天久鷹央の推理カルテ (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 4421
感想 : 345
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800103

作品紹介・あらすじ

お前の病気(ナゾ)、私が診断してやろう。統括診断部。天医会総合病院に設立されたこの特別部門には、各科で「診断困難」と判断された患者が集められる。河童に会った、と語る少年。人魂を見た、と怯える看護士。突然赤ちゃんを身篭った、と叫ぶ女子高生。だが、そんな摩訶不思議な“事件”には思いもよらぬ“病”が隠されていた……? 頭脳明晰、博覧強記の天才女医・天久鷹央(あめくたかお)が解き明かす新感覚メディカル・ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • まず、ここのレビューを堪能して
    表紙が可愛すぎて躊躇していたのが私だけじゃなかったという謎の仲間意識に承認欲求が満たされたご報告から入ります。余興です。
    ーーーーーーーーーーー

    やけに作者側から指定の入る、妄想を許さない固定ルックスを持つ天才医師、天久鷹央。
    その助手の小鳥遊優、通称コトリ( ・θ・)
    この二人が数々の難事件を「診断」していくわけなのだが、結論から言うととても面白かった。
    連作短編ではあるものの、1話1話の濃密さと精密さが秀逸。内容は程々に重たく読み応えがあり、全て最後には物の見事に「診断」の形で落ち着くのがカッコ良い。医学的な説明は勿論あるのだが、これが難しく書かれていない上に無理矢理理解させられた気にもならないのが凄い。自らが患者として医者の診断を聞いているような感覚だ。

    お気に入りは最初の「泡」。妖怪(カッパ)×医療ミステリーとでも言えば唆る人がいそうなので仔細語らず設置逃げしようと思う。ノ=3=3=3
    その後もフェードアウトすること無く、次々と興味深い珍事に首を捻りこんでいく鷹央先生に早くもホの字だ。これまで躊躇していた自分が憎い。早く読めばよかった。

    通常の診察では手に負えなかった者達を手掛ける鷹央率いる統括診断部だが、「オーダーメイドの毒薬」にてここの縮小が議題となる。そこでの鷹央と祖父の大鷲の会話がお遊戯会の台本みたいな掛け合いなのが少々気になったが、さておいて先が気になる、唆る、逆転劇を期待してしまうのだからこれは楽しい読書だ(*´﹃`*)

    あっという間に読み終えてしまったが、まだまだこの二人の活躍を堪能したい。良い意味で不完全燃焼だ。今まで本棚の何処にあるか気にしたこともなかったこのシリーズ達が一軍に昇格したのは言うまでもない。
    ただやはりエンタメ要素が強い作品なのと、連作とはいえ短編なので、記憶に強く残るかと言われると難しい。後に長編も書かれているみたいなので焦らずゆっくり茶でも啜りながらこのシリーズを追っていきたいと思います。
    ーーーーーーーーーーーーー

    「可愛い表紙に躊躇している過去の私の同志たちに一度は手に取っていただきたいギャップ本ランキング(長)」ナンバーワン!(暫定)

  • 総合病院の統括診断部・天才女医、天久鷹央の痛快メディカルミステリー。

    各科「診断困難」判断の患者が、彼女と部下の小鳥遊先生のもとに送られてくる。

    プロが書いてますので、メディカル知識も楽しめますし、テンポ良いミステリー仕立ても読みやすい。

    医者で作家って、森鴎外他、たくさんいらっしゃいますが、渡辺淳一さんの、医療が絡んだ小説好きだったなあ。
    今後も、期待ですね。

  • 天久鷹央の推理カルテI

    短編が4つ、サクッと読めます。
    ①河童 ②人魂 ③処女懐胎 ④毒薬についての推理です。

    自分は③は二卵性の妊娠で、正常と外妊 ④はジュースと推理したのですが…。
    病気(ナゾ)は難しいです。さすが鷹央先生!

  • 神酒クリニックでお噂の天才医師のお話ですね。
    面白かったです。
    あちらはちょい危ない橋を渡ってますが、対比がやっとできてうれしいです。
    続けて読みたいの、ですが、積読、読みかけを考えると難しい(^◇^;)

  • '22年5月22日、読了。Amazon audibleで。知念実希人さんの作品、二作目。

    前回読んだ「硝子の塔の殺人」と比べると、かなりPOPかな…でも、これはこれで、とても楽しく読めました。どこかでチラッと見ましたが、知念さんの、1番の人気シリーズだそうで。納得(θ‿θ)

    難しい医学用語等を知らなくても、全然問題なく読めました。大病院が舞台の、いわゆる「日常の謎」的な、ホンワカとした話で…理屈抜きで楽しめました。

    シリーズ二作目も、トライしてみます!

  • 難しすぎない医療ミステリです。
    鷹央先生、変わった人、と最初こそ思いましたが、若くて小さくてかわいいのに、知識がすごくて天才!潔いところも素晴らしい。好きになりました笑
    次巻も読みます。

  • 正直なところ、読み始めからかなり読み進むまでは、主人公である天久鷹央や研修医の鴻ノ池が好きになれませんでした。
    反面、鷹央の部下であり彼女に振り回されっぱなしの小鳥遊優には必要以上に感情移入して読んでいましたね。
    ただ、ストーリーの面白さとそのリーダビリティは最初から最後まで変わらずにありました。
    本書はプロローグとエピローグに挟まれた4つの事件からなる短編集なのですが、最初の2編である「泡」と「人魂の原料」は日常の謎風の物語の中に、医学ミステリーらしく病気のことがしっかりと盛り込まれていて唸らされます。
    後半の「不可視の胎児」と「オーダーメイドの毒薬」は、それぞれとある患者の病気は何かを探り出すことがテーマのややシリアスな展開となっており、特に「オーダーメイドの毒薬」は、タイムリミットまで設けられていて、サスペンスとしての要素も楽しめます。
    この後半にいたって、ようやく鷹央や鴻ノ池というキャラクターも受け入れられるようになりました。
    あと、お医者さんっていうのは、実は常に患者さんの症状から病気を推理する探偵なんやなっていうようなことを、読み終えてふと思いました。

  • 医療✖️日常の謎系のミステリー

  • 面白かった
    ライトな展開のメディカルミステリー
    4篇の短編からなります。そのまま、ドラマのワンクールにピッタリ

    しかし、主人公の鷹央については、ちょっとキャラが付いていけません...

    【泡】
    小学生が池でカッパを目撃。
    その池には本当にカッパなるものがいるのか?
    何故か、その謎解きをする主人公の鷹央
    その真相は様々な事件が絡んでました。

    【人魂の原料】
    新人看護師が夜勤の見回り中に見た人魂
    人魂は本当にあるのか?
    単にいたずらといったところから、さらに真相が明確になるところは素晴らしい。

    【不可視の胎児】
    これは、ちょっと重い話。
    中絶した女子高生に再び妊娠の兆候が..
    これは、思った通りの展開でしたが、ラストが一ひねり。真相は驚きの展開でした。
    このセリフが重い
    「お前は赤ん坊に母親を殺させるのか」


    【オーダーメイドの毒薬】
    鷹央が子供の親に訴えられます。
    さらに、その入院した子供の病気の原因がわからない。
    タイムリミットが迫る中、子供の症状の原因とは...

    これ、原因はなんとなくわかっちゃいました。
    しかし、その真因はちょっと重い

    ということで、ライトながらも、メディカル要素満載の謎解きエンターテイメントでした。

  • 少女のような医師天久鷹央とその部下である小鳥こと小鳥遊優が診断医の能力を活かし、難解(?)な事件を解決していく。
    キャラが先行している印象の作品で、ミステリーとしては稚拙さを拭えない。ただ、医学的なドキュメンタリーとしては面白い。ブルンベルグ兆候を見逃しそうになる場面など、あってはならないミスは、もしかすると医療現場でも現実としてあるのかもしれないと想像してしまう。代理ミュンヒハウゼン症候群については知らなかったので、オーダーメイドの毒薬は興味深く読めた。
    特異な頭脳を持つ鷹央と小鳥のコンビキャラを楽しむには良い娯楽作品として、気軽に読める。

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著者プロフィール

1978年、沖縄県生まれ。医師。2011年、第4回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビュー。その他の作品に『ブラッドライン』、『優しい死神の飼い方』、『天久鷹央の推理カルテ』などがある。

「2022年 『祈りのカルテ 再会のセラピー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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