おまけのこ しゃばけシリーズ 4 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101461243

感想・レビュー・書評

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  • 5編からなる短編集
    しゃばけシリーズ第四弾

    今回も若旦那と二人の手代、そして可愛らしい妖怪たちのはちゃめちゃな犯人探しや謎解きが繰り広げられます!

    自分にとってはほんの小さな水溜りのようなものでも、立場が変われば、まるで大海に放り出されるような気持ちになるものです。

    それぞれの立場から、どのような思いからその行動をするに至ったのか。
    人の思いの複雑さに気づき、
    そしてふとした時に、自分が愛されているということに気づくのです。

    おすすめです。

    「助けて、助けて、助けてと思いすぎて、溺れるのか……」

  • どっぷりハマって第4弾。最近、新潮社の「しゃばけ倶楽部」というサイトも見つけて、キャラクター紹介とか、いろいろ見てます。
    もうすっかりマニアの域に達しているのでしょうか(笑)
    第4弾もとても面白くて、特にお雛ちゃんの塗り壁のようなお化粧にまつわるお話は、屏風のぞきがとってもかっこよくて優しいし、ほろりとさせられる良いお話です。
    最後の鳴家が主人公のお話も鳴家がとても可愛くて、
    若だんなとの絆にじーんとくる。
    柴田ゆうさんの挿絵もほんとに可愛いですね。

    これからもどんどん読み進めなければ。

  • 畠中恵「しゃばけシリーズ」4作目(2005年8月単行本、2007年12月文庫本)。
    今回も5作の短編集、どれも一太郎が活躍する楽しい物語。なかでも4作目の<ありんすこく>は一太郎の活躍はともかく、仕事の面では切れ者の藤兵衛がおたえに頭が上がらないばかりか、一太郎に関することには仁吉にも強く出れない姿が微笑ましい。

    ①<こわい>
    「狐者異(こわい)」と言う名の妖の話。人とも交わらない、同じ妖にも受け入れられない、存在そのものがはじき出された嫌われ者の妖だ。八丁堀の小さな荒れ寺でしばらく過ごそうしたら、流れ者数人の先客がいて追い出された。
    そんな時長崎屋のはなれでは栄吉の不味い饅頭のために一太郎と栄吉の関係にすったもんだがあり、一太郎は何とか栄吉の菓子作りの腕が上がらないかと思い悩んでいた。
    そこへ狐者異がやってきて、職人の腕が上がる天狗の薬を持っていると言って来る。八丁堀の荒れ寺に居座る流れ者達を追い出してくれればその薬をくれるというのである。それを聞いた左官の力蔵、植木職人の万作、そして日限の親分までその話に乗ってくるのだが、一太郎は栄吉のために乗ろうとするが、栄吉の菓子作りの腕は上げたいが、本当に欲しいのは自信だ、薬では自信はつかないとと言う栄吉の言葉で思い留まる。
    結果的には3人とも流れ者達に叩きのめされるのだが、万作の親方の娘のおすみが荒れ寺に火を付けて追い出し、万作の力になろうとする。火付けは江戸では大罪だ。火事が広がる前に佐助がドンと一発、荒れ寺を倒壊させて火を消し大事を防ぐ。
    どうも話の展開が中途半端で、最後も狐者異と一太郎が心を通わせそうで、そうはならなかった。今回は狐者異と一太郎の出会いだけの物語でそのうち新しい展開の物語が見れるのだろう。

    ②<畳紙>
    紅白粉問屋「一色屋」の孫娘、お雛の厚化粧の謎の物語。前作「 ねこのばば」の<花かんざし>で登場した材木問屋「中屋」の主人の弟でお雛の許婚の正三郎や「中屋」の小さな一人娘、於りんも登場し、前作から謎のままだったお雛の漆喰壁のような厚化粧の経緯が判りかけてくる話。
    お雛が於りんを連れて一太郎の見舞いに長崎屋を訪れると相変わらず於りんが鳴家達とドタバタ遊んで、帰る時に誰かの印籠を持って帰ってしまった。その印籠は屏風のぞきのもので印籠を返して貰う為に夜になると屏風のぞきは一色屋のお雛の枕元に現れるのだが、ちょっと天然なお雛はこれは夢の中だと思い込んでいる。そしてお雛は誰にも話せなかった悩みごとを夢の中だと思い込んでいる屏風のぞきに打ち明け始める。
    一太郎に相談した屏風のぞきは助言に従って、徐々にお雛の厚化粧になった悩みの元を取り除こうとしていくのだ。

    ③<動く影>
    一太郎が仁吉と佐助に二人が長崎屋に来る前の5歳の頃に見た影女の話を語る話。
    町の子供達が障子に映った影が勝手に動くという現象を次から次へと見て騒いでいた。当時5歳の一太郎と6歳の栄吉もお春も長崎屋の離れにいる時に見てしまった。一太郎と栄吉はそれを見た町の子供達を集め、その原因を探り始める。少年探偵団ならぬ幼児探偵団の活躍が始まる。
    一太郎はひ弱で遊びでは子供達の中で厄介者で除け者だが、頭を使うことに関しては5歳にして大人顔負けの活躍をする。いつも間にか子供達のリーダーになっていた。
    一太郎は5歳にして漢字の書物も読むことが出来た。祖父所蔵の本から「今昔百鬼拾遺」という一冊を取り出し、障子に現れる影を「影女」という妖であることを突き止める。一太郎は子供達に影の噂を辿らせて出どころが日本橋辺りであることを突き止める。
    同時期に町では二つの別の事件も起こっていた。一つは上野「広徳寺」所蔵の「雲外鏡」が盗まるという事件で寺の僧達が探し回っていた。この鏡は別名「照魔鏡」と言われ、妖や魔物の正体を見破って映し出す品だった。もう一つは魅入られると財を失い身を損ねると言われる美しい妖「飛縁魔」が日本橋辺りに出るという噂話の謎
    だ。
    実はこの二つの謎の事件と影女の事件は繋がっているということも一太郎は突き止めてしまうのだ。
    妖はみえていてもまだ妖とはコミュニケーションが取れていない時の一太郎。妖から情報を取れなくても書物や子供達を使った情報を元に推理する。5歳の一太郎に祖父の伊三郎をはじめ、大の大人が形無しの話だ。

    ④<ありんすこく>
    一太郎が吉原の14歳の禿を足抜けさせる話。
    藤兵衛は吉原の「多摩屋」の楼主、春蔵からかえでと言う禿を足抜けさせたいという相談を持ちかけられた。藤兵衛と春蔵は奉公人時代からの友達だ。楼主が足抜けに加担するなんて到底考えられない事だが、深い事情があった。吉原からの足抜けなど簡単なことではなく、藤兵衛も良い案は浮かばなかった。
    一太郎が藤兵衛に吉原へ連れて行って貰った折にかえでに吉原の大門を出る「切手」を所望され、一太郎は約束する。一太郎の考えた方法は猫又妖のおしろを使った方法で完璧に成功するはずだったが別の禿の裏切りに合い、失敗する。切羽詰まったところで大胆な方法で結果的には成功するが、一太郎はまた寝込むことになってしまうのだ。
    おたえに頭が上がらない藤兵衛、主人の藤兵衛より一太郎のことを最優先に考える手代の仁吉と佐助、その仁吉の藤兵衛との一太郎に関するやりとりが面白い。そして何もかも踏まえた上で信頼で固い絆で結ばれているおたえと藤兵衛にほっこりする。

    ⑤<おまけのこ>
    「長崎屋」が顧客の油問屋「天城屋」主人の依頼で用意した月の光を固めたような美しい真珠、娘のおふさの輿入れに持たせるための品が長崎屋の中で紛失した。天城屋の主人が櫛職人の八介に櫛の飾りにする為に渡した後、八介は何者かに頭を殴られ奪われたらしい。
    下手人は誰か、真珠は何処か、長崎屋の中庭の隅の場所で起こった事件だけに藤兵衛は何とかしないといけないと思っているが、事件の推理と犯人の特定まで仕切ったのは一太郎だった。
    見事な推理と検証で犯人は長崎屋から珍しい荷を買い付けに来ていた小間物屋の直次と突き止めるのだが、真珠は見つからない。
    真珠の行方の謎には、今回大活躍の一匹の鳴家の大冒険があった。ちょっとマンガチックではあるが、可愛いくて楽しい鳴家と一太郎の信頼の結末が待っていた。

  • 20200706-0711 どの話も何処かホロリとさせられるけど、可愛らしい。おまけのこ、は鳴家の小鬼の大冒険が微笑ましい

  • 安定感抜群の展開。
    でも、一太郎の心境に少しずつ変化が起こり、
    しゃばけシリーズが何をテーマにしていくのか
    見えてきた。
    タイトルにもなっている『おまけのこ』。
    鳴家の大冒険が愛しい!

  • シリーズ4作目の本作も、シリーズ作同様の短編5編という構成でした。孤者異(こわい)という忌み嫌われる哀しい妖怪の話を始め、これまでの作品同様、病弱だが知恵者の一太郎と妖怪たちとの謎解きファンタジー性のある話がどれも面白く、最後がどの話もほっこりさせられる話ばかりで癖になる面白い作品ですね!
    どんどん読み進めていこうと思います!

  • 5話の短編集。今回は「屏風のぞき」や「鳴家」等が主役の話が有り、面白かったです。主人公の一太郎の幼い頃の話も興味深く「一旦相手が怪しいと思うと、何もかも疑わしい思えてくるものだ。」の一文は確かにと思う。

  • 相も変わらずさえている若だんな。

    おまけのこ、が今までと異なって鳴家が主人公とでも言えるお話で面白かったです。
    可愛かったです。

    若だんなが栄吉と仲良くなるきっかけのお話もとても面白かったです。

    要はどの話もおもしろい!

  • シリーズ4作目で、5つの短編を集録。主人公の大店一人息子の若旦那・一太郎と妖たちが事件やお悩みを解決していく。新しい妖が出たり、一太郎の過去の話もあり、そして屏風のぞきや鳴家がメインとなる話がありとても楽しめた。ただ魚と会話している場面に困惑。人間と妖と動物がそれぞれ意思疎通できるなら、今までの事件もっと早く解決できたのでは。流石に人間と魚が会話し出したらお伽話感がすごい。

  • どうもこの作家と合わないんですよね、文章のリズムに乗ってけない。
    妖がどうって話かと思いきや、結局そんな設定にする意味あんの?という感もしなくもなく。
    うーむ、こういう相性ってありますよな。

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著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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