絵画で読む聖書 (新潮文庫 な 36-1)

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  • / ISBN・EAN: 9784101498218

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  • 「絵画で読む聖書」中丸明著、新潮文庫、2000.11.01
    572p ¥780 C0116 (2023.06.05読了)(2009.11.21購入)

    【目次】
    旧約聖書
    第一章 「創世記」を読む
    第二章 「旧約」はシュメールにあり
    第三章 約束の地カナン
    第四章 「出エジプト記」
    第五章 栄華かくあり
    新約聖書
    第一章 イエスの誕生
    第二章 聖母伝説
    第三章 洗礼者ヨハネ伝
    第四章 荒野に呼ばわる声
    第五章 メシア
    第六章 使徒列伝
    第七章 イエスの死
    第八章 復活のミステリー
    第九章 イエスに葬られた帝国と神々
    第十章 ヨハネの黙示録
    聖人列伝抄
    歴史年表
    解説  実相寺昭雄

    ☆関連図書(既読)
    「旧約聖書 創世記」関根正雄訳、岩波文庫、1956.05.06
    「旧約聖書 出エジプト記」関根正雄訳、岩波文庫、1969.01.16
    「旧約聖書 ヨブ記」関根正雄訳、岩波文庫、1971.06.16
    「旧約聖書」加藤隆著、NHK出版、2014.05.01
    「新約聖書福音書」塚本虎二訳、岩波文庫、1963.09.16
    「使徒のはたらき―新約聖書」塚本虎二訳、岩波文庫、1977.12.16
    「新約聖書を知っていますか」阿刀田高著、新潮文庫、1996.12.01
    「新約聖書 福音書」若松英輔著、NHK出版、2023.04.01
    「クォヴァディス(上)」シェンキェヴィチ著・河野与一訳、岩波文庫、1954.03.05
    「クォヴァディス(中)」シェンキェヴィチ著・河野与一訳、岩波文庫、1954.05.25
    「クォヴァディス(下)」シェンキェヴィチ著・河野与一訳、岩波文庫、1954.08.05
    「インディアスの破壊についての簡潔な報告」ラス・カサス著・染田秀藤訳、岩波文庫、1976.06.25
    「コロンブス航海誌」コロンブス著・林屋永吉訳、岩波文庫、1977.09.16
    「ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯」作者不詳・会田由訳、岩波文庫、1941.03.05
    「スペイン ゴヤへの旅」中丸明著、文芸春秋、1998.07.10
    「スペイン5つの旅」中丸明著、文春文庫、2000.07.10
    「好色 義経記」中丸明著、新潮文庫、2005.04.01
    「ロルカ ―― スペインの魂」中丸明著、集英社新書、2000.09.19
    (「BOOK」データベースより)amazon
    旧約聖書はいつ、誰が書いたのか?イエスの本当の生年は?イエスの磔に使われた釘は何本?世界の終末は来るのか?聖書をめぐるあらゆる謎・疑問が、宗教画を読み解くことで明らかに。旧約聖書の創世記から、新約聖書におけるイエスの誕生と死、ヨハネの黙示録にいたるまで、名古屋弁風の「カナン弁」による会話を織り交ぜながら、平易に解説。世界の美術館めぐりにも役立つ。

  • 聖書にとっつきやすくするためにだと思うが、会話を名古屋弁で表現しているために逆にわかりづらい。宗教画やルネサンスの絵を見ながら、というよりは聖書をくだいて面白く読みましょう、というコンセプトの方が強く、微妙に内容がぶれている。

  • 本作、聖書の解説ですが、なぜだかナゴヤ弁で展開します。また、筆者独自の「行間の読み」がすごい。聖書の理解!?が進みます。お下品すぎて吹きます笑

    ・・・
    宗教の聖典を読んでいてどのように対峙すればよいか戸惑ってしまうこと。奇跡であったり、進行が突飛であったり。このあたりの解釈が、本作は良い意味で下品かつ印象的であります。

    例えば、旧約でアブラハムが一族とエジプトへ渡る際、ファラオに「妻」のサラを「妹」と説明したというくだり。

    氏の読みでは、アブラハムは一族の長、財産持ちであり、羊も多く持っていたはず。それを差し出すのは言わずもがな、付け加えて古女房を妹と偽ってファラオの人心御供にしたという。つまり、安全確保。確かに、女を差し出しても「妻です」なんて言ったら受け取ってくれないわな。

    ただし、スタート地点のハラン(トルコ・シリア国境付近)を出立したとき、アブラハム75歳、サラ65歳。氏の推察だと、ある程度年齢を割り引いたとしても、使い古しを押し付けられて、ファラオは怒り心頭、アブラハムを追放したとのこと。私がファラオでも切れます。

    ・・・
    聖母伝説にも触れています。

    イエスの母はマリアですが、マリアの父母がアンナとヨアキムと言います。実はこのヨアキムが「たねなし」(本文まま)であった。お金はあったそうだが、神殿に供物を二倍お供えしようと試みるも断られたという。なんでも、掟では、イスラエルに子孫を残さないものの供物は拒絶されるそう。打ちひしがれたヨアキムは荒野を彷徨い40日間の断食に入る。そしてこの間にアンナは孕んだ。筆者は当然のことながら「疑おうと思えばいくらでも疑えるが」と、どうにもそちら側を教唆?しているようにも思えます笑

    とまあ、このような調子。
    我ながら、恥ずかしいのですが、下衆な展開は覚えちゃうんですよね。

    これ以外にも、なんというか、不可解・不可思議な点は、下ネタ的観点から現実的に読み解くというスタンスであります。印象が強く残ります。

    ・・・
    題名にもありますが、絵画の解説。
    こちらも面白いです。頭に残っちゃいます。

    一例として、ウフィツィ美術館に収蔵されている「イエスの洗礼」の解説。

    https://g.co/arts/R7RUugeTG2UpL1817

    もともと洗礼(Baptisma)はギリシア語の「水に浸す」という意味からきているそうですが、イエスが受けた洗礼はヨルダン川に蹴落とされて溺死寸前になったところを引き上げる、非常にきついものだったとか(文字通り「生まれ変わる」)。

    筆者のご母堂も洗礼を受けたときは本栖湖に白装束で全身を沈められたとか。
    なんていうエピソードを読みつつ絵を見ると、絵のことは記憶に残りますね。ある意味世界史の美術史部分大作になるかしら。

    これ以外にも新旧聖書をモチーフにした作品としてプラド美術館収蔵、ウフィツィ美術館収蔵の解説が本作多数掲載されています。もしかの地かの美術館にいかれる方がいらっしゃるならば事前に読まれると一層旅行が楽しいものになる可能性があります。

    ・・・
    もうひとつ。

    本作巻末に僅かですが(二段組みで50ページ強)、主要な聖人の名前、由来や背景、起こした奇跡、誰の守護聖人か、そして絵画に書き込まれるときの特徴、などが解説されます。

    欧州に旅行されるとき、聖人をモチーフにした絵画が沢山あると思います。日本人にはキリスト教はなおのこと、聖人は更に縁遠いと思料します。ここを読んでおけば(あるいは持参して辞書がわりにすれば)どういう聖人なのか確認して絵画を楽しむこともできましょう。

    なお、聖人っていうの、政治的にバチカンのお偉いが認定した、サーティファイドお偉いさん、です。
    何しろ新旧に出てきませんし、いまいち外道にはピンときませんよね。

    ・・・
    ということで中丸氏の枠にはまらない聖書解説、聖書絵画解説でした。

    他の作品を読んでどうも良く分からない、でも分かりたいという方にはお勧め。常識を覆す(ある意味非常識!?)な聖書解説であると思います。

    聖書に興味のある方はもちろん、美術史に興味のある方は読んでおいて損はない作品だと思います。

  • ちょいと下世話な独特の視点が面白い。名古屋弁聖書。分かりやすいっちゃー分かりやすい(笑)。絵画的視点は思ったより少ないと思ったが、とても楽しめた。読みでがあって2日掛かった。

  • 尾張弁がどうとか、下ネタがどうとかは言うまい。
    内容が題と合致していないのはいかがなものか?絵の紹介が申し訳程度って詐欺まがいの内容でしたわ、時間をちょっと無駄にした感あり。まぁこういうこともあるか、乱読してると。

  • 平成16年12月30日、5刷、並、帯無
    2016年5月30日、津BF

  • キリスト教をよく知っている(教会に5歳から22歳まで通っていた)著者によるものであるだけに聖書のディテールを良く把握し、説明しています。しかしながら、荒唐無稽な性の書物にしてしまったり、イエスを魔術師のような存在と考えたり、いかに皮相的にキリスト教を理解されてしまっているかに愕然とします。確かに古事記、ギリシャ神話を読むときにそのような表現が多いことに興味を持つのと同じことかも知れませんが・・・名古屋弁でユーモアを持たせようとしたことはわかりますが、これを見てキリスト教を正しく理解できるはずもなく、このような本が新潮社から出るのは驚きです。(もしかすると世の中の常識?)しかしながら、本の題名とは著しく異なった内容で、題名どおり有名な絵画の説明をするわけでもなく、自説を主張しているだけであり、いかがなものかと思いました。正しい聖書の情報とカトリックの言い伝え、異典(外典、アポクリファ、偽典)、単なる伝説、日本の青森にキリストの墓があるという噂、著者の憶測?が入り乱れ、訳がわからなくなるのではないか、と思います。

  • 宗教画は好きなので期待して読んだ。下世話な推測を多分に交えつつ、聖書を読み解いていく本。聖書のエピソードを下世話に解釈して、更に名古屋弁に翻訳してる。かなり人を選ぶ本だが、肝心の絵画要素が薄くてがっかり。
    ●面白かった点
    名古屋弁はアイデアだ。
    聖書に書いてあることと書いてないことをそれなりに分けているのは高評価。
    ●気になった点
    話が下世話すぎる。
    あと、肝心の絵が小さく白黒。そもそも絵で紹介しないエピソードも多く、看板に偽りあり。

  •  なぜ方言でセリフを言わせているのかわからない。
     
     逆にわかりづらいし、なんかむかつく。



  • 題名だけ見ると魅力もなにもないが、なんせ著者が中丸明である。「ハプスブルグ1000年」以来、彼の魅力にやられた。カナンとはメソポタミアとエジプトの間の中京であるので、神たまんとアブラハムの裔たちは名古屋弁で話す。

    「たーけらしか。おみゃあさんのややこだがね。なんたって、この世には、おみゃあさんとあたいっきりっきゃ居らんでねゃあの。」
    これは、イブがカインを生んだ時に、カインが自分に似ていないと文句をつけたアダムに対して、彼女が行った文句である。まことごもっとも。

    聖書は読んだことがないもので、「イエスは復活したはいいが、その後どうしたんだ?」と思っていたが、その疑問も解けた。とはいえ、いまいちキリスト教の世界観には馴染めないのだけど、著者の聖母マリアへの愛を見ると、まあこういうのも悪くはないとは思う。
    個人的には洗礼者ヨハネが好きだ。美術もからきしなので絵にも興味はないが、ルーブルにあるダ・ヴィンチのヨハネの絵は見てみたい。

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