飛ぶ鳥が火となり,竜の頭に落ちる」,「唐人が泣いて,その涙が瓢箪に溢れる」,「死神の息が鬼女が池より漏れ,それを吸った者は死ぬ」という3つの予言。これが旅客機の墜落事故,近畿地方の水害を予言し,的中していた。「鬼女池」が勝島の敷地内の池だったので,慌てて国外に逃げたという。真相は,薬小路は盗賊団。勝島がいなくなった後,屋敷の蔵からめぼしいものを盗み出そうとしていた。予言のトリックは色鉛筆の芯と回りの部分の色を変えていたというもの。これにより,あとで書いた予言を先に書いた予言だと誤信させたというもの。トリックは手品のタネのようなもの。シンプルだが面白い。話全体の構成は「赤毛連盟」のパターンでもはや古典。色鉛筆のトリックだけのシンプルな短編。こじんまりまとまった作品であり★3かな。

    〇 帰りた銀杏(枯木術) ★★☆☆☆
     開発の最中,伐り倒されるはずの大銀杏があった。しかし,伐ろうとすると市の有力者が死んでしまい,三人死んだところで大銀杏の伐採は取りやめになった。銀杏は移転された。するとこの大銀杏は夜になると「帰りたい,帰りたい」と言うようになったという。真布施典亮という男は八幡クラブという文化人の集まりのメンバー。「王たちのめぐみ」で出てきたソヴリンズクラと姉妹クラブの関係にある。ヨギガンジーはソヴリンズクラブで行った講演と同じ講演をするように依頼を受ける。講演のデキはひどいものだったが,その後,ヨギ・ガンジーは大銀杏に「その場所で辛抱するように」言い聞かせてほしいという依頼を受ける。ヨギガンジーと不動丸は銀杏と話したフリをする。すると翌日,銀杏の樹の葉が1枚残らず落ちてしまう。ヨギガンジーは銀杏の葉を枯らしたのは真布施だということを指摘する。真布施はUFOに傾倒しており,UFOのメッセージとして市を開発していた。得体の知れない人間を連れてきて,何やら不思議な術を見せ,ついでにご神木に呪文でも掛けさせれば樹が枯れてもその人間のせいにできるとしてヨギガンジーを利用したのだった。この話はやや分かりにくい。ヨギガンジーらしいシンプルな仕掛けでもないしミステリとしてのトリックも弱い。★2かな。

    〇 釈尊と悪魔(読唇術)★★★☆☆
     ヨギガンジーと不動丸が劇団の手伝いをする。そこには霧丸という若旦那がいた。殺人事件が起きて,霧丸は疑われるような行動を取り,二吉という劇団の男は霧丸が犯人だと思って逃走する。二吉は霧丸の素性を調べるという仕事を持っていた。霧丸はつい先ごろ死亡した歌舞伎の門脇杜若と血のつながりがあった。霧丸は劇団残るために二吉を騙すため,犯人と疑われる行動を取ったのだった。この話を通じ,本多美保子がヨギガンジーの一団に加わる。泡坂妻夫らしい見事などんでん返し。霧丸が殺人犯でどういったトリックが出てくるのか…と見せかけ,そもそも霧丸は犯人でなく,犯人だと思わせて二吉を騙すことが目的だったというオチはそこまでレベルの高い仕掛けではないが,さすが泡坂妻夫と思わせるデキ。こじんまりとまとまっている作品。★3で。

    〇 蘭と幽霊(分身術) ★★☆☆☆
     蘭の栽培をしている岩淵という男のところに季貞エメラルドという男が念力栽培の紹介にくる。エメラルドは岩淵が大切にしているランゲリスという花の葉に洗剤を付け,一見ではランゲリスとは分からないようにして盗まれたように見せかける。また,ランゲリスはトリックを使い,市長選に立候補している黒原のポスターを利用して黒原がランゲリスを盗んだように見せかける。黒原はたまたま愛人と不倫をしており,変に疑われないように容疑を認めるような発言をする。最後はヨギガンジーが物理トリック部分も含め,全てを見抜くというオチ。これはちょっと物足りない。泡坂妻夫らしい文体ではあるがアイデアが平凡。シリーズ物の弊害というか,ヨギガンジー物で一つ作品を作る必要があって,無理やりひ
    ねり出したという感じがする。★2で。

  • 『しあわせの書』『生者と死者』の2作品のようなトリッキーな作りではないですが、短編ミステリとして非常に為になりました。

    大掛かりなトリックはなくとも、人のちょっとした心理の隙をついて意外な真相をもってくるところはさすが泡坂妻夫といったところてしょうか。

  • へんてこりんな主人公の話。一応魔術師?らしいが、詐欺師、ペテン師の方がぴったりくる。ヨギはなんとも楽天家。短編なのに、全体にストーリーがあり、弟子が増えていくのも楽しい。続きが楽しみ。

  • これは他のガンジーシリーズみたいな仕掛けはなかったのだっけ?

  • 著者らしく、マジックのネタが惜し気もなく使われておりとても楽しかったです。
    さらりと書かれたエロねたに笑いました。

  • 以前薦められたことがありますが。なるほどこれは面白いっ!
    「妖術」と言ってる割に実は全部トリックあるし(まあミステリとしては当然ですが)、そんなめちゃめちゃ大掛かりでもないんだよなあ。少し考えれば分かりそうな、でも固定観念に邪魔されて気づかない盲点がうまく使われている作品ばかりです。
    お気に入りは「ヨギ ガンジーの予言」と「釈尊と悪魔」。特に「釈尊と悪魔」は意外な展開にすっかり騙されてしまったのでした。なるほどなあ、とひたすらに感服するばかりです。

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著者プロフィール

泡坂妻夫(あわさか つまお)
1933~2009年。小説家・奇術師。代表作に「亜愛一郎シリーズ」など。『乱れからくり』で第31回日本推理作家協会賞。『折鶴』で第16回泉鏡花文学賞。『蔭桔梗』で第103回直木賞。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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