蝶が舞ったら、謎のち晴れ: 気象予報士・蝶子の推理 (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 188
感想 : 28
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101800387

作品紹介・あらすじ

天気予報が大嫌いな気象予報士・菜村蝶子と幼馴染の探偵・右田夏生の元に舞い込んでくるささやかな、でも奇妙な依頼の数々。降らなかったはずの雨や半世紀以上前の雷探し、“誘拐”されたバイオリンや早咲きの桜に秘められた想いを解き明かす鍵は天気予報! 明日の天気を願う時、それは誰かの事を想う時――。あなたの心の雲もきっと晴れるハートウォーミングお天気ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 破天荒な気象予報士菜村蝶子と幼馴染の冴えない探偵右田夏生がひも解くミステリー。蝶子の人物造形が無茶苦茶面白い。大学院を出て、民間の気象予報会社に勤める蝶子は、いやいやながらテレビ放送のお天気お姉さんになる。ところが、ぶっきらぼうで歯に衣を着せない喋りぶりや、最後のバタフライ効果張りのとんでもない御神託などで、視聴者の人気が大爆発。そのままのつんけんした乗りで夏生に言いたい放題。夏生が持ち込む5つの謎を二人で解いていくのだが、気象のことが謎を解く手掛かりになるのだ。最後の「標本木の恋人」はなかなか感動的だ。いいねえ。ソメイヨシノは、コマツオトメとオオシマザクラの交配によって生まれたという可能性が強いという。コマツオトメは、ソメイヨシノによく似ているが、開花が少し早いそうだ。

  • 菜村蝶子は、“無愛想すぎるお天気キャスター”として、TV番組で風変わりな予報コメントをする気象予報士。
    そんな蝶子の幼なじみの右田夏生は、探偵事務所の看板を掲げながらデイトレードに精を出し、時に借金取りに追われたり、胡散臭い仕事を引き受けたりしているが…

    夏生の元に持ち込まれる謎を、蝶子が気象の知識で解き明かす、日常ミステリ。蝶子のオタクな言動と気象に関する知識からの推理、蝶子にコテンパンに言い負かされる夏生のダメ探偵ぶりがポイント。
    同じ著者の『青ノ果テ』が良かったので手に取った。
    けれど…主役のふたりがもの足りないというか…ふたりの間にあるものが弱いというか、薄いというか…
    蝶子が気象予報士になったのは、幼い頃に刻まれた経験のため。でも夏生が長じて探偵になったというのが、ミステリ仕立てにするためにそうしただけのように見えて。
    さらっと読みやすかったことは確かだけれど、何かがもうひとつ、という感じ。
    うーん。

  • お天気ミステリー。お天気はえこひいきしないっていう台詞がいい。第3章が好き。台風二過も友情ものとしていい。腐れ縁の幼なじみって感じも連ドラ向きなのでいつかドラマになりそう。

  • 天気予報が嫌いな気象予報士、蝶子。
    とあるテレビの天気予報コーナーに出演している彼女は、無愛想で棒読み、予報についてその場で文句を言うこともしばしば。

    しかし、そんな意外なキャラが視聴者には好評の様子。
    彼女は、幼なじみの儲からない探偵、右田のもとに来た不思議な依頼を、豊富な気象に関する知識をもとに解決していきます。

    お天気コーナーの相方である女子アナが、蝶子の口から次々と飛び出す気象の専門用語に困惑しながらも、健気に一生懸命奮闘する姿には、ついつい応援したくなります。

    各話のメインの謎解きはもちろんですが、個人的には、「蝶子のバタフライ効果」(「風が吹けば桶屋が儲かる」風のコメント)が楽しみでした。
    それぞれの理由はかなり飛躍していますが、それも面白さの内の一つ。

    蝶子の天気予報が人気な理由が少し分かるような気がしました。

    図書館スタッフ(東生駒):ルブリル

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    帝塚山大学図書館OPAC
    https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/842027

  • クールビューティで天気予報が大嫌いな気象予報士が探偵役のミステリー。黄砂や、エオルスの竪琴、プレッシャー・デップ現象など前知識がないと、何のことやら…。なことは出てくるが、事実が裏付けになって事件を解決するのは「法医昆虫学調査官」と似通った所があり、好感が持てた。 ただし、登場人物の蝶子は気に入らない予報をしていると原稿をブン投げる程の過激な性格。職業探偵は大分おとぼけだし、漫画的なキャラクターなのは苦手だった。櫻子さんを思い出したのは私だけ…ではないはず。

  • 「気象ミステリー」ともいうべきか。気象予報士の主人公と幼馴染の探偵が探偵事務所に依頼された問題を解き明かすミステリー。最近色々なジャンルの「人が死なないミステリー」が出てきているが、気象を絡めたものは始めて読む。天気予報にある程度知識のある人には面白く読めるかもしれないが、分からない人にはチンプンカンプンかもしれない。その辺の解説が詳しければもっと良くなったと思う。ただ、その部分を除けば楽しく読むことができた。感想はこんなところです。

  • 蝶子さんと主人公の遠慮のない関係は見ていて安心する。天気予報を見るのが少しだけ楽しみになるミステリー。

  • 期待以上に面白かった。蝶子さんの説明は、素人向けではなかったけど、お天気絡みでこんなにいろいろわかるんだなぁと、とても興味深く読んだ。夏生くんもいい味出してる

  • キャラの魅力がもっと出せそうな感じがして、もう少し読みたいなと思ってる読了直後。続編はないのかな?
    こんな予報士、ちょっと見てみたい(笑)

  • 気象が謎の解決のキーになる日常の謎もの
    金欠探偵の右田と気象予報士の蝶子は子供の頃の同級生
    職業は探偵だけど、謎の探偵役は気象予報士の方
    ってか、子供の頃のエピソード要るか?


    不機嫌キャラの気象予報士ってのは面白い
    不本意ながらテレビに出させられているらしい

    そんでもって、風場吹けば桶屋が儲かるかのように一見意味不明な予言をする「蝶子のバタフライ効果」
    リアルにそんな気象予報士がいたら面白そう


    依頼が少ない故に依頼を断らないというか断れない探偵
    依頼者の事情を含めて引き受けるというのもなかなかよい
    だからこそ変な依頼で裏の事情があるんだけどね

    キーホルダーを拾ってくれた人を探して欲しいとか
    50年以上前の火災の原因は落雷だったのか確認したいとか
    運び屋をしろとか
    盗まれたバイオリンを探して欲しいとか
    花見の場所取りをして欲しいとか


    落雷の件に関しては実に人情的でよい
    バイオリンの依頼は明らかに本人が関与してるのがあからさまなんだけど、友達が云々というのがミスリードになって引っかかって惑わされる


    桜に関してはソメイヨシノはオオシマザクラとコマツオトメの交配とかって書かれてあるけど
    遺伝子解析の結果、実際はコマツオトメはエドヒガンの近縁というだけなのがわかってるからこれはウソですね
    でもまぁソメイヨシに似てて開花が早いというのは正しいのでストーリー的には問題ないんだけどね


    個人的に、春は過ごしやすくて好きなんだけど、人によってはかえって気鬱になるというのもなんとなくわかる
    「春って――希望の押し売りみたいだから」という作中の言葉が将にそれかな



    あと、気象予報士のプライドと言うか、職業倫理はちゃんと守らなきゃダメでしょ
    ある意味で人の行動を左右してしまうんだからさー


    「天気は、誰もえこひいきしない」という言葉は結構好き

    天気がどうだっていいってのも、石原良純が「そんなに天気知りたい?」って言ってるのに通じるものがあるな

    雨のときは雨をそのまま愉しめばいいんだよな~ と「日々是好日」を読んでから思えるようになったからか雨がそんなに嫌ではないからなぁ

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著者プロフィール

著者紹介
1972)年大阪生まれ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻。博士課程修了後、大学勤務を経て、2010年『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞。2019年『月まで三キロ』で新田次郎賞を受賞した。著書に『磁極反転の日』『蝶が舞ったら謎のち晴れ――気象予報士・蝶子の推理――』『博物館のファントム 箕作教授の事件簿』『ブルーネス』『ルカの方舟』『梟のシエスタ』など。

「2020年 『コンタミ 科学汚染』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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