夜空の呪いに色はない (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101801032

作品紹介・あらすじ

かつて子どもだった すべての大人たちへ。郵便配達人・時任は、階段島での生活を気に入っていた。手紙を受け取り、カブに乗って、届ける。七草や堀を応援しつつも、積極的に島の問題には関わらない。だが一方で、彼女は心の奥底に、ある傷を抱えていた……。大地を現実に戻すべく、決意を固める真辺。突き刺さるトクメ先生の言葉。魔女の呪いとは何か。大人になる中で僕らは何を失うのか。心を穿つ青春ミステリ、第5弾。

感想・レビュー・書評

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  • なるほど、この階段島シリーズは、成長の物語だったのね。「大人の階段の~ぼる~♪」ってやつですね。本書は階段島と現実が入り乱れる第五弾。

    うぅ、「やっぱり私が、国語の成績悪かったのわかるわ」ってくらい、なんか押し問答のように長々と続く、登場人物の会話についていけない。
    ―「やっぱりあなたはAね」
    ―「いえいえ、私はA’(エーダッシュ)よ」
    とはいえ、Bとも言えなくない・・・

    みたいなやり取りに、頭の回転が悪い私はもうどっちでもえぇわ!と、物語の本質を根元からなぎ倒してしまうであろう感想を何度抱いたことか。落ち着くんだ、私。彼ら(登場人物)は、昔の薄っぺらくペラペラだった私とは違って、若さゆえの葛藤に、大人へと向かい変わっていく自分や周囲への葛藤に、真摯に向き合っているのだ。しっかり読むのだ!

    七草がどうにも不思議で、「諦める」とか言いながら、一番粘着質そうな性格で、どうして七草がそんなにも他人(真辺や堀)に固執するのかまだよくわからないんだけど、その七草がやっと自分に少しこだわったところがちょっとあって、嬉しかった。
    (あ、前作か前々作かで、「け、なんだ、結局七草と真辺はお互いを見つめているだけね」という安易な感想を書いたことは素直に間違えだと認めよう。堀のこともあるし、七草に言わせれば、これは単純な愛や恋ではないのだ、たぶん)
    大地の問題にどう踏み込めばいいのか、踏み込んだとしてどう責任を取ればいいのか・・・成長していく葛藤と共にここら辺がうまく絡み合っているなと思った。

    そして、今唯一の郵便局員時任の過去が明らかになる。そのことにより時任と大地の関係が分かってきて、より一層物語の真相に近づいた。

    責任、成長、決定、諦め、変化、理想・・・

    この階段島シリーズは、なんかやっと掴んだぞ、なんかわかったような気がするぞ、と思えばすぐに、あぁ、やっぱりわからない、私は何か大きな勘違いをしているのではないか、いやいやそもそも読解力がないんじゃないか、ま、待って、やっぱそういうことよね、と、つまり、捉えきれてなくて気になる存在。

    大人の時任に責任をとってもらって、子どものままで魔法を借りる形で大地の問題は解決するのか、階段島はどうなるのか、次、最終巻!

  • シリーズ5作目。
    謎が解き明かされていろいろなつながりが見えてくる。
    大人になるってどういうことかを考えさせられる。未来に尽くすことなのか?
    登場人物それぞれの成長が感じられてよかった。

  • 乗り越えてきたあの夜の分、
    誰かに寄り添える自分でありたい。
    大地に対してみんながそう思っているように感じる。
    だけどそこには大地への思いだけではなく、自分の境遇や状況も複雑に絡み合う。
    七草の幸せと勝利は共存しない。
    それは七草がいつまでもピストルスターとしての真辺への信仰を捨てられないから勝つことはできない。

  • 時任さんの過去が明らかとなり、安達と堀の関係も明かされる。
    前巻よりも理解しやすく、だんだんとクライマックスに向かっていく感じがした。
    次巻が楽しみ。

  • 同じことの繰り返しで淡々と進んでいくので少し焦らされる。
    最後の魔法を使った時任さんの責任だと思う。
    でも仕方ない部分もあるし…
    最終巻かと思ったら違った。

  • 【無間違】
    小説です。

    第五弾
    娘に借りました。

    少し間延びしたか。

  • だいぶ煮詰まってきた。前巻までに階段島の秘密が明らかになって、今回で大地の秘密もほぼ明らかになった。次が最終巻。どう決着がつくんだろう。

  • 前回から随分時間が経ったので、話がうろ覚え、かつ前巻のレビューのテンションだけが高くて、いまいち分からないことに笑った(笑)
    以下、思いっきりネタバレ注意。

    捨てた自分を否定するために再度拾う、七草。
    それは結局、魔法なんてなくても、要らない自分を黙殺してしまえることの証でもあった。
    けれど、真辺は拾わない。
    今の自分にないものを実感しながらも、彼女は自分でしかないと考えて、現実の七草を頼る。
    果たして、現実の二人は、今の自分で満足しているんだろうか。ここが、最終巻でどうなるかだなー。

    七草が消えた階段島で、堀は先代魔女の時任に魔法を奪われる。
    そのことで、時任が魔法に絶望する理由が分かる。
    大地の母の恋人から諦めを奪った結果の自死。
    そして、大地の母から愛情を奪った結果の大地という繋がりが出来る。
    助けたいと願いながら、不幸を振りまくしか出来なかった悪い魔女の出来上がり。
    なるほど。

    万能だからこそ、どう幸せに魔法を使うのかの呪いがかけられる。
    そして魔女の選択は、時に過ちを起こし、魔女自身も傷付いてしまう。
    じゃあ、そんな万能に、意味はあるのか。

    結末巻が楽しみ。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/567357

  • 時任さん好きだったのになあ。何してくれてるねん。元凶じゃん。

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著者プロフィール

徳島県出身。2009年に『サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY』で、角川スニーカー文庫よりデビュー。若者を中心に人気を博し、シリーズは7冊を数える。他著作に「つれづれ、北野坂探偵舎」シリーズ(角川文庫)、『いなくなれ、群青』(新潮文庫)に始まる「階段島」シリーズなどがある。

「2023年 『昨日星を探した言い訳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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