孤独のチカラ (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101489261

作品紹介・あらすじ

私には「暗黒の十年」がある。それは受験に失敗した十八歳から、大学に職を得る三十二歳までに体験した壮絶な孤独の年月である。しかし、人生のうちで孤独を徹底的に掘り下げ過去の偉人たちと地下水脈でつながる時間は、成長への通過儀礼だ。孤独をクリエイティブに変換する単独者のみ、到達できる地点は必ず存在する。本書はそんな自らの経験を基に提唱する「孤独の技法」である。

感想・レビュー・書評

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  • 孤独を成長へのプロセスとする「孤独の技法」ガイドブック。

    著者の語ろうとする、孤独の必要性・孤独の活用等は、とても参考になりますし、賛同します。そして、実践していることもあります。

    多くの作家や作品の孤独感を挿入しながら解説しています。孤独アイテムの紹介も多岐に渡ります。私も読みたい作家さんを見つけました。

    第一章の孤独と私が、出発点の様ですが、まず、大学受験を当然としてくれる家族。浪人し予備校を認められる資金力。等に支えられて、大学院進学を許せる状況で、「暗黒の十年」と表現されても、贅沢なお話としかー。

    日常生活の中で、孤独を避けている人は別として、その時間・空間を得ることは、案外贅沢なのです。
    コロナ禍で孤独との向き合い方も変化したかもしれないですよね。孤独に向き合う中で成長できる物は、確かにあると思います。若い学生さん達読んで下さい。

  • 「ぼっち」という言葉が子どもの頃から私は耳にしていた。
    ずっと思っていた。1人でいることはそんなにいけないことなのかと。どうしても1人というのはネガティブな印象を受けてしまう。
    子どもの頃から人は群れることを好む。大人もそうである。人付き合いが悪い、愛想が悪い、コミュ障なんて言葉もある。
    人と関係性を作る上である程度の愛想や、会話のやり取りは必要だが、それと1人が好きなことは全く別物ではないか。

    孤独の力。題名通り1人で過ごす時間。それは内省しかり自分と向き合う時間ではないだろうか。人といるだけでは育めない、大拙な時間であると思う。

  • 薄いけれど読み応えがある。
    孤独の素晴らしさをつぶさに解説してくれている。
    あと、危険性についてもわずかに語られている。
    我が身を振り返れば、Twitter浸け、Discord漬け、LINE浸け、と碌な状況になく、
    いろいろと日々の在り方を考えざるを得なくさせる1冊。

  • またきっと読み返す、読み返したい本。本当の孤独とは何か。
    斎藤先生の学生時代の話、オススメの本や禅の話までさまざまな切り口で孤独とは何かについて語られる。
    巻末についていた参考図書リストも有難い。
    自分は引用されていた林尹夫「わがいのち月明に燃ゆ」の一節が大変印象に残った。そちらも読みたい。

  • 孤独というものの絶大なパワーについてを書いた本。
    人生のある時に、人は何年か孤独になる時期が必要だと述べている。
    私もそういう時期があった。
    孤独な時期。
    自分を見つめる深い時期。
    確かに、そこで1つのなにかが醸成された感はある。
    この本を読んで、孤独をとてもポジティブに捉えられた。
    安らいだ。
    孤独を進んで選ぼうと思えた。

  • 孤独になることが人を強くする
    孤独⇒孤独をのりこえる⇒無常観

  • ずっと孤独に憧れていた。
    一人になる時間を求めていた。
    一生求めているわけではない。
    ただ、若い内に何もすることのない
    何をしてもいい、孤独が欲しかった。


    今、孤独を手に入れた。
    本を読み、映画を見る毎日。
    考えを考える日々。

    自分が味方にいてくれてよかった。
    孤独は力だ。

  • 著者が20代に経験した孤独な時期が今に活きているという話が、様々な引用を元に描かれている。
    他者から認められず、でも迎合もしたくないという若気の至りともいえる姿勢が、実は同じような孤独感を描いた先人の言葉や作品に触れる機会をつくってくれる。内面をこれでもかと理解していくと結果的にはそれが人の魅力につながようだ。

    本書が出版されたのはちょうど10年前。その時からは考えもつかないほど「つながり」という言葉が蔓延し簡単につながったと思える状況が生まれやすくなっている。一方で、自分の本音を目の前の相手にさらすことができず、匿名性が担保されるネット上では饒舌になる人も一定数いるだろう。
    しかし、つながるためにはそれ相応のものを自分から相手に差し出し、それを理解してもらえなければいけない。さらに相手からのそれを自分も受け止めて理解することが必要。そのための自己理解や自分を差し出すことには当然苦しさも伴う。
    苦しみを受け入れる時間が孤独である。受け入れた痛みは後にエネルギーや思いやりに変化していくはず。
    そのような時間を10代〜20代でどれだけ持てるかが、その人の魅力につながるだ。

    今からでも孤独な時間を持つことは遅くはない。
    巻末のブックリストは今後、師を見つけるヒントになるだろう。

  • 弁舌さわやかで、対人スキルは抜群に思える齋藤先生に、孤独感に苛まれた「暗黒の十年」があったという独白は、テレビを通して目に映る姿とのギャップにまずは驚く。

    逆に、そんな齋藤氏だからこそ、「人は孤独なときにこそ力を伸ばすことができる」という考えに至ったのだろう。

    孤独を乗り越えるための手法として3つ挙げている。すなわち、1.手先のことに集中する、2.翻訳、英語本にトライ、3.マニアな読書である。

    このうち、マニアな読書について、著者が「自分の気に入った本に関しては、自分が気に入っているというふうには思わない。向こうが私を気に入っている、と感じることがとても多いのだ。生きていたら、私を話し相手として気に入ってくれるし、絶対に楽しくなるだろうという気がする」というところに、著者の読書スタイルがよく表れていると感じる。

    過剰に孤独感を恐れることなく、孤独をネガティブに捉えることなく、自分自身を深掘りする大切な時間と捉えるべきという著者の考えに惹かれる。

  • 星10くらい。
    以前、齋藤先生の別の本に「若い時自分は自己肯定感が高すぎて〜」という旨が書かれており、それ以来シンパシーを感じていた。
    私も今が、もしかしたら暗黒の時代かもしれない。齋藤先生ほどの賢さは持ち合わせていないし、まだまだ沈潜の度合いも甘い。年齢的にも、こんなことを言っていられるぎりぎりの世代だし、まわりから見るとイタさすらあるのかもしれない。
    だけど、これが飛躍のための孤独の時代なら喜んで孤独を味わい尽くしたい。あらゆる芸術に触れ、本の世界に沈み、自分の感性を磨きたい。

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著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とする。2001年刊行の『声に出して読みたい日本語』が、シリーズ260万部のベストセラーとなる。その他著書に、『質問力』『段取り力』『コメント力』『齋藤孝の速読塾』『齋藤孝の企画塾』『やる気も成績も必ず上がる家庭勉強法』『恥をかかないスピーチ力』『思考を鍛えるメモ力』『超速読力』『頭がよくなる! 要約力』『新聞力』『こども「学問のすすめ」』『定義』等がある。

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