あのころの未来―星新一の預言 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101482224

感想・レビュー・書評

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  • 科学技術が進むとホントに新しい技術が進んでくる。
    それは、SFの世界であったことが、
    現実になってきている。
    星新一がとりあげた。SFの世界は現実になり、
    そのことに対して明確な方向性を持たないととんでもないことになる。

    それぞれを拾ってみると
    その文脈の行き着く先がみえてくる。

    臓器移植 臓器貯蔵庫 臓器製造業 臓器再生技術
    豚から臓器を・・・豚人間。
    人工授精 受精卵 クーロン人間。
    脳だけをいかす技術 脳手術 記憶を埋め込むチップ。
    遺伝子の診断 ニンゲン評価。
    不老不死・・・生きながらえる。長寿の功罪。

    人間を長く生きさせる技術がどんどんと開発されていく。
    低開発国の子供やまづしい人たちが、うりとばされ、
    臓器そのものが商品になるというのは、現実のことだ。

    インターネットで、臓器が販売される時代にもなった。
    よんでいると・・何か背中がゾクゾクと寒くなる。

    ロボットがいつも間にか、2本足で歩くようになって、
    サイボーグが登場することになるに違いない。

  • 星新一の物語に描かれた未来を、現代から振り返るエッセイ

    星新一への愛があり、
    そして、星新一の小説をきっかけにして、現代のいろんな問題に論を及ぼしているところが面白い

    子どもの頃星新一を読んだひとは多いだろうから、この題をつけた時点で勝ちだ

  • ネット社会、クローン技術、臓器移植、生殖医療…現実に進行しているテクノロジーの諸問題。
    星新一のショートショートには、それらを予言するようなことが描き出されていた。ユートピアか、それとも悪夢なのか。
    ひとと科学の関係を問い続ける著者が、星新一作品を読み解き、立ち止まって考える、科学と僕らのこれから。星新一の思想を知り人類の未来への想いを伝えるエッセイ。



    幼かった頃、二十一世紀というのはとてつもなく遠い未来だと思っていた。
    だから、二十一世紀には藤子・F・不二雄先生が描く「ドラえもん」の世界になるかもしれないと単純に心躍らせていた。

    中学生になり、星新一さんの書くショートショートを夢中で貪り読むようになった頃には、彼の小説の中に出てくる未来がそのまま僕たちの未来になるとは、いくら何でも思ってはいなかった。

    二十一世紀になった今、星新一さんが描いた未来と現在の、どちらが良いのかはわからない。
    人と科学の関係が今がベストとは思わないけれど、ではどうだったらいいのか、僕にはよくわからない。

    たとえば、こんな例を本書では挙げている。
    星新一さんは不老不死や、長寿、肉体の再生などをよくテーマにする。
    そして、現在の科学では、まだ不老不死も、完璧な長寿も、万全なる肉体の再生も成されてはいない。
    けれど、医学の進歩はかつてなら絶望的だった病気を治せるようにしたし、臓器移植なども盛んになってきた。
    クローン技術も驚異的な発展を遂げ、もしかしたらそのうち人間を完全に再生できるようになるのかもしれないとすら思う。

    ただ、それをやっていいかどうかはまた別の問題だ。
    個人的には、それは人間が踏み込んで良い領域のことではないように思っている。
    人が生まれ、そして死んでいくのは当たり前のことで、それを無理やり捻じ曲げてもいいことなんてないような気がする。
    けれど、僕の大切な人が(若いうちに)その命を失いそうになって、それでもしそれを救う手段があるとしたら、僕はそれでもノーと言えるかどうか自信はない。
    だから、こうやって星新一さんが描いた未来に少しずつ近づいている今を僕たちはもっと真剣に考えなくてはいけないのかもしれない。
    たぶん、答えはでないだろう。
    でも、それでも考えなくてはいけないことなのだと思う。

  • 動的平衡の中で紹介されていた本。読んでみよう!

    星新一の世界は単なるSFではない。未来のユートピアと悪夢。
    それを 最相 葉月が、2001年〜の世相や科学・社会と照らしあわせて 読み解いていく。
    テクノロジー先行で 人間や他のすべての生物のことを顧みない社会。
    このままでは、未来は 星新一のストーリーのようになるのでは・・・。

    「死体の気持ちになってみろ」 と違和感と怒りを感じた 

    2012/6/8 予約 6/13 借りる。6/16 読み始める。8/7 読み終わる。

    内容 :
    夢みたいな世界と悪夢のような現実はすべて彼の短篇に描かれていた。
    臓器移植、ネット社会、クローン人間…。 星新一と考える、科学と人間の望ましい姿。
    『サンデー毎日』に連載した50編をまとめる。

    著者 : 
    1963年生まれ。神戸市出身。関西学院大学法学部法律学科卒業。
    会社勤務、編集者を経て、ライターとして活躍。
    著書に第4回小学館ノンフィクション大賞を受賞した「絶対音感」など。

  • そっか、いまって、未来だな!と。星作品を少しずつ読み返してウハウハしてるけど、読み甘いところに気づかせてくれる。同人誌的な補完してくれるありがたいガイド。

  • 新書文庫

  • 中学生の頃によく読んだ星新一。
    また読んでみようかな。

  • 最相葉月『あのころの未来 星新一の預言』(2003.新潮社)を読む。

    科学ライターの著者が星新一のSFショートショートを題材に綴ったエッセイ。

    会社員から編集者、のち自立しただけあって、隠遁の心を感じる語り口です。

    元は雑誌連載ということもあり、10年前の発行当時の空気感も濃厚で、住基ネットとプライバシー、携帯メールなどの新技術への不信感と世代格差といったものも感じられます。

    余談ながら、電話世代がメールする若者を批判し、メール世代が既読スルーのLINEを批判したように、明治の読書人はラジオを批判、また古代人は文字ができることで暗記能力が衰えると批判したという話もあります。慣れ親しんだものにしか慣れ親しむことができない、固陋の心というべきでしょう。


    【本文より】
    ◯せっかくのお休みなのに、車でお金のかかる場所に行って遊び回ることは、車はもちろん、その土地の人を働かせることになるわけですから、本当の意味でのお休みとはいえないかもしれません。(中略)自分が休んでも、そのためにほかの誰かやほかの物を働かせているなら、それを休みと呼ぶのはやめませんか。本当の休みというのは、自分の時間をだれにも何にもあげない、何にも託さない、ということ。


    ◯子どもをあえてつくりたくないと思う人々の心に、未来への寂寞たる絶望感があることをなぜ想像できないのだろうか。

  • 著者が星新一はこんな本も書いていたのか!と後書きに書いていましたが、正にそのとおりでした。子供向けのSFだと思っていたものが、実は未来に対する厳しい見方からの予言だったとは思いもよらないことでした。命令をすることを禁じられたロボットへの命令。人体実験など、現代の世の中で起こっていることをいかに星が的確に予想していたかということが良く分かりました。

  • 星新一の短編をネタにしたエッセイ集。多分旅先とかで読むとはまりそう。
    「星新一 一〇〇一話をつくった人」とごっちゃにしていた。こちらは評伝

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著者プロフィール

1963年生まれ。ノンフィクションライター。関西学院大学法学部法律学科卒。科学技術と人間の関わりや異文化コミュニケーション等を主なテーマとする。著書『絶対音感』『青いバラ』『星新一』他多数。

「2021年 『特別授業3.11 君たちはどう生きるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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