その白さえ嘘だとしても (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社
3.69
  • (104)
  • (199)
  • (194)
  • (26)
  • (7)
本棚登録 : 2690
感想 : 140
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800349

作品紹介・あらすじ

あの頃の僕らは、誰かのヒーローになりたかった。クリスマスを目前に控えた階段島を事件が襲う。インターネット通販が使えない――。物資を外部に依存する島のライフラインは、ある日突然、寸断された。犯人とされるハッカーを追う真辺由宇。後輩女子のためにヴァイオリンの弦を探す佐々岡。島の七不思議に巻き込まれる水谷。そしてイヴ、各々の物語が交差するとき、七草は階段島最大の謎と対峙する。心を穿つ青春ミステリ、第2弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 階段島シリーズ第2弾。
    クリスマスを前にして、インターネット通販が使えなくなるという非常事態に陥った階段島。それに加え、直前に広まったクリスマスイヴの七不思議という噂・・・

    七草、真辺、佐々岡、水谷、堀、豊川・・・それぞれがどんなことをしてクリスマスイヴを過ごすことになるのか。そんな話。

    以下ネタバレになります。

    七草、豊川、堀が各自で自分の目的達成のため、仕掛けたことはわかったけれど、あまりスッキリしなかった。ん?というか、堀の思惑はあまり理解できていない気がする。まだシリーズが続くというのに、魔女の正体がわかったのは意外だった。

    階段島に住む人たちは、現実の自分に捨てられた「欠点」。佐々岡、水谷、豊川がなぜ階段島にいるのかよくいわかるストーリーとなっていた。現実の彼らがこれを捨てたのだと思うと、胸が痛む。特に佐々岡と兄のエピソードはなんだか、大なり小なりみんな子どもから大人へと変化していく中で経験があるのではないかと思うと・・・

    真辺のわかりやすさに対して、七草がなぞに満ちてきた。

    ほぼクリスマスイブという一日を描いただけの第2弾に、少し足止めをくらったように感じ、読後モヤモヤしたものが残ったけれど、今後このシリーズがどう完結に向かっていくかやはり気になるところ。

    ところで、表紙のイラストがそう思わせるのか、どうしても漫画を読んでいるような気がしてくる。一文一文が簡潔で短いからかな~。

  • クリスマスを舞台に、登場人物たちの目的を果たすまでが描かれている。最後には堀が魔女であることが判明。
    また、七草が少し怖いと思った。この先どういう人物になっていくのだろう。

  • 【裏の世界ではなく】
    小説です。
    第二弾、娘に借りました。

    後半の盛り上がりがいい感じです。

  • シリーズ2作目。
    それぞれが探し物をする様子にそれぞれの人柄がとてもあらわれている。それがどんどん交錯していくところが面白かった。

  • 口に出した方法で助けてほしい訳ではない。
    だけど、違う方法で救ってほしいとは思っているかもしれない。
    それは七草の思うヒーローとは違うやり方で、
    七草のヒーローである真辺は誰が相手であろうと立ち止まらずに正義を貫く。
    佐々岡と豊川が寮で対面して話すシーンが好きだった。

  • 階段島シリーズ第2弾。
    ライトノベル的ファンタジーの雰囲気に騙されそうになるけれど、実は非常に鋭く厳しい視点を持つ作品。だけどその先には、人の欠点すらも肯定する優しさがある。
    若者向けの外面ながら、いい大人でも充分楽しめると思います。
    ただ、今回は少々叙述トリックを多用し過ぎかな。

  • 今巻で魔女が誰なのか分かってびっくり。
    堀が魔女だったのか。
    最初堀かなーとは思ったけど、途中からやっぱ違うかなって思ったから少し驚いた。
    でも、七草の発言が気になる。
    時任さんは恐らく魔女だって言ってたのに、堀が魔女だと確信して聞いたから一体どういうこと?
    時任さんだと思ってたけど、E線を持ってきたのが掘だからそこで堀だと確信して思い直したってこと?
    それとも時任さんのことも魔女だと思ってる?
    魔女は2人?
    そこがちょっと気に掛かった。

    七不思議のトリックは見事だった。
    豊川が仕組んだとはね。
    そんなにバネの上の店主に演奏聴かれたくなかったのか。
    というか、店主がバイオリン奏者だったなんてな。
    もう弾くことは無いのかな階段島にいる限りは。

    トクメ先生が超絶ゲーマーとかまじか。
    しかも、美女。
    トクメ先生何者なの。
    これ掘り下げてくれるよね!?
    トクメ先生のこともっと知りたくなったわ。

    委員長が結構腹黒で笑ってしまった。
    でも、由宇との距離が縮まったみたいで良かった。

    七草と由宇はまた少し良い感じに。
    由宇はやっぱり七草相手だと違うよなぁ、委員長の言うとおり。
    他の人には確かに無頓着だけど、七草のことはちゃんと考えてるもんな。
    プレゼント渡してたし。
    手袋だと思ったわ(笑)

    一巻で結構綺麗な区切りがついたからどう続くのか不安だったけど、杞憂だったわ。
    これなら次も読んでみよう。

  • 〇クリスマスイブに向けて起こるたくさんの謎。解決する七草たちの姿は愛おしささえ。
    突然、階段島で起こる事件。
    突然ネット通販の荷物が届かなくなり、島のみなが大混乱に陥った。
    真辺は七草と共に探し始める。
    しかし、他にも次々と事件が起こり始める。
    大量に配達しなければならないクリスマスカード(時任さんの仕事)、中等部の少女の切れてしまったE線(探すのは七草のクラスメイトの佐々岡の仕事)、豊川さんに浮上したストーカーされている疑惑(水谷委員長の仕事)、大地くんがいなくなってしまったこと。探したい魔女の正体。
    そして、クリスマスに関する七不思議が、島中に広がっていて、それが少しずつ実現してきていること。
    七草と真辺、そして水谷・佐々岡・時任たちはこの謎を一人ひとり連携しながらバラバラに探していく。そこでそれぞれがたどり着いた真実と、謎が起こった理由とその結論は・・・!


    一つひとつの謎が一つの結論に収斂していくさまは秀逸。
    すべてが違うように見えて実は一つの課題を解決するために一人によって仕組まれたことだとは、明かされるまでは全く気付かないだろう。―――前作も読んでいる勘のいい人以外は。犯人がわかっても、どのみちその思考までは読めないはずだ。

    再読してはじめてわかったこと。
    p247をじっくり読まないとタイトルの意味を推測できなかった。
    水谷が、真辺に嫉妬する(ようにわたしには見える)場面がある。水谷は真っすぐに正しいつもりなのだろう。しかし、真辺は水谷以上に真っすぐだ。自分の行動の軸がどちらにあるか、の違いなのだろうか。どちらも正しく、どちらも間違っているようにも思える。
    しかし、"白はなんにも混ざらない色だ。あらゆる混色が決して届かない色だ。まっ白なヒーローを目指す混色の少年は、まっ白な優等生を演じる混色の少女は、きっとそのことに自覚的だ。なのに純白から目を逸らせない。それが美しい色だと知っているから。純白を目指す混色の幸福とはなんだろう?僕にはその答えがわからない。(p247)"
    と七草に筆者が語らせているように、真辺は純白だ。真辺は誰にも混ざらない。誰からも混ざらない。混ざってはいけないのだ、と七草が願っている。
    たとえ、水谷や佐々岡が嘘の白さだったとしても、(彼らの高校生らしい一生懸命さには嘘の白さも読者は感じることはないのだろうけど、)本当の白さはこの物語では、否、ほとんどすべての人間は持ち合わせていないのではないか。真辺以外は。


    p66の比喩の意味はわからない。
    でも、七草と真辺の関係性を示しているのだろうし、きっと次作以降を読んだらわかるかもしれない。しかし信頼しあっているが恋愛関係ではないかもしれない、みたいなこの関係は切なくなる。悪い意味ではなく、応援したくなる意味で。

    たくさんの謎を解決する七草は頼もしい探偵だが、それ以上に、この物語に出てくるお互いがお互いに思いやりやそれに近い感情を持っていて、愛おしい。ここに出てくる感情を大事にしたいな、と思った。

  • 映画を観て、このシリーズのいいとこ取りだと気付いた。
    色んな話が同時進行しつつ、最後に1つに収束するのがよかった。
    前の話よりも自分が自分を捨てるっていうのがしっくりきた。

  • 階段島シリーズ第2弾
    前作より登場人物毎の視点が多く、読んでいて楽しかった。
    作中にあった堀さんの、発言をそのまま受け取ってくれる人は少なく、個々の解釈が伴いがちだという文に非常に共感した。

全140件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

徳島県出身。2009年に『サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY』で、角川スニーカー文庫よりデビュー。若者を中心に人気を博し、シリーズは7冊を数える。他著作に「つれづれ、北野坂探偵舎」シリーズ(角川文庫)、『いなくなれ、群青』(新潮文庫)に始まる「階段島」シリーズなどがある。

「2023年 『昨日星を探した言い訳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

河野裕の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
米澤 穂信
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×