- 本 ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101493015
感想・レビュー・書評
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大阪の一奉公人から身を起こし、世界に冠たる洋酒メーカー「サントリー」を創り上げた男、鳥井信治郎。食卓に西洋の文化をと生まれた赤玉ポートワイン。スコッチに負けないウイスキーをという執念が生んだサントリー・オールド。次々と銘酒を世に送り出し、その優れた経営感覚と新しいアイディアで、常に時代をリードして来た男の姿を、伝記文学の第一人者が浮き彫りにする。(親本は1983年、1986年文庫化。旧版)
・第一章 やってみなはれ(ワイン編)
・第二章 舶来を要せず(ウイスキー編)
・第三章 時代をみつめた男
・あとがき
・美酒二代(対談)杉森久英・佐治敬三
・鳥井信治郎年譜
本書は、朝の連続小説「マッサン」の登場人物、鴨居大将のモデルであり、サントリーの創業者である鳥井信治郎の伝記小説である。以前、購入して積読だったものを、今回読んでみた。
鳥井は、薬種問屋に丁稚奉公したことから、洋酒に興味を持つことになる。(当時、ワインが薬として飲まれていたことや、ブレンドして作られていたことが背景にある。奉公中にブレンダーとしての力が磨かれた。)やがて独立した鳥井は、赤玉ポートワインにより財を成し、ウイスキーの生産を目指す。
広告に力を入れたことなどが面白いが、本書を読むと、奇をてらったわけではなく、製品の品質あっての広告という考え方であったことがわかる。
技師として竹鶴政孝を迎え、山崎に蒸留所を構え、ウイスキーを仕込むが、品質も悪く、なかなか物にはならない。(本書ではビートを炊きすぎていた事や酵母の品質が悪かったことを指摘している)
鳥井は、京都帝大の片桐博士や技術者を招き、品質の向上につとめる。(この過程で、竹鶴は会社を去ることとなる)
戦時中は、海軍の庇護を受ける。本社や工場が被災するも、山崎蒸留所は無傷で残ったこと(原酒が温存された)が戦後の躍進へと繋がる。
最後の大阪商人といわれた男の豪快な人生を知ることが出来て面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
らび姉さんから面白いからといただいた一冊。
私も酒好きだから、日本のウイスキー、酒類充実に奮闘してくれた鳥井氏の行動や時代の流れには興味がある。
鳥井氏のエネルギーを感じる。時代も感じるが事を成す人はこのような熱が有るんだよな、と改めて思う。 -
サントリー創業者、鳥居信二郎の伝記。
やり手大阪商人の信二郎が、赤玉ポートワイン、トリスウイスキーで大成功をおさめることができた、その秘訣は、品質への強いこだわりと斬新な広告宣伝にあったようだ。 本書、昭和四十一年執筆だが、サクセスストーリーには全く古さを感じさせない。
読んでいて、ウイスキーを飲みたくなったのだが、素朴な疑問として、サントリーウイスキーってそんなに美味しかったっけ。あと、ウイスキーの飲み方として、水割りってどうなんだろう。せっかくのウイスキーの風味が失われてしまうんじゃないかなあ。疑問が湧いてきた。 -
Fuk:まっさんを逆に見た感じです。エンターテインメントと言うよりは伝記に近いです。
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言わずと知れたサントリー創業者の伝記。
NHK『マッサン』の”大将”とは違う、真の”大将”を知ることができる。 -
第一章はベタ褒め状態で、途中で投げ出したくなった。
が、二章からは落ち着いてきて、普通の伝記として楽しめた。
サントリーもウィスキー造りでこんなに苦労していたのかと感心した。オールドや角瓶ももっと味わって飲まねば。 -
サントリー創業者鳥井信治郎の事を描いた本。
サントリーと言えば、ローソン会長の新浪剛史氏が、
創業家以外から初のトップに就くと言う事で、
さきごろ話題になり、また、10月からのNHK朝ドラ
『マッサン』にも、少なからず関係している企業です。
「やってみはなはれ」サントリーの、
精神を表した言葉ですが、
やってみないことにはわからないという、
単に試してみるという意味ではなく、
もっと重い意味があるんですね。
当然かもしれませんが。
もっと言えば、責任をもって、とことん最後まで、
やってみろということでもあると思います。
いい話を読みました。 -
創業者の話ってやっぱり面白い。とにかくお酒をつくる執念が凄い。そして人を思う気持ち。企業は社長の器で決まるっていうけど、まさにそういうことなんだろうな。
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