殺人犯はそこにいる (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 352
  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101492223

作品紹介・あらすじ

5人の少女が姿を消した。群馬と栃木の県境、半径10キロという狭いエリアで。同一犯による連続事件ではないのか? だがそのうちの1件「足利事件」は“解決済み”だった。冤罪の背後に潜む司法の闇。執念の取材は“真犯人”の存在を炙り出すが……。知られざる大事件を明るみに出し、日本中に衝撃を与えた怒りの取材記録。「調査報道のバイブル」と絶賛された傑作、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 「桶川ストーカー殺人事件・遺言」の著者でもある清水潔さんが書いたノンフィクションである。
    清水さんは2007年より「足利事件」の追跡を開始し、確定していた無期懲役囚・菅谷さんは冤罪ではないかとの疑問を持ち、捜査の矛盾点や謎を継続報道。DNA再鑑定をすべきだと提起し続けた。
    2009年、日本初のDNA再鑑定により犯人のDNAとの不一致が判明。
    菅谷さんは釈放された。
    清水さんは文藝春秋において数ヶ月にわたりレポートを掲載。
    菅谷さんの釈放時にも迎えのワゴン車に同乗していた。
    何故こんな冤罪事件が起きたのか。
    清水さんはひとつひとつ丁寧に検証し、自身で取材をしながら真実へと迫っていく。
    「ルパン」と呼ばれる真犯人。
    実は清水さんによってすでに警察には情報が流されている。
    しかし、少しも事件解決に向けた捜査は進展していない。
    これは何を意味するのか?
    警察の威信とは何だろう?
    人間がすることだ。科学捜査における信憑性も時代とともに変化する。それは仕方のないことだろう。
    だが、間違いに気付いたときにどう対応するのか。
    そこにすべてがかかっている。
    腐った組織は隠蔽工作に走り、自浄力のある組織は反省すべき点を反省し二度と同じ過ちを繰り返さないよう努めるだろう。
    はたして警察はどちら側の組織なのだろうか?
    清水さんを突き動かしているのは「怒り」なのだと思う。
    突然奪われた未来、冷酷な犯人によって断ち切られた未来。
    残された家族の慟哭など犯人は理解できない。できないからこそ、こんなにも残酷なことができるのだ。
    「ルパン」もこの本を手に取って読むのだろうか?
    せめてほんの少しでも後悔の念があるのなら、逃げきろうなどということは考えないでほしい。
    罪を犯した者は相応の罰を受けるべきなのだから。

    清水さんの思いは「あとがき」に詰まっていた。
    大抵のことなら取り返しがつく。何とかなる。やり直せる。私はそう信じて生きている。
    だが「命」だけは違う。唯一無二。
    どれほど嘆こうが取り戻すことなどできない。
    一日も早く真犯人が逮捕され、真実が明らかになるよう願っている。
    けっして許してはならない悪もこの世にはあるのだから。

    【足利事件とは?】
    1990年5月12日、足利市にあるパチンコ店の駐車場から女児が行方不明となる。
    翌朝、近くの渡良瀬川の河川敷で遺体となって発見された。
    犯人として菅谷利和さんが逮捕され、起訴され実刑が確定して服役していた。
    しかし、遺留物のDNA型が再鑑定により判明。
    再審で無罪が確定した。

    【北関東連続幼女誘拐殺人事件とは?】
    ・1979年8月
    足利市の八雲神社境内で遊んでいた近所の5歳女児が行方不明となる。
    6日後、渡良瀬川近くで全裸でリュックサック詰めにされた状態で遺体となって発見される。
    リュックサックは市内業者の特殊仕様によるもので数十個しか販売されていない。

    ・1984年11月
    足利市パチンコ店より5歳女児が行方不明となる。
    1986年3月8日、自宅から1.7km離れた場所で白骨死体として発見される。

    ・1987年9月
    群馬県新田郡尾島町で8歳女児が自宅近くの公園へ遊びに出かけたまま行方不明となる。
    1988年11月27日、利根川河川敷で白骨死体の一部が発見される。

    ・1990年5月(足利事件)
    詳細は上記にて記載

    ・ 1996年7月
    群馬県太田市のパチンコ店で4歳女児が行方不明となる。
    未だに何も発見されておらず失踪事件となっている。

  • Twitterでよく目にし、政治や社会問題に対しての発言が「とても信頼の出来そうな人だ」という印象を受けていたある記者が、「文庫X」の著者だと知り、しかもその内容があの足利事件に迫ったものだと知り、絶対読んでみようと思った。

    読んでみて、この国はこんな理不尽なことがまかり通っているのかと本当にがっかりしたし、自分の住む界隈の事件なのに何も知らずに生きてきたことへの焦りを感じたのと同時に、自分がどんな立場になろうと小さい声に寄り添うことを第一に真相へとせまっていく覚悟のあるこの記者に心底敬服した。Twitterで受けた印象は間違っていなかった。

    実際に「ルパン」は捕まっていないし、飯塚事件は死刑執行されてしまっている。だけど、この清水記者の血のにじむような調査報道は、こうやって日本中に広まっているわけで、何かしら影響を与えていくに違いないと信じたい。

    そして何よりこの本を読む一番のきっかけとなった「文庫X」の発案者の書店員さん、すごい。大成功ですね。

  • さわや書店の覆面本としてベストセラーになったと「書店員X」で読んで、興味が湧いて読んでみました。

    噂にたがわず、ぐいぐいページをめくってしまう。
    ノンフィクションなのに、筆者が主人公の探偵もののようなスリル。
    いわゆるノンフィクションはなるべく客観的な記載にしようとすると思うが、ノンフィクションであっても書き手の主観が入っているのだから、この本のように、潔く、作者の一人称語り形式で開きなおるのもアリかもしれない。

    読んでいて物語に引き込まれる自分が、主人公の筆者の思い、感情のひっぱられてしまっているのでは、感情をもとに洗脳されてしまっているのではと、おぼろげな危機感を感じてしまう部分はある。

    ただし、その部分を差し引いても、この本は様々な重要なメッセージを発している。

    警察、検察など、組織、権力を維持するということにおける不条理さ、これは今までの人間の長い歴史において繰り返されてきたことなのだろう。
    その中で、筆者の大切にしているジャーナリズムの信条。権力側の大きい声ではなく名もなき弱者の小さい声をひろうということ。犯罪がなぜ起きたのかを報道することは被害者を傷づけることであり、ただ、再発防止をできることが目的であること。非常に重要な意味を持つと思う。

    また、様々な観点で聞き込みをする。警察などの情報、ネットなどの情報に惑わされず、おかしい、違和感があると思ったところはとことん自分の足で現場へ行って調べる。その結果として世の中を動かすような報道ができるのだと思う。

    また、改めて、死刑が無罪の人を処刑しているかもしれない、社会全体で殺人しているかもしれないということに気付かされた。(映画:ダンサーインザダークで表現されていたが、それよりももっと暗喩としてこの本は記載している。)

    筆者によって無実を証明された菅谷さんの存在、DNA鑑定の危うさ、一つ一つが重みのある事実。
    ただ、筆者ののぞむ連続殺人犯の真犯人が捕まえられていない。

  • ノンフィクション。
    「刑務所のは、まずいですねえ」 脱帽。
    本来、求められるジャーナリズムの姿が清水記者の活動から見えてくる。形容できない気持ちになった。
    また、怒りを覚える自分に十分納得できる。本書は傑作。
    だからこそ辛い。ご遺族の方の傷は決して癒えない。本当の意味での解決は無理だろう。
    だがしかし、犯人はそこにいる。
    いいか、逃げ切れるなどと思うなよ。

  • 「文庫X」という販売形態があったことすら知らず、話題になった本だということも知らず、ただいつも通りブクログの皆さんの本棚の中から見つけて出会った本。

    横山秀夫氏の「第三の時効」と並行して読んでいた期間があり、「第三の時効」の方は短期間で読み終わったが、あちらのレビューは、気持ちがものすごく本書の方に引っ張られる形になってしまった。

    小説の方は楽しく読めてあっという間に読了したが、ノンフィクションのこちらはきちんと読むのに時間がかかり、(次に借りたい人がいない為)貸出期間を延長してもらって本当に丁寧に読ませてもらった。

    清水氏が手がけたものか、後から他社が追随したものかはわからないが、確かに
    「北関東連続幼女誘拐殺人事件」を扱ったテレビ番組をチラッと観たことはあったように記憶しているが、何故「チラッと」程度にしか観なかったのかというと、大体そういう番組では事件のあらましや犯人像の説明と目撃者情報を募る内容だと私が思い込んでいるからだ。

    清水氏の番組では、本書に書かれているように切り込めたのだろうか?
    テレビ番組ではここまで細かく明らかにすることは時間の都合もあるだろうし、視聴者全般には、この本当の問題点を理解できないと考えられるし、本書に書かれていることまで放送する勇気があったかどうかとも考えられるからだ。
    (テレビ番組をちゃんと観ていないので予想だけを述べていて申し訳ないが)

    何が言いたいかというと、DNA型鑑定や冤罪には本当には興味は無いし死刑反対論者でもないとおっしゃる清水氏の、この事件の真相を追究する理由も、「当局」によって真犯人が今も野放しになっている理由も、テレビではなく本書をきっちりと読まねば、きっとわからないだろうということだ。

    本書を読むと、驚愕・恐怖・憤りでいっぱいになる。
    清水氏が真犯人に調査開始後たったの2週間で目を付けた過程は明らかにすると支障があるらしく、明らかにはされていない。
    しかし、どこの組織が悪いのか、また、わかっていながら何故真犯人を逮捕しようとせず野放しにしているのかの理由など、大変よくわかった。
    桶川事件においても本事件においても、清水氏は本当にすごい方だ。

    ただ一方では、塩田武士氏の「歪んだ波紋」の観点も忘れないようにしようとは思う。

    とにかく願うことは、本件も含めどの事件も、「真犯人」を逮捕し、正しく裁いて欲しいということだ。
    この最も当たり前のことが、あまりにも成されていない。

    最後に、清水氏に反論するわけではないのだが、「飯塚事件」で峠道での実験までしっかりされたほどの清水氏に、「こんなこともあるんです」と教えてあげたいことがある。

    それは清水氏の文庫版あとがきで気になった箇所が1点だけあるからだ。

    清水氏に追随する形で、行方不明の「ゆかりちゃん事件」を扱った番組で「犯人は女ではないか?」という説があったそうだ。
    それに対して清水氏は、4歳児のゆかりちゃんがお母さんに「優しいおじちゃんがいる」と言った点を本文に加えてもう一度述べている。

    私の娘が幼児の時、あるスポーツの女性選手達を(スポーツ会場ではなく)見かけた時に、私が何度「あの人達はお姉さんだよ」と言っても、頑なに「違う!お姉さんじゃない!」と言ったことか。
    ショートカットでボーイッシュで、歩き方もどちらかというと男っぽい彼女達のことを、うちの幼児は「女」ではなく「男」だと、こだわって譲らなかった。

    清水氏は「ルパン」を何度も見張っているし、会話もしているから、もちろん「ルパン」は「男」なのだろう。
    しかし真美ちゃん事件で精液があったから「男」、ゆかりちゃんが「おじちゃん」と言ったから「男」と言い切っても良いのだろうか?
    万が一、女が男の精液を現場に残すような犯罪を犯したら、冤罪で男が捕まることもあり得るのでは?
    など色々考えてしまったが、これらはズブの素人の戯言である。

    清水氏はきっと本書にも書けないような事実を沢山ご存知なのであろう。

    とにかく本書は読むのに非常に価値のある本であることは間違いない。

  • 書店員さんが、より多くの人に読んでほしいということで表紙を隠し「文庫X」という形で本屋さんに並んでいた本書。
    読み終えて思ったのはやはり、ひとりでも多くの人に読んで、知ってほしいということでした。

    TVやネットから日々流れていく情報量が多すぎて、何となく事件というものが軽く感じられるようになってしまった気がします。でもこうして活字で読むことによって、よりリアルに事件を知ることが出来る。

    筆者である「清水潔」記者の執念。ここまで調べて追及して書くということがどれほどのことか。

    この事件のことは当時ニュースをみて知っていました。同じ年頃の姪がいたので、気にしてみていた事件でした。それでも私の中では「連続女児誘殺人事件・犯人逮捕」で「終わった事件」でした。
    しかしそれは、警察やマスコミによる「操作された情報」だったのですね。

    ここ数年私はマスコミの情報はすべてが事実ではないと感じ、そのまま信じないことにしています。
    TVドラマや映画でも、警察や裁判所の「正義」にたいしての揺らぎを取り上げるものが多くなっています。
    それらが真実であるならば、私たち一般人は何を信じ誰を頼り暮せばよいのか・・・。

    冤罪で牢獄生活をさせられた人がいる。人生を台無しにされた本人とその家族に誰がどんな償いをしてくれるというのでしょうか?
    真犯人がほかにいるのに、捕まえることも牢獄へ送ることもしてくれない警察、裁判所、国に対して被害者の家族は何を信じどう生きてゆけばよいのでしょうか?
    そして何より被害者の幼い子供たちの未来を奪った犯人が今も普通に生活をしているという事実はどう解釈をすればよいのでしょうか?
    この事件に本当の意味での結末はあるのでしょうか?

    せめてこの本が、この国が住みよい平和な国であるための一石になることを願います。

  • わたしは想像してみた。ある日、身に覚えのない事件のことで突如として逮捕されてしまうことを。取調室で何時間にも渡ってお前がやったのだろうと責め立てられ、認めるまで食事も、眠ることさえ許されない場面を。
    果たして自分はやっていないと貫けるだろうか。
    そして、自分や身近な大切な誰かがそのような局面に出くわすことは本書を読む限り、ないとは言えないのだ。

    本書は足利事件を追い、それを連続幼女誘拐殺人事件だと断定し、そして真犯人を追うノンフィクションだ。
    当時の報道はテレビで観た記憶がある。
    犯人として服役していた菅家さんの無実が証明され、釈放された映像はよく覚えている。だがその裏側にこのようなことがあったとは。

    わたしはノンフィクションを読むときには文章に書かれたものをそのまま飲み込むことはなるべくしないようにしている。書き手がいる以上そこに書き手の想いが入ってしまうであろうし、物事を一方からしか見ないことは危険だと思っているからである。
    本書については特に、身内に警察関係者がいるので気をつけて読み進めた。
    それでも、読みながら怒りや焦りを抑えきれずにいた。
    こんなことが現実に現代の日本で起きているのか。

    著者である清水さんは何度も繰り返し訴えている。これは警察の捜査への批判ではない。冤罪の恐ろしさを訴えるための文章ではない。ただただ、幼い少女たちの命を奪い、遺族の悲しみを、冤罪で捕まった人の人生を踏みにじり、未だに野放しになっている真犯人を捕まえてほしいだけなのだと。
    清水さんは独自の取材でおそらく真犯人はこの人だと割り出し、捜査当局へ情報提供を行っている。
    にもかかわらず、未だ未解決事件であるということが恐ろしい。
    もちろん安易に逮捕はできないであろうと思うが、捜査が進展していないことが恐ろしいのだ。
    今ではDNA鑑定の精度も当時の比ではないほどに進歩しているであろうに、再調査すら恐らくはなされていない、もしくはされてはいるが放置されているのである。

    多くのマスコミ関係者、警察関係者、司法を扱う人々に、そして一般市民にも読まれるべき1冊だと心からそう思った。
    1日も早く、真犯人が捕まることを、そして遺族や冤罪で人生の多くの時間を刑に服してきた菅家さんが心休まる日が来ることを祈るばかりである。
    そしてこのような本をしたためることを決断した清水さんには賞賛と尊敬の念をおくりたいと思う。

  • 読みながら憤り、驚き、やるせなくなり…様々な感情が渦巻いた一冊であった。
    群馬と栃木の県境で起こった、いたましい少女連続殺人事件。不可思議な未解決事件に疑問を持った、ジャーナリスト清水氏の執念の取材により明らかになっていく、衝撃の事実にただただぞっとした。
    いつ、どんなきっかけで、自分が犯人にされるかわからない。
    冤罪の構造。こんな杜撰な取り調べが、まさか現代でも行われているなんて。何が正しいのか、何を信じたらいいのかわからなくなる。自分の価値観が一瞬にして崩れ去るのを感じた。
    この一冊に詰め込まれた情報量は相当なものだが、それでも、ページを捲る手を止められなかった。あまりの理不尽さに怒りが収まらなくなりながらも。読了後、もう一度読み直したときは、抑えていた悲しみが一気に溢れ、涙が止まらなかった。こんなことが本当にあっていいのかと。そして、どうして清水氏がここまで全てを投げ打った取材をするのか、その理由を考えると、あまりに辛すぎた。
    こんな腐った世の中に絶望を一瞬感じたけれど、救いは、己の身を顧みずに真実を追求し続ける、清水氏のようなジャーナリストの存在だ。そして、とあるムーブメントにより本書を購入し、感銘を受けた読者が大勢いるということ。私もその一人だ。この本を読んで本当によかった。更に多くの人が本書を手に取って、世を変えるきっかけになってくれればいいと切に思う。

  • 警察や検察のメンツは人の命よりも重いのか…警察と検察に対する不信感が募り、冤罪事件に対する恐怖を感じた衝撃的なノンフィクションだった。

    本書は日本テレビが行った報道特番プロジェクト『ACTION 日本を動かすプロジェクト』の裏側を描いたノンフィクションである。テレビの放送も興味深く観たのだが、番組の裏には、これほどの綿密な取材調査とドラマがあったとは知らなかった。

    群馬県と栃木県の県境で起きた5人の幼女誘拐殺人事件。その中の一つの事件である足利事件は警察に検察による怠慢と隠蔽工作により冤罪事件となる。この事件が足枷となり、5つの事件は長らく線で結ばれることはなかった。この5つの事件の関連性に着眼し、丹念な取材調査で同一犯人によるものという結論を導きだしたのは日本テレビ記者だった…

    そして、辿り着いた結末は…

  • ブクログのタイムラインでよく見かけるし、本屋さんでも文字だらけのカバーがかかって売られているのを見て、ずっと気になってた本を購入。
    群馬~栃木の県境で起こった「北関東連続幼女誘拐殺人事件」を追ったルポルタージュです。
    命を落とした幼い女の子たちの為に真実を解明したいという、ただその一点に突き動かされて捜査を続ける、著者の清水潔氏の強い想いには心を打たれた。
    ここまで真犯人に肉薄しているというのに、警察や検察は組織の保身の為に真実を握りつぶそうとしている。当時のDNA鑑定の不確かさを認めてしまうと、すでに犯人が死刑になっている飯塚事件が冤罪だったという可能性が出てくるからだという。そのため、事件の資料が黒塗りにされていたというところが闇深すぎてゾッとした。罪のない人間を自白に追い込み犯人に仕立て上げ、真犯人は野放し…こんなことがあっていいものか。
    被害者遺族の「なんで真実ちゃんだったの…?」という言葉に胸が締め付けられる思いだった。
    真犯人とされる「ルパン」は今どこで何をしているんだろうか…。

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著者プロフィール

昭和23年生。皇學館大学学事顧問、名誉教授。博士(法律学)。
主な著書に、式内社研究会編纂『式内社調査報告』全25巻(共編著、皇学館大学出版部、昭和51~平成2年)、『類聚符宣抄の研究』(国書刊行会、昭和57年)、『新校 本朝月令』神道資料叢刊八(皇學館大學神道研究所、平成14年)。

「2020年 『神武天皇論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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