私の嫌いな10の人びと (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101467269

作品紹介・あらすじ

「笑顔の絶えない人」「みんなの喜ぶ顔が見たい人」…そんな「いい人」に出会うと、不愉快でたまらない!共通するのは、自分の頭で考えず、世間の考え方に無批判に従う怠惰な姿勢だ。多数派の価値観を振りかざし、少数派の感受性を踏みにじる鈍感さだ。そんなすべてが嫌なのだ!「戦う哲学者」中島義道が10のタイプの「善人」をバッサリと斬る。日本的常識への勇気ある抗議の書。

感想・レビュー・書評

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  • 『私の嫌いな10の人びと』中島義道

    物事をよく考えない人、考えようとしない人、つまり、無批判な大衆に対して嫌悪感を示している一冊。一般的な日本人に、賛同され、好かれる人たちが、嫌い。善意の圧力で押しつぶされそうになる社会を批判しているように感じた。中島義道氏の本を読むと、人から嫌われずに、人間関係をなるべく良好に築いて、人を不快にさせず、うまくやりたい、と思っている一方で、消費者として、大衆として、“普通”に生きたくないという、自分として生きたいという相反する欲求を持っていることを自覚させられる。無批判に世間に、マジョリティに迎合する、考えない人にはなりたくないなぁ。

  • 人によっては毒にも薬にもなる「戦う哲学者」中島義道

    すべてとは言えないがかなり共感できる。
    中島義道が、10のタイプの「善人」をバッサリと斬る。
    一部だが共感できる題材とその理由を簡素にまとめてみた。

    ★「『おれ、バカだから』と言う人」
    実は本当にバカなのです。
    (これ笑えました。)

    ★「笑顔の絶えない人」
    結局自分の利益になるからこのルールに従っているだけではないか。

    ★「常に感謝の気持ちを忘れない人」
    日本の社会はこの気持ちが欠如している人を吊るし上げるように出来ている。

    ★「みんなの喜ぶ顔が見たい人」
    自分のまわりの環境を自分に好ましいように整えたいからであって、エゴイズムなのです。

    ★「いつも前向きに生きている人」
    この信念を周囲の者たちに「布教」しようとする。

    ★「『けじめ』を大切にする人」
    一見筋が通っているように見えてなんだかんだで社会を利用して自分に従わせようとする。

    ★「物事をはっきり言わない人」
    責任逃れの上に無意味に過剰な演出を仕掛ける。

    いや~つまんない授業の道徳話よりずっと頷ける。

    なにに戦っているのか知らないが、
    この「戦う哲学者」中島義道・・・
    面白い。

  • タイトル通り、中島義道氏が嫌いな特徴の人を書き連ねている。著者の本を読むのは4冊目なので、こういった人たちが嫌いなのだろうなとは予想がついた。いわゆる大多数の人が嫌う人々についてではなく、世間一般に肯定されている人々をバッサリと切り捨てている。
    あとがきに記載の通り、本書にあげられている人々の特徴は「物事をよく考えず、世間の感受性に漠然と合わせている」こと。真に自分の経験から得た信念ではなく、世間・周囲がそう言っているから、という理由でそれに迎合する姿勢である。そういった意味では自分としてもそのような考えない人々は好まないが、自分自身考えることができずに周りに合わせる生き方をある程度してきたことから、自分自身を省みることとなった。マジョリティに溺れるのではなく、客観的かつ批判的な視点で物事を見て、自分自身を形作っていかなければならない。

  • 「私の嫌いな10の言葉」に続き2冊目。著者は「物事を正確に厳密に言語を駆使して表現するという理性的な態度」によって、なぜ嫌いなのかを分析する。
    前書の方がインパクトがあり、切れがかかっていたと思うのは慣れてしまったからだろうか。

  • “いい人”が嫌いというのは全面的に同意!
    いい人が好き、という人は、いい人に甘やかされている自分、決して自分を責めないいい人が好きなわけで、結局自分が好きなだけだよね。
    あと、いい人って話していてつまらない。
    やっぱり私は皮肉の1つでも言ってくれる人の方が好きかな。

    疑問に思う点は、こういう本の存在意義。
    こういう本を読んで、ふんふんなるほどと思ったところで、結局それは共感を得たいだけで、哲学の道からは外れているよね。
    そんな本に何の意義があるのか?

  •  自分の日々の世間に対する苛立ちを言葉にしてくれた本。

     常識、習慣に従う人(=マジョリティー)が良しされる一方で、それに従えない人(=マイノリティー)を非社会的とする風潮を作者は嫌う。
     自身では何も考えず、盲目的にマジョリティを良しとする人を筆者は嫌う。
     
     常に笑顔でいる人は、時に自分の負の感情を隠しているので嫌い。負の感情も自由に表現するべきである。
     自分はバカだと言う人は、そのレッテルを自身に貼ることで、考えないことを正当化している。
     俳優や国会議員はやたらと「 皆様のお陰です」というが、その人に役に立っていない人にも感謝の気持を示すのは、明らかな嘘である。

     世間的に良しとされる行動(明るくいろ、怒りの感情は人に見せるな、人の迷惑になるな、相手の欠点は指摘するな、)が自然にできる人がいる一方で、その行為が苦手な人がいる。マイノリティに常識を強制してはならない。

  • 最高

  • 偏屈ですね〜笑 偏屈なおじいさんの頭の中がどうなっているのかを覗き込むことがきたような気持ちです。基本的に偽善的な人や大衆的な人が嫌いなんですね。分かる!と共感する部分も多々ありました。言いたいことをハッキリ言える人ってある意味気持ちがいい。

  • タイトル通り、著者の嫌いな人々について書かれたエッセイ。読んでみて偏屈だなあと思う部分と共感できる部分とがありました。痛快といえばそうですが、一部違和感を覚えたのは街に溢れている音についての記述。著者は全てが無駄で厭わしく思っているようですが、中には目が不自由な方のために音声を出しているものもあるので、全部を無くせという主張はちょっと違うのではないかなと思いました。

  • 自分の「嫌い」を本にしてしまう精神は好きだが、「そこまで思う?」ということが多すぎて読んでいて疲れた。
    私自身、人の好き嫌いが激しい方だと思うが「こんな人がいるんだ」と思うこと以外、特別大きな共感はない。一歩引いて読まないと辛くなる人もいるかも。

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著者プロフィール

1946年生まれ. 東京大学法学部卒. 同大学院人文科学研究科修士課程修了. ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士). 電気通信大学教授を経て, 現在は哲学塾主宰. 著書に, 『時間を哲学する──過去はどこへ行ったのか』(講談社現代新書),『哲学の教科書』(講談社学術文庫), 『時間論』(ちくま学芸文庫), 『死を哲学する』(岩波書店), 『過酷なるニーチェ』(河出文庫), 『生き生きした過去──大森荘蔵の時間論, その批判的解説』(河出書房新社), 『不在の哲学』(ちくま学芸文庫)『時間と死──不在と無のあいだで』(ぷねうま舎), 『明るく死ぬための哲学』(文藝春秋), 『晩年のカント』(講談社), 『てってい的にキルケゴール その一 絶望ってなんだ』, 『てってい的にキルケゴール その二 私が私であることの深淵に絶望』(ぷねうま舎)など.

「2023年 『その3 本気で、つまずくということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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