謎の母 (新潮文庫)

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感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101456270

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  • 無頼派の旗手、太宰治に朽木糺という名を付し、15歳の女学生さくらの心を通してその死までを描いた作品。あたたかさと厳しさと冷静さを持って朽木を見つめるさくらこそが、朽木の〈謎の母〉なのだ。
    太宰の『女生徒』を意識したかのような語り口は、作者の太宰に向けた親愛の情の表れだろうか。『蕭々館日録』といい『謎の母』といい、作者は小説家が好きなんだなぁと思う。というより、大正だとか、昭和だとか、そういう時代を生きた人々が好きなんだろう。
    この作品では登場人物の名前の付け方にも感嘆する。朽木、さくら、サチ子、鮎郎…。
    ついでにいうと、川上弘美氏による解説もなかなか美しい。最近は解説になっていない解説が多いので、こういう解説はありがたい。

  • 朽木さんの駄目具合にウオーとなりますが、読んでいるうちにいとおしくなる不思議。
    でも母の目かというとそこまでは思えず、恋 ?なの、か?

    大人はとても駄目で、少女は聡く、お互いの突出した部分を交錯させている。そこに余計に大人と子供の壁を感じる。

  • 15歳の女学生さくらは、まるで自分の日常を描いた様な少女雑誌に載った小説の作者の朽木に手紙を書き、2人は屡々逢う様になる。無頼派の旗手と呼ばれ、 38歳で歳の数は恥の数と言い、チェホフがバイブルで、常にお酒で酔っぱらいる朽木に、さくらは母の様な感情で接する。朽木のさくらを見る目が母を見る様だとも感じる。朽木が女性と玉川上水で入水するまでの昭和22年12月から23年の6月の記憶。優しくて汚くて、誇り高くて品のない朽木のモデルは言わずもがなですね。

  • 頃は戦後直後。無頼派の旗手といわれた小説家、朽木の死までを、十五歳の少女、さくらの視点で語る小説。

  • 情けない朽木もいいけど弟が男前すぎる。

  • 思春期少女の一人称。
    懐かしい昭和の空気を感じる文章。
    「私」と無頼派作家の朽木の交流。朽木のモデルは太宰だとか。
    今とは違う時代の日本をみよ。

  • 主人公の成長が美しかった

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著者プロフィール

1935年東京生まれ。演出家、小説家、随筆家。おもな演出作品に『寺内貫太郎一家』『時間ですよ』、小説に『一九三四年冬─乱歩』、エッセイに『触れもせで─向田邦子との20年』など。2006年没。

「2021年 『「女」のはなし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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