- 本 ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101463223
感想・レビュー・書評
-
談話室で「笑えるエッセイを教えてください!」と投稿したところ一番乗りでおススメしていただいたものです。(おススメいただいたものは順番に読んでいこうと思っています。)
著者のことあまり存じ上げなかったのですが(すみません)、ググってみたところ、「あー、なんか知ってるかも」と思いました。
タイトルは、スポーツ中継のアナウンサーがある局面にくるとよく言う「わからなくなってきました」という紋切り型の言葉から。これに対して「わからないでは困る」と独特の思考を展開する。
ずっとこんな感じで、普段私のような凡人がなんとも思わない事柄に対して、予想もつかない方向に独特の思考を発展させていく。「わからなくなってきました」に目をつけるところから、さすが、と思いましたが、全体的に「そこ?!そこに目をつけちゃったか~」というテーマが多くて、才能のある人と凡人の違いというものをわかりやすく見せつけられた気がします。うらやましい。「何でもないようなことを拾う→人とは違う思考の展開を見せる→なんなら人を笑わせることができる→自分なりの考えを着地させる。」こういうセンスってどこで磨けるんでしょうねぇ。
胴上げについてでは、胴上げの競技化にまでに思考は発展するわ、子どもの持ち物には名前を書くということについては、なぜ下着にまで名前を書かなければいけないのかと疑問に思い、「子どもはところ構わず、パンツを脱いだりしちゃうとでもいうのか。むしろ私は、大人のほうが、ところ構わずパンツを脱いじゃったりするのではないかと思う」と書いて読者の笑いを誘う(少なくとも私は「うまい!」と思いました)。
ひとつの些細なことに対して、読者が予想だにしない仮定にもっていったり、空想を繰り広げたりするのは、さすが、劇作家だと思いました。こんな風に、はたから見れば遊んでいるような思考の展開が、著者にとってはきっと物になるというか、何かにつながっていくんだろうな~。
あまりにも独特なので、たまに、それこそ「わからなくなってきました」的なところもありました。全てツボにハマるかというとそうでもないですが、ひとつひとつは短めなので、ツボっちゃうものや、ついつい笑ってしまうものは必ずあると思います!
「アハハ」と笑うというよりは、ついつい口元が「ニヤリ」としてしまうといったエッセイでした。ついつい通勤電車の中で読んでしまった時も、マスクの中で口元は常に「ニヤリ」としていました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
野球で、まさかの逆転劇などがあったあと「わからなくなってきました!」というアナウンサーの言葉より。確かに日常でふとそのような暗黙の了解というか、ニュアンス言葉に触れることがあり改めて考えると変だな〜や不思議だなあと思うこともある。
ただ本文では、その言葉だけを捕まえ、無駄に例文を列挙。勝手に作者が混乱していく。
エッセイの、各題については興味を惹かれるものが多いが、文章自体は「言わなくてもわかる」というような感じで新しい発見はない。
この手の物には「クスッと笑える」を求めるものの、文章から「笑わせに来ている」匂いが漂い、なかなか集中できなかった。 -
お風呂で読むのに最適な脱力エッセイ。
「なんてくだらないことを」
と、一瞬思わせといて深いところを突いてくるあたり、尊敬します。
そして何と言っても、思考の軌跡が独特で予想がつかないのが楽しい。思わず「プッ」と笑ってしまう。岸本佐知子さんと似た思考回路だけど、宮沢さんの方がよりぶっきらぼう。癖になります。 -
第一章と第三章。思いっきり笑いました。
宮沢章夫。いつ読んでもその感性が、つぼにはまって、
心地よい愉悦をもたらします。
新幹線で読んでいたら、思いっきり笑ってしまって、
ちょっと恥ずかしかった。外で読むときは気をつけて。
一人で読んでても、人に見られたら変人と思われそうです。 -
日常の小さな物事に様々な仮定や空想を加え、自ら突っ込みをいれる不思議エッセイ。内容が古過ぎて理解できない点は少なくない。、1つの物事の一部を変更して構想を練る発想は凄く大事であり、話の膨らませ方は参考になった。
面白さがいまいち理解できず、読み進めるうちにわからなくなってしまい、真面目に読んでしまった。 -
これもだいぶ前に読んで面白かったから読み直した本。今読むと初期のハライチの漫才みのある言い回しが寒かったりもするけど、どうしようもない日常の一コマにふふっと笑えたりもした。
終盤の書評がくだらなさ大幅カットでこちらも割と面白い。趣味の読書の定義を「憧れ」の有無と論じていて、仕事に関する読書を一切しない自分の本棚を眺めたときにああーーーわかるなぁぁってなりました。 -
【古書】読メお気に入りの方が教えてくれた。タイトルに惹かれ本書を探したが、古書の取扱いしかなかった。何と脱力系のエッセイだろう。そして、第1章では一回の連載に脈絡のなさそうな三つのテーマで惜しげも無く書く斬新さ。タイトル以外に「だめになっていく」も好きだ。時に哲学的な内容が良い。<大人=子ども>の論は目から鱗だった。
-
野球中継の緊迫した場面でアナウンサーが言う紋切り型発言、「わからなくなってきました!」っていったい何なのよ。などなど、劇作家の宮沢章夫の語りが楽しすぎるエッセイ。言葉のツボも面白いけれど、目薬の差し方に生き様が出るだとか、職業が寝言を規定するだとか、なるほどと思う話もたくさんあります。
-
必ず一つはこういうクスッと笑える本を手元に置いておく。宮沢章夫氏の本はけっこうな頻度で借りてるかも。
が、時々はクスッでは済まない箇所もある。「名前を書く」という項で、子どもの持ち物に名前を書くのはなぜか?しかも下着まで書くのはどうしたことだろう?ときて、「子どもはところ構わず、パンツを脱いだりしちゃうとでもいうのか。むしろ私は、大人のほうが、ところ構わずパンツを脱いじゃったりするのではないかと思う」
……ここで鼻からコーヒー吹きました。
著者プロフィール
宮沢章夫の作品





