スヌーピーたちのアメリカ (新潮文庫 ひ 15-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101496115

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  • 日本でも有名なスヌーピー。でも、ピーナッツの漫画自体に触れたことがある人は案外少ない。アメリカでは、新聞に掲載されていたこともあってとてもポピュラーなキャラクターである。日本に置き換えるとコボちゃんくらい、あるいはそれ以上の有名度合いであるらしい。
    英語の吹き出しは私の英語力でも理解できるくらい、シンプルなものばかりだけれど、実は描かれている内容はとても哲学的。なおかつアメリカの庶民の生活を生き生きと描き出しているのがピーナッツシリーズの特徴である。
    日本人の間に蔓延している「アメリカに対する誤解」を払拭して、もっとうまくコミュニケーションが取れるようにするには、ピーナッツをきちんと読み込むことがとても役立つのではないか、というのが筆者の持論でもある。
    全てのアメリカ人が、映画のように裕福で、長期休暇にはリゾートでバカンス、といった生活を送っているわけではないこと、見ないふりで通り過ぎることはできない戦争という歴史のこと、そして本当は誰もが抱えている、心の中のさまざまな悩み、コンプレックスなどなど、、、そうした日常がシュルツ氏ならではのユーモアでくるまれて表現されているのがスヌーピーである、ということを解説したこの一冊。漫画の引用も多々登場するが、原典を読みたくなること請け合いである。

  • 「安心ってのは車の後ろの座席で眠ることさ!」
    「きみは小さな子供で、お母さんやお父さんといっしょにどこかへ遠出したとする、あたりはもう夜だ、きみたちは車でうちへ帰るところさ、その時きみは後ろの座席で眠れる」
    「きみは何にも心配しなくていい。お母さんとお父さんは前の座席にいる、そして心配ごとはぜんぶ引きうけてくれる。何もかも面倒みてくれる」
    「ほんとにすてきね!」
    「でもこれはいつまでもつづかないよ! 突然きみは大人になる、そしてもう二度とこういう具合にはいかなくなるのさ!」

  • アメリカの文化を「ピーナッツ」から探る。元特派員が見た人気コミックに象徴される世界。

    日本ではスヌーピーの方が有名なようにも思えるが題名は「ピーナッツ」の主人公はチャーリー・ブラウン。スヌーピーはその飼い犬。

    子供たちの世界を通じたアメリカ文化を語る作品。日本の置き換えると「サザエさんから見た日本」のようなものだろう。それだかピーナッツはアメリカでは浸透している。月着陸船がスヌーピー、母船がチャーリー・ブラウンだったほど。

    チャーリーのほかルーシー、シュローダーなど他の人物も。彼らが原っぱで野球をしたりルーシーが精神分析医になったりアメリカ文化が象徴的に表れているようだ。

    ここ最近ピーナッツ全集が販売されるなど、新たなブームのようなピーナッツ。本書もなかなか良い一冊です。

  • 配置場所:2F文庫書架
    請求記号:726.1||H71
    資料ID:C0019251

  • 自分が小学生の頃、私にとっての安全毛布(セキュリティブランケット)のような本だった。角が擦り切れるほど読みふけった記憶。今も手元に置いている。
    よく、アメリカの文化が判る。そして、よく、チャーリー・ブラウンという子供が、地味に見えるのに、どうしてあんなにも魅力をもつのか。いつも悲惨な目に合っているように見えてよく見ると彼は、自分の中に、芯の通った哲学を持っている。そして、悩める友人たちを救うのだ。どんなに、自分が騙されようとも。
    ピーナッツには非常に魅力的なキャラクターがつめこまれている。チャールズ・シュルツの表現力、それを読み解く広淵氏は10歳の子供にでもわかるように、評論を書き綴ってくれた。もちろん大人が読んでも非常に価値のある内容だ。アメリカ文化を理解すること、その他、心。大人になっていくということ等、幼い私にとって、これは非常に感銘を受けた本である。

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