知らない映画のサントラを聴く (新潮文庫nex)

著者 :
制作 : ふゆの 春秋 
  • 新潮社
3.49
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本棚登録 : 836
レビュー : 78
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800028

作品紹介・あらすじ

これは恋か、贖罪か。圧倒的恋愛小説。錦戸枇杷。23歳。無職。夜な夜な便所サンダルをひっかけて“泥棒”を捜す日々。奪われたのは、親友からの贈り物。あまりにも綺麗で、完璧で、姫君のような親友、清瀬朝野。泥棒を追ううち、枇杷は朝野の元カレに出会い、気づけばコスプレ趣味のそいつと同棲していた……! 朝野を中心に揺れる、私とお前。これは恋か、あるいは贖罪か。無職女×コスプレ男子の圧倒的恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 派手な要素はないのに、ダメダメな人間しか出てこないのに、
    なんだか分からないけれど、
    妙に惹かれる。
    人に説明しようとするとうまく言葉にできなくてもどかしいけれど、
    なぜか、読み終わってもずっと忘れられず胸に残る一冊というのが
    年に数回ある。
    それは本読みには幸福な出会いであり、
    読書の醍醐味と言えるだろう。

    僕にとってのそんな一冊がコレ。

    まず、センス抜群の表紙のイラストとPopなレイアウトに一目ボレ。
    手に取らずにはいられないその表紙の素晴しさよ。
    CDならジャケ買い間違いなしだろう。
    そして『知らない映画のサントラを聴く』という
    吸引力に優れインパクトあるタイトルをひとたび読んでしまえば最後。
    いったい中身はどんな話が書かれているんだろうと気になって仕方がない。
    (ハートを射抜く小説タイトルに送られるネーミング大賞なるものがあれば、大賞候補筆頭に挙げたいくらいの秀逸なタイトルだと思う)


    ストーリーは幼馴染みの親友、清瀬朝野(きよせ・あさの)を亡くした引きこもりニートな23歳の女性、錦戸枇杷(にしきど・びわ)が
    朝野の元カレであるセーラー服を着た変態男の昴(すばる)に出会い、
    もがき苦しみながら
    なんとか再生し自立していく物語。

    独特な感性が光る軽妙な文体と突き刺さる巧みな心理描写、
    映像喚起力に優れたキャラたちが織り成す
    生き生きとした会話劇を武器にテンポ良く描いていく。

    冒頭にも書いたようにこの小説、
    劇的な展開はないにも関わらず、
    全編まるで韓国映画のような
    ワケの分からないパワーに満ち溢れていて、
    なぜか読んでるうちにどんどん引き込まれていく不思議(笑)

    親友の不可解な死を発端に、
    立ち止まり回転することを止めた枇杷が
    この世の理である『回転力』に気付き、もう一度走り出すシーンは
    小難しい理屈なんかぬきに
    ストレートに胸を熱くする。
    (そうそう、このワケの分からない疾走感にうち震える感覚こそが竹宮作品の特徴であり、小説という表現がもたらしてくれる魔法なのだ)

    たとえ目的地から真逆の方角へ
    走っていたとしても、
    力一杯の逆走ぶりが、
    その愚直で不器用なまでの生き方こそが、
    結局最後には人の心を打ち、突き動かしていく。
    (そう、読む者に魔法を見せてくれる)


    思春期のある期間、本当は誰もが中二病だったのだ。
    近所のワルガキも先生も、
    父や母や政治家もあいつもあいつもみんな。
    強くなくてもいい。挫折を繰り返してもいい。
    ダメダメな枇杷や昴が主人公だからこそ、同じ苦しみに立ちすくむ多くの読者を救えるのではないのか。
    ラノベであっても漫画的であろうとも無問題だ。
    わけの分からない物語に救われる気持ち、
    なんだか分からないけれど読めば惹かれるその感覚。
    それこそが本来の読書の醍醐味ではなかったか。

    読むことで、読者がほんの一歩だけでも、前に進んでみようと思えるような、そんな作品なので、
    誰かを亡くした人、ニートの人、引きこもりの人、後悔をずっと引き摺ったままの人、
    すべての諦めの悪い挑戦者たちへ
    強くおすすめしたい。



    追記。
    僕自身、偶然にも枇杷と同じ23歳の頃、
    ボクサー仲間で高校時代からの無二の親友を事故で亡くしているので、
    枇杷が苦悩するシーンは本当に切なくて胸が痛くて読み進めるのが大変だったのだけれど、
    23歳のあの頃にこの小説があれば
    僕にとって永久不変のバイブル本となったのは間違いない。
    それでも大人になった今、この作品と巡りあえることができて本当に良かった。

    朝顔を美しく咲かせるのは、
    朝の光ではなく、夜の闇なのです。
    世界はいつでも変わりうる。
    そう信じきれた時、すべてのマイナスがプラスへと変わり、
    人生は初めて動きだすのです。

    ダメダメな先輩を代表して
    昔、どこかの校長先生が言っていた言葉を
    枇杷と昴に贈ろうと思う。

  • なんて素敵な主人公なのだ。すべてに捨てられてもしぶとく明るく生きていこうとしている。何も持たなくても笑顔と心の強さがあれば人は生きていけるのかもしれない。人と繋がれるのかもしれない。この主人公に襲いかかった悲しみは計り知れなけど、それでもこの主人公に幸せになって欲しいと、僕は心から願わずにいられない。

  • 前半ね、やっぱりラノベ作家だな、と思うんですよ/ 笑わせるつもりなのか、銀魂を劣化させたつっこみずっとやってるし、さむいしすべってるんですよ/ 人を笑わせる才能はまったくないし、技術もない/ 所詮とらドラだなと思って読んでたんですけどね、男が出てきてから続きが気になってずっと読んでしまったんですね/ ひとり良いキャラがいると面白くなるよね、という話/ 最後、昴に喋らせろよ! という欲求がのこりました/ 実際は少し悲しい話なんだけど/ 

  • よさげなタイトルととらドラのひとかー(1巻しか読んでないかな)と思って読んでみた

    ガサツ系女子の一人称が読みにくかったーー
    でもところどころわかるような、
    感情移入はできなくもない・・かな

    いろいろわかりにくい
    とんでも設定は、何かと戦ってる的な話は比喩だよね
    罪とは何か、みたいな

    なんで死んじゃったのかはよくわからない
    自殺なのかな

    自殺は本人はよくても周りはつらいからしちゃだめ

    親友の彼氏(元だけど)を好きになるのは罪なのか
    みたいな?

    まあ結果救われたからいいかな
    面白くなかったわけじゃないけどびみょうだなあ

  • 読み始めると止まらなくなりますよ、これ。
    枇杷の勢いに乗ってどんどん読み進めて行けば ぶっ と吹き出すやりとりがあったり しかして切ない、胸の奥がきゅんとなったり、

    とにかくがーっと一気に読み終えれば、元気になってしまうもので小説ってすごいなと
    こんなに一気に読んだのは久しぶりのことで
    心の栄養だな と 確信したのでした

  • 地がしっかりしているだけに、コスプレに至った境地とのギャップがヤバい。でも冷静に読み返すと、貴重品も持たせずに追い出す家族が1番ヤバい。特徴的な比喩がとても著者らしくて良かったけど、もうちょっとキャラはぶっ飛んでいるのを期待してたかも。キャラもストーリーもどこかで見たような気がしてしまったし。主人公が大人だと、著者らしさを出すのが難しかったのかな。

  •  タイトルと表紙のデザインに一目ぼれして、内容を確認せずに購入。

     23歳無職のヒロイン、錦戸枇杷が心の葛藤やらを乗り越えて前を向いていく話。
     文章のノリが完全にラノベ。

     ストーリーそのものは悪くないけど、書き方が中途半端でいまいち入りきれなかった。
     ヒロインの心の叫びをそのまんま文章にしている感じ。散りばめた設定が随所で明らかに死んでいて勿体ない。
     ヒロインの心の動きの繊細な部分とか、ぐっとくる個所はいくつかあるけど、同じようなことでぐるぐるぐるぐると考えて見開き一ページ消費とかはいただけない。

     タイトルと表紙は本当に気に入ったので、蔵書には加えておきます。素敵。

  • ぐーっと一挙に読んでしまった…最後にうまく丸くしたって感じ?

  • 【内容紹介】
    これは恋か、贖罪か。圧倒的恋愛小説。

    錦戸枇杷。23歳。無職。夜な夜な便所サンダルをひっかけて"泥棒"を捜す日々。奪われたのは、親友からの贈り物。あまりにも綺麗で、完璧で、姫君のような親友、清瀬朝野。泥棒を追ううち、枇杷は朝野の元カレに出会い、気づけばコスプレ趣味のそいつと同棲していた......! 朝野を中心に揺れる、私とお前。これは恋か、あるいは贖罪か。無職女×コスプレ男子の圧倒的恋愛小説。

    竹宮ゆゆこ:タケミヤ・ユユコ
    1978(昭和53)年、東京生れ。2004(平成16)年、「うさぎホームシック」でデビュー。軽快な会話劇を軸に、男女間の生き生きとした恋愛模様を描く書き手として、強い支持を集めている。他の著書に「わたしたちの田村くん」(全2巻)「とらドラ!」(全13巻)「ゴールデンタイム」(全11巻)がある。

  • 面白かった!!漫画読んでるみたいなテンポでスイスイ読めた!
    内容もとっても素敵でずっとニコニコしながら読めた!元気になれるお話やった!
    タイトルも、ここから来てるんかぁって分かった時の爽快感!!めっちゃ面白い、
    竹宮さんの他の本も読みたい。

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著者プロフィール

小説家。代表作『とらドラ!』『わたしたちの田村くん』『ゴールデンタイム』

「2016年 『ゴールデンタイム(9)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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