- Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101453118
感想・レビュー・書評
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歴史好きでも滅多に耳に入らない「柳川一件」という外交問題に絡む事件。この江戸初期の事件について、恥ずかしながら本書を偶然手に取らなければ、その内容を一生知ることなく過ごしていたかもしれない。
江戸期において外交の最前線にあるものは、幕府中央への報告について非常なに神経を使う必要があった。幕府の考えや外交方針の如何によって、藩や担当役人の特権に関わる富の獲得が大きく左右されるのだから。
長崎でやり取りしていたオランダ風説もだいぶ通詞が都合の良いように改変して江戸に報告しているが、この対馬藩のやってることはその比ではない。戦国期ならいざ知らず、徳川期にはいってもまだ国書の偽造をしていたとは恐れ入る。印章をも偽造してまで。
日本と外国のマージナルな領域だった対馬が、まだ徳川近世を身近に感じておらず、中世的な性格をそれだけ長く持っていたということの証左だろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
時は寛永八年、徳川家光の時代である。対朝鮮外交を一手に握る対馬藩の家老、柳川調興が突然、所領の返還を申し出た。調興の訴えは幕府を揺るがす一大スキャンダルに発展していく。朝鮮王と徳川将軍の間で交わされた国書が対馬藩の中で偽造されたり改竄されたりしていたというのは本当か。そして調興の真意は一体何なのか。…史実を基に大胆な発想で描く時代法延ミステリー。
2010.12.23読了 -
才能があっても、出世し、己の夢もかなえることができない江戸時代。反対に努力と才能さえあれば夢がかなう現代。今の世に生きる私たちって、なんて幸せなんでしょう。
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江戸初期。対馬。柳川事件