とるとだす (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 515
レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101461373

作品紹介・あらすじ

若だんなの父、藤兵衛が倒れた! 長崎屋の大黒柱の危機に、妖たちも大慌て。一太郎は、父の命を救うため、薬種屋たちのいさかいに飛び込み、蜃気楼のなかに迷い込み、恐ろしい狂骨の怨念につきまとわれながら、ついには神が住む常世の国を目指すことになるのだが──。八面六臂の活躍を見せる若だんなは父を助けることができるのか!? 不思議と怪奇に彩られた、スリル満点のシリーズ第16弾。

感想・レビュー・書評

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  • 鬱々した気持ちを忘れさせてくれる面白いストーリーが多かった!
    やっぱり江戸時代の結婚は現代人には理解できないけど、井戸端会議に参加する暇をもて余した奥さんの噂話の早さと好奇心はいつの世もスゴイねぇ~(笑)

    とるとだす…
    上野の広徳寺の高僧寛朝に呼び出された長崎屋。
    そこには自分の店の妙薬をやたら薦める同業者達の姿があった。
    そこで何種もの薬を飲んで突然倒れた父、藤兵衛。
    父の体から薬を抜こうと色々とがんばる若だんなの巻。あなたは人に頼る方法を覚えなければならないと寛朝に言われる若だんな。

    あやかし達の力を借りて、どんな薬を父が飲んだのか聞き込む。背景には各店主達の密約があり、長崎屋を自陣に引き込みたいがゆえ、息子の体によいと興味を引いた結果、五種類の薬を飲みまくったという。

    しんのいみ…
    海の向こうに現れる蜃気楼。長く滞在すると、記憶がどんどん薄れていくという。その中になぜか迷い混んでる若だんな。
    そこで出会ったのは行方不明になった息子を探しにきた五助と、自分は何者か忘れた妖、坂左。
    自分を坂左に会わせた喜見。
    自分の生い立ちもわからなくなりかけていた若だんなは、神鏡の力で現れた長崎屋の面々に、自分のことを教えられ、枕返しという妖に父の枕を返してもらい、薬を吐き出させようとしていたことを思い出す。
    実は喜見は蜃気楼の主で蛟龍、みずち。坂左はさかさで枕返しのことだった。
    自分が嫌で蜃気楼の幻にたゆたっていた坂左は、若だんなの必死のお願いで父の薬を吐き出させて、江戸の町へ消えた。

    ばけねこつき…
    長崎屋に突然娘を娶ってほしいと染物屋の親娘が表れた。
    若だんなには許嫁がいるし、娘は器量よしで、わざわざ相手がいる長崎屋に縁談を持ち込む理由を聞くと、神田の縁談先に2回も化け猫憑きだからと断られたという。
    縁談を断るためのいい加減な噂だが、翌日のよみうりに、化け猫憑きの娘と長崎屋の若だんなの縁談の記事が載っていた。
    また同時に、暇をもて余すおかみ達が長屋に住む金次や場久へ縁談を持ち込み、まさかの貧乏神が長屋のおかみに恐怖する。
    どうやら染物屋の主は自分の手代にいずれ養子にするとか、妙薬のレシピを渡して分家させるとか、調子のいいことを言ってたようで、娘の嫁ぎ先に妙薬のレシピを渡すと言ったことで、手代は信じていた約束を相手側に果たす意思がないと悟り、一計を案じた。
    予定通り主は妙薬のレシピをもって長崎屋へ向かう。手代は途中で暴露するも、結局妙薬のレシピは取らずに去る。
    去った後の手代を金次達が自分の長屋へ誘い、自分の身代わりに長屋のおかみに差し出したのが秀逸!

    長崎屋の主が死んだ…
    井戸で死んだ者が深い恨みを持つとなる、狂骨という恐ろしい妖が現れた。
    あやつに関わる全て、長崎屋の主も祟ると言われても思い当たる節がない。とりあえず井戸で死んだ者を探すこととなり、妖達の力を借りて聞き込む。
    若だんな自身も寛永寺へ向かう途中、狂骨に襲われていた寺の若い僧を助け、寺まで送り事情を聞く。
    僧があの場所にいたのは、寛永寺に女犯を犯した大柄な男がいると読売に書かれており、どうやら寺内の勢力争いで噂を利用されたらしい。実際に女犯をした僧はいるため、その調査に行った所に狂骨がいたという。
    寛永寺の僧が狂骨に襲われた理由はわからないまま、広徳寺に一泊することになった若だんな。
    広徳寺でも吉原の女に惚れた僧を還俗させる、しないでもめていると聞いていたが、問題の僧が出奔してしまった。女が梅毒に罹っていて、還俗して添い遂げてもろくな最期にならない、と僧を説得しようとした所、反発して出て行ってしまった為、捜索している最中だという。
    出奔した僧が狂骨だと気づく若だんな。
    狂骨の意味不明なつぶやきが、なぜ女だけが梅毒になったのか、なぜ治らないのか、治せるものがいないのか、という世を恨んだものだった。長崎屋は江戸一とうたわれる薬屋なのになぜ梅毒を治す薬がないのかという遠~い理由で恨まれていた。

    ふろうふし…
    いまだに良くならない藤兵衛の身を案じる若だんなの元に、大黒神が現れ、常世の国にいる医薬やまじないの神、少彦名なら妙薬を知っているはずと教えてくれる。
    粟に弾かれて飛ばされたのは、常世の国ではなく、なぜか神田明神の境内。妖達がついてきたから重くて途中で落ちてしまったのかと慌てる若だんな。
    境内にいたのは常世の国にある不老不死の薬を欲する侍達。侍達は突然現れた若だんな達を神仙と勘違いし、襲ってくるが助けてくれたのは一寸法師。
    若だんなが不老不死の薬を欲しがっていると誤解していた島子が、知らぬ相手にやるくらいなら惚れた相手にやる!と薬をもって下界に降りてしまった為、探しているという。
    誤解を解いた若だんなは、島子を探す代わりに毒抜きの薬を探してほしいと交渉する。
    果たして侍達に追われていた島子を無事見つけられるのか。という話。実は一寸法師が少彦名だったというオチ。

  • しゃばけシリーズも17巻目。さすがに最近ちょっと勢いがなくなってきたかな。雲をつかむような話が多くて、最後につじつまはあうけど、そこまで行き着くのがちょっと大変になってきた。
    そろそろ卒業時かと思いつつ、次巻が出たらまた読むのだろうな。

  • 藤兵衛が倒れたことで、その謎を解明すべく、若旦那が動く。
    今回は5編全てが繋がっていて、ある種、長編のような巻。
    狂骨の話は恐ろしかったが、狂骨になってしまった経緯を知ると切なく、悲しい。
    妖も恐れる狂骨に果敢に飛び掛かって行った鳴家が健気。

  • 2021/5/11
    安定の。いつもひらがなタイトルなのに一つ「長崎屋の主が死んだ」っていうのがあって驚愕。
    見え見えのフリやのにまんまとビビらされた。
    今回はお父さんが倒れて若だんな頑張った。
    ちょっとずつ頼もしくなってるのかも。
    嬉しいような寂しいような。

  • 20200330読了。
    短編だけど、長編みたいな作りのお話しでした。
    是非ともドラマ化して欲しい。

  • 長崎屋の大旦那が、いろいろな薬を飲まされた挙句、倒れてしまった⁉️

    おとっつぁんのために頑張る若旦那。
    でも、それは確かにいつかくる日。
    時の流れに若旦那の成長と妖かしたちとの違いを改めて感じ(T ^ T)

  • 前回のおおあたりを少し尾に引いた一冊。最近若だんなの周りで心配事が多くなってきたような…。手代二人や妖たちも若だんなの心配事もたくさん。しんのいみ、がなんだか切なくてでも暖かくて面白かった。

  • なぜこの本を読もうと思ったのか忘れてしまったけど、とにかく予約して読みたい本リストに入っていたので、図書館で借りて読んでみました。
    読み始めて、なかなか話に入れず、、、それもそのはず、シリーズものの16番目だったんですね。
    独特の語り口、ふりがながなくなると読めなくなってしまう漢字に戸惑いながらも、だんだんと妖の世界に入り、なんとなく江戸な気分を楽しみました。でも、同じシリーズの他の本も読むかと言うと、そこまででもないかも。。。

  • 今までは、いつも短編の最初に『通町の廻船問屋兼薬種問屋の若だんな』的な説明文から始まって、関連があるんだか無いんだかわからない話の集まりだった印象が強いけど、今回の作品は、まとまりのある短編。
    ほっとする中で、藤兵衛がもしや助からなかったり…って言うちょっと心配してしまった 笑 

  • 「とるとだす」
    広徳寺に集められた薬種屋たち。その集まりの中で長崎屋店主藤兵衛が倒れてしまう。

    急いで解決させる知恵が出て、若旦那も頑張っている。

    「しんのいみ」
    江戸の海に今まで無かった島影が見えるようになる。それは蜃気楼で、いつの間に若旦那は蜃気楼の中に入り込んでしまっていた。

    藤兵衛の毒消しのために若旦那が出来ることは何でもしようと頑張る。
    蜃気楼の中にいると物事を忘れていくらしく、忘れてしまいたい自分だった事を思い出してしまう枕返しは、元はどんな人?だったんだろう。

    「ばけねこつき」
    藤兵衛の毒消しになる薬を教える代わりに娘を嫁にしろと言ってくる染物屋の話。

    店主を信じて一生懸命お店に勤めてきたのに、結局嫁も暖簾分けもしてもらえなかった番頭の悲しさ。
    呆然としてしまうよね。
    そしてそのことに気付きもしない店主。
    出て行くことにはなるだろうけど、何か少しでも手を回してあげたりすれば良かったのに。

    それを救ったのが長屋の強引なおかみさん達、という展開は笑えましたw

    「長崎屋の主が死んだ」
    骨の姿になってまで憎い相手を呪い殺そうとする妖の話。

    何も出来ない自分に悔しい思いをしたのがきっかけだろうけど、相当な範囲に逆恨みをしていた狂骨。
    八つ当たりも甚だしいけど、やり切れない話でした。

    「ふろうふし」
    大黒天様の用事をこなせば、藤兵衛を救える薬について調べてやろうという話。

    一寸法師(じゃないけど)や金太郎、浦島太郎などの昔話の登場人物達が出てきて、ドタバタと賑やかな話。

    妖達と人間の寿命の違いについては、これまでも何度も触れていたので、今回もまたという感じ。
    「えどさがし」という作品もあったけど、若旦那と妖達のお話はどこまで続くのかな?
    どうやって終わるのかな?
    まだまだ楽しめそうですが、考えてしまいますね。

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著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2020年 『つくもがみ笑います』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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