人生に生きる価値はない (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 47
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101467306

作品紹介・あらすじ

人が生れるのも死ぬのも、苦しむのも楽しむのも、何の意味もない。人類も地球もどうせ消滅するのだから、この世のすべてに意味はない。だからこそ好き勝手な価値を創造し、自分の奥底から湧き出す欲望の実現に励むのだ。ニヒリズムの向こうに輝く一筋の光明、全身に横溢して来る自由な気分。一度読んでビックリ、二度読んでスッキリ。「明るいニヒリズム」がきらめく哲学エッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 連載のエッセーを一冊にまとめた内容.タイトルと直接関わる内容のものはあまりなかったと思う.
    客観的な絶対世界が錯覚に過ぎず,主観的な世界を唯一確かなものとしてもよいのではないか,という考え方そのものは時々耳にするものではあるが,難しい哲学的な議論を挟むものの,比較的平易な形でそういった考えを述べていてよかった.世間の常識や,それを批判もせずに自身の倫理規範として採用している人に対する非難というのも,根底にあるのはそのような,絶対的な客観世界に対する疑いである,とも思ったが,著者の他の書籍を読むと順番としてはむしろ,そのような常識に対する懐疑や,常識を押し付ける人に対する不満が,哲学的思考として昇華した結果,主観世界の優位を唱える考えになった,というのが適切かもしれない.

  • コラム集です。タイトルは直接的には関係ありませんでした。
    『生きがいや希望を持てという命令だけが与えられてて、じつは絶対に持てない仕組みになっているのである。』というのがとても印象に残っています。

  • 既存の概念に真っ向から対立する、中島義道らしい一作。

  • 75点。人生に生きる価値はない。と言われたら「は?それってどういう意味?」となるし、「だから意味も価値もないってこと」っていわれてもよくわからない。
    無意味だということを自分が理解したとすれば、十分に有意味な行為だしなぁ。
    無意味である、とはいったい、どういう意味で「ある」のか。
    無意味さを、意味を経由して理解する以外の方法はない。
    じゃあ、どうすればいいのだろう。
    このひねくれた著者は一生をかけて、先のけっこうどうでもいいような問題について考え続けている奇特な爺さんです。
    小さい頃、死が怖かった人は多い。私もそうであった。私の場合は死ぬという行為にではなく、死後を想像することに恐怖を覚えた。でも歳をとると、なんかどーでもよくなっちゃうことが増えて、鈍感さ具合に磨きがかかり、そのような恐怖を感じることは少なくなった。しかし、この爺さんは還暦を迎えてもなお死の恐怖について正面から向き合う。そして、こう言う。
    「すべては意味のないこととそのまま潔く認めて、心の安寧を得るという生き方は、ずいぶん私の信条とは異なるものだ。だいたい、私は何事に関しても、単純に諦めるということがない」
    なんてギラギラした爺さんではないか。かくして、明るいニヒリズムに通じるわけだが、この人の言う事は嫌いではないです。
    いくつか、つまらない話題があるのでこの点数。

  • だから死ね、とかいう内容ではないので安心して読んでください。

  • タイトル通り人生に「生きる価値はない」と思う。価値があると思うから、人は自らの人生に可能性を見出そうとし、夢を持とうとし、何かのために生きようとする。
    けれど、生きるべき価値などハナからないのだ。そこを受け入れてはじめて「人生」というものを真っ正面から見つめることができる。
    未来などどこにもない。過去は記憶の中にしかない。どちらも「有」ではなく、瞬間としての「今」しかないとすれば、そこにどうして価値を見出すことができるのか。
    人生に生きる価値があると思うから、人は不器用に生に執着する。戦争も虐めも醜い政争も、価値があるという幻想から産まれるのかもしれない。
    人生に生きる価値はない。僕らはそこからリスタートしなくちゃいけない。

  • 屁理屈ともとれもすつけど、ここまで徹底しているとある意味すがすがしいともいえるか。理屈は自分の哲学に根ざしている点はよいか。

  • これまで本を読んでほぉほぉと納得して読むことはあったが、この本は読んでいて「やっぱりそう思うよねぇ」と共感した箇所が多かった。哲学的な話については、あまり私に教養がないのでよく理解できなかったが、普段のものの感じ方などがあまりにも私と似ていて驚いた。哲学に興味をもつのがもっと早くて、大学で哲学を専攻していたらなぁ…と妄想しないでもないが、後悔はしていない。この本を読んでいなければ、そもそもそんな考えに至らなかっただろうし、この本を読んだことで哲を今後の人生の趣味にできれば、と思えたのは収穫だった。

    私には後悔する過去も、あるべき未来もなく、ただ“今”しかないのでR。

    • あきおさん
      哲学書の大半を売っぱらってしまったことが悔やまれます…(´Д⊂ヽ
      哲学書の大半を売っぱらってしまったことが悔やまれます…(´Д⊂ヽ
      2012/01/15
    • mikinyankoさん
      年間でイーモバイルにかかる費用を購入資金にあててくれれば、あるいは…
      年間でイーモバイルにかかる費用を購入資金にあててくれれば、あるいは…
      2012/01/15
  • 野矢さんの解説がとてもいい。

  • 頭の粗雑な人間には著者が生きる価値はないと言うことが結局価値になっているような気がしなくもない

    25

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著者プロフィール

1946年生まれ. 東京大学法学部卒. 同大学院人文科学研究科修士課程修了. ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士). 電気通信大学教授を経て, 現在は哲学塾主宰. 著書に, 『時間を哲学する──過去はどこへ行ったのか』(講談社現代新書),『哲学の教科書』(講談社学術文庫), 『時間論』(ちくま学芸文庫), 『死を哲学する』(岩波書店), 『過酷なるニーチェ』(河出文庫), 『生き生きした過去──大森荘蔵の時間論, その批判的解説』(河出書房新社), 『不在の哲学』(ちくま学芸文庫)『時間と死──不在と無のあいだで』(ぷねうま舎), 『明るく死ぬための哲学』(文藝春秋), 『晩年のカント』(講談社), 『てってい的にキルケゴール その一 絶望ってなんだ』, 『てってい的にキルケゴール その二 私が私であることの深淵に絶望』(ぷねうま舎)など.

「2023年 『その3 本気で、つまずくということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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