早く昔になればいい (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 134
感想 : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101456232

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  • 終戦直後、北陸地方の町で14歳の主人公は同級生たちと、気が狂ってしまっている20歳すぎのしーちゃんを神社におびき出し凌辱する。誰とでも性的関係を持つ彼女はその後、父親が不明の子供を産むことになるが、大雨の日に小川で溺れかけているのを発見され、肺炎で亡くなる・・・。
    そこから40年後、初老を迎えた主人公はかつて過ごした町を再訪し、しーちゃんを凌辱した親友と再開するが、そこから不可思議な幻影が現れ、しーちゃんの死因が実は仕組まれたものであるということを知ることになる。

    筋立ては非常に陰惨なものでありながら、著者は自らの凌辱をどこか聖なるものとの交錯のように美しく描き、彼女との関係を再度持ちたいと願う様子は、読み手によって解釈が分かれるのは間違いない。それでも、一種のファンタジーとしての世界観の美しさは否定できない。

    しーちゃんの仕組まれた死因が明らかになるあたりは著者得意のミステリーの要素も盛り込まれており、巧みな文章が心地よい。

  • 2014/06/25

  • 白い肌に赤い銘仙の着物に臙脂の帯。しーちゃんは静かに狂っていた。しーちゃんを中心に語られる私の物語。せつなげでどこか謎めいてほんの少し耽美さを感じさせる内容に思わずため息。また私もしーちゃんとともに狂っていってしまっているようで、そこでまたため息が。狂っているしーちゃんはとても楽しそうで、狂ってしまうのもいいかもしれない。と、ふと思ってしまった。こんな愛らしく楽しそうな狂った少女に出逢ったら恋をしてしまうよなあ..。いや、むしろ狂っていたのは周りの人たちだったのかもしれない。

  • 狂っていたけれどみんなに好かれていたしーちゃん。好きだと言われれば誰にでも喜んで体を開いたしーちゃん。いつも赤い椿模様の銘仙を着ていたしーちゃん。川で溺れ、肺炎を起こして突然死んでしまったしーちゃんは、町の大きな家の娘だった。
    14歳だった私は、そんなしーちゃんが大好きで、55歳になって再びこの町を訪れた今、心に蘇るものはすべてしーちゃんに繋がる記憶だった。
    まるで、自分がこの町に戻ってくるのを待っていたかのように、いまは<昔>になろうとしていた。
    狂っているしーちゃんやしーちゃんを取り囲む人々、そして彼らが引き起こす出来事には、悲惨さや無惨さが溢れているのに、どこか静謐な美しさが秘められている。

  • 期待値が大きすぎたかも。
    自己中心的で言い訳地味た話が延々続くのに、ややうんざり。
    好きな人にはすみませんだが、イマイチ感じるものが無かった。

    ただしーちゃんには登場人物同様に陶酔できる程の魅力がある。
    しっとり艶やかで、けれど純粋な美しさ。

    終盤、主人公が自らのたましいの救いというか、人生の落とし所を探す様に現実と幻想を彷徨うような展開も印象的だ。

  • 気のふれた美しい女をみんなでいいようにレイプし、主人公の少年だった男が延々と身勝手に好きだったんだと自分に酔ったように言い訳し続ける話。彼女は地元を離れた彼にそっくりな子供を産んで、その後亡くなっていた。
    映像的で綺麗なんだけど、なんかねばっこいしつこい感じがする話。久世ファンというわけでもなく、ただ地下鉄の古本屋で50円で買った本。だから、名前が同じだけできっと違う人に違いないと思いたかったくらいなんか嫌悪感を感じた話。

  • 妖しく悲しい空気を作りだす文章は評価するけども
    自分の犯したことを長々と美化して言い訳している
    妄想全開の身勝手な人間の独白としか受け取れない展開に
    問題ありだと思う。
    それは私が、そーゆうことを冷静にみれないからなのだろう。

    しかし、自分の犯したことを引きずっているということは
    少なからずの罪の意識があり、そこから解放されたいと思う結果、
    好意があっての行為だったのだからと正当化して
    己の精神を保とうとしているのかもしれない。
    愛があれば凌辱ではないと。
    文章がいいとか悪いとか構成がいいとか悪いとか
    そんなの脇に置いておいて、あたしはこーゆう本が嫌いなんだ。
    そんだけ。

    ( ・_ゝ・)<これは恋ではない。欲情だ。

  • 100805(m 100909)

  • 久世さんの作にしては、すごく好きというわけでもなく。
    でもやっぱり読んでいると幸せを感じる文体。
    どうやって終わらせるつもりだと思ってたら、そうかーそうきたか。
    未読の久世作品が少しずつ減っていっていて、ちょっと嫌になる。

  • 初めて読んだ久世作品。きっかけは羅宇屋の曲。久世氏の著作に度々登場する「しーちゃん」に初めて会ったのもこの本。

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著者プロフィール

1935年東京生まれ。演出家、小説家、随筆家。おもな演出作品に『寺内貫太郎一家』『時間ですよ』、小説に『一九三四年冬─乱歩』、エッセイに『触れもせで─向田邦子との20年』など。2006年没。

「2021年 『「女」のはなし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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