仮想儀礼(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (623ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101484167

感想・レビュー・書評

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  • えらい良心的で理性的な詐欺師。

  • 失業者の正彦と矢口は金儲けのために教団「聖泉真法会」を立ち上げる。似非教祖側を描く小説はお初かも…面白いです。
    ビジネスとして宗教をやる彼らの教団には悩める女性たちや生きづらい系の若者が集まってたけど、元役人の性なのか一歩引いてて教祖っぽい事を言いつつ内心ツッコんでる正彦とお人好しの矢口には「似非宗教」という自覚があるからか、「〇〇しないと地獄に堕ちる」等の脅しをしない。寧ろ信者がこの方向のこと言ってて、正彦と矢口は行政に繋いだりと冷静な対応しています。
    そのうちに食品会社社長というビッグな信者が出来てトントン拍子か…と思ったら、宗教ビジネスにたかってくる面々できな臭くなってきてラスト遂に…!でした。
    ハイエナな面々、正彦と矢口の詐欺師はまだ可愛いほうなのか?と錯覚してしまうくらいに悪いです。
    下巻では正彦と矢口が振り回されてどんどん堕ちていくのだとしたらちょっと不憫。読みます。

    「宗教」自体がモンスターみたいなものだとも思うけど、拠り所というよりもたれ掛かるつもりで多大な期待でやってきては失望して去っていく信者たちも随分と勝手だなと思いました。だからこそ宗教にはまれるのかもしれないけど。
    冷静なままだと到底無理で、宗教世界にはまる形に自らを狂わせるのが信徒なのかも。洗脳はそうか。。。
    お手軽に救われる、幸せになれるなんてそんな甘い話は無いです。お手軽に儲かる話も無い。気をつけましょう……あなたの心のスキマにドーン!!


    約10年前に文庫化された作品で、宗教からお金が流れ込んでいる政党だと公明党と自民党の名前出すのか。流石です。

  • NHK BSドラマが結構面白いので、初読の著者であるが原作も読んでみたくなった。金目的で新興宗教を立ち上げたものの桐生こと鈴木正彦も矢口も良心が痛んで金儲けだけには集中出来ない、しかし組織は大きくなりそれに伴い世間のありとあらゆる亡者が集まって来る、だんだん政治臭が強くなっていき下巻に続く。出来るだけドラマの終了前に読了出来るよう頑張りたい。

  • 202401/上下巻まとめて。面白かった!教団立ち上げスムーズにいきすぎとは思ったけど、登場人物達の描写が見事過ぎてひきこまれて一気読み。

  • 組織化されるまでの経過は、もうギャグ小説かと思うほど、桐生の信者へのツッコミが面白い。

    言葉にしている内容と心の声が真逆で、嫌々相談に乗ってる感じにニヤけてしまった。

    大きな組織となっていくと、怪しい人達(自分たちもだけどw)が周りに増えてきて、物語がどう着地するのか先が楽しみ。

    やはりこの方の文章はとても読みやすい。

    ただ、いつもより引き込まれる感じはなく、途中閉じるとペースが落ちてしまった。
    この感じで下巻もペースが落ちたままだと、結構長いからしんどいなー。

  • 生活に困って、新興宗教を立ち上げた主人公のお話。始祖として、試行錯誤しながら成り上がっていく姿が上巻。さくさく読めます。入信してくるのは訳ありな方々ばかりで、こんな世界もあるのかと、ホラーとは違った怖さを覚えます。

  • 下巻と合わせ、とにかく長い、長い本。続きが気になり、だがあっという間に読んでしまった。
    新興宗教がテーマだが、人間、人生、欲望、組織。。。そんなことについての普遍的な何かが綴られている。正しいことをやっていれば共感が得られるわけではないのだ。組織に悩むビジネスマンが読んでも大いに共感するだろう。
    皆、何かにすがりたくて仕方ない。だが、自分以外にすがったところで恒久的な安定は得られない。
    結局は、自分と常に向き合うしかないのだと思った。

  • 教祖視点の信者に対するつっこみが面白い。
    救いようの無い話し。

  • なにこれ!面白い。一気読み。
    旅のお供に借りたのに出発前に下巻も読み終わりそう。

  • 文章は淡々としているが、冷徹さと熱っぽさが共存していて心地よい。 テンポよく話もすすみ、久々の期待どおりの作品になった。続きが楽しみである。

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著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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