孤独の歌声 (新潮文庫)

  • 新潮社
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感想 : 216
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101457116

作品紹介・あらすじ

孤独の歌声は天童荒太さんのサスペンス小説です。犯罪の描写がグロテスクで目をつぶりたくなるほどの内容ですがそれが物語に読者をひきこんでいきます。登場人物三人の視点で描かれています。三人の視点で女性連続監禁殺人事件とコンビニ強盗事件がひとつの事件として繋がっていきます。物語の展開にもひきこまれてしまう作品です。

感想・レビュー・書評

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  • 第6回日本推理サスペンス大賞受賞。
    7回で終了したらしいですが。
    そして、カバーの写真は先日亡くなった彫刻家の船越桂さんの作品です。これが、この小説ととてもマッチしています。

    確かにサスペンス。
    事件は二つ。コンビニ強盗事件と一人暮らしの女性を狙った連続猟奇殺人事件。
    中学時代に親友を見殺しにしてしまったと思い続ける女性刑事。
    コンビニでアルバイトをしながら音楽を続ける孤独の歌声を持つ青年。
    病んだ母親の束縛の下、家族という形態に執着するサイコパス会社員。
    喧騒な都会の中の寂然な孤独。
    孤独を望む中で、出会って別れるまでの刹那に繋がりを感じる女性刑事と青年。
    偽りの家族の中で孤独であり続けるサイコパス。
    初期の作品なのか、面白く読んでみたけど とりとめがない感じもするかな。

    • 土瓶さん
      天童荒太さんも一度は読んでみようと思いつつもなかなか手が出ない。
      なんだか痛い思いをしてしまいそうでね。
      天童荒太さんも一度は読んでみようと思いつつもなかなか手が出ない。
      なんだか痛い思いをしてしまいそうでね。
      2024/04/04
    • おびのりさん
      そう。このあたりは古いよね。
      最近のが良いんでないかしら。
      そう。このあたりは古いよね。
      最近のが良いんでないかしら。
      2024/04/04
    • 土瓶さん
      「永遠の仔」をブックオフで見かけるたびに、手を出しては引っ込めてを繰り返す。
      「永遠の仔」をブックオフで見かけるたびに、手を出しては引っ込めてを繰り返す。
      2024/04/04
  • 最初文章が読みにくく感じたけど、面白く読んだ。
    コンビニ強盗事件と連続女性殺人事件が絡まって、グロさはありつつも一気読み。

  • コンビニ店員の潤平、刑事の風希、犯人の松田、それぞれの抱える孤独が引き合わせてしまった様な惨殺な事件。
    今の世の中、確かに隣人が誰かわからないのも珍しくもないし、お互いに干渉しない暗黙のルールの中で生活していると、失踪しても気付かれないは普通にありそうで怖くなった。
    松田の幼少期があまりに可哀想。結局、母親は夫の愛情を取り戻したくて息子の松田を、洗脳していたのだから。
    最後に、潤平のバトンは受けとってもらって良かった。

  • 家族狩りよりもこちらの方が良いと薦められて読んだ本ですが、私は家族狩りの方が読みやすく感じました。

    何というか、痛いのが嫌いなので。
    痛い描写は極力無い方がいいです(T_T)

    クライマックスに向かうにしたがって、痛い!痛い!痛いっ!!!

    話の展開はいいと思うのですが、とにかく私には痛かった!

  • すごく面白かったと同時に、すごく恐ろしい物語だった。

    天童荒太さんの小説を読むのは初めてだけど、映像化されているものはいくつか観ていて、そのほとんどすべてに共通しているのが“人の生い立ちとその後のこと”だと思うのだけど、人の暗い生い立ちが凶悪な犯罪につながることもあるという物語の中の出来事は、現実でもけっこう見かける事実だと感じた。だからとても恐ろしかった。

    物語の大筋は、ひとり暮らしの女性たちが次々誘拐され悲惨な末路を迎えている連続殺人事件と、同じ管轄内で度々発生しているコンビニ強盗事件。
    コンビニ強盗を担当する女性刑事の風希、音楽をやりながらコンビニでアルバイトをしている潤平、コンビニ強盗事件の際たまたま居合わせた謎の男タカシが主要人物で、その3人の視点が順繰りに物語を綴っていく。

    人が痛めつけられるシーンはとても凄惨で、血の臭いさえ漂ってきそう。そういえば他の作品が映像化されたときもけっこう凄かったな…と思い出した。
    普通ならば想像もつかないけれど、酷いやり方で人を痛めつけ殺しても何とも思わない人間が確かにこの世の中にはいるのだと思う。けして物語上のお話ではないということ。

    凶悪犯罪が起こるとテレビでは度々“犯人の心の闇”にスポットを当てるし、実際生い立ちが人格形成に影響することもあるのだろうけど、すべてをそのせいにするのは違和感があるし、いくら心に闇があるからと言って他人を傷つけていいわけではない。
    この小説は主要人物がみんな何かしらの心の闇を抱えているからこそ、そうであってもまともに育った者とそうでない者の対比がはっきり見えたように思う。

    終盤は本当にドキドキハラハラしながら一気に読んだ。軸は重いけれど、ミステリ的な読み物としてすごく面白かった。

  • 孤独は好き。むしろ、孤独でないと居心地が悪いこともあった。
    でも、このことをいうのは勇気がいったものだった。

    ほんとうに孤独じゃないから孤独が好きだなんていえるのよ。
    誰にも認識されなかったらどうなるの、寂しいんじゃない。

    たった一人で宇宙に浮いている。
    だあれも知らないのよ。
    関係なく世界は続いていってしまう。

    『ひとりなのは、よいことだったから。ただ、自分だけひとりぼっちというのは、ときに胸苦しく感じることがあるから、世界のどこかにいる、ほかのひとりたちを感じたくて』


    「孤独の歌声」のストーリーはちょっと怖い。けして荒唐無稽ではない。起こりそうな起こって欲しくない事件の中で3人の(犯人と女性警官と19歳の男の子)孤独の歌声、不謹慎だがハーモニーが奏でられる。

  • 登場人物それぞれの孤独がきちんと描かれている。その描写が秀逸。ミステリーとしてももちろん面白いけれど、心理描写がすごい。

  • 女性連続監禁殺人事件とコンビニ強盗事件が、
    やがて繋がって展開していく作品。

    コンビニでバイトするミュージシャン志望の少年、潤平。
    コンビニ強盗事件を追いながら監禁殺人事件の進捗状況が気になる女性刑事、風希。
    監禁殺人事件の犯人である男。
    この3人の視点で描かれる。

    3人の共通点である「孤独」
    「孤独」を表現する者、抜け出せない者、埋める者。

    描写がグロすぎてなかなか読み進められなかった。
    犯人が求める愛の形が猟奇的で自分勝手。
    全てを理解してほしい、それが真実の愛へ繋がるのだと…。

    3人の過去の出来事が、この事件の核になっている。

    人を惹きつける孤高の歌声、宮沢賢治の詩、海外の楽曲、陸上リレーのバトンなど、
    潤平に関するものの描写が良かったです。

  • 止まらず一気読み!

  • 孤独は罪深いしせつないと感じました。

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著者プロフィール

天童 荒太(てんどう・あらた):1960(昭和35)年、愛媛県生まれ。1986年「白の家族」で野性時代新人文学賞受賞。1996年『家族狩り』で山本周五郎賞受賞。2000年『永遠の仔』で日本推理作家協会賞受賞。2009年『悼む人』で直木賞を受賞。2013年『歓喜の仔』で毎日出版文化賞を受賞する。他に『あふれた愛』『包帯クラブ』『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』『静人日記』『ムーンナイト・ダイバー』『ペインレス』『巡礼の家』などがある。

「2022年 『君たちが生き延びるために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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