天久鷹央の推理カルテ (新潮文庫nex)

著者 :
制作 : いとう のいぢ 
  • 新潮社
3.72
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本棚登録 : 1350
レビュー : 190
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800103

作品紹介・あらすじ

お前の病気(ナゾ)、私が診断してやろう。統括診断部。天医会総合病院に設立されたこの特別部門には、各科で「診断困難」と判断された患者が集められる。河童に会った、と語る少年。人魂を見た、と怯える看護士。突然赤ちゃんを身篭った、と叫ぶ女子高生。だが、そんな摩訶不思議な“事件”には思いもよらぬ“病”が隠されていた……? 頭脳明晰、博覧強記の天才女医・天久鷹央(あめくたかお)が解き明かす新感覚メディカル・ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 正直なところ、読み始めからかなり読み進むまでは、主人公である天久鷹央や研修医の鴻ノ池が好きになれませんでした。
    反面、鷹央の部下であり彼女に振り回されっぱなしの小鳥遊優には必要以上に感情移入して読んでいましたね。
    ただ、ストーリーの面白さとそのリーダビリティは最初から最後まで変わらずにありました。
    本書はプロローグとエピローグに挟まれた4つの事件からなる短編集なのですが、最初の2編である「泡」と「人魂の原料」は日常の謎風の物語の中に、医学ミステリーらしく病気のことがしっかりと盛り込まれていて唸らされます。
    後半の「不可視の胎児」と「オーダーメイドの毒薬」は、それぞれとある患者の病気は何かを探り出すことがテーマのややシリアスな展開となっており、特に「オーダーメイドの毒薬」は、タイムリミットまで設けられていて、サスペンスとしての要素も楽しめます。
    この後半にいたって、ようやく鷹央や鴻ノ池というキャラクターも受け入れられるようになりました。
    あと、お医者さんっていうのは、実は常に患者さんの症状から病気を推理する探偵なんやなっていうようなことを、読み終えてふと思いました。

  • いい意味で裏切られました。
    可愛い表紙とライトノベルということであまり期待していたなかったのですが、おもしろかったです。
    統括診断部(各科で診断出来なかった患者を診る総合診療科)の部長で頭脳明晰、博覧強記の天才女医・天久鷹央と小鳥と呼ばれる小鳥遊優が、持ち込まれる医療ミステリーを解き明かす話です。
    難しいかと思いきや、そこはライトノベルなのでほどよく力が抜けた、でも医療知識を生かした謎でした。
    キャラ設定自体はコミュニケーション能力に問題がある探偵とそれをフォローする助手、とありがちですが、ストーリーはよく作られています。
    あと二冊出ているみたいなので、また買って読もうと思います。

  • 主人公はラノベに居がちな感じだけれど、結構ちゃんと診断をしている医療ミステリー。
    連作短編なんだけれど、構成も良かったと思います。
    主人公に敵対している登場人物が、結構大人な対応をしているのが好印象。
    表紙とかレーベルに反して、しっかりした医療ものだと思いました。

  • 図書館で。
    ヒロイン?のキャラがどうにもこうにも。ラノベにありがちの「社会不適合者でも一つ特価した才能があり、なにより可愛いから許される」みたいな女性像、自分はあまり好きではないなぁ。(これが少女小説になると性別が反対になるんだろうか?)
    賞与査定をちらつかせてサービス残業を強要するとか普通にパワハラだし、セクハラも入ってる気がするし主人公は訴えても良いレベルだと思う。なんだろう、世の男性は小生意気な女性(美人・もしくは可愛い子に限る)にワガママ言われる、というシチュエーションに過大な夢と希望でも持っているのだろうか?

    謎もなんだか…だし、医療系もそれほどツッコんだネタでも無かったし病院内の権力争いも根回しもなんもないため茶番って感じだし… あまり好みでは無かったかも。でも二巻予約したので二巻までは読むかな…

  •  名前は知ってるけどまだ読んだことのない作家さんの本を読む月間てことで、まずはこのお方から。
     医療系は全然興味ないんですけどね。

     印象としては、ライトノベルぽかった。キャラとか。
     殺人事件とか起こらないんで、ライトミステリというジャンルになるのでしょうか。
     文章も読みやすかったです。

     ただ、鴻ノ池さんのキャラが鬱陶しい。
     それで★1つマイナスしました。

  • 病院内の、特別部門に属する主人公と、上司。
    この上司、恐ろしくできるが、恐ろしく態度がでかい。

    ただし、背は小さい?w
    仮病で来た患者にも的確に指示を出していますが
    ここまで偽れる患者もすごいな、と(笑)
    嘘がばれたら八つ当たりをしたくなる年頃でしょうが
    この現象はどうかと…な患者に、驚きの子供。
    そしてこれが国外ではよくある!? という親の病気まで。

    さくっとだったり、焦りながらだったり、で
    解決していきますが、主人公が最大の謎を解くのは
    一体いつになるのでしょうか…w
    ついでに、病院のお金を削減させようとしている
    院長のもくろみはいつになるのか。
    確実に、つぶされるでしょうけど…。

  • 天医会総合病院の総括診断部の部長、天久鷹央(あめくたかお)。
    外科医だったが、内科医を志し大学病院からこの病院へ派遣された小鳥遊優(たかなしゆう)。
    このふたりが様々な“謎”に挑んでいく。

    Karte.01 泡
    小学生が目撃したのは本当に“河童”なのかを探る。
    バラバラに見えていた事象が最後に繋がっていく。
    その流れの見事さに思わず声が漏れました。

    Karte.02 人魂の原料
    新人看護師が夜勤の見回り中に“人魂”を見る。
    勘違いと思い込みから起きた騒動。
    ちょっと難しかった。

    Karte.03 不可視の胎児
    中絶したはずの女子高生のお腹の中に赤ちゃんが…。
    たぶんアレだなと予想してましたが、そう簡単ではなかった。
    そんなことあるのかと驚愕のラストでした。

    Karte.04 オーダーメイドの毒薬
    鷹央が診た子供の親に訴えられる。
    総括診断部、存続の危機…。
    診断に間違いはなかったが、鷹央たちは他の疾患の可能性を探る。

    ホームズとワトソンの関係性に似ていた。
    社会的なものが欠落していることを自覚し、劣等感を抱いてる天久鷹央。
    超人的な頭脳を持つ鷹央をサポートする小鳥遊優。
    ふたりの今後が気になるな~と思ってたら、シリーズ化してました。

  • デビュー作の『誰がための刃 レゾンデートル』とは全く趣きの違うラノベチックな連作短編集。

    主人公は天医会総合病院の天才女医・天久鷹央。天久鷹央が相棒の小鳥遊優とともに摩訶不思議な事件を解き明かす医療ミステリー。東野圭吾の探偵ガリレオ・シリーズにも似た雰囲気で、ガリレオよりは深刻な内容ではなく、読み易い。

    プロローグとエピローグに『泡』『人魂の原料』『不可視の胎児』『オーダーメイドの毒薬』の四編を収録。

  • 天才医師・天久鷹央がほかの医者にはわからない病気を診断し、その背後に潜む事件を解決していく医療ミステリーシリーズ。私が読んだのは、『魔弾の射手』に続いて二冊目。順番がめちゃくちゃだが、読んでしまったものは仕方ない。ひとつ前に読んだのが長編だったので、短編集である本作はやや物足りない気もしたが、テンポよく読めた。天才タイプの名探偵はたくさんいるが、天才が天才的な頭脳で事件をただ解決しても面白くない。シャーロック・ホームズから御手洗潔にいたるまで、ときには真相になかなかたどり着けず苦悩する。そうした盛り上がりも、本書にはちゃんと用意されている。当分このシリーズはやめられそうにない。

  • 医学ミステリの第一人者・知念実希人さんの人気抜群の代表作シリーズの第1作です。本書は病院内が主要舞台で血生臭くはなくソフトで警察は殆ど出番なしですが、とても面白く大満足でしたね。知念さんは、前半の二話はややコメディ調の幽霊奇譚でしたが後半では人間性に重きをおいてグッと盛り上げる小説作法が心憎い演出で特に第4話はタイムリミット・サスペンスとヒロインの絶体絶命のピンチからの大逆転劇に感動の嵐&涙々でした。天才美人女医・天久鷹央と助手の小鳥こと小鳥遊(たかなし)優のS女とM男の夫婦漫才風掛け合いも最高でしたね!

    口が悪い男言葉のヒロイン・天久鷹央のライバルは和製スケルトン探偵の九条櫻子さんでしょうね。まあ鷹央の小鳥いじりと半端ない労働酷使に自分勝手な我が儘ぶりを見ていると最低の好感度ですが、プロフェッショナルな医学知識と好奇心むき出しのやる気満々な情熱には手放しでリスペクトしたくなる魅力があって私は鷹央に軍配を上げますね。小鳥くんも顎でこき使われて寝不足&心身共にへとへとで大変でしょうけどまだまだ十分に若くて体力があるし結局は医学の勉強になって貴重な経験を積めるのだから歯を食いしばって耐えて頑張って欲しいですね。

    『泡』肝試しに夜の公園に来た二人の少年が目撃したカッパの正体は?医学的知識に裏打ちされた鷹央の仕掛ける騙しの罠が秀逸でしたね。『人魂の原料』病棟の夜回りで人魂の青い炎が一人の女医に何度も目撃される。唯一解でなく複数解の趣向のサービスぶりが嬉しいですね。『不可視の胎児』妊娠中絶後に胎児が生き返る症例は奇跡か?怪異か?被害者の娘さんは誠に悲運だったけど、まだまだチャンスはあるから次こそ頑張ってね。『オーダーメイドの毒薬』鷹央が医療過誤で訴えられて哀れ統括診断部は消滅してしまうのか?最後はホロリと泣けましたね。

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著者プロフィール

知念 実希人(ちねん みきと)
1978年、沖縄県生まれ。医師。2011年、第4回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビュー。その他の作品に『螺旋の手術室』(『ブラッドライン』改題作)、『優しい死神の飼い方』(死神シリーズ)、『天久鷹央の推理カルテ』シリーズなどがある。
近刊として2018年9月刊行の『ひとつむぎの手』。

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