いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

著者 :
制作 : 越島 はぐ 
  • 新潮社
3.46
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本棚登録 : 2527
レビュー : 280
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800042

感想・レビュー・書評

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  • 階段島シリーズ第1弾。

    装丁からライトノベルかな?と思って読み始めたが、いい意味で予想外だった。青春ミステリというよりは、ファンタジー色が強い青春小説という感じを受けた。
    大人でも十分楽しめる、構成のしっかりした作品。

    捨てられた人々が住む「階段島」。主人公はこの島に迷い込んだ(経緯は記憶を失くして不明)男子高校生の七草(ななくさ)。
    真辺由宇(まなべゆう)がこの島にやってきたところから物語が動く。

    最初はストーリーの展開がまどろっこしく感じたけれど、途中から俄然面白くなってきた。
    終盤で明かされる階段島の住人の秘密には、なるほどと思った。

    大地くんの家庭、魔女の正体、七草たちは階段島を出ることができるか等、気になる問題が山積み。続編も読んでみたい。

    全編読み終えてから再読すると、最初に?と思っていた部分がクリアになり、また面白い。

  • ○どうしようもなく、君に出会った時からはじまるこの物語が好き。
    七草は、四日分の記憶がない中で階段島にたどり着いた。
    階段島は、「捨てられた人たちの島」だ。「自分が失くしたものを見つけなければ、出ることができない」のだという。
    その階段島に、幼馴染の真辺由宇が来た。
    真辺は納得できないことが嫌いだ。学校の先生から説明された、「少しずつここで納得を見つけるのだ」ということにすら、納得がいかない。
    そんな七草と真辺が、周りのみんなにヒアリングをしながら、なぜこの島を魔女が作ったのか、どうやったらこの島から出ることができるのかを調べていく。

    トクメ先生、タクシーの運転手、郵便局の時任さん、遺失物係、相原大地くん、謎の星と拳銃の落書き、堀、配電塔の中田・・・そして、七草と真辺。
    誰と誰が、何を結ぶのか?
    七草と真辺の過去に何があり、なぜここで巡り合うことになったのか?
    謎が謎を呼び、謎のままでしばらくあり続けるこの物語は、最後に急き立てられたかのように、七草の口からいろいろな謎が語られる・・・!


    階段島とは何だっただろう。
    そこに込められた真実を七草と真辺が解きほぐしていく様はとても青春小説であった。真っすぐすぎて正しくありたい真辺と、自分の意思を選び続ける七草。
    この物語の特徴は、真実とは何か、わからなくなること。
    何がオモテで何がウラなのか。失くしたものとはなんだったのか?
    いなくなってほしかったものはなんだったのか?

    群青とは?
    小説の中では、七草は落書き「ピストルスター」を昔、父親から見せられた記憶がある。吸い込まれそうな群青色の、その夜の空に浮かぶきれいな星たち。
    きれいな星たちがそれ単独で主張し合っている姿を想像すれば、それがあまりに哲学的な真辺の姿と重なっていく七草も想像に難くない。

    階段島の意味が理解できた最後に、七草の物語が真辺と出会った時からどうしようもなく始まったことだって、悲しい結論が待ち受けたことだって、理解できて、どうしようもなく、悲しかった。
    でも本人たちが思いのほか前向きにこの結論に取り組もうとしている姿に、心打たれる。

  •  この世界と似ているけれど、この世界とは異なる世界。
     そんな世界観の小説が好きだ。三崎亜記の小説が特に。

     (この世界はどこだろう。さっきまでは公園を歩いていたはずなのに、気が付いたら港にいた)

     小説が始まる雰囲気が良い。

     (ここは捨てられた人たちが集められた町です)

     そうか、世界が違うのか。
     最近乱発乱造の異世界モノとも違う、少し不思議(SF)な違う世界。
     元の世界に帰るためには、失ったものを見つけなければならない。
     捨てられた人が現れ、逆にいなくなる人もいる。

     そんな生活を続けていく中で、一人の女子がこの世界にやってきた。
     純粋なまでに真っすぐなそいつを、俺は知っている。

     この島には魔女が住んでいる。魔女はすべてを知っている。

     なぜ捨てられたのか、
     何を失ったのか、

     それを見つけなければ、この島から出ることはできない。

  • 「この物語はどうしようもなく、彼女に出会った時から始まる。」

    この一文が、どうしようもなく好きだ。

    何か魔法のような強制力のもと、2年ぶりに再開した七草と真辺。どうしようもなく矛盾した2人が、謎の島「階段島」で、「なぜこの島に人が連れてこられたのか?」という謎を解き明かそうとする物語。

    島で出会う人たちが、何かしらの欠点を抱えていて、そんな日常を真辺が崩していく。

    きらめく文体とリズムのある言葉選びが心地よく、揺れ動く気持ちの表現も青春の淡い未成熟な心をうまい具合に捉えてくれる。

    シリーズものだけれど、この一作だけでもけっこう満足感があった作品でした!

  • 表紙とタイトルに惹かれて購入。どこにもいけないものがある、この言葉の通り階段島にいる人々は何者かによって捨てられてこの島にいる。どうしてこの島に来たのか、落書き事件の犯人は誰なのかを主人公たちが解明していく青春ミステリー。ミステリーよりもファンタジーよりな作品で、透明感があり詩的な文章にとても引き込まれました。魔女の正体などの謎が残っているので、第2弾に期待です。

  • ミステリーとあったけど非現実な設定で静かに青春してる少年少女たちの話
    日常的じゃない日常を変だと感じないで受けいれてる島民にひどく憧れてしまう。
    ラストは欠落したものを自分の良さとして受け入れると誓った2人が印象的でした。

  • 前から気になっていた本で、木村さんがCMをされたことをきっかけに、ようやく読めた。

    まず、タイトルが印象的。
    絵も綺麗で、見た目の印象はすごく良かったが、中身はとっつきにくい感じだった。

    表紙のイメージのような綺麗さ、無垢さ、を感じたものの、七草の心情を理解するのはなかなか難しい。
    いや、理解の前に、これを言葉に表すのが難しいのか。

    分からなくもないな、と思うけれど、これは普段本を読みなれていない学生には難しいだろうな、と思う。
    個性の強いキャラクターが数人出てくるものの、それらのかけあいよりも、やはり主人公格の二人のための物語、という印象が強いため、箸休めの効果は薄い。

    設定は面白く、謎解きは「なるほどなー」と「それはやりきれないなー」と思ったものだが・・・続きはどうなるのだろう?
    続編も似たような雰囲気だとちょっとしんどそうだが、ナドさんなど他キャラクターの活躍やその他の謎が明らかになるのなら、読んでみたいと思う。

  • 主人公である七草と、その友達の「100万回生きた猫(本物の猫ではなくて、そう名乗っている少年)」の不思議な会話で幕を開けるプロローグ。
    思いがけない決着に驚かされつつ何とも言えない余韻を残すエピローグ。
    その間の全編にわたって、夢の中を漂ってるような、現実味の「希薄」さが、強く印象に残ります。

    舞台となるのは「階段島」という二千人ほどの人々が住むちっぽけな島です。
    島の7割は山岳部が占めていて、麓から頂上へと向かう階段があり、その先には魔女が棲むと言われています。
    この島は、捨てられた人々の島らしく、島に住む誰もが、自分が島に来た時の記憶を失っています。

    住民はなぜか外に出て行くことはできず、人も物も情報も、島に入ってくるばかりで出て行くことはありません。
    各々、「無くしたもの」を見つければ、島を出ることができるようではあるのですが…

    島の秘密はなんなのか、島で起こっていることにはどんな意味があるのか、七草は何かに気づいているのかいないのか、たくさんの「?」を頭の中にぐるぐるさせつつ、七草や仲間とともに駆けずり回っている中で、唐突に謎の正体が解明されていきます。

    読み終わったあと、「同じくこの本を読み終わった誰かと、その意味について語り合いたい!」と思う、そんなお話です。

  •  「捨てられた人」が迷い込むとされる階段島という場所を舞台にした話。島は不思議な力で外と隔たれており、失くしたものを見つけないと島の外には出られないとされている。
     主人公の七草は島の外に出ようとも思わず島で平穏な生活を送っていた。しかし、幼馴染みの真辺が島に現れたことで、徹底的な理想主義者である彼女とともに島を出る方法を探すことになる。
     ネガティブで大抵のことを諦めてしまう七草と、常に正しいと思うことに対して全力を尽くす真辺という対照的な二人の組み合わせが面白かった。
     どんどんページを捲って積極的に続きを読みたくなるような話ではないが、読んでいていろいろな欠点を抱える登場人物たちに惹かれた。

  • 20141022
    私はいつも何かに憧れています。例えばそれは、前髪の短いのがとても良く似合うあの子であったり、一瞬を切り取った写真ですらキラキラ輝くあのアイドルであったり、好奇心の赴くままに「気になる」黒髪の綺麗なあの女の子であったりします。真辺由宇、見つけました。わたしの憧れの人。まっすぐでまっすぐで、なぜだか涙が出そうになるほどまっすぐな真辺。本当は真辺みたいに生きていきたい。人の感情を考えすぎて何も言えなくなってしまう、そんな毎日はもう嫌です。真辺みたいになりたい。そんな風に強く思いました。七草が真辺について語るシーンでは、七草と同じ気持ちだったからでしょうか、目頭が熱くなりました。
    わたしはきっともう、真辺のようにはなれません。なれないからこそ、真辺のような人には強く生きてほしいです。真辺のような人には、ずっとわたしの憧れであってほしいです。

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著者プロフィール

徳島県出身。グループSNE所属。2009年に『サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY』で、角川スニーカー文庫よりデビュー。若者を中心に人気を博し、シリーズは7冊を数える。他著作に「つれづれ、北野坂探偵舎」シリーズ(角川文庫)、『いなくなれ、群青』(新潮文庫)などがある。

「2017年 『ベイビー、グッドモーニング』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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