けさくしゃ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (497ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101461922

感想・レビュー・書評

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  • 151120*読了

  • 江戸時代の出版事情がわかってとても面白い作品でした。

  • 『しゃばけ』シリーズで独自の時代小説の領域を開拓した、畠中恵。
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4101461317

    年1冊ペースの『しゃばけ』シリーズ以外にも作品を発表していて、”脂の乗っている”作家さんですね。
    書店巡りをしていたら、これまでのシリーズ以外の作品が文庫になって平積みされていたので、読んでみることにしました。

    舞台は江戸。
    主人公は若い旗本。
    「お殿様」と呼ばれる立場ながらも、お役目もなく、しかも侍らしからぬ腕っ節の弱さ、という設定です。

    趣味人の集まり、「連」にも顔を出している主人公の家にある日、その連で顔を合わせたことがある町人がやってきます。
    その用件というのが、「戯作者になりませんか」というお誘い。

    さまざまな事情がからんで、戯作(小説)を書くことになった、主人公。
    現実に起こった事件を、戯作の筋立てとして考えることによって読み解く。
    さらに、戯作を書くことそのものによって起こる、トラブルの数々。
    その騒動と謎解きが、6つの短編となって描かれています。

    それぞれの短編での謎解きと合わせて、短編相互のつながりで、大きなストーリーが展開していきます。
    その楽しみとともに、各話それぞれが「江戸時代の出版事情」に絡んだ話題を取り込んでいます。

    日本での出版というと、明治時代以降に発達したという印象があったのですが、江戸の世にもかなりのしくみが出来上がっていたのですね。
    設定が設定だけに強引さを感じる部分もありましたが、楽しみながらお江戸の雰囲気を味わえる、畠中恵らしい作品だなと感じました。

    今度もこの作家さんがどのような世界を展開していくのか、ウォッチしていきたいと思います。

    『えどさがし しゃばけシリーズ』畠中恵
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4101461325
     
     .

  • 物書きの性を、江戸時代を題材に書いた物語。
    まんまこととかとは異なり、途中の謎解きは割と中途半端というかご都合主義というか、あまり突っ込んで考えてはいけないレベル。
    なので、謎解きものとして見るより、物書きってものは何か、どういうものかに着眼していると思って読んだ方がよい。

  • 20150906読了

  • 良く出来る中間の正体が思ってたよりも普通でそこから読むペースが落ちてしまった。じゃあ何なら適切だったのかというと、あーやっぱりね、と思うものしか浮かばないけれど。
    そして、彦さんのことあまり好きになれなかったのもあるけれど、だから戯作は面白い!という感じが私には足りなかった。

  • おもしろかったけど、ちょっと簡単に事件解決し過ぎかな……

  •  本作は、しゃばけシリーズで知られる畠中恵さんの、シリーズ外の時代物作品の1つである。タイトルの「けさくしゃ」とは、漢字で書くと「戯作者」、つまり現在で言う小説家を指す。戯作者を主人公に据えた時代物とは、珍しい。

     見た目は優男の柳亭種彦は、二百俵取りの一応旗本だが、暇を持て余す趣味人。版元の山青堂は、種彦の才能を見込み、戯作を書かせて儲けようとする。書くことが好きな種彦だけに、渡りに船かと思いきや…時代は江戸幕府の治世下である。

     お上の目が光る中、当然ながら言論の自由などない。お上が風紀を乱すと見なせば、発禁どころか下手すると死罪である。版元も戯作者も、リスクが高い商売なのだ。よりによって、武士の端くれである種彦が、戯作を書くとは…。

     本作の基本フォーマットは、種彦や山青堂が何らかの事件に巻き込まれ、真相を推理するために戯作を考える、というもの。いわゆる安楽椅子探偵に入るのだろうが、なぜか種彦の戯作は、当たらずといえども遠からずなのが面白い。

     どう考えても詐欺だろと呆れる戯作の一に始まり、歌の読み手を探ったり、現在で言う覆面作家の正体を探ったり、大坂の版元に絡まれたり。この辺までは笑っていられるが、終盤では本当に危機に陥る。特に最後の戯作の六は、ネット時代の目線で見ても頷ける点が多いだろう。当事者としてはたまったものではない…。

     キャラクターの魅力は僕が述べるまでもないが、江戸時代の出版事情は大変興味深い。大量印刷ができない当時、本は借りて読むのが主流であった。大坂と江戸の版元が揉めた経緯とは。同じ出版用語でも、当時と今ではまったく意味が違ったりする。

     現在と共通するのは、1冊の本を世に送り出すのに、多くの人手がかかっているということ。本作は、本を、出版業界を愛する畠中恵さんによる、本を愛する人々の物語である。もちろん、普通に時代小説としても楽しむもよし。

     柳亭種彦の作品を、是非書いてくれませんか、畠中さん。

  • 今人気の、書店もの、出版社もののお江戸版!
    さすが、目の付け所が違う。
    江戸の出版のシステムもいろいろ分かったし、決まり事やお上の締め付けも厳しいために様々な事件が起きたり、楽しい。
    江戸時代の人たちは、本文の中にも書かれていたけれど、読み書き人口が高くて、大勢の人が読書を楽しんでいた、日本が世界に誇れることだそうだ。
    本を出すことが危険だった時代でも、人を楽しませ、自分も楽しい、『戯作』をやめられなかった種彦先生。
    この「なにがあってもやめられない」感は、もちろん畠中さんの気持でもあり、創作する人に共通する活力の素なのだろう。

    善さんが素敵でしたよ。

  • 戯作者 江戸時代の小説家のお話。
    しかも、お殿様をしつつの小説家。

    「見た目は役者と見紛うばかりのいい男」って、あるのにいい男っぷりが全然書いてない。と思う。人物紹介がなんだか薄味だったのかなぁ?いまいち話に乗り切れなかった。
    戯作中の人物が勝手に暴れ回る程には私の頭の中で動き回ってくれない。しゃばけシリーズは大好きでそれこそ読んでる側から動き回るのに…
    本を世に出すに当たって今の時代と似ているところあり、似て非なるところありでそこら辺は面白かったな。

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著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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