働くことがイヤな人のための本 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 753
レビュー : 79
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101467238

作品紹介・あらすじ

「仕事とは何だろうか?」「人はなぜ働かねばならないのか?」「生きることがそのまま仕事であることは可能か?」-引きこもりの留年生、三十過ぎの未婚OL、中年サラリーマン、元・哲学青年の会社経営者といった人物との架空対話を通して、人間が「よく生きること」の意味を探究する。仕事としっくりいかず、生きがいを見出せない人たちに贈る、哲学者からのメッセージ。

感想・レビュー・書評

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  • 何冊か読んだ著者の本の中で一番"まとも"。何千円もする翻訳書を買ってきて,最初の頁からノート取りながら勉強したら少しは賢くなる,こんな幻想は捨てろと説く。いまの仕事が嫌だから頑張って毎日文章書く練習して小説家を目指そうなんて,考えている以上に高いハードルが幾つもあるから止めろと説く。こんな説教じみた話のオンパレード。しかし一定の年になり,会社員やって毎日過ごしていると,これは真実だなと思えてくる。それは決して夢を捨てるとか,人生を諦めたとかいうこととは違う。あまりに若く幼いと,その違いが見えないわけだ。

    仕事で疲れることが多く思わず再読いっき読み!。本屋には仕事に関する本が山と積まれ,叱咤激励して成功へと誘う本,逆に成功だけが全てではないからあくせくするなと説く本,この二つに大別される。しかし人生とは思い通りにならないのが当たり前であり,ぼんやりしてても棚からぼたもちも有り得るし,品行方正にしてても罪を被ることもあるし,悪事を働きまくっても賞賛され賛美されることもある。社会に出て仕事をするとは,これら理不尽さを全て受け入れ,もがき,ため息をつくということ。だから尊いと説く。この哲学者が大好きになった一冊。

  • タイトルを本書の中身に照らすと少々誤解が生じるかもしれない。
    本書は『仕事』ということを、人生の中の何に求めるか、ということを論じている。

    一般的な『社会人』として働くこと(≒賃労働)だけが『仕事』とイコールではない。その人の人生で大切な、かけがえのないことをすること、それが最終的には『仕事』だ、と訴えかけている。

    本書に関していえば十人十色だろうが、現在病気療養中で社会復帰したくてもできない僕にとっては、むしろ『焦燥感』や『罪悪感』、『コンプレックス』などを払拭してくれたような読後感。
    「いまできることをしよう!」と。

    大学教授が送る哲学的人生論。(読了:2005年4月11日)

  • 20代、30代、40代、50代の4人の(架空の)人物との会話を通して進みます。「はじめに」に、「私と異なった感受性をもつ膨大な数の人には何も訴えることがないのかもしれない」とある。たしかに、登場人物にまったく親近感を持てない人のが多いだろうな、と思う。

    逆に言えば、「これは私のこと?」って思える人には、ずきっとくるような話。私なんか、まさにA君であり、Bさんだった。子どもの頃から、考えなくてもいいようなことをうらうら考え続ける性質で、大学の哲学科に入ってみたものの、それも虚しくて辞めてしまって、ニ―トになって寝て過ごし…。その頃、ぼんやり思ってたことが言語化されて、もう赤面するしかない、いたたまれないキモチ。あの頃の自分に読ませてみたい。

    のちに就職もし、世間にもまれ、今じゃそこそこフツウだけれど、まだどこかに眠ってる答えのない問いが、息を吹き返した感じ、これ読んで。無用塾に入りたいなぁ。

  • 対話風ってのが微妙
    かんべんして

  • サラリーマンになるのが嫌で留年をくり返している法学部の学生、小説家になりたいという夢をあきらめることができない30代の女性、気乗りのしない仕事を続けてきた40代の男性、世間的な成功を修めたものの、病を得たことで自分の人生の意味をあらためて考えなおした50代の男性という4人の登場人物に、著者が「働くこと」について語りかけるという体裁で書かれた本です。

    「解説」で文芸評論家の斎藤美奈子が、著者と対照的な立場からの意見を述べていておもしろく読みました。斎藤は、現代の「働くこと」にまつわる諸問題の歴史的・社会的な背景を無視して、本質的で根源的な問題とみなす著者の議論の抽象性を指摘しています。ただ、斎藤は自身と著者との立場の違いを、「働くこと」を賃労働とみなすか、「哲学あるいは宗教や芸術」など「人生それ自体を対象とする仕事」とみなすか、という仕方で整理しています。

    もっとも、斎藤の「賃労働」という言葉に引きずられて、著者と4人の対話者が直面しているのは、単なる金の配分ではなくて社会的な「承認」のことだと理解してはいけないのだろうと思います。著者が問題にしているのは、世間的な「承認」を得ることとは違った「何か」なのであり、そうした「何か」があるかもしれない、それをただ求めて生きていったらいいのではないか、と考えることで、世間的な「承認」とは異なる物差しを提示しようという試みなのだと理解しました。

  • 最後の解説を読んでようやく腑に落ちました。

  • 救われる本。特に著者の父親のエピソードは日ごろのモヤモヤが晴れたような気持ちになった

  • 希望を持って腐っている人には響くと思われる

  • 20180630読了
    2004年発行。なぜ働くのか、という問いに向き合っていく内容。年代や職業がばらばらの架空の人物4人を登場させ、著者との架空の対話をとおして探求する哲学的な一冊。この方が哲学者だとはわかっていたけれど、哲学的な著作は初めて読んだような気がする。働くことを考えるのは生きることについて考えることと同義であり、年齢を重ねて読み返しても新たに発見がありそうな本。

  • 「働くのだるいよな」って人たちにも理解を示しつつ、「まぁそれはそうとしてもうちょっと働くこと、生きることについて考えてみようぜ」って感じの本だった。
    全部を理解できたわけではないけど、まさに自分がいま仕事のことで悩んでいて(本書に出てくる人物の中だとCさんの状況に近い)、今後の生き方の指針になりそう。

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著者プロフィール

1946年生まれ。
東京大学法学部卒業。同大学院哲学専攻修士課程修了。ウィーン大学で哲学博士号取得。電気通信大学教授を経て、現在は「哲学塾カント」を主宰。専攻は時間論、自我論。
著書に『哲学の教科書』『「時間」を哲学する』『ウィーン愛憎』『「私」の秘密』『「純粋理性批判」を噛み砕く』『哲学塾授業』『差別感情の哲学』『不在の哲学』ほか多数。

「2018年 『カントの「悪」論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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