渦森今日子は宇宙に期待しない。 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2016年2月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784101800592

作品紹介・あらすじ

私は、私であること、諦めないでいたい。渦森今日子、17歳。女子高生で、アイスが好きな、宇宙人。最後で「え?」となったかもだけど、私も、私の友達(岬ちゃん、柚子ちゃん)も、そんなことは気にせず、部活動、体育祭、夏合宿、と毎日を突っ走る。でも、なんだろう。楽しいのに、面白いのに、もやもやする。私が女子高生だから? それとも、宇宙人だから? この“痛み”に、答えはあるの――? ポップで可愛い、青春小説の新地平。

みんなの感想まとめ

17歳の宇宙人、渦森今日子が主人公のこの作品は、青春のもやもやと楽しさを描いたポップな小説です。彼女は地球で女子高生として日々を過ごし、友人たちと共に部活動や体育祭に励む一方で、未来への不安や自己の存...

感想・レビュー・書評

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  • 渦森今日子、17歳。女子高生で、アイスが好きな宇宙人。
    最後で「え?」と思ったかもだけど、私も、私の友達もそんなことは気にせず毎日を過ごしている。
    ポップで可愛い青春小説。


    宇宙人の渦森今日子を主人公とした、鮮やかな青春小説です。
    主人公は、地球で女子高生をしているけれど本当は宇宙人。だけど、本人も友人たちもそんなことは気にせず、アイスを食べて部活動に勤しみ、体育祭で盛り上がり進路に悩む。
    さしたる理由もなく地球に滞在し、ふわふわモラトリアムを享受する主人公に、未来へのほんのりとした不安から目をそらしながらも、何の覚悟も持たずただ無敵に楽しく生きていられた学生時代を思いだいました。
    将来に対する漠然とした不安と、それとは対照的な何とかなるという万能感。
    宇宙人でも人間でも、同じ存在でも理解できない事もあれば、違った者同士でも理解し合えることもある。悩みや楽しみ、喜び、感性はそれぞれ。素敵な事だなと思います。
    人生は選択の連続で、大人になる過程で色々な物を切り捨てていかなくてはいかないけれど、その選択も、切り捨てたものも、今に至る思い出も、大切な自分の一部って言えるような生き方をしたいな。

    口語的な地の文も、主人公の上手く表現できないもやもやした気持ちなんかがよく分かって好きです。
    本文もキラキラしていて好きだけど、作者さんのあとがきもまた良いのでお勧め。

  • 嵐山ロンドンブックスにて戯れに購入。もうだいぶ後ろに遠ざかってしまった青い日々を、説教くさくもならず、等身大に、こんなふうに鮮やかに昇華できるのはとても尊いことだね。

  • 皆が当たり前のように通る季節を当たり前に通ることが出来なくて、どうしてイマなんだ、決めてしまうことにそんなに意味があるのか、と悩める時期でした。まるで一生を抱えたかのように狭き一つの道を進んで行った同志達は、今何人その夢を叶えられたのだろうと考えます。あの季節はもう戻らないけれど、決してあの頃が全てではなく、大人になればそれだけキラキラしたものにも出逢える。苦しいとき、あの時踏ん張れたということ、それが生きていく上での自分にとっての支えになるのだと思います。

  • 主人公は地球で女子高生をやっている宇宙人。でも普通に地球人と同じ生活をし、普通の高校生となんら変わらず友人との関係や進路について悩んだりしている。奇抜な世界設定や特殊能力が幅を効かせるのでもなく、いわゆるキャラクター小説でもない。誰もが思春期に持つ現状や将来に対する漠然とした不安を描きだすことに主眼を置いた青春小説である。ただ、会話文がコミカルで量も多く、地の文も大方が主人公の心の中のツッコミといった具合。なので、ライトノベルと普通の小説の中間くらいの位置付けか。

    私はとても面白く読めた。「覚悟」についての主人公の気づきは私にとっても有益な学びであった。登場人物たちの希望進路はバラバラだが、どれもそれぞれ自分固有の価値観を反映していて面白い。個人個人を尊重する空気が物語には流れていて、それが気持ちいい。あとがきには「青春とは何か」ということに対する著者の考えが書かれていて、これが実に素晴らしい。私にはキラキラした青春なんてなかったし、青春とは何なんだろう?とずっと分からないでいたが、初めて納得できそうな答えに出会った。これは衝撃だった。物語はあとがきのための前菜だったのではないかとすら思える。小説の核にある想いが著者自らによって語られていて、読後の味わいを一段と深められるようになっている。

    最後に少し客観的なレビュー。著者の感性の鋭さや言葉の展開力、選択眼は唯一無二だと思っているが、詩やブログに比べると本作ではその個性が薄まっている。しかし、それは小説という形式との相性の問題だろう。彼女の表現は、自分の中に潜む感情を自分のものとして短い文章という形に放出するとき最大限いきるのだと思う。長い文章に物語を構築し、創作人物を通した形で心情を表現するのは相性がベストではないのだ。とはいえ、彼女の感性や価値観は存分に反映されているし、詩に比べて小説の方が伝えたいことが分かりやすくなっているのはメリットである。最果タヒ入門用、もしくは彼女の世界観が好きな人にお勧めする。

  • 宇宙人というと特別で珍しい気がしてしまうけれど放課後にアイスを食べたり部活動で合宿に行ったり進路に悩んだり焦ったり。とても普通で退屈なほどの日常。でも精神的に参っていた十代を送った私は凡庸さをとても切り捨てられない。沢山の女の子の中から友人と呼べるほど何かを共有できる人がずっと居なかった。もし十代に戻っても生身の他者に怯えるばかりだろう。やはり普通は凄いと少しだけ淋しい気持になってしまう本だった。

  • めっちゃくちゃ面白かった!出てる子みんな可愛い。高校生ってこんな感情持ってたなぁって、懐かしい甘酸っぱい気持ちになりながら読んでいた。大人にはない、残酷で透明な美しい純粋さ。これ、高校生の時に読めたら幸せだなぁ。最果さんの言葉はやっぱり心地よくて、フッと心に落ちてくる。詩もかけて小説もかけてすごいなぁ。高校生って、いいね。

  • ポップでリズミカルな青春作品。

    進路についての悩みって人それぞれで、
    乗り越えなきゃ行けない壁で、、、
    あの時の気持ちを思い出しました。

  • 最果タヒという名前がちょっと抵抗感あるじゃないですか、なんかね、手首切っちゃう系かなというかね。だから自分が読む感じの作家とも思ってなかったんだけど古本屋さんで見かけて、これが参考にしてるブックリストに載ってる作家の作品だったので買いました。タイトルがライトノベル風なんで抵抗もありつつ。最果タヒってこないだ町田康と対談してたな、というのも少し信頼に繋がる部分もあったしね。深くはないけどストレートにライトノベル風青春小説という感じで瑞々しくて面白かったと思います。いい時間を過ごさせてもらいました。いい読書体験になりました。本業の詩集とか他の小説なんかを読むこともやぶさかではないかなと思っています。

  • 詩人であり小説家であり、最近はAlexandrosの「ハナウタ」に参加したりの最果タヒが、女子高生であり宇宙人の渦森今日子の日常を描いた作品。
    宇宙人である事も女子高生である事も、どちらも特別な事だしそれ程特別な事では無い。
    覚悟を持って何かを決断する事って、何にせよ大事だよね。

  • ストーリーはそれなりだが、間々に短い簡易なフレーズで核心を突いてくる最果節が散りばめられていて読んでいて飽きない。
    最後のあとがきが著者の書きたかった主題なのだと思う。

  • 十七歳の女子高生として友達と過ごす宇宙人の呑気な日常が、つらつらと喋るみたいな独特のポップさのとても個性的な文章で彩られていて、はじめは構えたけれどすぐに馴染んだ。秘密を知りながら気にせず受け入れている友達と、オカルトに憧れる部長、体育祭に夏合宿。良い意味で普通に過ごす独特の瑞々しさ。楽しかった。

  • 女子高生青春系、かと思ったら主人公が宇宙人という特殊な設定。しかも日常に溶け込んでふつうの女子高生をしている。アイスが硬すぎて愚痴る宇宙人というのを初めて見ましたけど違和感はありませんでした。宇宙人だけど友人との関係や恋愛やふつうに進路に悩んだりしてておもしろかったです。最果先生らしいことばや節回しが軽快でリズミカルで心地よかったです。

  • よくあるモラトリアム女子高生の青春物語だ。ただ、その女子高生が宇宙人であることを除けば。

    宇宙人が主人公の日常系、とも言えるかも。主人公は、日本社会に溶け込んでいる宇宙人で、親友の何人かには正体を明かし、普通に暮らしている。その行動原理や感情の起伏は余りにも普通過ぎるのに、やっぱり宇宙人なのだ。

    言葉の端々、考え方の枝葉に、ほんの少しの違和感を埋め込み、結果的にとんでもなくエッジの効いたキャラを生み出している。正直、他のキャラを圧倒している。言葉のテンポ、リズムも独特で楽しめる。

  • 宇宙人だって青春感じるってなんかいい。
    若い文章の中にさりげなくちょいちょいイマドキにはわからん笑いのツボが…まじで大学受験する5秒前って❗️
    律がかわいい。
    そして宇宙よりも地球を選んでもらえるなんて、この世界もキラキラしてみえます。

  • 内容よりも、文章が宇宙人だった。

  • 女子高校生の中に宇宙人がいつの間にか自然に紛れ込むという漫画みたいな設定のシュール系コメディとでもいうべきか。4編ある話の中で毎話繰り広げられる同じやりとりに、3話目でだいぶ飽きてきたが、最終話で予想以上に面白かったし、最後まで読んで、このスタイルでキャラぶれずに書き通した作者に脱帽

  •  ジャケ買いした。越谷オサム『いとみち』『陽だまりの彼女』北野勇作『きつねのつき』などで表紙を手掛ける西島大介氏の表紙。イラストが好きで買ってるんだけど、本人の著作は『世界の終わりの魔法使い』くらいしか読んだことないのでなんとなく後ろめたい。
     著者は詩人さんということだけど、詩って買ったことないからその辺はよく分からない。内容をちゃんと絡めた感想は気が向いたら改めて書く。

     青春小説と分類されるものを読む度に、過去の自分が抱いていた様々な思いが蘇ってくる。力加減を知らずにとにかくがむしゃらだったこと。将来を憂いて布団の中で涙を流したこと。自分にシーリングを設けることを知らずに、いくらでも夢を見たこと。過度な自己嫌悪でどこまでも自分を追い詰めたこと。

     そんな様々な想いが飛び交うなかで、この小説を読んで蘇るのは、「焦り」の感情。夏休みの宿題が終わらない、卒論が間に合わないかもしれない、という焦りではなく(それはそれで恐ろしい思い出だし、今でも嫌な夢シリーズの一翼を担っているけれど・・・)、その年齢で得るべき様々なものを取りこぼしているのではないかという不安や、そんな自分への不甲斐なさ、劣等感だ。

     私が青春小説を読むのも、自身の青春時代にたくさんのものを取りこぼしたと考えてきたからだ。夕日が差し込んだオレンジ色の教室に大切な忘れ物を取りにいくような感覚。それはそれで大切なことだと思う。今なお抱える幼少の頃の傷を、いくつも治してきた。解決していなかった悩みに、いくつも決着をつけて、思い出として昇華してきた。

     だが、そうした悩みや傷の周りには、常に焦燥感に押しつぶされそうになっている自分がいた。「私はどうなってしまうんだろう」という恐怖。それに突き動かされて前に進むこともあれば、蹲ってしまうこともあった。どちらにせよ、一所懸命考えていた。

     結果として、何らかの答えに行き着く人もいるかもしれない。だけど、私の場合、途中で心が折れてしまい、そうして焦燥感の中に身を浸すことを止めてしまった。確かに、かなり危ない状態だったから、しかたなかった。ずっと全力で走り続けられるはずがなかった。知恵をつけるうちに、自分に諦めさせるだけの理屈をこしらえることができるようになった。大人になるってことはそういうことだっていう考えを、何かの主人公みたいに否定する度胸もなくなった。そうした自己防衛は結局のところ自己嫌悪を生み出すだけで、そんな自分を捨て去ることもできずに、死にかけの体に意味のない延命措置を施してきた。

     そんな中、不安の中を必死でもがいていた自分に、否定しなくてよい過去の自分にようやく出会えたことが嬉しかった。大した成功体験もない中で、それでも自分を奮い立たせてくれるものがあることに気が付けた気がする。忘れていた昔の自分に申し訳ないと同時に、今ならしてやれることがあるのではないか、と思える。

     自分を変えなければいけない境遇にある私にとって、一つの画期となる読書体験だったのかも知れないな、と感じた。

  • タヒさん詩は好きだけど、やっぱり小説はあんまり私にははまらないかも。

  • 2017/05/01 読了。

  • 独特な世界観で 最初はつまらないな、
    と思ってしまったが、読めば読むほどハマった作品

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著者プロフィール

最果タヒ(Tahi Saihate)
詩人。一九八六年生まれ。二〇〇六年、現代詩手帖賞受賞。二〇〇八年、第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。二〇一五年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。その他の主な詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(二〇一七年、石井裕也監督により映画化)『恋人たちはせーので光る』『夜景座生まれ』など。作詞提供もおこなう。清川あさみとの共著『千年後の百人一首』では一〇〇首の現代語訳をし、翌年、案内エッセイ『百人一首という感情』刊行。エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『もぐ∞【←無限大記号、寝かす】』『「好き」の因数分解』、小説に『星か獣になる季節』『少女ABCDEFGHIJKLMN』『十代に共感する奴はみんな嘘つき』、絵本に『ここは』(絵・及川賢治)、対談集に『ことばの恐竜』。

「2021年 『神様の友達の友達の友達はぼく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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