いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

著者 :
制作 : 越島 はぐ 
  • 新潮社
3.46
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本棚登録 : 2528
レビュー : 280
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800042

感想・レビュー・書評

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  • 装丁が本当に素敵で、みかけたときからずっと気になっていた一冊。
    すでに読んでいた友人からも勧められたのでそのまま読んでみました。

    ”どこにもいけないものがある。”から始まる序文でぐっとひきこまれました。
    目が覚めたら突然見知らぬ場所にいた主人公の七草。失くしたものをみつけないと、元の世界には帰れない。
    そして何日か目の朝には、決して来てほしくはなかった彼女、真辺由宇がそこにはいた――。

    以下ネタバレ含みます。
    捨てられた人たちの島であるはずの階段島は、けれどどこか明るくさわやかな風が吹きわたっていそうで、11月というよりは初夏の印象がありました。
    さまざまな事件が発生するものの、私はどうもこの不条理さとぐだぐだに少し耐えかねていたのですが、三話からは展開が早くて面白かったです。
    七草は誰に捨てられたのか、七草が失くしたものは何なのか、それが分かったときは肌が粟立ちました。
    (これで「僕が失くしたのは真辺由宇に恋する気持ちだ!」とかだったら壁に投げつけてた。)
    階段島には、成長する過程で、不要になった、邪魔になった、捨てなければならなかった人格が掃き溜まりのように存在しているのだと思うと、どうしようもなく切ない。
    この島から出ないことが現実世界の本人には望ましいのだという、その残酷さ。
    自分は良いとしても、真辺由宇がここにいることが許せない七草の痛切なまでの想いがひしひと、閉口するほど伝わってきました。
    …まぁ伝わってくるというか、そこはちょっと単純に文章に描きすぎでしたかね。
    七草の想いはもっと読者に委ねて欲しいくらいでした。

    ところで、私はこの本と並行して「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を読んでいたのですが、似ている箇所が多くてびっくりしました。
    作者、村上春樹にむちゃくちゃ影響受けてるんだろうなぁ。
    そもそもプロローグの時点ですでにどうも村上春樹っぽいぞという気はしてたのよね…。
    ただ、青春ミステリと呼ぶにはとても相応しい一冊でした。
    これをシリーズにしてどうなるの?と次作もちょっぴり気になります。

  • 映画化されると聞いて読んでみた。「サクラダリセット」も随分ややこしい話であったが、本作もまた奇々怪界でこれを映画しても分かるのかな、映画レビューに原作を読んでから行けと言っていたが確かにそうだと思う。結局のところ現実世界の人々が自分の嫌いなところ捨てるゴミ箱みたいな島が階段島ということのようだが、主人公七草は悲観主義をヒロイン真辺は理想主義を捨てた人格だけが住んでいるようだが、それは虚数世界ということなのか?何となく分かったようで分からない青春蹉跌のような物語であった。

  • 新潮社nex文庫を始めて読んだ。ライト文芸と呼ばれるカテゴリーなのかな。ラノベとは違うと思う。
    少し前に読んだ額賀澪さんの「拝啓、本が売れません」で新潮社nexと川谷康久氏の装丁について熱く語られていたので、40代のオバハンより20代の額賀さんが押す本が良かろうと借りてみた。
    確かに目を惹く装丁だ。青春ファンタジーミステリー。全体的に暗めで淡々と物語が進む。精神的にちょっとおませな中学生がハマるかなぁ…。しかし、300ページを超えるとなかなか手が出ないかも…などと現実的なことを考えてしまう。何しろ中学生は部活に塾にsnsにとと忙しく、本を読むのは希少人種なのだ。
    中1から中3というのは、本当に成長著しい年齢層で、本を読む力や求める内容の幅もかなり違う。そんな中、二次元好きの彼らに、ラノベだけは絶大な支持を得ている。ラノベが悪いとは思わないが、その先の読書を広げるにはどのような本が良いのか悩む日々だ。と、感想以外のことばかり書いてしまった。2018.8.5

  • 知人に再開した場所は、いらない者が捨てられる島。

    もう出会う事もなかろう、と思っていた人物に
    驚くところでの再会。
    それはもう、動揺する、とかいう問題ではないかと。
    島の外に出られない事以外、何の不自由もない生活。
    そこにやってきた、脱出を考える
    まっすぐすぎる彼女。

    突如道端に現れた、まさかの年齢のいらない者。
    どうして? 何故? というのもありますが
    なくしたものが分かれば戻れる、という島も
    謎に包まれています。
    魔女だけが知っている、というわけですが
    その魔女も謎。
    そして主人公が何かを隠しているのですが
    それも謎。

    落書き事件の犯人やら、主人公が隠しているものやら
    徐々に見えてきた島の真実に、なるほど、と。
    誰しも、そうやって生きているわけですから。
    真実を知らず生きていくのと、知って生きていくのと。
    どちらが平穏な状況になれるのか。
    知ってしまったら、それはそれで悲しくて
    辛い気がします。

  • 「捨てられた人たちの島」の謎を解く。
    その大謎はああなるほどねー…という感じ。
    脱出のため模索する主人公たちとともに、
    純粋に島の謎に向き合って読んだ感じがあった。

  • 結末を知っていて読み始めたので普通の感想はないけど…設定は面白かった。雰囲気も好み。だけどシリーズ化したらこれより面白い話になるのかなぁと疑問が…

  • サクラダリセット実写化で注目が集まる河野裕さんを初めて読みました。カバー全体から溢れ出るラノベ感と若者向け感がどうしようもなく気になり、いつか読もうと思っていたら、まさかの本好きの父親の部屋に積読本として発見!ちょっくら借りてきました。

    ”どこにもいけないものがある”
    この最初の一言から、私の中では「これは絶対に2時間30分アニメとかにすべき!」みたいに考えて、すっと脳内アニメに変換し続けて読了。思っていたのとはちょっとちがったけれど個人的に”ナド”くんだったり”堀さん”のキャラクターとか結構好きで、パラレルワールドものをあまり好まない私でも興味深く読み切ることができました。階段島に宿る全体的な雰囲気が文章だけでしっかりと染み付いていていいなと。ただ最後の方になってからタイトルの「いなくなれ、群青」を急に持ち出してきたのは、わざとらしくてあまり好きになれませんでした。そして帯に「心を穿つ新時代の青春ミステリ」ってあったけど、果たしてこれはミステリジャンルの所属になるのだろうか?

    この種の作品でよく描かれる、お互いに友達以上恋人未満の女の子に振り回される男の子の青春ストーリー、「腎臓をたべたい」とか「砕け散るところを見せてあげる」と設定上は同じようで違う感じがけっこう好きです。

    河野さん、思っていたよりも面白かったというよりも興味深いなって思ったので、サクラダリセットシリーズとか本作の続編も読んでいきたいと思いました。
    でもね、何回思い出そうとしても「さらば、群青」って言っちゃうww

  • 2017/04/08読了
    結末良かった〜!
    ただ、途中のテンポが緩やかだったのと主人公の語りがなんかリズム感悪くて、ダレた感じがした。世界観も、最初から最後まで一貫した雰囲気って感じではなかったかも、、ちょっと唐突なかんじ。でも結末と、階段島の真相は好みな感じ。

  • 【20190120に再度読み返し】
    二年前に読んだこれを再度。今回は特に理解に困ることなく読めた。今となってはそこまで難しいとも思わなかったのだが、なぜだろう。

    これまで読んだ同作者の作品に共通することとして平熱の低さがある。変にドラマティックには描かないし、盛り上がりどころも平熱が低い分、最高潮であってもけっこう淡々としてる。この作品の登場人物はほとんどがティーンエイジャーなわけで、青春群像劇と言えなくもない。だけれどそこでよく見られる熱量は感じられなくて、むしろ気味が悪いくらい冷静な感じ。ファンタジーの世界をリアルに見せるためにはそうした描き方が必要なのかも知れないな。


    -----
    こちらの読解力の問題なんだけども、全体像の把握がうまくできなくて何度か読み返した。ファンタジーが得意ではないというのもあるけども、そのファンタジーの世界にうまいこと入り込めなかったんだろうと思う。基本的に登場人物が若いと、自分が年寄りだからか好意的に入り込んじゃって「そうそう」とか思うことが多いんだけども、これについてはそのとっかかりをつかみ損ねたというか。もう1回読んだから変わるかもしれないなと思う。

  • 前から気になっていた本で、木村さんがCMをされたことをきっかけに、ようやく読めた。

    まず、タイトルが印象的。
    絵も綺麗で、見た目の印象はすごく良かったが、中身はとっつきにくい感じだった。

    表紙のイメージのような綺麗さ、無垢さ、を感じたものの、七草の心情を理解するのはなかなか難しい。
    いや、理解の前に、これを言葉に表すのが難しいのか。

    分からなくもないな、と思うけれど、これは普段本を読みなれていない学生には難しいだろうな、と思う。
    個性の強いキャラクターが数人出てくるものの、それらのかけあいよりも、やはり主人公格の二人のための物語、という印象が強いため、箸休めの効果は薄い。

    設定は面白く、謎解きは「なるほどなー」と「それはやりきれないなー」と思ったものだが・・・続きはどうなるのだろう?
    続編も似たような雰囲気だとちょっとしんどそうだが、ナドさんなど他キャラクターの活躍やその他の謎が明らかになるのなら、読んでみたいと思う。

著者プロフィール

徳島県出身。グループSNE所属。2009年に『サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY』で、角川スニーカー文庫よりデビュー。若者を中心に人気を博し、シリーズは7冊を数える。他著作に「つれづれ、北野坂探偵舎」シリーズ(角川文庫)、『いなくなれ、群青』(新潮文庫)などがある。

「2017年 『ベイビー、グッドモーニング』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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